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現在確認されているシェパードの種類は複数いますが、その中でも比較的飼い犬としての登録数の多い種類をピックアップしてご紹介します。
同じシェパードでも各犬種によって性格の違いや特色なども異なるので、こちらを参考にお気に入りのシェパードを探してみてください。
原産国はドイツの犬です。
1880年代後半に優秀な軍用犬を作ろうと計画してマックス・フォン・シュテファニッツ氏が各地の作業犬を調査し、オールド・ジャーマン・シェパード・ドッグを選択して、改良・繁殖して1899年に完成した犬種です。
当時ジャーマン・シェパード・ドッグと呼ばれていた犬種は原種という意味を持たせるため、オールド・ジャーマン・シェパード・ドッグと呼ばれるようになりました。
その高い汎用性から現代において軍用犬だけに留まらず、世界各地で警察犬・災害救助犬・麻薬探知犬等特別な訓練を必要とする作業犬として認知、活躍しており「働く犬」の代名詞でもあります。
最大の特徴は犬種としての基準にもなっている「落ちた腰」。
他の犬種に比べて腰の位置が低く、重心が下がっています。
ドッグショーなどでは特にこのような個体が目立ちますが、その骨格上後肢にトラブルがでることも多く改善の方向で話が進んでいます。
身体つきは筋肉質でがっちりしており長頭型のマズルは太く、顔つきは精悍でピンとたった大きなたち耳が印象的。
軍用犬にふさわしい強面と嗅覚が特に鋭いです。
性格は服従心が強く我慢強くて勇猛果敢。
しかしながら、飼い主には愛情深く接して、家族は同様に守ろうという姿勢を見せます。
一方で神経質で頑固な面もあり、その知能の高さから誰に対してもフレンドリーというわけではなく一度敵と見なすと攻撃的になる一面もあります。
幼少期からの徹底した訓練と飼い主のリーダーシップがとても重要。
飼い主が不在の際などは落ち着きがなくなることがあるので、的確な指示を出すのが大事です。
嫉妬深い一面もあり、基本的に飼い主に依存する傾向があります。
多頭飼いは飼い主がリーダーとして順位づけをきちんと示し、一貫した態度で接することにより、他の犬に対しても群れの一員と認めて愛情深く接するようになります。
身体が大きく力も強いため、子供のいる家庭での飼育は不向きですが、飼い主がリーダーとしての方向性を示してあげることで可能性は広がるでしょう。
ジャーマン・シェパード・ドッグにとってもそれが最大の幸福であり、強い信頼関係で結ばれた暁には唯一無二の生涯のパートナーとなってくれる頼りになる犬種です。
ジャーマン・シェパード・ドッグは遺伝性疾患の多い犬種でもあり、血統を知ることはその個体の健康を守ることでもあります。
できる限り専門のブリーダーより入手するのが望ましく、価格は30万~50万円前後です。
ドッグショーなどで優勝経験のある親犬から生まれたものは60万円ほどと高額になることもあります。
寿命は雄雌ともに10~12年前後。
体重は30~35kgに成長します。
※合わせて読みたい: ジャーマンシェパードドッグの性格、値段、飼い方は?
スイスが原産国のジャーマン・シェパード・ドッグの白色種。
アメリカ合衆国やカナダで繁殖された白色の個体と合わせてホワイト・シェパードと呼んだりもします。
1882年に白色のシェパードとして最古の記録が残されており、その後1912年にアメリカに輸入され、1917年にアメリカンケンネルクラブに公認されました。
その後1930年代から人気を失い、1960年代にかけてドイツを中心に白色反対運動がおこり、ヨーロッパでは絶滅してしまいます。
次いで1968年にアメリカでもドッグショーへの参加資格を失いました。
しかし、白色シェパードへの愛好家も多く、アメリカやカナダを中心に残存するホワイト・シェパードの繁殖と保護活動が活発になり、1977年に国際組織ホワイト・シェパード・ドッグ・クラブ・インターナショナルが設立され本格的な保全活動に乗り出しました。
1970年代にスイスへの輸出が盛んになり次第に人気が広がります。
2002年に「ホワイト・スイス・シェパード・ドッグ」として国際畜犬連盟に暫定公認され、2011年に正式登録された比較的新しい犬種です。
日本には1990年代に輸入が始まり2004年に正式登録されましたが、スイス産のホワイト・シェパードのみでアメリカやカナダ産のホワイト・シェパードは含まれていません。
そのため、実在するホワイト・シェパードは登録数よりも多く、団体によってホワイト・シェパードの規定が違いますが、基本能力はジャーマン・シェパード・ドッグと変わりありません。
ジャーマン・シェパード・ドッグに比べて手足は長く、腰が高い位置にありやや大柄なことが多く、表情は優しい顔つきをしています。
被毛はロングのダブルコートの場合が多く、長毛で毛色はホワイトのみです。
性格は温和でペットとしての人気がありますが、ジャーマン・シェパード・ドッグと同じく高い訓練性を持ち、オーストリアでは作業犬としての需要が高いです。
また、従順で愛情深く飼い主をリーダーとして慕い、安心することで高い知能を発揮するので、幼少期からの訓練は必須です。
しかし、ペットとしての歴史が長いことからジャーマン・シェパード・ドッグと比べると外部の人に対しても温和であり、接しているうちに打ち解けることができる順応性があり、多頭飼いもしやすい犬種です。
寿命は雄雌ともに10~12年前後。
販売価格は日本での珍しさから40万円前後とお高めですが、貴重なため入手自体が難しく事前のリサーチが重要です。
体重は30~40kgと大型に成長しますので、広い飼育スペースと長時間の運動量の確保は必須です。
犬種の中にオーストラリアの名前が入っていますが原産国はアメリカ。
牧羊犬として活躍している犬種です。
1880年代に、スペインとフランスにまたがるバスク地方から移住した羊飼いが牧羊犬として持ち込んだシェパード犬種が原種というのが一番の有力な説。
その後 ボーダーコリー 等の牧羊犬と自然に交雑して誕生し、当初はオーストラリアから直接持ち込まれた犬種であると勘違いされていたためこのような犬種名になりました。
現在は牧羊犬としてだけでなく聴導犬・救助犬・ドッグスポーツ用の犬として広い分野で活躍している犬種です。
ペットとしても人気があり、日本でも登録数の多い種類です。
身体つきは牧羊犬としての素質のほうが強く、コリータイプの体型をしていて、足は長くマズルはやや短く耳はたれ耳です。
尾はもともと短く、被毛はロングコートで毛色もレッドトライ・ブルーマール・ブラックトライ・レッドマールの4色から成り、瞳はアメリカの先住民からは「ゴーストアイ」と呼ばれていた黒、青、オッドアイのものがいます。
性格は温和で子供好きな陽気な性格。
家庭犬に向き、知能も高く訓練や しつけ もしやすい犬種です。
好奇心旺盛で活発なため、運動は長時間必要で散歩は1日2回1~2時間は必要です。
一方で臆病で環境の変化に敏感な面があり、中には人見知りをする個体もいます。
滅多に攻撃的にはなりませんが、そのような性格の場合ゆっくりと時間をかけて接してあげる必要があります。
中型犬に分類され、体重は16~32kgになり寿命は15年前後です。
最近では人気の犬種になりつつあるので、ペットショップでも見かける機会が増え、50万~80万円前後で販売されています。
しかし、遺伝性の疾患が出やすい犬種でもあるで、購入前は親犬の血統を確認することをおすすめします。
ブリーダーの下で入手すれば、30〜40万円で購入でき、血統も確認しやすくより確実です。
ベルギー原産の牧羊犬ですが、もともとは作業用の犬種であったため、能力重視で繁殖が行われた結果、外見が分裂してバラバラになりました。
19世紀頃になると減少してしまったため、生き残った種類を保全、繁殖する活動が行われます。
現在4犬種をベルジアン・シェパード・ドッグと分類したとき、最も多くいた地方の地名や城名にちなんだ名前がつけられました。
現代においてはペットとしての人気も高く、警察犬やショードッグとして世界中で活躍する犬種になりました。
ベルジアン・シェパード・ドッグの中でも最もポピュラーな種類。
その真っ黒な身体が特徴で、ペットとしての飼育数も多いです。
名前の由来はベルギーのグローネンダール村で「村一番の美女」という肩書を持つ城主の雌の愛犬が犬種改良に協力したとして、この名前が付けられました。
寿命は12年前後で、体重は26kg前後になります。
マズルが長く目はやや小さめで優しい目つきをしており、尾はふさふさとしたたれ尾で、ピンと立った立ち耳です。
黒い毛色のため日本の夏に弱く、高温が苦手なので熱中症にならないように対策が必要で、室内飼いが推奨される犬種です。
性格は陽気で面倒見がよく、機転が利くので訓練も入りやすいですが神経質な面もあります。
ストレスを感じやすく、飼い主が不在の場合には落ち着きがなくなることがあり用心深いです。
日本でも取り扱っている ブリーダー が増え、国内で購入することも可能になりましたが、まだまだ珍しく販売価格は10万~30万円前後です。
ベルジアン・シェパード・ドッグの中でも二番目に人気の犬種で国内で飼育数も多く、日本では一番登録数が多い犬種です。
名前の由来はタービュレン村という村名からきており、羊の誘導をするのに使われていた牧羊犬でしたが、現在は警察犬や麻薬探知犬など作業犬として世界各地で活躍しています。
その容姿の優雅さからショードックとしての需要もあります。
毛色は黄色と黒の混合色からなり、マズルと脚が長く、すらりとした身体つきをしています。
寿命は12年前後で体重は30kg前後に成長し、 大型犬 に分類されます。
性格は穏やかで温厚かつ友好的で家庭犬に向いていますが、番犬としては不向きでシェパードの中では比較的大人しい種類。
運動量は多く長時間の散歩が必要です。
しつけもしやすくドッグスポーツにも適しているため、一緒に楽しむこともできますよ。
国内でも入手が可能な種類ですが、取り扱っているブリーダーが少なく、販売価格は20万~30万円前後と少々お高めです。
メッヘレン町原産のベルジアン・シェパード・ドッグで牧羊犬として活躍していた半面、番犬として見張りをするのに使われていた種類です、
他の種類より実用に特化しており、グローネンダール等より家庭犬としての飼育数は少ないです。
アメリカでは警察犬として起用され、日本ではその珍しさからペットやショードッグとして少数ではありますが、登録のある種類です。
ベルジアン・シェパード・ドッグの中で唯一の短毛種。
マズルも他の種類に比べて短く筋肉質で引き締まった身体つきをしており、毛色はフォーンにブラックが混ざります。
性格は警戒心が強いですが、飼い主やその家族に対しては従順で愛情深く友好的。
幼少期からの社会化次第では子供にも手加減して接することができる知能を持ち合わせています。
寿命は12年前後で体重は30~35kgに成長し、室外飼育も可能です。
より多くの運動量を必要として身体能力は高く、判断力にも優れています。
国内での入手が極めて難しく、海外購入も視野に探す必要のある犬種です。
販売価格も最低でも25万円前後になり、購入までに時間がかかるケースもあります。
ベルジアン・シェパード・ドッグの中でも登録数の一番少ない犬種であるベルジアン・シェパード・ドッグ・ラケノア。
希少種でレーケンセ地方で牧羊犬として活躍していた種類で、現在の90%はオランダで飼育されており、他国では非常に珍しい種類になります。
最大の特徴はその被毛で、雨風に強いワイアーヘアの巻き毛をしており、水に強く砂嵐や野犬の牙をもしのぐことができる耐久性を持っています。
毛色はフォーンに顔にブラックが入ったものが多く、マズルと脚は長め。
耳はたち耳でサーベル状の尾にも巻き毛が生えています。
大人しくて明るい性格で忍耐力があり従順ですが、警戒心が強い面がありしつけ次第で小さい子供や他の犬に対しても友好的に接します。
寿命は12年前後で体重は28kg前後になります。
運動量は多く、広い飼育スペースを必要とします。
国内での入手はほぼ不可能で主な入手方法は海外購入です。
そのため、価格帯もバラつきがあり、30万円前後から販売しています。
膿皮症は皮膚上で菌が異常繁殖し、化膿して膿をだす皮膚病です。
脱毛、かゆみ、フケなどの症状がみられ、犬なら誰でも起こりうる病気ですが特にジャーマン・シェパード・ドッグは全身に発症し、潰瘍を作るほど重度化する場合があります。
原因は不明で、遺伝性の疾患と考えられていますが、特に5歳を過ぎたシニア期の発症が多く深在性の膿皮症です。
まずは顕微鏡にて皮膚病を起こしている原因菌を突き止め、投薬治療と外用薬、シャンプーによる薬浴等で治療します。
皮膚の状態が出血していたり、かゆみがひどい場合には痒み止めの内服薬を用いて症状を緩和させながら治療します、
梅雨などの湿った時期に発生しやすく、被毛を清潔に保ち定期的にブラッシングや シャンプー をすることで換気をして予防します。
一度発症すると再発率も高く、免疫を下げないようにしながら症状を出さないことが最大の予防です。
捻食欲旺盛な大型犬に発症しやすく、胃が捻転してしまうことで周りの臓器を圧迫して臓器が壊死を起こします。
その結果、血液が循環しなくなるという緊急性の高い病気で、致死率も高いです。
何らかの原因で胃の中にガスがたまってしまいパンパンに膨れ上がって捻転し、嘔吐、呼吸困難、貧血、チアノーゼなどの症状が出ます。
時間がたつ程、致死率は上がり、早急な対応が必要です。
一度胃捻転になってしまうと初期の場合以外、外科手術により胃を正常な形に戻す必要があります。
早食い、早飲み、激しい運動が原因で起こりやすくい病気ですが、消化機能の低下した老犬にも起こりやすいので 餌 をウェットタイプのものに変更したり、早食い防止用の食器に変更するなどして予防します。
また、緊急性の高い病気のため、近くの夜間対応の動物病院をあらかじめ調べておくことも愛犬のためには大事ですね。
遺伝性疾患の場合がほとんどで股関節に何らかの異常がある病気です。
股関節の脱臼、歩行時に腰が左右に揺れる、症状が進行すると歩行困難、寝たきりなどになります。
ゴールデン・レトリーバー などの大型犬に多い病気でシェパードの発生率も高く、特にジャーマン・シェパード・ドッグに多く見られます。
成長途中の段階では安静にすることが治療になり、骨が正常に成長するまで肥満に注意しながら生活します。
症状が進行し、痛みを伴う場合は投薬治療と重度化すると外科手術が施されます。
遺伝性であることがほとんどで、購入時に血統をきちんと調べることが最大の予防になります。
原産国 : ドイツ、スイス、アメリカ、ベルギー等
値段 30万~60万円前後
毛色 : ブラウン&ブラック、ホワイト、ブラック、レッドタン等
寿命 : 10~15歳
体重 : 23~35kg前後
特徴 : 精悍な顔つきで立ち耳、筋肉質の身体
性格 : 知能が高く、飼い主に対しても愛情深く従順。やや神経質で警戒心が強い種類もあり。
かかりやすい病気 : 全身性膿皮症、胃捻転、股関節形成不全
注意点 : 地域によってはジャーマン・シェパード・ドッグは危険犬に指定されている場合があり、一定の条件を満たさないと飼育ができない場合があるので自治体のHPを確認しましょう。
シェパードは知能が高く訓練性に優れ、ドッグショーやスポーツを一緒に楽しめる、可能性を無限に秘めた魅力ある犬種。
しかし、初心者が飼う大型犬としては徹底的なしつけや順位付け、長時間の散歩や頑丈な ケージ が必要なので、飼育にはそれなりの覚悟が必要な種類です。
検討が必要な犬種ではありますが、苦労して結んだ絆は生涯壊れることなく、あなたの生活をより豊かで幸福なものに変えてくれるでしょう。
本記事を読んでシェパードに興味を持って頂けたら幸いです。
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監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/08/09
公開日 : 2017/08/08