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ルイ15世の公妾「ポンパドゥール夫人」もパピヨンを溺愛した一人
3. パピヨンの起源でもある「スパニッシュ・ドワーフ・スパニエル」について知りたい!
パピヨンは耳が大きく明朗活発で、ゴージャスな雰囲気も併せ持った日本でも人気の高い 犬種 のひとつ。
JKC(ジャパンケネルクラブ)での登録頭数は、14番目の4,470頭(133犬種295,910頭中)。
AKC(アメリカンケネルクラブ)のドッグランキングでは、2013年の38位から2016年は53位とランクを落としているものの、189犬種中でも上位にランクインしています。
そんなパピヨンですが、パピヨンを語る上で外せないのが垂れ耳のパピヨン「ファレーヌ」と、パピヨンという名称の名付け親とも言われている「マリー・アントワネット」です。
「パピヨン」としての歴史は16世紀頃からとも言えますが、元を辿っていくとパピヨンのルーツは13世紀頃まで遡るという考え方も。
また、AKCでのパピヨンが一品種として認定されたのが1935年、その前までは「Papillon Club of America」という独自の団体が存在していたようです。
そして、パピヨンの歴史をよく知るには、パピヨンの原形と言われている犬種「スパニッシュ・ドワーフ・スパニエル」が重要なポイントとなります。
パピヨンの歴史は古く、16世紀のフランスに遡ります。
この当時のフランスで人気を集めていたパピヨンは、「パピヨン」として認識されていたのではなく、「スパニッシュ・ドワーフ・スパニエル(またはトイ・スパニエル)」として認識されていました。
このスパニッシュ・ドワーフ・スパニエルという犬種は、特にフランスの中でも階級の高い貴族の間で人気の 犬 でした。
スパニッシュ・ドワーフ・スパニエルを溺愛してきた貴族の中でも、特に著名なのが「ヴェルサイユ宮殿」を建て、太陽王とも呼ばれたフランスの王「ルイ14世」です。
1710年頃に描かれた上記の肖像画(右から2番目が晩年のルイ14世)でも見られるように、足元にはパピヨン(スパニッシュ・ドワーフ・スパニエル)のような犬が描かれている通り、王室でもこの犬種は身近な存在であったことが伺えます。
1715年、ルイ14世の死後、5歳という若さでフランスの国王となったルイ15世。
女性関係が激しかった15世の公妾として、後に政治を取り仕切るまでに権力を持つ事となる「ポンパドゥール夫人」も、スパニッシュ・ドワーフ・スパニエルを愛した貴族の一人でした。
ポンパドゥール夫人はフランスの芸術や美術の発展に欠かせなかった人物としても知られますが、市民からは浪費も激しかった為に不人気だった公妾でした。
そんなポンパドゥール夫人ですが、スパニッシュ・ドワーフ・スパニエルを溺愛してきた貴族としても有名な人物です。
肖像画にもスパニッシュ・ドワーフ・スパニエルとともに描かれている通り、ルイ14世と同じくこの犬種が身近な存在であったことがわかります。
「フランスのファッションリーダー」「稀代の浪費家」など多種多様なイメージを持ち、波乱の人生を送ったルイ16世の王妃「マリー・アントワネット」もまた、スパニッシュ・ドワーフ・スパニエル(パピヨン)を愛した著名な貴族の一人。
後にフランス革命が起こり、マリー・アントワネットは斬首刑となりましたが、処刑される直前まで溺愛していたパピヨンと一緒にいたという説もあるほどです。
そんな悲劇的な人生を歩んだマリー・アントワネットですが、スパニッシュ・ドワーフ・スパニエルの事を「蝶」を意味する「パピヨン」と呼び始めたとされるのが、マリー・アントワネットと言われています。
このように、現在のパピヨンの原種でもある「スパニッシュ・ドワーフ・スパニエル」は、フランス王室の長きに渡って愛され続けてきた犬であり、フランス王室で愛されていたことから貴族の間でも大流行していた犬だったのです。
スパニッシュ・ドワーフ・スパニエル(パピヨン)はフランス王室や貴族だけではなく、プロイセン王国(現:ドイツ北部)の貴族にも愛されていた犬種でした。
プロイセン王の王妃として知られる「ゾフィー・ドロテア・フォン・ハノーファー」は、イギリス王のジョージ1世の娘としても知られる人物。
1737年にゾフィー・ドロテアを描いた肖像画にもスパニッシュ・ドワーフ・スパニエルが描かれており、フランスの貴族だけではなくヨーロッパ各国の貴族に愛されていた犬種だったということが伺えます。
この肖像画に描かれているスパニッシュ・ドワーフ・スパニエルは、現在でもよく見られる「パピヨン」のようにも見えますが、後述する「垂れ耳」のパピヨン、「ファレーヌ」のようです。
マリー・アントワネットがパピヨンをこよなく愛したというのは前述の通りですが、マリー・アントワネットの母で女帝と言われた「マリア・テレジア」も、パピヨンを愛した一人だったようです。
1754年に描かれた、マリア・テレジアの一族の抽象画にも、スパニッシュ・ドワーフ・スパニエルのような犬が描かれています。
こうして母の代からスパニッシュ・ドワーフ・スパニエルが愛されていたということは、マリア・テレジアの十一女であるマリー・アントワネットも、幼少期から当たり前のようにスパニッシュ・ドワーフ・スパニエルと触れ合っていたのでしょう。
16世紀から人気を集め、17世紀〜18世紀に渡り、マリーアントワネット等の著名な貴族たちにも愛されてきたスパニッシュ・ドワーフ・スパニエル(パピヨン)。
御存知のとおり、この時代のヨーロッパは特に絢爛豪華な時代を迎えており、一つ一つの道具や髪型がステータスとなり、豪華さを競い合っていました。
美しく上品な雰囲気を持つパピヨン(スパニッシュ・ドワーフ・スパニエル)もまた、貴族階級の者たちに愛され、連れ歩くことがステータスとなっていたのです。
こうしてパピヨンが貴族たちの間で爆発的に流行し、さらには貴族階級よりも下の市民たちにも親しまれる犬種となっていきました。
しかし、1789年に起きたフランス革命では、マリーアントワネットを始め、多くの聖職者や貴族が処刑されることとなります。
そして、貴族が連れ歩いていたパピヨンも豪華さの象徴として忌み嫌われ、虐殺されていったと言われています。
パピヨンはこのように激動の時代に誕生した犬種ですが、良くも悪くも、貴族たちの目に止まらなければ「パピヨン」という品種は誕生していなかったかもしれません。
「スパニエル」という名称は、スペインを原産とする狩猟犬・鳥猟犬の事を指しており、大きな声で 鳥 を追い詰め、猟のし易い状況へと獲物を追い込む役割をこなしてきた犬種の「総称」です。
スパニエル系の血統としては従順な性格、運動量も多く活発、獲物に気が付かれないように忍び寄るため小柄な体格が特徴。
そして、現在の「パピヨン」の原型となっているのが、このスパニエル系犬種の中でも小型に改良されていた「スパニッシュ・ドワーフ・スパニエル」と考えられています。
スパニッシュ・ドワーフ・スパニエルは、スペインを原産としている犬種で、当時は「エパニエル・ナン(一寸法師のスパニエルの意)」と呼ばれていました。
このエパニエル・ナンをさらに小型に品種改良した犬種が、スパニッシュ・ドワーフ・スパニエルです。
エパニエル・ナンを小型化するために交配されたのが、ヨーロッパ以北を原産とする「スピッツ」系の犬種でした。
こうしてスパニッシュ・ドワーフ・スパニエルは、スパニエル系とスピッツ系の両系統の血を持つこととなります。
スパニッシュ・ドワーフ・スパニエルは前述の通り、「トイ・スパニエル(コンチネンタル・トイ・スパニエル)」や、尻尾の形が リス のしっぽと似ていることから「リス犬」を意味する「スクウァーレル・スパニエル(Squirrel Spaniel)」など、様々な名称で呼ばれていたようです。
スパニッシュ・ドワーフ・スパニエルの特徴とも言える、このリスのような飾り毛のある巻いた尻尾は、現在のパピヨンにおいても見られます。
そして、スパニッシュ・ドワーフ・スパニエルは現在のパピヨンのような「立ち耳」の犬ではなく、「垂れ耳」の犬種でした。
この垂れ耳のスパニッシュ・ドワーフ・スパニエルは「ファレーヌ(Phalene)」とも呼ばれます。
その後、立ち耳のスパニッシュ・ドワーフ・スパニエル(またはファレーヌ)を選択的に作出するため、同じくスピッツ系の血統が用いられ、「パピヨン」が作出されることとなります。
パピヨンの歴史については長い歴史もあるために、実は前述した他にも様々な説があります。
圧倒的な人気を集め、パピヨンという犬種を確立させたために、パピヨンはフランスが原産国と考えられています。
その一方で、フランスと同じく高い人気を集め、盛んに繁殖が行われていたためにファレーヌは「フランス原産」と考えるものや、「ベルギー原産」という考え方も。
この他、スパニッシュ・ドワーフ・スパニエルが「スペイン原産」ではなく、古くから犬を輸出していた「イタリア原産」という説もあるほどです。
今となっては確かな事実を見つけるのも難しいですが、パピヨンという犬種が多くの人に愛され、またヨーロッパ各国で繁栄を極めていったという事でしょう。
「スパニエル(Spaniel)」の名の付く犬種には「 アメリカン・コッカー・スパニエル 」や「 イングリッシュ・コッカー・スパニエル 」「 キャパリアキング・チャールズ・スパニエル(キャバリア) 」など、意外とたくさんの犬種にスパニエルの名称が入っています。
しかし、実は「スパニエル」という名称が入っていても、スパニエルの血縁には関係のない犬種も存在しています。
その一つが日本原産の犬「 狆(ちん) 」です。
日本語で表記するときは「狆」と表記しますが、英語表記をすると狆は「ジャパニーズ・スパニエル(Japanese Spaniel)」と表記されます。
ただ、狆はスパニエル系の犬種ではありません。
他にも、中国原産の「 ペキニーズ (英:Chinese Spaniel)」、チベット原産の「Tibetan Spaniel)」も狆と同様、スパニエル系の犬種ではありません。
一方、原種にスパニッシュ・ドワーフ・スパニエルの血が流れるパピヨンに関してはスパニエル系の他にも、ヨーロッパ以北からの「スピッツ」系の血縁も関係していると考えられています。
現代においてはパピヨンの原種と考えられるスパニッシュ・ドワーフ・スパニエルの姿を見ることは難しいですが、スパニッシュ・ドワーフ・スパニエルに最も近い犬種となるのがファレーヌという事になります。
しかし、現代ではファレーヌは単に「耳の立っていないパピヨン」と見られる事も多いようです。
前述でも説明しましたが、「パピヨン」の名付け親とも言われているのが、フランス革命の犠牲となったマリーアントワネットです。
マリー・アントワネットはパピヨンの優雅な雰囲気や、パピヨンの特徴的な「耳」の形を美しい「蝶」になぞらえ、フランス語で蝶を意味する「パピヨン(Papillon)」と名付けます。
元々は垂れ耳・立ち耳に関わらず、ヨーロッパでは「スパニッシュ・ドワーフ・スパニエル」もしくは「コンチネンタル・トイ・スパニエル」と呼んでいますが、このパピヨンという呼称と分けるためにファレーヌという呼称が生まれたのです。
また、「パピヨン」という呼名は広く使われる呼名となっていますが、国際分類名では「Epagneul Nain Continental(エパニヨール・ナイン・コンチネンタル)」。
ファレーヌに関しては、「Epagneul Nain Continental ”Phalene”(エパニョール・ナイン・コンチネンタル・ファレーヌ)」と、後ろにファレーヌを付けて区別します。
「蝶」を意味するパピヨンとは対象的に、ファレーヌはフランス語で「蛾」を意味する「Phalene」と呼ばれるのは有名な話です。
日本でもこうして「パピヨン」「ファレーヌ」と分けて考えるのが一般的になっていますが、ヨーロッパにおいてはこうした分け方はしておらず、コンチネンタル・トイ・スパニエルと呼ばれます。
これまで説明してきた通り、パピヨンとファレーヌは耳が立っているか、立っていない品種かという違いだけで、元は同じ品種なのです。
ですので、耳の立っていないファレーヌがパピヨンの「失敗作」という知識を持つ方も少なくないようですが、これはまるで誤った考えです。
ファレーヌはパピヨンよりも古い歴史を持つ形であり、パピヨンの前身とも言える犬種。
元はファレーヌからパピヨンが作出されていますが、現在においてはパピヨンからファレーヌが誕生するなど、必ずしも立ち耳のパピヨンが産まれるわけではありません。
もともと、ファレーヌを繁殖させていた頃にも、まれに「立ち耳」のファレーヌが誕生していたこともあったのです。
日本においては「分けて考える」のが一般認識となっていますが、JKCにおけるドッグショーでは両種ともに「パピヨン」として審査が行われます。
パピヨンとファレーヌを区別して考える国・区別しないで考える国など様々ではありますが、根本的には同一犬種として考えるのが正解といえるでしょう。
余談ですが、ファレーヌはフランス語表記で「Phalène」と表記し、読み方・呼び方に関しては「ファレーヌ」以外にも、「ファーリーン」や「ファリン」「ファリーヌ」「ファーレン」「ファーリン」などさまざま。
フランス語の「発音」と日本語の「聞き方」の違いの為に、色々な呼び方が発生しています。
パピヨンの体高は、オスが20cm〜28cm程、メスが20cm〜25cm程となります。
体重に関してはオス・メス共に4kg〜5kgとされています。
そして、パピヨンの最大の特徴である「耳」には長い飾り毛があり、高貴な雰囲気を漂わせる部分でもあります。
ファレーヌに関しても耳が垂れているだけで、長い飾り毛があり、パピヨンと同じく高貴な雰囲気をまとっています。
手足に関しては細く、非常に華奢な印象を与えますが、実際は丈夫な犬種で非常に活発に動き回ります。
後述しますが、パピヨンは訓練や遊び、人とのコミュニケーションを好む犬種ですので、ペットとして飼育する上でも適した犬種と言えます。
垂れ耳のパピヨンであるファレーヌに関しては、パピヨンよりも少し大きめと考えられています。
あくまでも個体によりますが、ファレーヌよりもさらに小型化を目指したために、スピッツ系の他にも「 チワワ 」を交配させていったという記録も。
また、パピヨンとファレーヌに限らず、オスの方が比較的大きいということが言えます。
個体差にもよりますが、一般的にはオスのほうがメスよりも大きく、がっしりとした印象を与えます。
ペットとして飼育している上では何ら問題はありませんが、ドッグショーなどに出陳するとなると「スタンダード」と呼ばれる、犬種による標準の体型は重要なポイントとなります。
パピヨンのスタンダードとしては、体高よりも長い体長で「調和の取れた体躯構成」「優美さ」が体型として求められ、他にも「 マズル の長さ」「被毛の長さ」もポイントに。
さらに外見だけではなく、性格に関しても「活発な性格」や「気品のある雰囲気」「たくましい雰囲気」、歩き方は「軽快かつエレガント」な歩き方が求められます。
ペットとして飼育している上では全く必要としないと思われますが、スタンダードと呼ばれる厳しい基準によって、「パピヨン」という犬種がしっかりと現在まで形を変えずに守られてきているのです。
スタンダードにはこうした形のほか、パピヨンの毛色に関しても厳しい基準が設けられています。
パピヨンの毛色は、基本的な毛色が「白」であることが重要となります。
この白い毛をベースとして、いくつかの差し色が入ることで毛色が分けられます。
中でも最もメジャーな毛色となるのが
の3カラーです。
これらの毛色はペットショップでも多く見かける毛色ですが、パピヨンの毛色はこの3カラー以外にも、白毛がベースであれば他の毛色も認められます。
ただし、色の入り方・班の入り方にも基本形があり、「耳」と「眼」の部分、頭頂部にかけてカラーが入っているものが理想とされます。
また、口もと(鼻先)から頭頂部、首周りにかけて白毛である「ブレーズ」と呼ばれる模様が、パピヨンでは一般的に理想の模様となっています。
パピヨンは、子犬の頃と比べると毛の色が徐々に変化する可能性があります。
パピヨンの被毛は生後1年〜2年にかけて生えそろっていき、3歳を迎える頃にはパピヨンらしい美しい被毛へと変化していきます。
毛色に関しても同じく、子犬の頃の毛色がそのまま大人になっても同じとは限らず、別の毛色へと変化していることも少なくありません。
子犬の頃は顔が全体的に黒かったのに、成犬になるとブレーズも入り、毛色も明るくなると言ったパターンも多いのです。
また、パピヨンの特徴でもある大きな耳にも美しい飾り毛が整うのですが、飾り毛のせいで思うように耳が立たないという場合も。
そんな時には、飾り毛を少し間引いて軽くし、徐々に立たせるというやり方もあります。
パピヨンの性格は、何と言っても明るい性格が特徴的です。
また、非常に活発な性格で、ちょっとしたことでも全力で遊んだりもします。
基本的には人や他の犬にも好意的で、フレンドリーに接してくる犬種と言えるでしょう。
そんな活発で明るい性格のパピヨンですが、飼い主さんに対しては穏やかに接し、甘え上手な一面があります。
賢い犬種でもあるので、人の様子や周囲の様子を察知しやすく、状況に応じた行動を取る場合も多いようです。
こうした明るい性格ですので、ペットとして飼育する上でも家庭内を明るくしてくれる存在にもなります。
一緒に遊んだり、愛犬とたくさんスキンシップを取りたいという方には向いている犬種です。
前述の通り、パピヨンは明るく社交的な性格で、頭も賢い犬種であるがゆえに、周囲の雰囲気を察知しすぎる面もあるかもしれません。
パピヨンにも色々な性格はもちろんありますが、神経質な一面もあるパピヨンも多く、飼い主さんがいない状況になると不安を覚える子も少なくありません。
周りの様子を気にする犬種ですので、普段から神経質な飼育の仕方をしていると、犬も神経質な性格になってしまいかねません。
賢く、躾もしやすい犬種ですが、時にはのびのびと過ごさせるようにし、神経質になりすぎないように飼育すると良いでしょう。
パピヨンの賢さや協調性の良さは、ペットとして飼育されるだけでなく、様々な場所でも活躍できる資質を持っているようです。
パピヨンと同じく、知能や協調性が良いと言われる犬種に「 プードル 」が挙げられますが、両犬種ともサーカス犬として活躍している犬種です。
特にパピヨンは、その見た目の美しさにも定評がある犬種ですので、より賢いプードルにも引けを取らない存在感がある犬種です。
警察犬 と言えば「 シェパード 」が代表的ですが、実はパピヨンも「嘱託警察犬(しょくたくけいさつけん)」として活躍しています。
嘱託警察犬とは民間の方が飼育・管理・訓練を行い、競技会にて特に優秀な成績を収めた犬が認定される民間の「警察犬」です。
警察犬のように「護衛」や「攻撃」を行なうような活動ではなく、嘱託警察犬は「足跡追跡」や「臭気選別」を行なう警察犬で、 大型犬 が入り込めないような場所でも捜索が可能な 小型犬 は、特に必要とされる存在になってきています。
そんな嘱託警察犬ですが、2017年4月に京都府警で初めてパピヨンが嘱託警察犬として認定され、2017年8月には北海道の伊達署でも3頭のパピヨンが嘱託警察犬として認定されました。
高い集中力や活動的な性格、知能の高さや飼い主に忠実である点で、パピヨンは警察犬としても十分に活躍出来る犬種なのです。
嘱託警察犬の任期は1年間となりますが、パピヨンは小さな体ながら、大型犬にはできない仕事を行うことができる犬種でもあるのです。
歴史の浅い犬種ですと遺伝性疾患が多かったり、交配で気を付けたほうが良い場合があったりもします。
しかし、歴史の長い犬種はこうした交配を避け、遺伝的な問題も解決してきている流れもあるため、歴史の短い犬種のような遺伝性疾患も少ないと言われます。
パピヨンも長い歴史を持つ犬種ですので、パピヨンに多いと言われる遺伝性疾患は特に挙げられるものはありません。
そうとはいえ、犬も人間と同じように「家系」によっては遺伝的に発症しやすい病気がある場合もあります。
犬の場合ですと「血統」と言うことになりますので、愛犬を迎え入れる際には、できるだけ血統についての情報を収集できると安心でしょう。
パピヨンとして特筆すべき遺伝性疾患はありませんが、「小型犬」に多い病気やトラブルに関しては、パピヨンも同じ小型犬ですので気を付けなければいけません。
ペットの保険会社で知られる「アニコム損害保険株式会社」で毎年発行される「アニコム 家庭どうぶつ白書2017」では、パピヨンの「年間診療費」も年々増加傾向にあり、0歳〜12歳の平均診療費が73,889円というデータも。
平均診療費が十万円を越える犬種もいれば、5万円台の犬種もいますので、犬種の中では平均よりも下となりますが、それでも油断はできないなという印象ではないでしょうか。
また、保険を利用した病気・疾患の中で、パピヨンが最も多かったのが「皮膚疾患」、次いで「呼吸器疾患」「筋骨格系疾患」「眼の疾患」と続きます。
遺伝性疾患の少ないと言われるパピヨンですが、このように小型犬によく見られる病気や疾患には注意しなければいけないという事がわかります。
犬を飼育している方は「アレルギー」や「皮膚トラブル」というワードをよく目にするのではないでしょうか。
それを証明するかのように、アニコムによる同調査でも「皮膚疾患」が一番に多い疾患(請求割合)となっているのです。
実は昔から多かったのかもしれませんが、近年では食物アレルギーを持つ犬が多く見られるようになりました。
そのため、 ドッグフード でも「アレルギー対応」といった文言や、「皮膚トラブルに配慮」といった文言も良く目にします。
中でも「穀物類」に対して食物アレルギーを持つ犬も多いため、「グレインフリー(穀物不使用)」のドッグフードも増加してきています。
パピヨンに限らず、食のトラブルや環境による問題でアレルギー性の皮膚疾患を患う犬は多いため、「最適な食事」や「ストレスのない環境」で飼育することに注意しましょう。
パピヨンは筋骨格系の疾患にも注意が必要です。
筋骨格系疾患には「骨折」や「股関節形成不全」「膝蓋骨脱臼」「関節炎」などの病気が挙げられます。
アニコムによる同調査で「筋骨格系疾患」に関しては全体でも5番目に多い疾患(請求割合)となっていますが、パピヨンに関しては3番目に多い疾患となっています。
どちらかというと、上記に挙げた皮膚疾患よりも筋骨格系疾患の方が、全てのパピヨンが注意するべきものかもしれません。
というのも、パピヨンの体型は見ての通りの華奢な体型ですが、性格的には明朗・活発といった性格をしています。
アグレッシブな性格で散歩や家庭内でも全力で遊んだり、ピョンピョン飛び跳ねる事も多い犬種ですが、手足も華奢で細いため、怪我を起こしやすいのです。
ひどい場合では骨折を起こしてしまったり、関節をおかしくしてしまう事や脱臼してしまう場合もありますので、怪我をしそうな場面ではあまり興奮させないようにしたり、飛び跳ねるのを止めさせると言った配慮も必要になります。
また、骨折や怪我をしないような栄養管理、パランスの取れた食生活を送らせるようにし、丈夫な体を維持させることも大事になります。
遺伝性の疾患も少ないパピヨンですが、 寿命 に関してはおおよそ12歳〜15歳ほどとなっています。
パピヨンは気を付けなければいけない先天的疾患も少なく、比較的丈夫と言われる犬種ですので、ストレスにも注意して健康的な毎日を送っていれば、きっと長生きしてくれることでしょう。
また、高齢犬になってくると、どうしても怪我がダメージになりやすくなります。
高齢犬になってから怪我をしてしまうと、歩けなくなってしまったり、他の部位にも悪影響が起きてしまうことも。
こうした怪我をおこさないよう、しっかりとした栄養を接種すること、ストレスのない環境を心がけること、十分に運動を行って新陳代謝を促すというポイントは重要となるでしょう。
アメリカのシンガーで知られるクリスティーナ・アギレラもパピヨンの飼い主として有名で、彼女が飼っていたパピヨンの「Stinky」は2018年1月に亡くなってしまったものの、なんと17歳というご長寿パピヨンでした。
近年ではドッグフードの質も向上していますし、犬の寿命も徐々に伸びていますので、平均寿命を越えるパピヨンもそう珍しくなくなってくるかもしれません。
パピヨンは日本でも人気犬種ですので、ペットショップで販売されている機会も多い犬種です。
何軒かペットショップを回れば、1頭2頭は販売されていることでしょう。
パピヨンの平均的な価格としては、おおよそ15万円ほど。
高いパピヨンでも50万円を超えるのは稀でしょう。
また、パピヨンは毛色によっても若干の価格差も出てくる場合がありますが、前述の通り、模様の入り方によっても価格差がある場合もあります。
同じ月齢、同じ性別、同じ毛色であれば、模様などで差がつけられる事でしょう。
中には親がチャンピオン犬であったり、良い血統のパピヨンで100万円近い価格が付けられていることもありますが、こうしたパターンも非常に稀です。
パピヨンはその見た目が美しい犬種ですが、この美しい被毛を維持するためにも、ある程度のお手入れは必要となってきます。
まったくお手入れをしたくないという飼い主さんには不向きな犬種でもあり、パピヨンは外飼いには不向きな犬種です。
パピヨンの被毛は絹のような毛質です。
この絹のような毛質が美しい被毛を演出している反面、非常に毛玉になりやすい毛質でもあります。
毎日ブラッシングをかけていれば心配はありませんが、最低でも週に1回〜2回はスキンシップも兼ねてブラッシングを行なうようにしましょう。
その他、パピヨンはあまり 体臭 のない犬種とも言われますが、ある程度 シャンプー も行わなければ、パピヨンと言えど臭くなります。
1ヶ月〜2ヶ月に1回はシャンプーを行なうようにし、溜まった汚れをしっかりと落としてあげましょう。
パピヨンの トリミング に関しては、基本的に必要はありません。
ですが、あまりに毛玉が酷かったり、あちこちの毛が絡むようでしたら、自分でケアを行わずに トリミングサロン でしっかりとケアしてもらったほうが良いでしょう。
パピヨンには、実は被毛が一層の「シングルコート」と、寒い土地でも暖かく過ごすために進化した「ダブルコート」の2タイプが存在します。
どちらも同じパピヨンながら、繁殖地・進化の過程で育った環境によって、こうした2つのタイプのパピヨンが誕生したのです。
そのため、同じパピヨンでもモコモコとした被毛を持つパピヨン、サラッとした被毛のパピヨンの2タイプがいるのです。
ダブルコートのパピヨンに関しては、高温多湿な日本の気候を快適に過ごすことのできない個体もおり、全身丸刈りにする「サマーカット」と呼ばれるカット方法でトリミングを行う場合もあります。
他のカット方法に関しては、特に注目するほどのものはありませんが、汚れがちなお尻周りを「桃尻カット」と呼ばれるカット方法を行う場合もあります。
基本的にはトリミングも必要ない犬種ですが、飼い主さんがしっかりとお手入れしてあげなければこの美しい被毛を維持するのは難しいため、トリミングが必要ないとは言え、お手入れが苦手という飼い主さんには向かない犬種です。
立ち耳のパピヨンと、垂れ耳のファレーヌ。
これまでの長い歴史では、こうした組み合わせによる交配も盛んに行われていましたが、現在においてのこの組み合わせによる交配には注意が必要と考えられます。
といっても遺伝子疾患などの問題ではなく、いわゆる耳の「半立ち」の可能性が高まるという点で注意が必要となります。
片方の耳は立ち、もう片方の耳は垂れ耳となるのです。
ペットとして飼育する上では何ら問題もないですが、ドッグショー等では認められない事となります。
パピヨンでもない、ファレーヌでもないという犬種になってしまうため、こうした交配は選択的に避けられるのが一般的なのです。
パピヨンは小型犬ではありますが、多くの運動量を必要とする犬種です。
性格も非常に活発的ですので、運動不足になるとストレスが溜まる要因にもなりかねません。
また、パピヨンは狩猟犬でもあるスパニエル系の犬種でもあるため、より多くの運動量を必要とすることが言えるでしょう。
しかし、大型犬ほどの運動量は必要なく、一日30分〜ほどの 散歩 でも十分でしょう。
こうした毎日の運動のほか、適度に ドッグラン に連れて行ったり、ドッグスポーツを行なう事もおすすめです。
パピヨンは作業をしたり、遊ぶことが大好きな犬種です。
ドッグスポーツなどの運動は、パピヨンの運動欲求を満たしてくれるものでもあり、脳にも良い刺激を与えられることになるでしょう。
パピヨンは神経質な一面もあるので、ストレスが溜まるとすぐにイライラが全面に出てしまいがちです。
パピヨンを飼育するにあたっては、他の小型犬よりも運動量は多めでも良いという事を理解しておきましょう。
パピヨンはよく吠える犬種と言われることもあります。
これには一理あるかもしれませんが、基本的には躾もしやすく、飼い主の指示に従う犬種ですので、必ずしも吠える犬というわけではないのです。
パピヨンがよく吠えると言われる理由に考えられるのは、元が狩猟犬の血が流れているという点。
前述の通り、スパニエル系の狩猟犬は鳥を追い込むために「吠えて」いました。
また、パピヨンは警戒心が強い犬種で、神経質な一面もある犬種です。
勇敢な一面も持ち合わせているので、怪しいと感じた場合には警戒心が全面に出て吠え立ててしまうこともあるでしょう。
ただ、こうした行動も飼い主さんの しつけ によって変わってくるでしょう。
神経質でストレスも溜まりやすいかもしれませんが、これはパピヨンに限られた事ではなく、ストレスが溜まっている犬はイライラして吠えてしまうものです。
「パピヨンが」吠えるのは本能的な部分もあり、躾による部分もあるのかもしれません。
パピヨンは警戒心も強い犬種です。
そのため、人間に対して慣れていない個体は、人に対して警戒心を表す場合もあるでしょう。
パピヨンは基本的にはフレンドリーな性格であり、同居犬や子供がいる家庭でも、非常に飼育のしやすい犬種です。
仮に始めて会うときに警戒心を見せていても、徐々に時間をかけていけば心を開くようになりますので、愛情を持って接することが大事になります。
また、前述の通りパピヨンの子犬に関しては、大人になった頃の様子がわかりにくいため、子犬の頃に美しくブレーズが入っていても、大人になるとまた違ってくるという場合もあります。
したがって、子犬の段階で模様ありきで選択するのは危険と言えるでしょう。
ペットショップなどでは毛色もそうですが、ブレーズの入り方によっても価格が違う場合もあります。
「面ヅレ」とも呼ばれることもあるようですが、ブレーズが斜めに入ったり、まっすぐなラインを描いていない場合には、価格も若干下がる場合もあります。
こうした模様や毛色を気にする方は、最低でも半年過ぎのパピヨンを選択した方が良いでしょう。
逆に、毛色や模様にこだわりがないという方は、価格の差がこういった部分にも影響していることを知っておくと探しやすいかもしれません。
パピヨンに限られた事ではありませんが、調べられるようでしたらその子の血統や、親についての情報を仕入れておくと良いでしょう。
親は病歴があるかどうか、血統の中にファレーヌはいたか、共通して起きている疾患や性格はどんなものがあるかなど、今後飼育していく上でも参考にもなります。
こうした情報を得ることで、特別な疾患があれば早期発見や早期治療にも繋がりますし、トラブルになることも減るでしょう。
犬種名:パピヨン(Papillon)
別名:コンチネンタル・トイ・スパニエル(Continental Toy Spaniel)
国際分類名:
パピヨン / Epagneul Nain Continental
ファレーヌ / Epagneul Nain Continental Phalene
原産国:フランス、ベルギー
体高:オス / 20cm〜28cm、メス / 20cm〜25cm
体重:4kg〜5kg
毛色:トライカラー、セーブル、ブラック&ホワイト他、白毛ベースであれば基本的に認められます
寿命:12歳〜15歳
性格:明るく活発、やや神経質なところもあります
特徴:美しい絹のような被毛と大きな耳
平均価格:15万円前後
気を付けたい病気:皮膚系、呼吸器系、筋骨格系など、小型犬に多い疾患
パピヨンは良い時代もあれば、困難の時代も乗り越えてきた犬種ではありますが、このような歴史がなければ今日のパピヨンにも出会えていなかったかもしれません。
パピヨンは非常に賢く躾も入りやすい犬種ですので、ペットとしても飼いやすい犬種の一つです。
それを証拠に、パピヨンを飼っている方は、パピヨンの多頭飼いをしている方も多いと感じないでしょうか。
そういう筆者も実はパピヨン飼いの一人ですが、非常に飼育しやすく、家の中を明るくしてくれる存在ですので、おすすめです!
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最終更新日 : 2021/10/30
公開日 : 2018/02/06