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犬 に寄生するダニは、主に4種類に分けられます。
これらのダニが寄生することにより、犬の皮膚にかゆみや炎症、貧血といった症状をもたらします。
最悪の場合、症状が悪化してしまうと命の危険もある恐ろしい寄生虫です。
それでは詳しく解説いていきます。
犬に寄生するダニの中で最も身近なダニです。
森や草むらに生息しており、散歩中やドッグランで遊んでいる時に寄生します。
活発に活動する時期は5月~9月の暑い時期ですが、1,2月以外は活動しているため注意が必要です。
吸血するタイプのダニで最初は1ミリ程度の大きさですが、吸血前の体重と比べて100倍~200倍に膨れ上がり、肉眼でもはっきりと確認できます。
寄生すると口の一部を皮膚に埋め込み吸血するため、簡単には剥がれません。
数匹のダニが成犬に寄生していても、吸血される量によって貧血になることはありません。
ただ、体格の小さな子犬が大量に寄生されると血液を吸われるため、貧血症状を引き起こします。
また、吸血された個所から菌が入り、感染症や皮膚炎を起こします。
アレルギー性皮膚炎はマダニが分泌する唾液が原因でかゆみを伴います。
その他、マダニを媒介にして様々な病気に感染することがあります。
発熱、食欲不振、起立不能など引き起こすライム症。
犬で症状が出ることはごく稀ですが、人では遊走性紅斑という特徴的な皮膚の症状が出ます。
発熱、元気消失、食欲不振を引き起こすエールリヒア症。
特に注意が必要なのは、バベシア症とマダニから人に感染する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)です。
こちらについては後述します。
マダニは肉眼で確認できるので、発見した際は一刻もはやく取り除きたいものです。
しかし、口の一部が皮膚に埋没しているため無理やりはがすとその部分が残ってしまい、化膿する原因になります。
見つけた場合は獣医師の診察を受けるか、専用のピンセットで慎重にとるようにしましょう。
また、駆除薬を使用することでも取り除けます。
皮膚炎や嘔吐、発熱などの症状がみられる場合にはすぐに獣医師の診察を受けるようにしてください。
マダニは草むらや背の高い茂みなどに生息しています。
散歩の際や、屋外で活動するときは、草むらを避けることが大事です。
また、日ごろのブラッシングやボディチェックはマダニの早期発見にも繋がります。
住む地域の気候とマダニの生息状況によって予防時期が異なりますが、基本的に暖かくなってきたら月に一度のノミ・ダニ予防薬の投与を行いましょう。
バベシア症とは、マダニを媒介にするバベシア原虫が赤血球に寄生することで起こる病気です。
症状は40℃以上の高熱、血尿、重度の貧血があります。
一度感染すると根絶すことはなく、体内に永続的に寄生します。
治療方法としては抗菌剤を投与して、体力の回復を待つことです。
また、免疫などが低下した際には症状が再発することがあります。
一番の予防法はマダニに寄生されないように対策を取ることです。
人がマダニにかまれた際に感染する病気で、2011年に中国の研究者によって発見されました。
マダニが保有するSFTSウィルスが噛まれて体内に入ることにより感染します。
症状は発熱、嘔吐、意識障害や神経障害など出血症状を伴う場合もあります。
最悪の場合死に至ることもある恐ろしい病で、現在有効なワクチンはありません。
マダニにかまれないように愛犬ともども予防することが大事です。
もし嚙まれてしまった場合は、無理に引き抜こうとせず、皮膚科を受診するようにしましょう。
大きさは0.4ミリ~0.6ミリと肉眼でも確認できるサイズです。
種類は「イヌツメダニ」、「ネコツメダニ」、「ウサギツメダニ」などがいます。
身体の前方にかぎ爪を持っているのが最大の特徴で、このかぎ爪を使い宿主の皮膚に寄生します。
別名「歩くフケ」とも呼ばれていて、白いのが特徴です。
かぎ爪で傷つけた皮膚より体液やリンパ液を摂取して寄生します。
ツメダニに寄生されるとツメダニ性の皮膚炎を起こします。
その最大の特徴は、大量のフケです。
左右対称に脱毛する、カサブタ、ただれ、かゆみなどが主な症状です。
その他、足先や鼠径部、しっぽの付け根などに症状が出る場合が多いです。
まずは獣医師の診察を受けましょう。
その後、ダニの駆除薬を投与し、皮膚の改善を図ります。
薬用シャンプーやブラッシングをすることにより、皮膚の状態を改善していきます。
ツメダニは住宅にも侵入するダニです。
こまめな掃除や愛犬の定期的な シャンプー 、ブラッシングで被毛を清潔に保つことです。
また、ツメダニは人にも感染するダニですが、人の皮膚の上では生きていくことができません。
部屋の中に殺虫スプレー(ペットOKの自然素材のもの)を噴射するなど、ダニが繁殖しにくい環境をつくることが大事です。
ヒゼンダニとは別名疥癬(かいせん)とも呼ばれるダニです。
肉眼では確認することができない厄介なダニと言えます。
感染した犬の皮膚に取り付き、角質層にトンネルを掘り「疥癬トンネル」を作り出します。
そこで繁殖、排便をして生活します。
犬の角質層まで侵入するため発見が困難で、皮膚病変を削って顕微鏡検査をします。
このため、発見まで時間を要し、重症化してしまうケースもあります。
ヒゼンダニに感染されると最大の症状は強いかゆみを伴います。
中にはかゆみのため鳴き続ける犬もいます。
また、脱毛や赤い発疹、カサブタなどが出ます。
足先や肘、膝、おなかなどの柔らかい部分を中心に発症します。
ヒゼンダニが耳に寄生したものを「耳ダニ」と呼びますが、こちらは後述します。
まずは獣医師の診察を受けましょう。
アトピー性皮膚炎やその他の皮膚病と症状が似ているため、誤解されやすいです。
一番は、早く顕微鏡検査でダニを発見して対応することです。
ダニを発見した場合は、主に注射によるダニ駆除薬を投与します。
ヒゼンダニは角質層に入り込むため、治療の効果が出るまで一か月ほどかかる場合があるため、根気よく治療しましょう。
多頭飼いの場合はすぐに隔離するようにします。
人にも感染しますので、症状のある子に触れた際は、十分に消毒してください。
また、皮膚を清潔に保つことも大事です。
日々のブラッシングやシャンプーは定期的にしましょう。
耳に感染するヒゼンダニ(ミミヒゼンダニ)に感染すると発症します。
こちらも強いかゆみを伴い、最大の特徴は真っ黒でべったりとした厚みのある耳垢です。
ミミヒゼンダニが耳に侵入すると、その排泄物や分泌物により耳垢が黒く変色します。
症状が進むと首が傾いたり、外耳にも炎症がみられます。
また、耳垢をよく観察するとダニが動いている様子が確認できます。
治療法方は、ダニの駆除剤を耳に投与し、耳の洗浄を十分にすることです。
しかし、一回の洗浄ではなかなかダニを駆除しきることはできず、継続的な治療が必要になります。
ニキビダニは0.2ミリ~0.3ミリほどの寄生虫で、犬の毛穴に住んでいるダニです。
基本的にどんな犬もニキビダニを持っていますが、犬の免疫力がしっかりしているので大きな問題にはなりません。(人にもヒトニキビダニが毛穴に住んでいます。)
すべての犬が発症するわけではなく、抵抗力の弱い子犬や免疫の落ちた老犬などに発症しやすいです。
病気の治療でステロイドなどの免疫抑制剤を服用していたり、担癌犬(ガンをもっている犬)に出やすい傾向があります。
毛包に潜むことから、別名「毛包虫(もうほうちゅう)」とも呼ばれています。
ニキビダニ症は別名アカラス症とも呼ばれ、目や口の周り、手足の関節部に出やすいです。
痒みは強く、掻き壊しているうちに脱毛し、二次感染(ばい菌が増える)からジュクジュクと浸出液が出ることも。
放置すると症状が全身に広がることもありますが、基本的には好発部に留まります。
顕微鏡でニキビダニを発見します。
ダニの駆除薬の投与、薬用シャンプーの並行して治療をします。
また、ニキビダニに対してはフィラリア予防薬が有効な場合があり、そちらを投薬して経過観察することがあります。
重症な場合には、注射や毎日の飲み薬が適応になります。
基本的に三カ月ほどの投与が必要です。
二次感染が見られる場合は、先にそちらの治療も並行して行います。
アカラス症の治療は根絶が難しく、一度症状が落ち着いても再発する場合があります。
治療には根気と時間がかかります。
特に免疫力の低い老犬の場合には継続的な治療が必要です。
アカラス症はニキビダニに感染していても、その症状がほとんどです。
子犬や免疫抑制状態の犬、老犬では発症することがありますが、免疫力をあげるというのは難しい問題です。
フィラリア予防薬の中にはニキビダニ症を防ぐ効果のあるものがあるので、獣医師に確認してフィラリア予防薬を選ぶようにしましょう。
これまで犬に寄生するダニを取り上げましたが、ここではマダニの駆除、予防に有効なフロントラインダニ駆虫薬についてご紹介します。
動物病院で手に入るノミ・マダニの駆除薬には、様々なタイプのフロントラインが販売されています。
最もポピュラーなもので、首筋(肩甲骨の間の部分)に垂らす液体タイプです。
アルコール分が強いため、稀に投与直後に不快感を感じる犬がいます。
1本使い切りで犬の体格・体重別に購入する必要があります。
ノミ、マダニに効果がありノミは24時間以内、マダニは48時間以内に成虫が死滅します。
また、投与するとおよそ効果が1か月間持続し、予防薬としても用いられます。
多くのスポットタイプがその前後のシャンプーについて注意事項があるので、獣医師に確認するようにしてください。
多頭飼いにおすすめです。
しかし、スプレー回数が十分でないと効果が薄くなってしまい、効力が継続しないので注意が必要です。
即効性があり、月齢の小さな動物にも使えることが多いのが特徴です。
食べるタイプの駆除薬です。
お肉タイプ(実際は大豆などを使用しているようです)でおやつ感覚の経口薬になっています。
スポットタイプで背中が禿げてしまったり、スポットの刺激を凄く嫌がって転げまわる犬にも、経口薬がおすすめです。
ノミを6時間以内、マダニには24時間以内に効力を発揮して、スポットタイプと比べてもすぐに効果が出ます。
こちらも1か月間効果が継続します。
今回は犬のダニについてご紹介しました。
愛犬の健康を守るのは、飼い主さんの大事な役割です。
本記事を参考に自分の愛犬にあったダニの予防方法を見つけて、健康で充実した愛犬との生活を送ることができれば幸いです。
これから犬を飼育しようか考え中の方は、ダニへの感染予防のために、暖かいシーズンには毎月の予防薬投与が必要だと把握しておきましょう。
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監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/04/07
公開日 : 2017/07/24