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タヌキは、哺乳綱ネコ目イヌ科タヌキ属に分類される動物です。
英名は「Raccoon dog(ラクーンドッグ)」です。
日本には、北海道に生息するエゾタヌキと、本州、四国、九州に生息するホンドタヌキの2種類の亜種が生息してます。
関東周辺の農村部では、タヌキは「ムジナ」とも呼ばれています。
ほかにも地域により「アナッポ」、「アナホリ」、「カイネホリ」、「ダンザ」など、様々な呼び名で古くから日本人に親しまれています。
「狸」という漢字は、昔はヤマネコなどの哺乳類の総称であったとされています。
しかし、ヤマネコは生息数が極小であったため、イヌ科の狸に整理されたのだそうです。
狸は交通事故が多いことや、毛皮として使用されることにより、全国的に絶滅が危惧された時期がありました。
山口県・向島にある「向島タヌキ生息地」では、1926年にタヌキを国の天然記念物に指定しています。
近年では、森林伐採などによりタヌキの都市化が進んでいます。
排水溝などに住み着き、餌は生ごみなどを漁り生活するため、人間が生活する間近でも良く見られるようになりました。
タヌキの体長は50cm~70cmほど、体重は4kg~6kgほどです。
小型犬 ほどの大きさと考えると良いでしょう。
野性下では4年~8年程、飼育下では10年程とされています。
タヌキには5種類の亜種が存在します。
日本に分布しているのは、「エゾタヌキ」と「ホンドタヌキ」の2種類です。
北海道に分布しています。
被毛は茶褐色で、脚は短く穴を掘ることに適しています。
本州、四国、九州と、日本に広く分布している亜種です。
エゾタヌキより小柄で、家族やペアで生活しています。
朝鮮半島に分布しています。
中国東部やべトナム北部に分布しています。
ロシアのウスリー地方、アムール地方、中国東北部に分布しています。
タヌキはもともと日本、中国、朝鮮半島、ロシア東部に分布していました。
毛皮をとる目的でソ連(現ロシア)に移入されたものが野生化し、現在ではポーランド、東ドイツ、フィンランド、ドイツなどのヨーロッパでも見られるようになりました。
タヌキは見た目から性別を判断することが困難です。
メスのほうがオスより一回り体が大きなことが特徴です。
ペアで生活していることもあるため、2匹でいる場合は、体の大きいほうがメスだと考えるのが妥当でしょう。
タヌキはどのように繁殖しているのかを紹介します。
タヌキの繁殖期は2月下旬から4月にかけてです。
発情期になると、オスは片足を上げて尿をかけるマーキング行動を行います。
これはオス 犬 にも見られる行為です。
樹木の根や岩の隙間などの穴倉を巣に活用します。
メスの妊娠期間は60日~65日間で、一度に多い時は13匹も出産します。
通常の出産数は5匹~9匹ほどだとされています。
授乳期間は30日~40日程です。
タヌキは父親も育児に協力することが特徴です。
エサを運ぶ、グルーミングをする、外敵から母タヌキや子供を守るなど大忙しです。
子タヌキは4ヵ月~5ヵ月で自立し、9ヵ月~11ヵ月で成熟します。
タヌキは雑食性で、基本的になんでも食べます。
動物の屍骸や ネズミ 、果物、昆虫などを食べて生活しています。
近年ではタヌキの都市化につれ、生ごみを漁ることもあるようです。
タヌキは夜行性であるため、あまり鳴き声を耳にすることがありません。
基本的に鳴くことは少なく、嬉しいなどの感情表現で鳴き声を発することはないと言われています。
タヌキが鳴くときは威嚇時で、「グー」、「ウワン」と言った声で鳴きます。
タヌキの鳴き声です。
野生動物という感じが鳴き声からもにじみ出ています。
タヌキは非常に臆病で警戒心の強い動物です。
そのため、身を守る為に攻撃的な一面もあります。
タヌキはもふもふとした被毛、短い手足、ずんぐりとした体つきで、とても可愛らしいですよね。
ペットとしてお迎えしたいと思っている方も少なくないのではないでしょうか。
残念ながら、野生のタヌキは「鳥獣保護法」が認められている動物であるため、野生の成獣をそのまま飼育することはできません。
鳥獣保護法とは、正式名称を「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」と言い、狩猟が認められている動物を言います。
野生のタヌキをそのまま飼育することはできませんが、捕獲もしくは保護した場合には、一時的に飼育することが可能です。
保護されたたぬきを飼育する場合は、各自治体にある「生涯飼養許可」を申請しましょう。
タヌキは基本的に野生動物であり、愛玩用としての流通がないため、ペットショップなど、販売店で見かけることはありません。
タヌキを飼育している方は、捕獲または保護した野生の個体、もしくはそれが繁殖したものでしょう。
タヌキを飼ううえで、自由飼育はおすすめできません。
しっかりとケージをハウスとして与えましょう。
ケージの素材は頑丈でさびにくいステンレス製のものがおすすめです。
犬用のケージ を代用すると良いでしょう。
タヌキがゆったりとくつろぐことのできる広さのものを用意しましょう。
参考価格:6,715円(税込)
メーカー名:マルカン
サイズ(幅X奥行X高さ) :92×60×55cm
重量:8.4kg
生産国:中国
タヌキは雑食性な為なんでも食べますが、栄養バランスを考えると「 ドッグフード 」がおすすめです。
犬は肉食性ですが、多少の雑食性もあるため、必要な栄養が似ています。
基本的にドッグフードで必要な栄養は十分摂るとができますが、おやつとして果物や芋類、野菜、ミルワームや コオロギ を与えると喜びます。
参考価格:4,117円(税込)
メーカー名:アーテミス
内容量:3kg
原材料:フレッシュチキン・ドライチキン・フレッシュターキー・玄米・黍・えんどう豆・えんどう豆粉・卵・豆タンパク質・鶏脂肪など
生産国:アメリカ合衆国
野生動物で、日本全国に生息しているため、日本の気候に慣れています。
飼育下ではそれほど温度管理に神経質になる必要はありません。
真夏や真冬などは、過ごしやすいように空調管理をしたり、毛布などを与えると良いでしょう。
タヌキは家族やペアで暮らしているため、相性が良い場合は複数飼育は可能でしょう。
また、似た性質のある「犬」であれば、相性が良ければ仲良くなることもあります。
基本的に臆病で警戒心の強い野生動物ですので、慣れるまでは時間がかかることもあります。
タヌキは野生動物ですので、基本的に人に懐くことはありません。
タヌキは非常に臆病で警戒心が強く、それ故に攻撃的な一面もあります。
下手に声を掛けたり手を出すと、危険な場合もありますので、注意が必要です。
動物園などで見かけるタヌキが大人しく人間に近寄ってくるのは、日頃から人間と接する機会が多く、人間を害のない存在と思っていることや、園内で繁殖している個体が多いからです。
運よく子タヌキを保護し、愛情を込めて育てると、飼い主さんを怖がらないようになる場合もあります。
成獣を保護した場合に、人間に慣れることは極稀でしょう。
飼い主さんに遊んでほしいタヌキ。
飼い主さんは自分に害がないと認識しているようです。
タヌキはイヌ科の動物で、見た目も可愛らしいのですが、完全なる野生動物です。
そのため、 人間に対しては恐怖心や経過心が強く、保護しても「懐く」ということはありません。
ペットのように飼いたいと思っている方は、犬や 猫 のように愛玩として飼育できる生き物の購入をおすすめします。
タヌキは人間に「慣れる」ことはあっても、「懐く」ことはないため、一般的なペットのように「仲良くする」ことは難しいでしょう。
保護をした場合の飼育を覗き、下手にタヌキを飼育するよりは、動物園などの施設で観覧する方が無難です。
ペットとしてタヌキを飼育するのはおすすめは出来ません。
ペットとしてタヌキを飼うことはあまり推奨はしませんが、どうしても飼いたいという方のために、タヌキを飼うとしたら必要になる飼育グッズや準備物をご紹介します。
参考価格:1,399円(税込)
サイズ(幅×奥行×高さ):45×26×4cm
内容量:350ml×2
参考価格:2,680円(税込)
メーカー名:Peto-Raifu
サイズ(幅×奥行×高さ):60×50×13cm
参考価格:2,680円(税込)
メーカー名:リッチェル
サイズ(幅×奥行×高さ):64.1×48.2×4.9cm
生産国:中国
参考価格:1,099円(税込)
メーカー名:Grand Line
ロープの長さ:1.5m
ロープの太さ:0.6cm
参考価格:10,800円(税込)
メーカー名:リッチェル
サイズ(幅×奥行×高さ):46.5×66.5×51cm
重量:5.2kg
タヌキに多い病気として挙げられるのが、「疥癬(かいせん)」、「ジステンパー」の2種類です。
タヌキを飼育する方は、少なくともこの2種類の病気について、基礎知識を身に着ける必要があるでしょう。
疥癬症は、ヒゼンダニが寄生することで強い痒みを引き起こす皮膚病です。
感染すると、激しいかゆみが生じることが特徴で、皮膚が固くなり、フケのような粉をふいて剥がれ落ちてしまいます。
人間に感染することはありませんが、一時的に寄生され、疥癬によって皮膚炎が出ることはあります。
基本的にはタヌキからタヌキに感染します。
正式名称は「犬ジステンパーウィルス感染症」で、犬がかかるものと同じです。
犬の場合はワクチンで予防が可能ですが、タヌキに予防ワクチンはありません。
通常の風邪に似た症状から始まり、消化器官の異常、麻痺や運動障害など重篤な症状を発症します。
犬ジステンパーウィルス感染症は、致死率の高い病気であり、ほかのタヌキや犬にも感染します。
犬を飼育されている方は、しっかりと犬に予防接種を行うことや、タヌキに異常が見られた際にはすぐに隔離し、動物病院を受診しましょう。
タヌキは犬に似ていますが、野生動物です。
通常の動物病院では、愛玩として飼育できる動物を専門にしてます。
そのため、タヌキを含む野生動物はどの獣医師でも診察できるわけではありません。
タヌキを飼育する場合には、必ずタヌキを診ることの可能な動物病院をリサーチしておきましょう。
近年、森林伐採などにより、人里で生活するタヌキは増えています。
人里は危険なこともあり、交通事故にあうケースも多く報告されています。
そのほかにも、親とはぐれた、弱っているなどといった理由から、人間がタヌキを保護する事例は増えています。
タヌキを保護したら、どのようなことに気を付ければよいのでしょう。
保護、捕獲した際にケガをしている、弱っているなどといった理由から、動物病院を受診しようと考える方は多いでしょう。
ここでは、タヌキを動物病院に連れていく際の注意点を紹介します。
愛玩用ではないタヌキは、どこの動物病院でも診察ができるわけではありません。
事前に動物病院に連絡し、タヌキを診ることが可能であるか確認をする必要があります。
タヌキに関わらず、保護した動物を連れて受診した際、費用は動物病院が支払ってくれるものと思っている方が多くいます。
しかし、かかる費用は全額連れてきた方が支払います。
「保護した動物は自分のペットではない」と思うかもしれませんが、動物病院側が費用を支払うことはありません。
しかも、ペット保険に入っていない限り、負担額は10割ですので、診察だけでも費用は高めです。
保護したタヌキを動物病院に連れていく際には、かかった費用は全額自己負担だということを頭に入れておきましょう。
弱っているからと言って、野生のタヌキにむやみに手を出すのは危険です。
弱っているところに人間が手を出すことは、危害を加えられると思うのが自然です。
噛んだり、ひっかいてくるなどの攻撃をすることもあるでしょう。
保護する際には、厚手の手袋などを着用し、素手では触らないようにしてください。
保護するべきか、自然に任せるかを判断することも必要です。
タヌキをはじめとする野生動物を保護した際には、各自治体への届け出が必要です。
また、ケガや病気をしている際には、通常の動物病院ではなく、鳥獣保護センターをはじめとする野生動物保護施設に連絡をすると、対応してくれることが多いようです。
写真のような、タヌキの置物を一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
タヌキの置物には、どのような意味があるのでしょう。
あのタヌキの置物は、正式名称を「信楽焼たぬき」と呼ぶそうです。
置物を置く意味としては、「他人を抜く」という意味が込められています。
「他人を抜く」、「他抜き(たぬき)」というダジャレがルーツとなっています。
この信楽たぬきには、身に着けているものに縁起物の意味も込められているとされています。
笹: 悪事災難から身を守る準備をする
顔: 互いに愛想良く
通帳: 信用が大事
太い尻尾: 終わりよければす全てよし
徳利: 人徳を身に着ける
金袋: 金運を身に着ける
お腹: 冷静さと大胆さを兼ね備える
目: 周囲を見渡して正しい判断を
あのタヌキの置物は、ただの飾りではなく、縁起物の意味がある置物だったのです。
タヌキは日本中に分布しており、比較的容易に見かけることのできる生き物です。
短い手足や可愛らしい顔から、ペットとしてお迎えしたいと考える方も少なくないでしょう。
しかし、タヌキは野生動物であるため愛玩用として適していません。
ペットとして保護したとしても、人間に懐いてくれることはありません。
臆病で警戒心が強いため、人間に「慣れる」までにも、相当の時間と努力が必要になるでしょう。
お互いのストレスにならないためにも、無理な飼育はおすすめできません。
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2023/03/31
公開日 : 2017/12/25