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3. お留守番が多い猫ちゃんや普通の器では物足りない猫ちゃんには自動給水機
外で自由に動き回れる野良猫は、自分の好きなタイミングで水を飲むことができますが、飼い猫の場合は飼い主に水を与えてもらわなくては水分を十分に取ることはできません。
猫に水を飲ませるというのは、飼い主にとって非常に重要な義務のひとつです。
ただ、猫はあまり水を積極的に飲む動物ではないため、水を飲ませるのは意外と難しいです。
猫の祖先はもともと砂漠地帯で生活していたため、水溜まりの少ない砂漠地帯では水を飲むという機会がとても少なかったのです。
そのため、彼らは生きていくために必要な水分を主に食べ物(ネズミをはじめとする獲物)から取っていました。
喉が乾くという感覚に対しては鈍い傾向にあります。
そういった背景から、猫は体内の水分をなるべく効率的に活用して、排出するおしっこの量を可能な限り少なくし、水分摂取量が少なくてもいいように体の中で調整しているのです。
人間と一緒に生活をしている猫たちは、食事はドライフードが主で水分を取る機会が少ないため、自然界の猫と比較して余計に水分摂取量が少なくなってしまいます。
水分摂取量が不足すると将来の病気のリスクが高まる危険性もありますので、積極的に水を取るように飼い主がフォローしていく必要があります。
ここでは、まずは猫への基本的な水の与え方についてご紹介します。
まずは、猫が水を飲みたいと思ったタイミングでいつでも飲むことができるよう、お皿には常に水が入っている状態を保ちましょう。
また、猫は新鮮なお水を好む傾向があります。
なるべくこまめに水を入れ替えてあげたり、器が汚れたままにならないよう清潔に保ってあげることも重要です。
猫が綺麗な水を好むからといってミネラルウォーターを与えるのはやめましょう。
人間用のミネラルウォーターは、猫にとってはマグネシウムやカルシウムなどのミネラルが多すぎるために、摂取したミネラルを体外に排出することができず、体内に溜め込んで結石になってしまう可能性があります。
基本的には水道水を与えるようにしましょう。
水道水だとお腹を壊してしまうことがあれば、水道水を一度沸かして冷ましたものを与えてみたり、ペットショップで購入したペット用のミネラルウォーターを試すのも良いでしょう。
猫がどこでもお水を飲めるよう、室内に数カ所の水飲み場を提供すると良いでしょう。
また、器の形状を複数用意することで、その猫が好みの場所や器の形状を知ることができます。
水飲み場については下記のように工夫をし、猫が好む場所を探してみてください。
また、最後のトイレの近くに置かないですが、猫は綺麗好きのため、トイレの近くにご飯や水飲み場が置いてあるのを嫌がることが多いです。
なるべくご飯の場所や水飲み場はトイレから離して設置してあげましょう。
猫の体にとって水は非常に大切なものです。
人間の体の約70パーセントは水分と言われていますが、猫も体の約60〜70パーセントが水分です。
この内10パーセント以上の水分を失うと命に関わると言われています。
猫は1日で1kgあたり60ml前後の水を尿などによって排出するため、その分の水を飲み水や食事などから補う必要があります。
前述の通り、猫は自ら積極的に水を飲むのが苦手な動物なので、飼い主が積極的に水分を取れるように促してあげる必要があるのです。
また、水を飲まないと脱水症状だけでなく、将来病気になるリスクも高まってしまいます。
そこで、水不足によって引き起こされる代表的な病気をご紹介します。
腎臓、尿管、膀胱、尿道と言われる尿の通り道である4つの臓器の中のいずれかに結晶や結石ができる病気です。
膀胱結石では、できた結石が膀胱を傷つけて膀胱炎に繋がったり、尿道結石では、できた結石が尿道に詰まっておしっこが出なくなり、毒素を排出できずに尿毒症を引き起こすこともあります。
頻尿、トイレに行くのにおしっこが出ない、血尿、落ち着きがない、トイレの際に痛そうにしているなど。
トイレではない場所におしっこをするのも膀胱炎や尿路結石の症状であることがあります。
基本的には体質です。
同じ食餌や飲水量でも、尿路結石ができる猫とできない猫に分かれます。
もちろん、食生活でミネラル成分を過剰に取りすぎてしまうことによる、おしっこの中のミネラル成分の増加は原因にはなるでしょう。
猫は水を飲む機会が少ないため、濃縮した濃いおしっこをすることも要因です。
ミネラルの偏りがないように、バランスの良い食事を心がけることが大切です。
ミネラルウォーターの硬水に分類されるものは飲ませないようにしましょう。
また、ウエットフードを使用するなど、水をたくさん摂れるように工夫してください。
腎臓は、血液の中の老廃物を濾過しておしっことして排出する大きな役割を持つ臓器です。
その腎臓の機能が75%以上失われた状態のことを腎不全と言います。
腎臓病には、脱水や心臓病、出血などが原因で急激に腎臓の働きが悪くなる「急性腎不全」と、老化とともに少しずつ症状が進行する「慢性腎不全」があります。
ここでは、慢性腎不全についてご紹介します。
主な症状は多飲多尿、食欲不振、体重減少などが挙げられますが、腎臓病という病気は、飼い主が見て症状を把握するのは非常に難しい病気です。
徐々に現れることが多く、飼い主が気付く頃には進行していることがあります。
猫は加齢とともに慢性腎臓病になる子が多いです。
砂漠地帯出身で水を飲む機会が少なかったことから、水分を効率よく使うためになるべく体内で凝縮して濃いおしっこを出します。
凝縮するためには腎臓の働きが必要であり、かなりの負担をかけ続けることになります。
毎日濃いおしっこを出す際に、腎臓に負担をかけている状態が長く続いてしまい、老化とともに腎臓の機能が少しずつ失われるのが慢性腎臓病です。
慢性腎臓病は、日々腎臓を使うことで少しずつ進んでいく病気なので、100%防ぐことは難しいです。
ただし、腎臓にかける負担を減らすことにより、腎機能が低下するのを少しでも抑えることはできます。
主にナトリウムやタンパク質、リンを控えるなど腎臓に負担をかけないような食事内容を気にかけることと、毎日の水の摂取量を増やすことで、おしっこの濃度を抑えて腎臓への負担を和らげることが重要です。
先述したように、水は猫の健康にとって非常に重要なものです。
それでは、なかなか飼い猫が水を飲んでくれない場合はどうしたら良いのでしょうか。
水の中身が気に入らないのかもしれません。
例えば、水の鮮度や温度などが好みでないのかも。
その場合は、水を入れ替える頻度を高くしたり、反対に低くしてみたり。
また、温度を変えてみるようにしてください。
水の中身を代えても変化がなければ、器や飲む場所が気に入らないのかもしれません。
器の大きさや、高さ、器の種類、などを変更してみてはいかがでしょうか。
例えば、ステンレスを使っているなら陶器に変えてみたり、いっそのこと自動給水タイプのものに変えてみて興味を持ってもらえるように促すのも良いかもしれません。
水の入れ替えや場所を代えても変化がない、なかなか飲んでくれなくて心配という場合は、食事によって水分の摂取量を増やすという方法があります。
猫のご飯としての主流はやはり保管が簡単なドライフードですが、ドライフードの水分量はおよそ10%程度です。
ウェットフードは80%もの水分量があるので、フードをウェットに切り替えるだけでも水分量が大きく変わります。
しかし、ウェットフードが口に合わないという場合もあるかもしれません。
その場合は、いつものドライフードをふやかして与えてみたり、手作りフードをトッピングしてみたり、ドライフードプラスアルファで上手に食事から水分を取ってもらえるように促しましょう。
ここでは、猫の水入れにおすすめの商品をいくつかピックアップしてご紹介します。
2つお皿を並べられるので、ご飯とお水をセットにして置いておけます。
また、台が付いているために、腰や首の負担を軽減できるのもポイントです。
ステンレス製とプラスチック製のお皿が計4つ付いており、水飲み場を複数作るのにも便利です。
自然木製のデザインが可愛い台付きの商品です。
ステンレスの反射が苦手な猫ちゃんには陶器がおすすめです。
こちらも台が付いているので、腰や首の負担を軽減できます。
自動で水を絶え間なく循環させてくれるので、いつでも新鮮なお水を飲むことができます。
活性炭フィルター付きで、ほこりや毛も取り除いてくれます。
また、動いている水に興味を持つ猫ちゃんも多いことから、水を飲んでくれるきっかけにもなるかもしれません。
反対に、怖がって寄り付かなくなってしまう場合もあるので、猫ちゃんの性格を考慮して購入されると良いでしょう。
全ての生き物にとって生きていく上で欠かせないものが水です。
特に猫は、腎臓病や尿路結石などの水との関わりが深い疾患が多い動物です。
大切な大切な猫ちゃんと少しでも長く一緒に生活するためにも、それぞれの猫ちゃんにあった水の取り方を一緒に探してみてくださいね。
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監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/05/13
公開日 : 2018/11/13