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熱帯魚と称されるものは、観賞魚のうち、原産の生息地域が熱帯から亜熱帯の淡水域である種類の魚を指します。
それゆえ、同じ外来種でも北米原産のブラックバスやブルーギルなどの仲間は熱帯魚ではありません(例外的に、チョウザメの稚魚などを古代魚として熱帯魚に含めるケースもあります)。
また、熱帯地域の海水域に生息している種類は、一般的に「海水魚」に区分けされて熱帯魚には含みません。
それでも、改良種を含めて1,000種類近くの熱帯魚が流通されていると言われています。
これからも、未だ発見されなかった新種が追加されていく可能性も高いと言えるでしょう。
本記事は、読者の方に熱帯魚の種類や分類方法に関して体系的に理解して頂くことを目的としています。
非常に長いですが、ぜひ最後までお付き合いください。
また、熱帯魚を飼育されている、あるいはこれから飼育されるという方には下記記事もおすすめです。
合わせてご覧頂けると、より熱帯魚に関する知識が深まることでしょう。
→ あなただけのアクアリウムを作ろう!熱帯魚の飼い方とおすすめの種類まとめ
→ 熱帯魚の餌の種類、違いと与え方を解説。おすすめ餌ランキングも!
→ 可愛い熱帯魚を守るために!病気の種類と予防、対策、治療方法まとめ!
東南アジア周辺に生息している熱帯魚は、コイ・ドジョウの仲間を中心に広く流通しています。
なかでもこの地域の魚として繁栄しているのは、アナバス。
キノボリウオの仲間です。
この種類の魚は特殊な呼吸器官を持っており、酸素がない厳しい状況下でも空気呼吸をすることができる強い生命力があります。
人気の高い ベタ やグラミーなどは、このアナバスの仲間に属します。
また、この地域の河口地帯には、 ミドリフグ など淡水フグの仲間や、テッポウウオも生息しています。
生命の宝庫といわれるアマゾン河。
支流も含めれば、地球上の淡水域の1/4を占めるといわれるほど非常な流水面積を誇るこの大河には、 ネオンテトラ 、 エンゼルフィッシュ 、あるいはピラニアなど熱帯魚の代表種が幅広く生息しています。
ナマズの仲間も繁栄を極めており、各種 プレコ 、 コリドラス から大型ナマズまで、種類も豊富です。
世界最大の淡水魚である ピラルク や アロワナ 、 ディスカス など高級魚に分類されるもの、 グッピー の仲間などもこの地域の出身者です。
このエリアは、まさに熱帯魚の宝庫ともいえるでしょう。
また、メキシコの洞窟域には、ブラインドケーブフィッシュなる不気味な珍魚が生息しています。
人類発祥の地とされ、地上ではゾウや キリン など野生動物の宝庫であるアフリカ大陸。
東部のタンガニーカ湖やマラウイ湖には、カワスズメの仲間は繁栄を極めています。
また、東部の乾燥地帯には、ハイギョといわれる変わり種も生息しています。
西アフリカの大河、コンゴ河には美しいコンゴテトラをはじめ、サカサナマズなど珍魚、あるいはエレファントノーズなど古代魚といわれる魚が数多く生息しています。
卵生メダカといわれるカラフルな メダカ も、この地域特有の魚のひとつです。
厳密にいえば、熱帯地域とはいえないエリアに分類されるかもしれませんが、特異な性質や形状を持った魚を熱帯魚に含める場合もあります。
オーストラリア周辺にはレインボーフィッシュの仲間が繁栄し、古代魚であるアロワナの仲間のノーザンバラムンディが生息しています。
北米エリアには、ガーフィッシュ、アミアガルバなどの古代魚の仲間が生息しており、これらの種類も熱帯魚として扱われます。
また、ロシアから輸入されるチョウザメの稚魚も、やはり熱帯魚の仲間として扱われています。
このように、原産地によって熱帯魚の種類を分類することは、アクアリウムをする際には興味深い目安にはなります。
例えば「アマゾン河の魚」とか 「アフリカ・マラウイ湖のカワカワスズメの生態」とか原産地を再現する方法も面白いと思います。
しかし残念なことに、生息地による分類だけでは、個々の熱帯魚の特徴・性格がわかりません。
熱帯魚の種類を成魚の大きさによって分類する方法もあります。
実際に熱帯魚を飼育する際に用意しなければならない水槽の大きさや装置を選ぶ基準となるためです。
ショップなどで販売している個体が幼体である場合、実際の大きさが小型種程度の場合がありますが、成長したら中~大型になる場合もあります。
アロワナやチョウザメの稚魚などがその典型的な例で、10センチに満たない個体が販売されていますが、成長すれば1メートルを超えます。
ここでは、販売店などで基準としている成魚の大きさによって分類を紹介していきます。
成魚の大きさが、10センチ未満の種類が小型種の大方の基準となります。
グッピーやプラティなどメダカの仲間および、テトラと呼ばれる小型カラシンの仲間およびコリドラスなど小型ナマズの仲間が該当します。
比較的飼育のやさしい種類が多く、45〜60センチの小型の水槽で飼育可能なため、熱帯魚の入門魚としては最適です。
成魚の大きさが、10センチ以上30センチ未満の魚が中型魚の基準となります。
エンゼルフィッシュ、ディスカスをはじめ、大多数の熱帯魚が中型種までの大きさに該当します。
小型種との混泳も可能な種類も多いのですが、攻撃的な性格のものや魚食性の高い種類の魚も少なくないので注意が必要です。
種類にもよりますが、飼育難易度も難しい魚が増えてきているので、ある程度熱帯魚の飼育経験を積んだ方の方が取り組みやすいといえます。
成魚の大きさは30センチ以上になる魚が基準となります。
先に紹介したアロワナやチョウザメの他に、アマゾン原産の大型ナマズである レッドテールキャットフィッシュ や、東南アジア産のナマズであるカイヤンなどの稚魚を飼う場合は大型になる覚悟をしてください。
また、ハイギョなど古代魚の仲間や淡水エイなども大型になり、この種類に属すものが多く存在します。
飼育にも大型の水槽や設備投資が必要となり、餌代もかかります。
飼育が難しい種類が多く、上級者向けの種類といえるでしょう。
熱帯魚を水槽で飼育する際に考えたいのは、飼いたいと思っている魚が、通常どの辺りで遊泳しているのかを確認することです。
アクアリウム で混泳を考えた場合、遊泳位置をバランスよく配置した方が見栄えもよくなりますし、魚の遊泳範囲も広がります。
グッピーなどメダカの仲間は比較的表層を好む傾向があります。
古代魚の仲間では、アロワナやバタフライフィッシュ、気水魚のヨツメウオなども表層を定位置にしている魚です。
コイの仲間、カラシンやシクリッドなどほとんどの魚が中層域を遊泳しています。
そのため、混泳を考えた場合、過密状態にならないよう注意を払う必要があります。
ドジョウの仲間やコリドラスなどナマズの仲間は底層を好みます。
これらの魚は、スカベンジャー(掃除屋さん)と呼ばれ、表層~中層の魚の食べ残しを食べてくれる魚としても重宝されます。
変わり種では、淡水カレイ、淡水エイなども底層を定位置にしています。
熱帯魚を飼育するうえで、水質の管理が一番重要になってきます。
水温については、25〜28℃位の温度が一般的な基準値になっていいるため、ヒーターでおおよそ 26℃ 位の温度を保てば、ほとんどの熱帯魚は適応できます。
しかし、これからご紹介する水質・適正pHについては、その魚に適した値でないと体調を崩したり、最悪の場合は死んでしまうこともあります。
具体的には、熱帯魚の飼育図鑑などに載っている酸性やアルカリ性の適合水質のこと指します。
まず pH(ペーハー)とは、その水に含まれる水素濃度イオン指数のこと です。
この指数は小さいと酸性となり、大きくなるほどアルカリ性に近付いていきます。
アクアリウム上のpH濃度の基準は、おおよそ下記の値が対象になっています。
ちなみに、水道水からの水の平均的なpH濃度は6.8〜7.2程度、だいたい中性を保っているといえるでしょう。
しかし、魚の糞や餌の食べ残しなどが水槽内に蓄積すると、硝酸やリン酸が発生し、水質は酸性に近付いていきます。
実際に水槽内の水質がどの程度の水質なのかを確認する方法として、理科の実験で有名なリトマス試験紙、あるいはテスターなどが市販されています。
測定の結果、飼育する熱帯魚の水質でなかった場合、調整するには下記の方法があります。
などの方法が考えられます。
などの方法が考えられます。
アマゾン河の水質は弱酸性の軟水なので、アマゾン河出身の魚は酸性の水質を好む魚が多いです。
また、東南アジアの主要な河川も弱酸性なので、下記アルカリ性水質を好む魚以外はほとんど酸性気味で調整して問題ないでしょう。
アフリカのマラウイ湖・タンガニーカ湖はアルカリ性水質だといわれます。
こうした湖に生息しているカワスズメ (アフリカンシクリッド)の仲間はアルカリ性水質を好みます。
グッピーやプラティの仲間など中米産の魚の中には、弱アルカリ性の水質を好む種類もいます。
また、汽水域に生息している魚で、淡水域に近い生活範囲のものも、アルカリ性水質が理想的な環境といえます。
最終更新日 : 2024/07/11
公開日 : 2016/11/25