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【獣医師監修】犬の肉球の役割とは?注意すべき肉球のトラブルやケア方法を紹介






犬の肉球はよく犬のシンボルとしてイラストにも描かれ、とても可愛いものですよね。

肉球は人間にはないもので、一部の動物が持っている足の裏の器官です。
肉球は犬や猫が歩くためには絶対に必要なもので、犬が健康に過ごすためにはとても大事な部分です。

犬の肉球は丈夫で、人間のように靴を履いて歩かなくても自由に外を歩き回ることが可能です。
しかし、丈夫な肉球であっても色々なトラブルが発生することもあり、そのトラブルは犬の質の良い生活を脅かすことになってしまいます。

今回は犬の肉球の役割やケア方法をご紹介します。

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【目次】【獣医師監修】犬の肉球の役割とは?注意すべき肉球のトラブルやケア方法を紹介

 

足先の構造・役割

掌球(しょうきゅう)

指球(しきゅう)

狼爪(ろうそう)

手根球(しゅこんきゅう)

肉球の役割

滑らないで歩く

クッションの役割

寒さから足を守る

汗をかく器官

気を付けたい肉球のトラブル

硬くなる・乾燥する

やけど

凍傷

炎症を起こす

老犬はトラブルが起きやすい

犬の肉球が冷たいのは大丈夫?

犬の肉球のケア方法

保湿する

オイルで乾燥を防ぐ

人間用のクリームは使用しない

 

 

足先の構造・役割

 

犬の肉球

 

足先と一言にいっても、犬の足先は様々なパーツから構成されており、それぞれにちゃんと名前も付いています。

 

 

犬の肉球

 

犬の爪は 猫の爪 のように出たり引っ込んだりせず、常に出ている状態になっています。

爪が大地をしっかりつかむことによって、地面を蹴って走ることができ、急激な方向転換にも耐えられるのです。

 

掌球(しょうきゅう)

 

犬 肉球

 

足の裏の中心にある一番大きな肉球のことを掌球(しょうきゅう)と言います。

後ろ足は呼び方が変わり、足底球(そくていきゅう)といいます。

 

この一番大きな肉球は体重を支え、衝撃を和らげる働きをしています。

 

指球(しきゅう)

 

犬 肉球

 

爪が生えているところの肉球で4つあります。

指球は人間の指先に当たる部分であり、地面をしっかりとつかみ、踏みしめるために重要な器官です。

後ろ足では呼び方が異なり、趾球(しきゅう)と言います。

 

狼爪(ろうそう)

 

犬 狼爪

 

前足の内側にあり、指球から少し離れた場所で掌球の少し下にある小さめの爪で、親指にあたるものです。

地面に着くことがなく、ペットとしての暮らしの中ではあまり使うことがないため爪がのびやすいので、伸びすぎないように切ってあげる必要があります。

 

野生で暮らしていたときには、崖などを登る際に引っかけたり、獲物をしっかりと抑えつけたりするために使われていたと言われています。

現在でもおやつを狼爪で押さえて噛んでいる姿を見ることがありますよね。

 

小型犬の多くは退化して、後ろ足の狼爪がないことがあります。

 

手根球(しゅこんきゅう)

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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狼爪よりさらに少し上にある肉球を手根球(しゅこんきゅう)と言います。

この肉球は上の方にあるため、通常の歩行で地面に着くことはありません。

 

手根球があるのは前足だけであり、進化の過程で退化した肉球であると言われています。

 

 

肉球の役割

 

犬 肉球

 

肉球は犬の他にも タヌキ ウサギ 等の動物が持っている器官ですが、犬の肉球は見ると他の動物とは異なっています。

 

滑らないで歩く

 

犬 雪 歩く

 

犬の肉球をよく観察してみると、肉球の表面は細かい組織が密集していて、ザラザラしていることがわかります。

同じ肉球でも猫の肉球はツルツルしており、形は似ていても触った感じはかなり異なっています。

 

犬の肉球の表面に見える組織のことを円錐状突起というのですが、この組織があるおかげで犬は雪の上でも滑らずに歩いたり、走ったりすることが可能です。

 

犬の祖先は オオカミ もしくはオオカミの亜種とされており、北の方に住んでいる動物でした。

そのため、犬の肉球は寒い地方に適応した形となっているのです。

 

犬が野生の世界で暮らしていた頃には、群で協力して雪原の上を走り回り、狩りを行っていました。

犬の肉球がザラザラしているのは、雪や氷の上でも滑らずにたくさん走ることができるためです。

爪が大地や雪をしっかりとつかむスパイクの役割をし、肉球が滑らずに素早く走ったり、方向転換をしたりする役割を担っているのです。

 

クッションの役割

 

犬の肉球は柔らかく弾力があり、走ったり、ジャンプしたりという衝撃を受け止めるクッションの役割をしています。

 

寒さから足を守る

 

犬 雪 走る

 

犬は野生動物として生きていた頃には寒い地方で暮らしていましたが、肉球は寒さや冷たさから犬の体を守る役割もしていました。

氷や雪に直接触れる部分である犬の肉球は特別な構造になっており、雪や氷に触れていても体が冷えないようになっています。

 

犬の肉球に通っている血管は静脈と動脈がくっついており、体が冷えにくい構造になっています。

 

汗をかく器官

 

犬には人間のように全身に汗をかく汗腺があるわけではなく、肉球にほんの少しあるのみとなっています。

人間が全身から汗をかいて体温調節するのに対して、犬はパンティング(口をハアハアさせる)で体内の熱を外に放出し、体温を調整します。

 

パンティングだけでは体温を調節しきれないときには、足にある汗腺から汗を出すこともあります。

ただ、犬の肉球は体温調節の機能はあまり大きくありません。

犬の肉球にある感染はアポクリン汗腺と呼ばれ、そこから出る汗は体温調節のためではなくマーキングのための臭い付けや肉球の保湿のための汗なのです。

 

また、興奮状態になった時、つまり早く動く必要がある時に、肉球に湿り気を出して滑らないようにする役割もあるようです。

 

 

気を付けたい肉球のトラブル

 

犬の肉球

 

犬の肉球は人間の靴の役割をするようなものであり、丈夫なのですが、トラブルが起こることは珍しいことではありません。

 

硬くなる・乾燥する

 

犬の肉球のトラブルでよく見られるのが、肉球が乾燥して硬くなりガサガサになってしまうという状態です。

人間の手や足もガサガサになって潤いや弾力が失われると、ひび割れや出血をしやすくなりますが、犬の肉球も同じです。

弾力や潤いがなくなった肉球で硬い地面やアスファルトの上を歩くと、ひび割れや出血の症状を発症してしまうことがあります。

 

肉球は外にいる時間が長かったり、長い距離を歩いていたりすると硬くなりますが、弾力を失いガサガサになった状態であるときは、保湿をしてあげるなどのケアが必要になってきます。

老犬 になると肉球もガサガサになりがちですが、日ごろのケアの仕方が悪いことが原因で、肉球が乾燥した状態になってしまうこともあります。

 

犬の足を毎回、石鹸やシャンプーをつけてゴシゴシ洗ってしまったり、洗った後の足の水分を十分にとらずに放置したりすると、油分が足りなくなったり、水分が蒸発し過ぎてしまい、トラブルを起こしてしまいます。

 

やけど

 

犬の肉球は丈夫なので、特段靴がなくても通常の環境であればアスファルトの上や砂利の上を歩くことに問題はありません。

しかし、夏の暑いときに、熱くなったアスファルトやコンクリートの上を歩かせると火傷の危険があります。

特にアスファルトは高温になりやすく、夏場には60℃以上になることもあるため注意が必要です。

 

犬の肉球が火傷する恐れがある温度は40℃以上とされています。

アスファルトやコンクリートを触ってみたときに、お風呂の温度以上に熱いと感じる場合は、外出は控えましょう。

早朝や夕方など、アスファルトでやけどする危険がない時間帯に 散歩 に行くようにすると良いですね。

 

凍傷

 

犬は寒い地方の出身で、肉球も雪や氷の上を歩いても冷えない構造になっているのですが、凍傷にならないというわけではありません。

 

雪の上を歩く、水たまりを歩く、濡れた地面を歩く程度であれば凍傷の心配はほとんどありません。

凍傷の心配があるのは、雪と氷や水が混じっているようなシャーベット状になっているときです。

 

このような悪天候の際は、無理に散歩に行かないようにする、散歩に行ったら必ず足の水分をきっちり拭き取って保湿するなどケアを心がけましょう。

 

また、そのような状況の道路を歩いた後は、犬の足もかなり冷たくなっています。

ヒーターの前で温めてあげたり、マッサージをしてあげたりするなどして血行を良くしてあげてください。

特に 小型犬 や老犬は体が冷えやすいので注意が必要です。

 

炎症を起こす

 

肉球の部分や肉球の周りが赤くなったり、腫れたりして炎症を起こすことがあります。

特に肉球と肉球の間の皮膚の部分は、湿疹が出たりかゆくなったりすることがよくありますので気を付けてあげましょう。

 

犬の肉球が赤くなったり、痒かったりする場合は、アトピーやアレルギー、脂漏症、マラセチア皮膚炎であることが多いようです。

犬もアトピーや食物アレルギー、花粉アレルギー、ハウスダスト・アレルギーなどを発症することがあります。

アトピーやアレルギーは根治が難しいのですが、食事療法やサプリメントの服用で対処できる場合もあるため、放置せずに獣医に相談しましょう。

 

犬が肉球をしきりになめていたり、噛んだりするときは、何かしらの炎症が起こっていることが考えられますので、よく見てあげた上で動物病院に連れて行ってください。

放置するとアレルギーやアトピーはますますひどくなりますし、自分で肉球をかじってケガをするという危険もあります。

 

老犬はトラブルが起きやすい

 

老犬になると肉球にもトラブルが起きやすくなってきます。

人間と同じように、年をとると犬の肉球が硬くなったりガサガサになったりしやすくなるようです。

筆者の愛犬は14歳ですが、やはり肉球が固くてパサパサになりがちなので、日常的なケアで悪化しないように心がけています。

 

犬の肉球が冷たいのは大丈夫?

 

犬の足は冷えない構造になっているので、通常はそんなに冷たくなることはありません。

筆者の経験では、老犬や病気の犬は足が冷えてしまうことがあるようです。

 

雪の上を歩いてきた直後は、肉球に触るとひやっとしますが、時間が経てば温かくなります。

人間の手を水に入れると冷たくなるものの、ちゃんと温度が戻るのと同じです。

 

しかし、老犬や病気の犬は血流が悪かったり、新陳代謝が衰えていたりするなどの理由により、足が冷たくなってしまうことがあります。

筆者が看取った21歳の愛犬は、晩年寝たきりでしたが、しばしば足が冷たくなることがありました。

その度に湯たんぽで温めてあげるなどの対処をしていました。

 

お部屋の中にいるにも関わらず肉球がひやっと冷たいときは、体調不良や老化が理由かもしれません。

肉球が冷たくなっていると体全体も冷えていることがありますので、特に老犬は注意してあげたいですね。

 

 

犬の肉球のケア方法

 

犬 肉球 ケア

 

日頃のケアで愛犬の肉球を守ってあげましょう。

 

保湿する

 

肉球が硬くなってガサガサになってしまうのは、乾燥が原因であることが多いです。

最近では便利で使い勝手の良い犬用の肉球クリームが発売されているので、それらを使って保湿してあげましょう。

 

犬の保湿クリームにはアロマオイルが含まれていることがありますが、アロマオイルは猫などの他の動物にとっては有害となりますので、他のペットも一緒に飼っている場合には注意してください。

 

犬用の肉球クリーム以外で肉球の保湿に使えるものにワセリンがあります。

通常は人間用のハンドクリームは犬に使用すべきではありませんが、ワセリンは安全性が高く、犬がなめても害がないため使用できます。

保湿や保護の効果が優れており、ドラックストアで簡単に手に入るので使い勝手が良く、筆者は常備するようにしています。

 

ワセリン の使い方は、直接、犬の肉球に塗ってあげるだけです。

塗った直後に犬がすぐになめとってしまわないように、飼い主さんの手で20~30秒ほど覆ってあげるとすぐになじみますし、マッサージしてあげても良いでしょう。

犬が気にするようであれば、なじんだ後に余分なワセリンをふき取ってあげてください。

 

オイルで乾燥を防ぐ

 

ワセリンとオイルを使用すると乾燥を防ぐ効果が高いです。

オイルはココナッツオイルやオリーブオイルなどが良いでしょう。

犬が舐めても安全ですし、特に ココナッツオイル は犬の健康にも良い食材です。

 

ワセリンが肉球になじんだら、オイルを薄く塗って、さらに優しくマッサージすると高い効果が得られます。

オイルを使うことで水分の蒸発を防ぐ効果が高くなります。

ココナッツオイルは肉球に浸透しやすいので、塗った後に犬が舐めても効果が期待できます。

 

ただ、ココナッツオイルは稀にアレルギーを発症することがあるので、最初からたくさん使わずに、まずは少量から使用してみてください。

 

人間用のクリームは使用しない

 

犬がクリームを舐めてしまう可能性が高いので、人間用の保湿クリームは使用しないようにしてください。

人間用のクリームは犬がなめることは想定していませんので、安全とは言い切れません。

 

 

毎日のお散歩が大好きな犬にとって肉球は大事なものですし、肉球に不調があれば歩くことにも支障が出て、健全な生活を送るのが難しくなってしまいます。

肉球は丈夫ですが、ケガをしたり、炎症が起こってしまったりすることもあります。

 

散歩から帰ってきたときのお手入れをしっかりして、愛犬が肉球を気にして舐めすぎたり、かじったりしていないか気を付けましょう。

もし異常があった場合は、本記事を参考にケアしていただき、症状がひどくなる前に獣医に相談してください。

 

 

監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)

 

日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。

ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。

その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。

 

今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。


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