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熱帯魚博士になって、自分だけのアクアリウムを作ろう!熱帯魚の分類と種類まとめ
熱帯魚と称されるものは、観賞魚のうち、原産の生息地域が熱帯~亜熱帯の淡水域である種類もの魚を指します。
それなので、同じ外来種でも北米原産のブラックバスやブルーギルなどの仲間は熱帯魚ではありません (例外的にチョウザメの稚魚などを古代魚として熱帯魚に含めるケースもありますが・・・)。
また熱帯地域の海水域に生息している種類は、一般的に「海水魚」に区分けされて熱帯魚には含みません。
それでも、改良種を含めて、1000種類近くの熱帯魚が流通されているといわれています。
これからも未だ発見されなかった新種が追加されていく可能性も高いといえます。
本記事は熱帯魚の種類や分類方法に関して体系的に理解して頂くことを目標としています!
非常に長いですが、是非最後までお付き合いください。
また熱帯魚を飼育されている、あるいはこれから飼育されるという方には下記の記事でもおすすめです。
是非合わせてご覧下さいね。
⇒ あなただけのアクアリウムを作ろう!熱帯魚の飼い方とおすすめの種類まとめ
⇒ 熱帯魚の餌の種類、違いと与え方を解説。おすすめ餌ランキングも!
⇒ 可愛い熱帯魚を守るために!病気の種類と予防、対策、治療方法まとめ!
東南アジア周辺に生息している熱帯魚は、コイ・ドジョウの仲間を中心に広く流通しています。
なかでもこの地域の魚として繁栄しているのは、アナバス・・・キノボリウオの仲間です。
この種類の魚は特殊な呼吸器官を持っており、酸素がない厳しい状況下でも空気呼吸をすることができる、強い生命力があります。
人気の高いベタ、グラミーなどはこのアナバスの仲間に属します。
またこの地域の河口地帯には、 ミドリフグ など淡水フグの仲間や、テッポウウオも生息しています。
生命の宝庫といわれるアマゾン河。
支流も含めれば、地球上の淡水域の1/4を占めるといわれるほど非常な流水面積を誇るこの大河には、 ネオンテトラ 、エンゼルフィッシュ、あるいはピラニアなど熱帯魚の代表種が幅広く生息しています。
ナマズの仲間も繁栄を極めており、各種 プレコ 、 コリドラス から大型ナマズまで、種類も豊富です。
世界最大の淡水魚であるピラルクや、 アロワナ 、 ディスカス など高級魚に分類されるもの、 グッピー の仲間などもこの地域の出身者です。
このエリアは、まさに熱帯魚の宝庫ともいえるでしょう。
またメキシコの洞窟域には、ブラインドケーブフィッシュなる不気味な珍魚が生息しています。
人類発祥の地とされ、地上ではゾウや キリン など野生動物の宝庫であるアフリカ大陸。
東部のタンガニーカ湖やマラウイ湖には、カワスズメの仲間は繁栄を極めています。
また東部の乾燥地帯には、ハイギョといわれる変わり種も生息しています。
西アフリカの大河、コンゴ河には美しいコンゴテトラをはじめ、サカサナマズなど珍魚、あるいはエレファントノーズなど古代魚といわれる魚が数多く生息しています。
卵生メダカといわれるカラフルな メダカ もこの地域特有の魚のひとつです。
厳密にいえば、熱帯地域とはいえないエリアに分類されるかもしれませんが、特異な性質や形状を持った魚を熱帯魚に含める場合もあります。
オーストラリア周辺には、レインボーフィッシュの仲間が繁栄し、古代魚であるアロワナの仲間のノーザンバラムンディが生息しています。
北米エリアには、ガーフィッシュ、アミアガルバなどの古代魚の仲間が生息しており、これらの種類も熱帯魚として扱われます。
また、ロシアから輸入されるチョウザメの稚魚も、やはり熱帯魚の仲間として扱われています。
このように原産地によって熱帯魚の種類を分類することは、アクアリウムをする際には興味深い目安にはなります。
例えば、「アマゾン河の魚」とか 「アフリカ・マラウイ湖のカワカワスズメの生態」 とか原産地を再現する方法も面白いと思います。
しかし残念なことに、生息地による分類だけでは、個々の熱帯魚の特徴・性格がわかりません。
熱帯魚の種類を成魚の大きさによって分類する方法もあります。
実際に熱帯魚を飼育する際に、用意しなければならない水槽の大きさや装置を選ぶ基準となるためです。
ショップなどで販売している個体が幼体である場合、実際の大きさが小型種程度の場合がありますが、成長したら中~大型になる場合もあります。
アロワナやチョウザメの稚魚などが、その典型的な例で、10センチに満たない個体が販売されていますが、成長すれば、1メートルを超えます。
ここでは、販売店などで基準としている成魚の大きさによって分類を紹介していきましょう。
成魚の大きさが、10センチ未満の種類が小型種の大方の基準となります。
グッピーやプラティなどメダカの仲間および、テトラと呼ばれる小型カラシンの仲間およびコリドラスなど小型ナマズの仲間が該当します。
比較的飼育のやさしい種類が多く、45-60センチの小型の水槽で飼育可能なため、熱帯魚の入門魚としては最適です。
成魚の大きさが、10センチ以上30センチ未満の魚が中型魚の基準となります。
エンゼルフィッシュ、ディスカスをはじめ、大多数の熱帯魚が中型種までの大きさに該当します。
小型種との混泳も可能な種類も多いのですが、攻撃的な性格のものや魚食性の高い種類の魚も少なくないので、注意が必要です。
種類にもよりますが、飼育難易度も難しい魚が増えてきますので、ある程度熱帯魚の飼育経験を積んだ方の方が取り組みやすいといえます。
成魚の大きさは30センチ以上になる魚が基準となります。
先に紹介したアロワナやチョウザメの他に、アマゾン原産の大型ナマズであるレッドテールキャットフィシュや、東南アジア産のナマズであるカイヤンなどの稚魚を飼う場合は大型になる覚悟をしてください。
またハイギョなど古代魚の仲間や淡水エイなども大型になり、この種類に属すものが多く存在します。
飼育にも大型の水槽や設備投資が必要となり、餌代もかかります。
また飼育が難しい種類が多く、上級者向けの種類といえるでしょう。
熱帯魚を水槽で飼育する際に考えたいのは、飼いたいと思っている魚が通常、どのあたりで遊泳しているのが確認することです。
アクアリウム で混泳を考えた場合、遊泳位置をバランスよく配置した方が、見栄えもよくなりますし、魚の遊泳範囲も広がります。
グッピーなどメダカの仲間は比較的表層を好む傾向があります。
古代魚の仲間では、アロワナやバタフライフィッシュ、気水魚のヨツメウオなども表層を定位置にしている魚です。
コイの仲間、カラシンやシクリッドなどほとんどの魚が中層域を遊泳しています。
そのため、混泳を考えた場合、過密状態にならないよう注意を払う必要があります。
ドジョウの仲間やコリドラスなどナマズの仲間は底層を好みます。
これらの魚は、スカベンジャー(掃除屋さん)と呼ばれ、表層~中層の魚の食べ残しを食べてくれる魚としても重宝されます。
変わり種では、淡水カレイ、淡水エイなども底層を定位置にしています。
熱帯魚を飼育するうえで、水質の管理が一番重要になってきます。
水温については、25-28℃位の温度が一般的な基準値になっていいるため、ヒーターでおおよそ、 26℃ 位の温度を保てば、ほとんどの熱帯魚は適応できます。
しかし、これからご紹介する水質・適正PHについては、その魚に適した値でないと体調を崩したり、最悪死んでしまうこともあります。
具体的に説明しますと、熱帯魚の飼育図鑑などに載っている、酸性やアルカリ性の適合水質のこと指します。
まず、 PH(ペーハー)とは、その水に含まれる水素濃度イオン指数のことです。
この指数は小さいと酸性となり、大きくなるほどアルカリ性に近づいていきます。
アクアリウム上のPH濃度の基準は、おおよそ下記の値が対象になっています。
酸 性 : ~6.0 未満
弱酸性 : 6.0 以上 7.0 未満
中 性 : 7.0
弱アルカリ性 : 7.0 以上 8.0 未満
アルカリ性 : 8.0 以上
ちなみに水道水からの水の平均的なPH濃度は、6.8-7.2程度、だいたい中性を保っているといえるでしょう。
しかし魚の糞や餌の食べ残しなどが水槽内に蓄積すると、硝酸やリン酸が発生し、水質は酸性に近づいていきます。
実際に水槽内の水質が、どの程度の水質なのかを確認する方法として、理科の実験で有名なリトマス試験紙、あるいはテスターなどが市販されています。
測定の結果、飼育する熱帯魚の水質でなかった場合、調整するには下記の方法があります。
水槽のレイアウトに流木など腐食酸を含むものを入れる。
底砂にソイルを使用する。
PH降下剤を使用する。
マジックリーフを投入する。
などの方法が考えられます。
サンゴや貝殻をレイアウトとして使用する。
PH上昇剤を使用する。
などの方法が考えられます。
アマゾン河の水質は弱酸性の軟水ですので、アマゾン河出身の魚については酸性の水質を好む魚が多いです。
また東南アジアの主要な河川も弱酸性なので、下記アルカリ性水質を好む魚以外はほとんど酸性気味で調整して問題ないでしょう。
アフリカのマラウイ湖・タンガニーカ湖はアルカリ性水質だといわれます。
こうした湖に生息しているカワスズメ (アフリカンシクリッド)の仲間はアルカリ性水質を好みます。
グッピーやプラティの仲間など中米産の魚のなかには、弱アルカリ性の水質を好む種類もおります。
また汽水域に生息している魚で、淡水域に近い生活範囲のものもアルカリ性水質が理想的な環境といえます。
非常に多くの種類が存在する熱帯魚を分類するにあたって、生息地や大きさ、適合水質だけでは、その魚の特徴はわかりません。
そこで、通常は所属する魚の生物学的な分類や、その形状や特徴などによる下記の分類でまとめられるのが一般的です。
熱帯魚の図鑑やショップ等でも、この方法で種類を分類していますので、これからの説明は下記に従って説明していきましょう!
1. 卵胎生メダカの仲間
2. 卵生メダカの仲間
3. コイの仲間
4. ドジョウの仲間
5. ナマズの仲間
6. アナバスの仲間
7. カラシンの仲間
8. シクリッドの仲間
9. 古代魚の仲間
10. 気水魚の仲間
例えば、同じカラシンやシクリッドの仲間でも、生息地によって、かなり異なる性質のものが存在しますので、その都度説明していきます。
メダカの仲間は、卵胎生メダカと、卵生メダカに大別されます。
卵胎生メダカとは、親魚はお腹の中で卵を孵化させ、稚魚になってから産み落とす性質をもっています。
ずいぶん変わった性質の魚だと思われるでしょうが、熱帯魚で飼育されているメダカの仲間の大部分は卵胎生メダカの仲間に属します。
小型の種類が多く、丈夫で飼いやすいため、熱帯魚飼育の入門魚として最適です。
繁殖も容易であり、品種改良も盛んに行われています。
残念なことに平均寿命は 数カ月から1-2年程度と短命です。
熱帯魚の代表格のひとつとして有名なグッピー。
もともとは中南米原産ですが、東南アジアで広く養殖されており、日本国内で繁殖された個体も市場に出回っています。
品種改良も盛んに行われており、色とりどりの美しい改良個体が多いのも特徴です。
特にオスは、美しく長いヒレをもち、グッピー飼育の魅力のひとつになっております。
価格も養殖産の安価なものから、マニア向けの非常に高価なものまで様々です。
飼育も繁殖も比較的容易で、熱帯魚の入門魚として扱われますが、よく熱帯魚飼育は、 「グッピーに始まり、グッピーに終わる」 といわれるほど奥の深い魚です。
なお、 グッピーについての詳細はこちら でも解説しています。
メダカというよりは 金魚 に近い姿のプラティ~これでも卵胎生メダカの仲間です。
原産地は中米のメキシコやグアテマラ周辺ですが、やはり東南アジアで広く養殖されているため、安価で入手可能です。
性格は温和で、丈夫で飼いやすいため、本種も熱帯魚の入門魚のひとつになっております。
大きさも、5センチ程度と小型なうえ、おとなしい魚同士であれば混泳も可能です。
当種も品種改良が盛んに行われていて、 ミッキーマウスプラティ とか、 タキシードプラティ とか魅力的な品種が多いです。
いろいろなプラティを混泳させるレイアウトも面白いでしょう。
やや大型になりますが、長い背びれが美しい セルフィンモーリー や、全身真っ黒な ブラックモーリー もプラティの仲間です。
オスとメスを複数飼育すれば、繁殖も容易です。
体 長 : 4-6センチ
原産地 : 中南米
寿 命 : 1-2年程度
適正水温 : 20-30℃
適正水質 : 中性 ~ 弱アルカリ性
価 格 : 200円 ~ 数万円まで
飼育難易度 : やさしい ~ 普通
体 長 : 4-6 センチ
原産地 : 中米 (メキシコ、グアテマラ周辺)
寿 命 : 1-2年程度
適正水温 : 22-28℃
適正水質 : 弱酸性 ~ 弱アルカリ性
価 格 : 100円 ~
飼育難易度 : やさしい ~ 普通
あえて 「卵生メダカ」 と分けて説明するのは不思議な感じがします。
そもそも魚類は卵生であって、日本産のメダカも卵生の魚です。
しかし、飼育熱帯魚の世界では卵胎生メダカが主流になっており、卵生のメダカはちょっとレアな存在なのです。
この卵生メダカの仲間は、南米やアフリカ大陸に広く分布しています。
非常に派手で美しい個体が多く、愛好家が多く存在しますが一部の専門店を除くとほとんど市場に出回っていないのが現実です。
この種の一番の特徴は、非常に過酷な環境下で生息しているものが多いこと。
東アフリカのサバンナなどに生息する卵生メダカの仲間は、乾季になると干上がってしまうような湖沼に生息するため、雨期だけしか生きることができません。
乾季を迎える前に産卵し、乾燥に強い卵は地中で雨期が来るのを待ちます。
このように雨期の期間・・・1年たらずの生涯のため、年魚とよばれ、ノゾブランキウス類などの仲間が、これに該当します。
それ以外にも西アフリカの標高の高い地域に住むアフィオセミオン類などが存在します。
これらの種類の魚は、非年魚といって、2-4年程度の寿命がありますが、一部には比較的低い水温を好むものも存在します。
ちなみに、南米に生息している卵生メダカの仲間も年魚が主流で、雨期にしか現れない湖沼に生息しています。
いずれにしても飼育が極めて難しい種類の魚たちといえます。
どうしても飼育してみたい方には、参考までに標準種で、1ペア 1000円~ から販売しています。
飼育が難しく、入手も困難な卵生メダカの仲間のなかで、一般的に流通している種類を紹介しておきましょう!
西アフリカのナイジェリアやカメルーン、シエラレオネなどに分布している卵生メダカの仲間です。
他のアフリカ産卵生メダカと比べれば、派手な色彩ではないのですが、目のまわりが青く輝いて神秘的な美しさがあります。
以前は非常に高価で取引されていましたが、最近ではインドネシアなどで盛んに養殖されるようになって、安価で入手可能になりました。
飼育は比較的容易で、小型のため群泳させて飼育すると、ひときわ美しさが目立ちます。
体長 : 3-4センチ
原産地 : 西アフリカ (ナイジェリア、カメルーン、シエラレオネ周辺)
寿命 : 2-3年
適正水温 : 22-26℃
適正水質 : 弱酸性~弱アルカリ性
価 格 : 100円 ~
飼育難易度 : やさしい
コイの仲間 (コイ科)は、およそ3000種類にも及び淡水魚として最大のグループとなっています。
一部が汽水域に生息しているものの、ほとんどが淡水産であり海水域には住んでいません。
中南米地域を除く世界中で繁栄していますが、熱帯魚として飼育される種類はほぼ南~東南アジア原産種です。
丈夫で飼いやすい魚が多く、原産地が日本に近いこともあって比較的安価で取引されています。
シマウマのような縦じまをもつため名付けられた、インド原産の活発な小型魚です。
多産で、生殖可能になるまで3カ月と世代時間が短いため、重要な実験用生物としても有名です。
飼育は容易で、安価で購入できるため熱帯魚の入門魚として最適な魚です。
しかし、縄張り意識が強く、他の魚を追い回す習性があるため、混泳には注意が必要です。
改良品種も多数流通しています。
サメをコンパクトにしたような外見から 「シャーク」と呼ばれますが、コイの仲間です。
マレー半島~、インドネシアが原産ですが、野生種は激減しており絶滅危惧種に指定されています。
しかし養殖が盛んで、比較的容易に入手することができます。
丈夫な魚で水質の適応力も高く、性格も温和なのですが、大きく成長するので、大型種用の水槽が必要となります。
ジャンプ力も強いので、飼育するにあたってはフタをしっかり閉めておかなけれななりません。
古くから観賞用として飼育され、ビンやポット詰めなどでも販売されているアカヒレもコイの仲間です。
赤い尾びれが特徴なので 「 アカヒレ 」 、低温や酸欠にも強く、とても丈夫で飼いやすい魚です。
中国原産でしたが、絶滅したと考えられており、現在はベトナムの一部で生息が確認されています。
盛んに養殖がなされており、流通量も多く安価で取引されています。
なお、 アカヒレについての詳細はこちら の記事をご参照ください。
体 長 : 4-5センチ
原産地 : インド東部 バングラデシュ
寿 命 : 2年以上
適正水温 : 22-25℃
訂正水質 : 弱酸性~中性
価 格 : 90円 ~
飼育難易度 : やさしい
体 長 : 30センチ以上
原産地 : タイ、マレー半島、インドネシア
寿 命 : 10年以上
適正水温 ; 24-28℃
適正水質 : 中性~弱アルカリ性
価格 ; 300円 ~
飼育難易度 : やさしい
体 長 : 4-5センチ
原産地 : 中国 (野生種は絶滅?)、 ベトナム
寿 命 : 2年以上
適正水温 ; 20-25℃
適正水質 : 弱酸性~中性
価 格 : 50円 ~
飼育難易度 : やさしい
ドジョウの仲間は、「コイ・ドジョウの仲間」として一括りにされることが多く、生物学上もコイ目に属します。
コイとは違って底生魚であり、160種類位が確認されています。
ほとんどが雑食性の清掃生物であり、熱帯魚としてもスカベンジャー(掃除屋さん)としての位置づけが強いです。
しかし、飼育熱帯魚のドジョウの仲間にはカラフルなものもいて、観賞価値の高い存在になっています。
東南アジアに広く分布するドジョウの仲間です。
黒とオレンジ色の縞模様が美しく、ピエロ (クラウン)の衣装に似ているのが名前の由来です。
幼魚のうちは縞模様のコントラストがはっきりしていて美しいのですが、成長に従い色あせてきます。
大型になる魚で、自然界では、30センチを超えますが、水槽飼育下では、15センチ位にまでしか成長しません。
性格は基本的に温和で、人工餌にも慣れるので、飼育も難しくはありません。
また横になって寝るなどユニークな生態をもっています。
こちらの仲間も東南アジア原産のドジョウの仲間です。
上記クラウンローチとは異なり、姿形は完全にドジョウですが、日本のドジョウよりも色彩が美しいです。
雑食性で人工餌にも慣れるため飼育も容易です。
体 長 : 最大30センチ
原産地 : インドネシア他
寿 命 : 5年以上
適正水温 : 22-26℃
適正水質 : 弱酸性~中性
価 格 : 400円 ~
飼育『難易度 : 普通
体 長 : 8-9センチ
原産地 : 東南アジア
寿 命 : 3年以上
適正水温 : 22-28℃
適正水質 : 弱酸性~中性
価 格 : 200円 ~
飼育難易度 : やさしい
ナマズの仲間は、およそ2800種が確認されており、淡水種ではコイの仲間に次いで2番目、魚類全体からみても1番のスズキを筆頭に3番目となる大所帯です。
世界中の陸水域に幅広く分布するばかりでなく、ゴンズイなど海水域にまで生息している仲間もあります。
ナマズの仲間の半数以上、約1700種が南北アメリカ大陸に分布しているといわれ、観賞魚としても特に南米大陸は、ナマズの宝庫となっています。
それでは、南米エリアに生息する種類を中心に、世界の鑑賞ナマズについて説明しましょう!
水槽のスカベンジャーとしてだけではなく、その愛らしいルックスから愛好家の多いコリドラスは、南米原産の小型ナマズのグループです。
非常に多くの種類が存在しており、現在200種位が確認されています。
コリドラスという名前の由来は、ギリシャ語で 「ヘルメットのような皮膚」 の意味であり、その名の通り固い皮膚で全身が覆われています。
コリドラスの仲間は昼行性であり、原産地では流れの遅い河川の浅瀬や湖沼で大規模な群れをつくって生息しています。
代表的な種類のひとつであるコリドラス・アエネウスは赤コリドラス、そのアルビノ種は白コリドラスの通称で呼ばれています。
飼育も比較的容易で、数多くの飼育品種が流通しているため、いろいろなコリドラスを混泳させるのも面白いかもしれません。
コリドラスと並んで、非常に多くの種類が存在し、愛好家も多いプレコは、正式にはプレコストムスといいます。
吸盤状の口と、鎧のように固くざらざらした皮膚、扁平な身体が特徴のナマズの仲間です。
大きさも、10センチに満たない小型種から、1メートルをゆうに超える大型種まで幅広く、色彩も茶褐色の地味系からカラフルな縞模様やストライプまでバラエティ豊富です。
この豊富なバラエティこそマニアにはたまらない魅力を醸し出しております。
その特徴的な吸盤状の口は急流で生息するのに適しており、多くのプレコが流れの早い渓流などに生息しています。
飼育面でも、その吸盤状の口で水槽の壁面にへばりついて、コケなどを食するため、水槽のスカベンジャーとしても重宝される一方、水槽や 水草 を齧ったり、他の魚を舐めるなどの 「悪さ」をします。
基本的には草食であり、水槽のコケばかりでなく、流木などをレイアウトに入れておくと餌として食べます。
また慣れてくると人工餌も食べるようになりますので、飼育はそれほど難しくない魚のひとつです。
飼育する際には、エアレーションを強めにしておくと調子がよくなります。
観賞魚店などで、5センチ位の大きさの活発なナマズが販売されているのを見ることがあります。
目が大きく、イルカのような魚・・・しかも安価で購入できるとあって衝動買いしたくなってしまいます。
実はこの魚、カイヤンは東南アジア原産で、成長すると、1メートルを超えてしまう大型種なのです。
もともとはメコン川やチャオプラヤ川などの大河が原産ですが、原産知では野生種がほぼ絶滅状態・・・。
食用魚としても重要な資源のため、周辺の河川に移入されたり、養殖も盛んに行われています。
改良種であるアルビノカイヤンも含めて、コンスタントに輸入されてくるため比較的容易に入手することができます。
飼育するのは、大型水槽、できれば円型の巨大水槽が理想的です。
あまりに活発に動き回るので、水槽に身体をぶつけてしまう危険があるからです。
性格は温和で、何でも食べるため飼いやすい魚ではありますが、水質の悪化に弱いのと、すぐに大型化してしまうことには注意が必要です。
お腹の方を上にして、逆さになって泳ぐ珍魚としてあまりにも有名なサカサナマズは、アフリカの大河コンゴ川原産です。
その奇妙な形態は古くから知られ、古代エジプトの文献にも記載されていたほどです。
夜行性の魚であり、昼間は流木など物陰に隠れていますが、夜になると餌を求めて活発に動き回ります。
小型種で性格も温和のため飼いやすい魚ですが、臆病な面があるためレイアウトには流木など隠れ家となるものがあると理想的です。
自然界では群れで生活しているため、複数飼いをすると、サカサに泳ぐ群泳が見られて面白いと思います。
残念なのは、夜行性で臆病な性格ゆえ、昼間は隠れていいるため、泳ぐ姿をなかなか拝見できないことかもしれません。
体 長 : 5-7センチ
原産地 : 南米
寿 命 : 3年以上
適正水温 : 20-26℃
適正水質 : 弱酸性~中性
価 格 : 100円 ~ (※ 希少種は 10,000円以上)
飼育難易度 : 普通
体 長 : 10センチ ~ (※ 1メートル超の種類あり)
原産地 : アマゾン水系
寿 命 : 3年以上
適正水温 : 20-26℃
適正水質 : 弱酸性~中性
価格 : 600円 ~ (※ 希少種は、100,000円以上)
飼育難易度 : 普通
体 長 : 1.5メートル (飼育下では、 60センチ程度)
原産地 : タイ カンボジア
寿 命 : 5年以上
適正水温 : 22-28℃
適正水質 : 弱酸性
価 格 : 300円 ~
飼育難易度 : 普通
体 長 : 7-8センチ
原産地 : コンゴ川
寿 命 : 3年以上
適正水温 : 24-28℃
適正水質 : 弱酸性~中性
価 格 : 700円 ~
飼育難易度 : 普通
アナバスはキノボリウオ亜目ともよばれ、アジア・アフリカの淡水域に栄えています。
観賞魚としてメジャーな種類のほとんどは東南アジア周辺に集中しています。
この種の特徴は、 ラビリンス器管 とよばれる特殊な呼吸器官をもっていることです。
この器官の役割は通常のエラ呼吸だけではなく、短時間ですが空気呼吸も可能なこと。
そのため酸素の少ない過酷な環境でも生存できるのです。
それでは、アナバスに属する魚の種類を説明していきましょう!
鑑賞熱帯魚として有名なベタは、ビン詰めなどでも販売されています。
長く美しいヒレが特徴ですが、オスは縄張り意識が強く攻撃的です。
オス同士混泳させると相手が死ぬまで戦い続ける習性から、原産地のタイなどは、「闘魚」の対象として親しまれてきました。
水質の変化にも適応力があり、過酷な環境でも生存できることから飼育も容易な部類に入ります。
愛好家も多く、品種改良も盛んにされています。
なお、 ベタの詳細はこちらの記事 もご覧ください。
グラミーの仲間は、同じような形態の魚が複数存在しますが、ここでは比較的小型種で色彩の美しい本種を紹介します。
この魚はオスとメスで体色が全く異なります。
メスは地味なグレー色なのですが、オスはオレンジ色とメタリックブルーの縞模様で非常に美しい色合いです。
飼育も容易であり、熱帯魚のアナバス入門魚といえるでしょう。
この魚の最大の特徴は 「キス」 をすること・・・といっても愛情表現ではありません。
しかもオス同士!実は威嚇表現なのです。
縄張り意識が強く、飼育下でもかなりの確率で、この 「キス」 を目撃する機会があるでしょう。
グラミーの仲間としては大型となり、気性が荒いので混泳には注意する必要があります。
体 長 : 5-6センチ
原産地 : インド
寿 命 : 2年以上
適正水温 : 23-30℃
適正水質 : 弱酸性
価 格 : 700円 (ペア) ~
飼育難易度 : やさしい
体 長 : 20センチ以上
原産地 : マレーシア インドネシア
寿 命 : 5年以上
適正水温 : 25-28℃
適正水質 : 弱酸性~中性
価 格 : 500円 ~
飼育難易度 : やさしい
熱帯魚の種類分けでよく耳にするカラシンは、現状 1600種類位が確認されており、魚類のなかでも上記ナマズ目に次いで4番目の大所帯です。
一般的に背びれと尻びれの間に、脂びれいう小さなひれを持っている種類が多いのが特徴です。
アフリカ・南北米大陸に広く分布していますが、日本には存在しません。
若干の例外もありますが、本種の小型種を通常 「テトラ」 と通称します。
熱帯魚として飼育される種類の魚も多くバラエティに富んでいます。
それでは、カラシンに属する熱帯魚の種類を有名なものから説明していきましょう!
グッピーや エンゼルフィッシュ と並んで、知っている熱帯魚といえば必ず上位に入る有名な魚です。
赤いラインにメタリックブルーに輝くその美しさは、まさに泳ぐ宝石!
日本のメダカ位の小型種のうえ、非常に安い値段で入手でき、しかも飼育しやすいので、本種も熱帯魚の入門魚としては最適です。
近縁種に、 カージナルテトラ や、 ブラックネオンテトラ が存在します。
小型の水槽で飼育できるので、こうした近縁種も含めて群泳させるのも楽しいでしょう。
なお、 ネオンテトラについてもっと詳しく知りたい方は、こちら の記事も是非ご参照下さい。
「アマゾンの人食い魚」 としてあまりにも有名なピラニア。
映画などでも凶暴さが誇張され、川に落ちた人間や馬などが、あっという間に骨だけになってしまった・・・なんてイメージが先行します。
実はピラニア、非常に臆病な魚で基本的には自分より大きな動物を襲うことめったにありません。
臆病すぎるため、群れをつくって行動しています。
しかし、水面を叩く音や血液の臭いには敏感で、集団で興奮状態になって襲ってくる危険性が高いのも事実です。
ピラニアの種類は多彩でバラエティに富んでいますが、一般的なのは、 ピラニア・ナッテリー といわれる種類です。
一度は、ピラニアを飼ってみたい!という方も多いでしょうが、飼育は比較的容易な部類に入ります。
30センチ位と若干大きくなることと、単独飼育だとストレスになるために複数飼育が基本になることで、90センチ以上の大きめの水槽が必要となります。
餌は生き餌を好みますが、鶏肉のささみなども食べます。
餌が不足すると、共食いすることが多い傾向にあります。
本種を飼育する際の最大の注意事項は、むやみに水槽に手を入れないこと。
その鋭い牙は人間の指など簡単に食いちぎってしまいます。
ピラニアの仲間は長寿で、10年以上生きる種類が多いです。
アフリカ産テトラを代表して本種を紹介します。
メタリックな体表の輝きが非常に美しい中型の魚です。
原産はアフリカの大河、コンゴ川~未知なる土地からの魚ということでも興味をそそります。
基本的におとなしい性格ですが、小型の魚と混泳させると食べてしまうこと、および水草を齧ってしまうことが難点です。
メキシコの洞窟内で発見された極めて不気味な魚。
本来目のあるところに目は全くなく、銀色の鱗に覆われています。
体表は生肉を彷彿させるようなピンクがかった肌色、鰓やひれの周辺が赤みを帯びていて・・・おぞましさを増します。
この魚、真っ暗な洞窟のなかでの生活しているため、必要のない目が完全に退化してしまったのです。
同様に体表のメラニン色素も失ってしまいました。
目がないのに、なぜ普通に泳ぐことができるのか?
彼らは目を失った代わりに側線器官が発達し、これが人間でいう耳の役割をして水中の障害物や餌のありかを察知できるのです。
また省エネのため体内時計を持たないので、他の生物と比較して、30%近く消費エネルギーが少ないといわれています。
この怪魚・・・飼うとなると、それこそ 「目玉が飛び出す」ほど高価なのでしょうか?
実は盛んに養殖されていて、安価で入手できるのです。
そのため、生息地では比較的低い水温で生活しているにもかかわらず、他の熱帯魚と同じ水温・・・混泳も不可能ではありません。
しかし性格は比較的荒い方ですので、おとなしい魚との混泳は難しいです。
この怪魚の不気味さと奇妙さを実感できる単独飼育の方がおすすめです。
餌はなんでも食べ、比較的丈夫なので飼育しやすい魚です。
体 長 : 3-4センチ
原産地 : アマゾン河水系
寿 命 : 5年以上
適正水温 : 22-30℃
適正水質 : 弱酸性~中性
価 格 : 50円 ~
飼育難易度 : やさしい
体 長 : 30センチ以上
原産地 : アマゾン水系
寿 命 : 10年以上
適正水温 : 23-30℃
適正水質 : 弱酸性~中性
価格 : 300円 ~
飼育難易度 : 普通
体 長 : 10センチ
原産地 : 西アフリカ コンゴ川
寿 命 : 5年以上
適正水温 : 25-29℃
適正水質 : 弱酸性~弱アルカリ性
価 格 : 500円 ~
飼育難易度 : 普通
体 長 : 7-8センチ
原産地 : メキシコの洞窟域
寿 命 : 5年以上
適正水温 : 24-26℃
適正水質 : 中性
価 格 : 200円 ~
飼育難易度 : やさしい
シクリッドの仲間はスズキ目に属し、1300種類が確認されており、中南米やアフリカに多く生息しております。
日本語では、 「カワスズメ」 とも称されますが、その可愛らしいネーミングとは裏腹に獰猛な種類が多いのが特徴です。
この仲間の繁殖形態は特殊なものが多く 、口内保育 (マウスブリーディング) の習性を持つ種類も多く存在します。
それでは、シクリッドの仲間の代表的なものを説明していきましょう!
極めて有名な熱帯魚の代名詞であるエンゼルフィッシュは、古くから鑑賞魚として飼育されてきた種類のひとつです。
余談ですが、英語でエンゼルフィッシュとは本種だけではなく、海水産の観賞魚も表します~日本では「チョウチョウウオ」とよばれる魚です。
このエンゼルフィッシュは、南米北部のアマゾン水系にある、あまり流れのない水域に生息しています。
菱形の薄っぺらい体型が特徴で、原種は銀白に黒のストライプがあります。
品種改良も盛んに行われ、アルビノ種や、体表が金色のゴールデン種など様々な種類のものが流通しています。
シクリッドの仲間にしては性格は比較的温和な方ですが、本来肉食系の魚のため、小型種との混泳には注意しなければなりません。
熱帯魚の王様ともよばれ、高級熱帯魚として有名なディスカスは、ホームセンターの熱帯魚売り場などではまず販売されておりません。
ディスカス専門店があるほど、特別なステータスと敷居の高さが感じられます。
世界中に愛好家が多く、改良品種も多く存在しているだけではなく、マニアの間での品評会も盛んに行われています。
餌付けや水質管理が非常に難しいうえに、高価なこともあり上級者向けの魚といえるでしょう。
自然界でのディスカスは、アマゾン河水域の深場の水底近くに生息しています。
ディスカスの名前の由来は、円形の体型が円盤 (ディスク)に似ているからといわれています。
ディスカスの子育ては特殊であり、稚魚が孵化すると、親魚は身体から 「ディスカスミルク」 といわれる粘液を分泌して稚魚に吸わせます。
非常に長ったらしく、覚えにくい名前ですが、一般的には 「アーリー」 の名前で流通しています。
東アフリカのマラウイ湖固有種で、代表的なアフリカン・シクリッドの仲間です。
体長は成長しても15センチ程度、オスは濃いメタリックブルーの体表が非常に美しい魚です。
ムブナともよばれる、東アフリカのマラウイ湖、タンガニーカ湖に生息するシクリッドの仲間は獰猛な種類が多いですが、本種も例外ではありません。
この魚の繁殖形態も特殊で、 口内保育 (マウスブリーダー) を行います。
メスは産卵すると直ぐに口の中に卵を咥え、口内で孵化させます。
孵化した稚魚は、危険を察すると母親の口の中に逃げ込み、保護されます。
日本国内や東南アジアでも養殖されているため、比較的入手しやすい種類の魚です。
餌付けも容易で、飼いやすい魚といえますが、気の強い魚のため混泳には注意が必要です。
水質はアルカリ性が理想です。
体 長 : 12-13センチ
原産地 : アマゾン河水系 ギアナ
寿 命 : 5年以上
適正水温 : 24-28℃
適正水質 : 弱酸性
価 格 : 400円 ~
飼育難易度 : 普通
体 長 : 20センチ
原産地 : アマゾン水系
寿 命 : 5年以上
適正水温 : 27-30℃
適正水質 : 弱酸性の軟水
価格 : 4000円 ~
飼育難易度 : 難しい
体 長 : 15センチ
原産地 : 東アフリカ マラウイ湖
寿 命 : 5年以上
適正水温 : 25-29℃
適正水質 : 弱アルカリ性
価 格 : 400円 ~
飼育難易度 : 普通
これまで、生物学上の分類を中心に熱帯魚の種類を説明してきましたが、この分類に「古代魚」という分類はありません。
古代魚とは、古生代や中生代に繁栄し、今も絶滅することなく現存している魚類の総称ということになります。
いわゆる 「生きた化石」・・・海水産のシーラカンスが最も有名です。
古生代といえば、アンモナイトや三葉虫が繁栄し、中生代は恐竜が地球上を跋扈していた時代になります。
世界中の淡水域にも多く現存しており、アロワナの仲間、 ガーフィッシュ や アミアガルバ の仲間、 チョウザメ や ハイギョ の仲間などが該当します。
例えば、ハイギョの仲間など魚類というより爬虫類に近い姿形をしており、太古のロマンを感じます。
比較的に大型になる種が多く、世界最大の淡水魚として知られる ピラルク も古代魚 (アロワナ目)に含まれます。
姿もそうですが、習性も変わっているものが多く、愛好家の心を掴んでいます。
それでは、代表的な古代魚の仲間について個別に説明していきましょう!
アロワナ目に属する古代魚の仲間は多数存在しますが、ここでは狭義のアロワナについて解説します。
古代魚というより熱帯魚の種類について説明するにあたり、アロワナを解説しないわけにはいきません。
前述のディスカスと双璧をなす高級熱帯魚であり、愛好家の非常に多い魚です。
水槽のなかを、優雅にゆっくり泳ぐ巨体は、さすが熱帯魚の帝王の貫禄があります。
アロワナの仲間は、南米アマゾン水系のほか、アジア・オーストラリア・アフリカと世界各地に生息しています。
そのうち、 シルバーアロワナ と ブラックアロワ ナは南米地域、 レッドアロワナ と グリーンアロワナ は東南アジア地域に生息しています。
アフリカには ナイルアロワナ が棲み、オーストラリアに生息しているのは、 「ノーザンバラムンディ」 という名前で流通していますが、アロワナの仲間です。
アジアアロワナについては、原産地で生息数が激減したため、 ワシントン条約規制対象 となり入手は難しい状態になっております。
そのため非常に高価となっており、個体によっては、1匹数百万円以上する場合もありますが、その独特の美しさは見応えがあります。
特に中国では、「縁起のよい魚」といわれ、「龍魚」の名称で絶大な人気を誇っております。
一般的に普及しているアロワナの種類は、南米原産のシルバーアロワナ、次いでブラックアロワナということになります。
特にシルバーアロワナは稚魚なら、1000円程度で入手することができます。
人気の高いブラックアロワナの稚魚でも、シルバー種より若干高めですが、5000円位で入手可能です。
アロワナを飼育する際に大変なのは、飼育する際の費用が高額になってしまうことです。
成長が早く、1年で30センチ位となるため、最大180センチ程度の水槽が必要になります。
加えて、基本的に生き餌を食するため、餌代だけで、毎月1万円程度の出費が必要になってきます。
稚魚が安く入手できるとはいえ、実際の飼育には金銭面を含め、相当の覚悟がないと難しい魚といえます。
またジャンプ力が強いので、水槽のフタを閉めるだけでなく、重しが必要になってきます。
ゾウの鼻のような突起を持ち、姿もユーモラスなエレファントノーズフィッシュ。
アフリカ大陸原産のアロワナ目モルミルス科に属する古代魚の仲間です。
ゾウの鼻のようにみえるのは、鼻ではなく実際には下あごであり、この下あごを器用に利用して泥の中にいる餌を探し当てます。
この魚のもうひとつの特徴は 「発電」するということ・・・尾の部分に発電機を持っていて、レーダーの役目を果たしています。
そのため、近縁種と混泳させると磁気が狂う危険性があり、単独飼育が理想的です。
おっとりしているように見えますが、夜行性のために夜間は活発に動き回り、飛び出し死亡事故が多発しています。
飼育するにあたっては、水槽のフタに小さな隙間すらないよう密封する必要があります。
餌もフレーク状の人工餌を食べることができないため、アカムシなどの生餌が基本となります。
日本語に直訳すると 「チョウチョウウオ」ってことになりますが、海水産のチョウチョウウオとは姿形も全く異なる古代魚の仲間です。
チョウチョウというよりか、むしろガに近い感じもしますが・・・。
アフリカ中部のニジェール川やザンベジ川原産で、成長しても、15センチ程度の小型の魚です。
この魚の特徴は、発達した胸ヒレで、トビウオのようにジャンプできること・・・飛ぶ事はできませんけれども。
自然界では、水面に落ちた昆虫などを食べて生活しています。
飼育下でも水面でじっとしているこが多く、水槽の中層以降に遊泳することはありません。
飼育するうえでの注意事項としては、水槽のフタはしっかり閉めておくこと、および餌は水面付近に浮かせることとなります。
そのため、フレーク状の人工餌にも慣れるようになります。
ん・・・黒幽霊?
いかにも不気味な魚です・・・真っ黒な身体で、ヒレだけが波打って、じいっとしている。
夏場の水族館の怪奇魚企画などで、前述のブラインドケーブと並んで常連のため、ご存じの方も多いと思います。
この怪魚、ブラックゴーストは南米アマゾン水系原産のデンキウナギの仲間なのです。
目は退化しており、ほとんど見ることができないかわりに、身体から電磁波を発生され、周囲の状況を感知しています。
夜行性の魚であり、昼間はじっとしていますが、夜になると活発に動き回ります。
成長は遅いですが、最大30センチ位までおおきくなる魚です。
エレファントノーズフィッシュと同じように、近縁種と混泳させると電波が狂うため、単独での飼育が望ましいです。
性格は臆病な反面、他の魚にちょっかいを出すような自己中心的な(?)魚です。
近縁種に、茶色い身体の 「ブラウンゴースト」 も存在します。
体 長 : 80センチ以上
原産地 : アマゾン河水系
寿 命 : 10年以上
適正水温 : 26-30℃
適正水質 : 弱酸性~中性
価 格 : 1000円 ~ (※稚魚の場合)
飼育難易度 : 普通
体 長 : 20センチ
原産地 : アフリカ中部
寿 命 : 5年以上
適正水温 : 22-28℃
適正水質 : 弱酸性~中性
価格 : 1000円 ~
飼育難易度 : 普通
体 長 : 15センチ
原産地 : ニジェール川 ~ ザンベジ川
寿 命 : 3年以上
適正水温 : 25-27℃
適正水質 : 弱酸性~中性
価 格 : 1000円 ~
飼育難易度 : 普通
体 長 : 30センチ以上
原産地 : アマゾン水系
寿 命 : 10年以上
適正水温 : 24-28℃
適正水質 : 弱酸性~中性
価 格 : 1000円 ~
飼育難易度 : やさしい
淡水と海水が混じり合う水域~河口付近を汽水とよび、このような環境下で生息している魚が気水魚です。
国内では、ハゼやボラ、スズキやクロダイなど釣りの対象魚としても有名な魚がこの部類に入ります。
おおむね塩分濃度が 0.05-3%の水域が汽水域となり 、この水域に生息する魚には塩分が必要となってきます。
もともとは海水魚であったものが淡水での環境耐性をもった種類が多いので、海水の方が調子のよい魚も存在します。
海水魚にルーツがある魚も多く、淡水フグ、淡水カレイ、淡水エイ・・・果ては淡水アンコウなんて種類もいるのです。
この気水魚の仲間の区分けも、古代魚の場合と同様に生物学上の分類ではありませんので、多種多様な魚が含まれます。
それでは、代表的な気水魚の仲間を個別に紹介していきましょう!
気水魚の代表格で、最も人気のあるポピュラー種といえば本種でしょう。
ホームセンターの熱帯魚売り場などでも身近に販売されていることが多く、安価のうえに愛らしいので、思わず衝動買いしたくなってしまいそうです。
このミドリフグは東南アジア原産で、成長すると、15センチ位の大きさになります。
性格はきつく、他の魚を追いかけまわしたり、ヒレをかじったりすることがありますので、単独飼育が理想的です。
なお、 ミドリフグについてもっと詳しく知りたい方はこちら の記事もご覧ください。
古くから知られる珍魚で、「テッポウウオ」の名称で有名ですが、英語では、アーチェリーの射手となります。
この魚の特徴は、口に含んだ水を飛ばし、昆虫などを撃ち落として捕食する習性にあります。
その飛距離は、1メートル以上に及ぶことがあります。
東南アジア~オーストラリア周辺まで広く存在し、成長すると、30センチ以上になります。
餌を撃ち落とさなくてもすむ飼育環境下では、冷凍のアカムシや乾燥エビなどを与えれば食します。
性格はややきつく、口に入ってしまうような小型種は食べられてしまいますので、単独飼育が理想的です。
水中と水上を同時に見れるような特殊な目の構造で、目が4つあるようにみえることから名付けれられた珍魚。
中南米に生息する大型の卵胎生メダカの仲間・・・グッピーと同じ仲間になります。
目の他にも生殖器も特殊な構造で、オスもメスも生殖器が右向きと左向きがあって個体によって異なり、生殖器の位置が合致する個体同士でないと繁殖できないのです。
30センチを超える大型となり、水質管理も難しいため、飼育難易度は高い魚といえます。
ヒメツバメウオは海水産の美しい魚で、「モノダクティルス」あるいは略して、「モノダク」の名前で流通しています。
インド洋~太平洋の沿岸地域に生息しておりますが、熱帯地域のマングローブの汽水地域でも生息が確認され、淡水耐性の高い魚といえます。
モノダクの名前で流通している幼魚は、気水魚として販売されていますが、成長に従い海水飼育に切り替えた方が調子がよくなります。
30センチ近くに成長し、多少気の荒い面があるので混泳には注意が必要です。
体 長 : 15センチ
原産地 : 東南アジア
寿 命 : 10年以上
適正水温 : 22-28℃
適正水質 : 弱アルカリ性 (※ 要人工海水)
価 格 : 300円
飼育難易度 : 普通
体 長 : 30センチ
原産地 : 東南アジア~豪州までの河口域
寿 命 : 3年以上
適正水温 : 25-30℃
適正水質 : 弱アルカリ性 (※要人工海水)
価格 : 1000円 ~
飼育難易度 : 普通
体 長 : 30センチ
原産地 : 中南米
寿 命 : 2年以上
適正水温 : 23-28℃
適正水質 : 弱アルカリ性 (※要人工海水)
価 格 : 20000円 ~
飼育難易度 : やや難しい
体 長 : 30センチ
原産地 : インド洋 ~太平洋の沿岸地域 汽水域
寿 命 : 7年以上
適正水温 : 24-28℃
適正水質 : 弱アルカリ性 ~ 海水
価 格 : 1000円 ~
飼育難易度 : 普通
いかがでしたでしょうか?
ひとことで熱帯魚といっても、多種多様で魅力のある魚が多いことがわかっていただけたと思います。
これからも、熱帯地域の未知なる水域から、新種が発見される可能性も高いでしょう。
遠い南米やアフリカ原産の魚も、養殖技術の発展によって、安価で入手しやすくなってきました。
品種改良も進み、人間の嗜好に適合する品種、より飼育しやすい品種が増えることになりました。
その反面、その魚が本来もっていた特性が失われつつあることも忘れてはなりません。
自宅のひとつの空間に、遠い熱帯地方の環境が再現されるのは、楽しくてロマンを感じます。
ここまで読んでいただき、いろいろな種類の熱帯魚に興味をもって、ご自身だけのアクアリウムを作って頂けたら幸いに思います。