Top > 魚類/甲殻類/水生生物 > 海水魚/熱帯魚 > 熱帯魚の種類
本ページに掲載のリンク及びバナーには広告(PR)が含まれています。
8. ディスカスの飼い方 ~⑦飼育アイテム、餌、繁殖について~
④産卵後は、水質悪化を防ぐためにも餌はあまり与えないようにします。
⑥さらに 3日 ほどたてば、稚魚は ブラインシュリンプ を食べられるようになります。
⑦稚魚が無事に餌を食べるようになったら、親のディスカスを休めるために、別々の水槽に分けてあげましょう。
堂々とした姿が印象的なディスカスは、「 熱帯魚 の王様」です。
名前は聞いたことがあるけど、飼育は難しいのでは…?と、お思いの方も多くいらっしゃることでしょう。
確かに、飼育難易度は高めです。
しかし、多くの熱帯魚ファンがあこがれる魅力を持った魚でもあります。
ディスカスには、特徴的な飼育方法や多くの品種が存在しています。
「ディスカスハンバーグ」や「ディスカスミルク」など、聞き慣れない言葉もたくさん出てきます。
もはや、一熱帯魚を巡ってひとつの文化が形づくられているといっても、過言ではないかもしれませんね。
本記事では、そんなディスカスの奥深い魅力をお伝えするため、様々な基本データをご紹介致します。
合わせて具体的な飼育情報もご覧頂けますので、飼育をはじめたい方は必見です!
ディスカスは、南米の アマゾン川 に生息しています。
正式な発見がなされたのはアマゾン川に多くある支流のひとつ、ブラックウォーターが流れる浸水林の間です。
現地では 「黒い川」 と呼ばれています。
ここで、オーストリアからきた博物学者 ヨハン・ナッテラー により、ディスカスが発見され、捕らえられました。
これは、 1831年 から 1834年 の間のことだといわれています。
ナッテラーは、探検隊の一員として、オーストリアから派遣されていました。
ちなみに、探検隊が派遣されていたのは、オーストリア皇帝フランツ1世の娘、 レオポルディナ に関係があります。
レオポルディナは1817年にポルトガル王太子ペドロ(後のペドロ1世)と結婚するため、王太子がいたブラジルに嫁ぎました。
そのとき、オーストリアからフランツ1世の構成した探検隊が派遣され、レオポルディナとともに海を渡っています。
探検隊はブラジルの調査を終えると、3年ほどでオーストリアへ帰りましたが、ナッテラーは現地でさらに調査を続けました。
ブラジル入りから18年後の1835年、ナッテラーは捕まえた動物やディスカス含む魚たちを連れて、オーストリアに戻ります。
オーストリアでは、ナッテラーの持ち帰った動物たちの研究や分類が、ウィーン自然史博物館などでなされました。
ディスカスの正式な新種発表は、 1840年 に ヨハン・ヤコブ・ヘッケル という魚類学者によってされています。
「ディスカス」という命名もこの学者によるもので、これは 円盤 を意味しています。
確かに体形が丸く平べったいので、円盤(ディスク)を彷彿とさせますね。
一番最初に発見されたディスカスは、この丸い体に9本ほどのバンド(縞模様)が横切り、そのうち一本がひときわ目立っていました。
この品種は、命名者ヘッケルにちなんで ヘッケルディスカス と呼ばれています。
この発表後半世紀以上たってから、ほかのアマゾン川支流で珍しいディスカスが発見されていきました。
ヘッケルディスカスとは特徴が異なる、新たな品種のディスカスです。
こうして持ち帰られたディスカスは欧米などを中心に広まり、 20世紀初頭 には 繁殖 もされるようになりました。
もちろん、たくさんの改良品種が生み出されています。
さらに 20世紀後半 になると 日本 でも飼育が広まり、その魅力のとりこになる人が続出します。
もちろん当時は高額で取り引きがなされており、飼育の難しさもあいまって多くの人々があこがれる熱帯魚となりました。
そして現在、やや高額な品種もありますが、ペットショップなどで気軽に購入することができるようになっています。
とはいえ、ほかの熱帯魚と比べると、ややお高い印象ではあるようですね。
ディスカスには、飼育されるようになってからの長い歴史が存在します。
もちろん、繁殖もずっとされてきましたから、改良品種のバリエーションも豊富です。
ここでは、ワイルドディスカスを 4種類 と改良品種のものを 3種類 、合わせて 7種類 のディスカスをご覧頂きます。
ワイルドディスカス とは、いわゆる原種のディスカスです。
品種は多岐に渡っていますが、アクアリウムの世界では、生息域などから大きく 4つ に分けられます。
そのうち3種類(グリーン、ブルー、ブラウン)は、同じグループに大別されています。
また、どのディスカスも隣合った生息域での交雑が進んでいるため、似ている個体も多く見られます。
品種によっては、判別が難しいものもあるようです。
ともあれ、丈夫でディスカスらしい特徴を多くそなえており、魅力の多い品種ばかりです。
早速、独立したグループにある ヘッケルディスカス から見ていきましょう。
①歴史 の項目でご紹介したように、 ヨハン・ヤコブ・ヘッケル によりはじめて新種発表された品種が、この ヘッケルディスカス です。
原産地のアマゾン川では、 ブラックウォーター(黒い川) の流れる支流に多く生息しています。
そのため 弱酸性(pH5.5) の水質に適しており、 26~30℃ 前後の水温で飼育することができます。
このpH値はほかのディスカスに比べると低く、やや酸性よりの水質を好む傾向があるようです。
繁殖をさせる場合は、このpHをさらに低くすると成功しやすいといわれています。
成功すれば、上の写真のような、美しいバンドを受け継ぐ稚魚を育てることができるでしょう。
これは、通称 ヘッケルバンド とも呼ばれる、ひときわ鮮やかな黒いバンドです。
良く見るとこれのほかにも、いくつかバンドがありますよね。
多くのワイルド品種にはこのバンドがあるのですが、一部が目立つヘッケルバンドが現れるのは、このディスカスだけのようです。
体色は、青味を帯びたものや赤味のあるものなど、バリエーションがあります。
特に、頭部に青味がでる ブルーフェイスヘッケル は、普通より高額で取り引きされます。
こうした体色の違いを利用して、ヘッケルディスカスをもとに改良された品種も多く存在します。
お値段は、 8000~3万円前後 と、少々お高めです。
昔より流通量が少ないということも、影響しているのかもしれません。
とはいえ魅力の多いディスカスですし、何より歴史がありますから、オススメの品種です!
グリーンディスカス は、比較的流通量の多いワイルドディスカスです。
アマゾン川では、 一番上流の水域 に広く生息しています。
飼育の際は、 弱酸性(pH6.5) の水質に調整し、 26~30℃ 前後の水温にしましょう。
先のヘッケルディスカスに比べて、やや高めのpHに調整するのがコツです。
pHの違いからも分かるように、こちらはヘッケルグループとは別の エキファスキアタス というグループに分けられています。
ですので、薄いバンドは見られますが、ヘッケルバンドはありません。
しかし、個体によってはこのヘッケルバンドが現れることがあり、区別のために センター・バー などと呼ぶことがあるようです。
生息域が違うといっても、やはり同じ川にいる魚だから似てくることもあるのでしょう。
また、ヘッケルディスカスとは異なり、背ビレを縁取る黒い模様が比較的はっきりと表れます。
こちらは、 ブラックアーチ と呼ばれています。
さて、グリーンディスカスという名前ですが、お気づきのように全身が緑色というわけではありません。
これは、光の加減によって模様が淡いブルーに輝くことから来ているようです。
普通、体色は黄色味を帯び、バンドや個体によってはドット柄の 赤い模様 が見られます。
この赤い スポット模様 が多いほど、美しいディスカスとして価値が高まります。
こちらは体の中心に現れることが多いのですが、個体によっては ストライプ模様 が現れます。
これは、バンドを横切るように、垂直にいくつも現れます。
こうした細かな模様が、先にご説明したように、淡いブルーに輝くのです。
このブルーの輝きに全身を覆われた個体は、 ロイヤルグリーンディスカス として、高額な取り引きがなされます。
ショップなどでもなかなか、美しいロイヤル個体を見つけることは難しいようです。
気になるお値段は、 3000~2万円前後 となります。
高額なロイヤル個体ですと、 10万円以上 になることもあるようです。
グリーンディスカスと同じ エキファスキアタス に分類されるのが、この ブルーディスカス です。
ヘッケルやグリーンに比べてやや下流の、アマゾン川 中流域 あたりに生息しています。
そのため、 弱酸性(pH6.5) の水質に適しており、 26~30℃ 前後の水温での飼育がオススメとなります。
これは、グリーンディスカスのデータとほとんど同じですね。
実は、このエキファスキアタスに分類されている3つのディスカスは、遺伝的には同じ品種だそうです。
ヘッケルグループとの間にすら、違いがありません。
そのため、見た目の区別がつかないほど似通った個体も多く、ショップに行くと驚かれるかもしれません。
とはいえ、飼育者の間では一般的な分類方法ですから、覚えておいても損はないでしょう。
さて、ブルーティスカスは、その名の通り 青く光る模様 が特徴的で、水槽の中で美しく光ります。
これは、黄色や、やや赤味を帯びた体色に ストライプ模様 として現れることが多いようです。
グリーンディスカス同様、この模様の現れ方には個体差があります。
ほとんど体色が黄色で、わずかにストライプが見られるものや、全身に模様が散ったものなど様々です。
全身くまなく、青い模様に彩られた個体は ロイヤルブルーディスカス と呼ばれ、やはり高額で取り引きがなされます。
一般的な個体のお値段は、 1万~2万円前後 となります。
高額なロイヤル個体は、 10万円以上 することもあるようです。
ブラウンディスカス は、グリーン、ブルーと同じ エキファスキアタス に分類されるワイルド品種です。
アマゾン川ではほかの3種に比べて、 一番下流 に生息しています。
同じく 弱酸性(pH6.5) の水質に適しており、水温は 26~30℃ 前後が目安となります。
黄色い体色が特徴的ですが、ほとんどオレンジ色に近いですね。
写真のものには見られませんが、個体によっては バンド がしっかり現れます。
ブラックアーチ もしっかり現れることが多いので、典型的なワイルドディスカスの見た目になることが多いです。
一見地味にも見えてしまいますが、 レッドブラウンディスカス と呼ばれる、赤味の強い品種は人気です。
こちらは、通常より高額に取り引きがなされます。
また、同じ生息域ながら、やや上流で見つかる個体ほど赤味が強いといわれ、地名をつけてもてはやされることがあります。
アレンケールという場所で見つかった、 アレンカー・レッド が代表的です。
さて、お値段は、 2500~2万円前後 となります。
ほとんどの個体は、 3000円前後 で手に入れることができるようです。
改良品種とは、 ブリーディング が行われた品種のことです。
人間の手で繁殖させ、品種を改良させていくことをブリーディングといいます。
ディスカスの改良品種はたくさんあるのですが、ここでは代表的なものを 3種類 ご紹介していきます。
ターコイズディスカス は、ブルーディスカスから作出された品種であるといわれています。
ディスカスの改良品種がブームだった頃、大変多く出回っており、人気の品種でした。
一時期は改良品種といえばターコイズ、というほどポピュラーだったといいます。
そのため、改良品種のことを総じて 「ターコイズ」 と呼んだりもします。
その名の通り、青い宝石のような発色が美しい品種です。
ターコイズがこれほど主流になったのは、青系統のディスカスは改良がしやすいということが関係あるようです。
改良品種ということで、 比較的丈夫 でもあり飼育がしやすいといわれています。
ただ、 少々気性が荒い 個体が多いという情報もあるようです。
飼育の際は、 弱酸性(pH6.5) の水質に調整し、 26~30℃ 前後の水温で飼育しましょう。
お値段は、 2000~2万円前後 となっています。
もう少しお安い価格で手に入れることもできるようです。
透き通った青の体色に、赤い目が特徴的なのが、この ブルーダイヤモンド です。
アジア で作出された品種であるといわれています。
一時期は、ディスカスの代名詞ともいわれるほどもてはやされました。
(この状況は、前述のターコイズディスカスと似ていますね。)
もちろん今でも、変わらぬ美しさに根強いファンが多い品種です。
写真の個体は模様がありませんが、 バンド や ストライプ があったり、目に赤味が感じられない個体もあります。
模様がないほど美しいとされるので、バンドのあるものは、安価で取り引きがなされます。
一番価値が高いとされるのは、全身しっかりとしたブルーで、淡く発光しているような個体です。
特に美しい個体は、 スーパーダイヤモンド と呼ばれ、高値で取り引きがなされます。
ターコイズディスカス同様、 弱酸性(pH6.5) の水質に適しており、 26〜30℃ 前後の水温での飼育がベストです。
改良を重ねられたものは高温で飼育がされていますから、やや高めの水温でも大丈夫でしょう。
お値段は、 2000〜3万円前後 となります。
ホームセンターなどでは、バンドのある個体などが、もう少しお安く売られているようです。
ピジョンブラッドディスカス は、淡い赤色が美しい改良品種です。
ピジョンブラッド(鳩の血)という名前が印象的ですが、鮮烈な血の色ではなく優しい色合いですね。
ブルーが主体の改良品種がつくられた後、 タイ で作出、固定がなされました。
レッドロイヤルブルーディスカス から作出されたといわれています。
ブルー系の改良品種がひとしきり出回ると、飼育者たちは青い品種に充分満足しました。
そこに赤いディスカスが登場したので、目新しさから一気に広まっていったようです。
こうして、ディスカスの改良品種は、ブルー系と赤系のグループが主流となりました。
どちらにも、魅力にあふれた品種がたくさんいます。
確かに、水槽に二つの系統のディスカスが泳げば、かなり見応えのあるものになるでしょう。
こちらのピジョンブラッドディスカスも、色々な組み合わせが楽しめそうです。
飼育の際には、 弱酸性(pH6.5) の水質に調整し、 26~30℃ 前後の水温で飼育してあげてください。
さて、お値段は、 1000~5000円前後 となります。
価格にそれほど幅がなく、お手頃に購入することができるので良いですね。
前述した通り、ディスカスは 南米に位置するアマゾン川 の本流や、様々な支流に生息しています。
アマゾン川には黒や茶褐色の水がゆったりと流れ、あたりの熱帯雨林に浸水しています。
ディスカスは、そんな熱帯地方の水没林や、倒木の間を泳ぎまわっている熱帯魚なのです。
ただし、1匹で泳いでいるわけではなく、 群れをつくってグループで行動 しています。
ですから、飼育の際にはグループで水槽に入れてあげると良いでしょう。
また、 「熱帯魚の王様」 と称されるほどですから体形も立派で、体長は 16~20cm ほどにもなります。
青や赤、黄色といった幅広い体色を持ち、模様も様々なバリエーションが見られます。
このように、豊富な色や模様の美しさ、優雅な泳ぎ姿から多くの人があこがれる熱帯魚ですが、 飼育が難しい といわれています。
これは、ほかの熱帯魚に比べ水温や水質管理が難しく、色々な手間が多くかかるためです。
さて、ディスカスの特徴とはもちろん色々なものがあります。
一番特徴的なものは、 繁殖に関する行動 でしょう。
繁殖期になると、オスがメスにヒレを広げて美しさを誇示し、アピールをします。
求愛後ペアが誕生すると、二匹は 「ディスカスダンス」 と呼ばれる行動をとるようになります。
これは、お互いに向き合ってお辞儀のような格好をしたり、小刻みに体を震わせる行動です。
このダンスはペアになった後や、産卵の準備中、産卵後にも見ることができます。
産卵の準備中は、 卵を産み付ける場所の掃除をする 姿も見られます。
その間もペアのディスカスは、ぴったり寄り添ったりお互いにつつき合ったりするような、仲睦まじい様子を見せます。
また、すれ違い様にお辞儀をするような行動も見られるようです。
しかし、この後ディスカスたちは、さらに不思議な行動をとります。
なんと、親のディスカスが 稚魚にミルクを与える のです。
卵から孵ったディスカスの稚魚たちはしばらくすると、親魚にまとわりつくように泳ぎはじめます。
親魚はこのとき、 「ディスカスミルク」 と呼ばれるねばねばした液体を出し、稚魚に与えるのです。
これはオスメスともに見られる行動で、稚魚は一定期間、親から必要な栄養素をもらいます。
なんとも不思議な行動ですが、飼育者はこの「ディスカスミルク」を含む一連の繁殖行動を、観察する楽しみもあるのです。
飼育が難しいといわれるディスカスですが、お飼いになる際にはぜひ繁殖も成功させてみたいですね。
性格といってももちろん個体差がありますが、一般的にディスカスは 神経質 で 臆病 だといわれています。
これは、野生下で生きる ワイルドディスカス ほど強く表れる性格のようです。
ワイルド品種以外のディスカスでも、普通は何匹かでかたまって泳いでいないと怯えてしまいます。
もともと群れで暮らしている魚ですから、仲間がいないと不安なのでしょう。
ディスカスは特に神経質になっていたり不安を感じたりすると、 黒色に変化 することが知られています。
もしディスカスに本来の鮮やかさが見られない、と感じた際は、 何かストレスの原因がないか 探してみてください。
もし、何も原因が見つからないと思ったら、水槽の大きさに注目してみてください。
実は、ディスカスの数に対して水槽があまりにも広すぎると、警戒心を抱かせることがあるのです。
もちろん狭すぎてはいけませんが、適度な大きさの水槽であるかどうか、気をつけましょう。
流木 などを置いて、さりげない環境づくりをしてあげるのも良いですね。
このように警戒すると変色したり、仲間と一緒でないと怯えてしまうディスカスですが、少々 気性の荒い ところもあります。
特に、産卵前後のディスカスは 稚魚を守るためにしばしば攻撃的にもなる ようです。
こうした姿から、ディスカスは 母性本能や愛情が強い魚 だといわれたりもします。
たしかにミルクを与えたりと、愛情めいたものが感じられるディスカスですが、だからといってほかの魚に被害が及ぶのは避けたいですね。
繁殖期間中のディスカスには、なるべく刺激を与えずに、ストレスを感じない環境をつくってあげましょう。
(もっとも、繁殖期間中はペアの産卵を成功させるため、隔離水槽に入れることが多いです。)
しかし、中には繁殖期間中でなくとも、もともと気の強い個体がいることもあります。
こうした個体は、ほかのディスカスをいじめたりすることもあるようです。
ディスカスを選ぶ際に、性格まで見極めるのは難しいかもしれませんが、ある程度観察することは必要です。
できれば、体の大きさにも極端な差がでないように気をつけましょう。
普段から、どんなディスカスでものびのびとできる環境をつくってあげられると良いですね。
ディスカスの寿命は、 5~10年 くらいといわれています。
10年まで生きる例はあまりなく、これは特に長生きなディスカスだといえそうです。
いずれにしても、長生きをしてくれるようにしっかりお世話に励みたいものです。
きちんとした環境を整えて、繁殖にも成功すれば、次の世代のお世話もできることになります。
より長い期間をかけて、ディスカスと一緒に暮らすことも可能なわけです。
そのためにも、最初の環境づくりや設備選びは重要になります。
もちろん日々の水質管理や餌やりひとつでも、ディスカスの健康状態に影響してきます。
3ページ目の餌の項目でも述べますが、ディスカスは特殊な餌(ディスカスハンバーグなど)を食べる熱帯魚です。
それ故、特に配慮が必要となります。
餌やりは水質にも影響してくることですから、侮らずに注意してお世話したいですね。
熱帯魚の病気には、様々なものがあります。
特にディスカスは、特殊な病気にかかることもあるため、より注意しなければなりません。
ここでは、代表的なかかりやすい病気を 5種類 ご紹介していきます。
さらに、それぞれの病気に有効な薬もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
・原因…輸入魚などに多く、外部から持ち込まれた菌が繁殖し発症します。
水質悪化 なども、原因となります。
感染力が強く、ディスカス含むシクリッド類の熱帯魚に多く発症します。
・症状…体が黒ずみ、体表に白っぽいもやが現れます。
ヒレをたたんで、あまり動かないようになります。
・対策… エルバージュエース 、 観パラD などの薬による薬浴を行い、水換えをして1週間程度様子を見ます。
しかし、しっかりとした治療法はまだ確立されていません。
・原因… 鞭毛中 が体内に寄生することで発症します。
・症状…体表に白い異物が現れたり、白っぽい糞をするようになります。
体力が落ち、末期には腹部に水がたまってしまいます。
・対策…水温を 34℃ 前後に上げ、 フラジール などを使い薬浴をさせます。
虫下しハンバーグ も有効です。
・原因… 寄生虫 などが原因で発症します。
水質悪化 による発症も多いようです。
・症状…エラがはがれたり、ただれたり、部分的な体表異常が現れます。
また、エラに異常な動きが見られたり、片側だけ動いていなかったりすることがあります。
・対策… 塩浴 や 観パラD による薬浴が有効です。
また、金魚治療の民間療法にもありますが、 イソジン を使った薬浴も試されているようです。
・原因… 水質悪化 や餌の偏りによる 消化不良 などによって発症します。
・症状…腹部が膨張し、体力が落ちます。
食欲不振にもなります。
・対策…有効な治療薬などはありませんが、水温を上げ、水換えを頻繁に行いましょう。
普段からバランスの良い餌を与え、あげすぎには充分に注意しましょう。
・原因… 白点虫(イクチオフティリウス) という繊毛虫の一種が体表に寄生することで発症します。
水温低下 や 水質悪化 も原因となります。
・症状 …体表に、芥子粒ほどの大きさの白点が現れます。
かゆみが生じるため、体をこすりつけたりするようにもなります。
・対策 …水温の低い時期に発症しやすいため、水温を 32℃ ほどに引き上げます。
塩浴 や、 メチレンブルー などによる薬浴も有効です。
ディスカスはほかの熱帯魚に比べ、病気に打ち勝つ力があるといわれています。
確かに多くのディスカスは、丈夫に育ってくれます。
しかし、ディスカス特有の病気も多くあり、治療が難しいのも事実です。
繊細な水質管理も必要なディスカスは、色々な原因で健康を崩すことがあります。
だからこそ、飼い主さんの日々のお世話が重要となってくるのです。
少しでも異常を感じたら、すぐに病気を疑い適切な処置をしましょう。
また、ここでご紹介した対策方法は一例です。
原因など分からない場合は一人で抱え込まずに、専門の医師がいる病院に相談しましょう。
ご自分で、日頃から熱帯魚の病気について調べておくのも安心です。
熱帯魚全般の病気についてより詳しくお知りになりたい方は、ぜひ以下の記事もご参照ください。
この項目では、ディスカスの飼育に関する具体的な情報をご紹介していきます。
順番に、 1. 飼育アイテム 、 2. 餌 、 3. 繁殖について の内容を、オススメの商品などを交えながらご紹介していきます。
その際、飼育に関する重要なポイントや、生態にまつわる情報を一緒にご覧頂きます。
どの項目も、ディスカスに興味のある方に役立つものばかりですので、ぜひご覧ください!
水槽は、一番基本的で大切な飼育アイテムです。
素材が ガラス のもの、 アクリル のものなどがあり、大きさにもよりますがアクリル製が一般的です。
また、黒い縁(フレーム)ありの水槽よりは フレームレス のすっきりとした水槽が人気のようです。
もちろん見た目も大切ですが、サイズもとても重要です。
ディスカスの大きさ、数に合わせて最適な大きさのものを選ばなければなりません。
ディスカスの 幼魚 でしたら、 60cm水槽で10匹程度 は飼育できます。
10匹も飼うのは大変そうだと思われるかもしれませんが、群れで生活する魚ですから 最低でも5~10匹程度 での飼育が理想的です。
もちろん幼魚は成魚になりますから、成長後のことも考えて水槽の大きさを決めなければなりません。
成魚 でしたら、 60cmワイド水槽で5、6匹程度 を飼育することができます。
あくまで目安ですので、はじめての方はいきなりたくさん群泳はさせずに、しっかり環境を整えていきましょう。
もし、さらにたくさんのディスカスをお飼いになりたい場合は、その上のクラスの大きさの水槽が必要になります。
サイズとしては、 90cm や、 120cm などの水槽です。
90cm水槽 では 7、8匹程度 、 120cm水槽 でしたら 10~15匹程度 が目安となります。
このように、小型から大型まで様々な水槽があります。
ディスカスの数や成長具合を見定め、それに合わせて大きさを吟味していってください。
もし市販品ではサイズが見つからないようでしたら、オーダーメイドという方法もありますので参考にしてみてください。
(より大型の水槽の場合、この方法がとられるようです。)
多くの熱帯魚は水質を維持するためのフィルターを必要とします。
特にディスカスは、後述する餌の問題もあるため フィルターは必須 です。
フィルターといっても、どんなものがあるのか分からない、という方が多くいらっしゃることでしょう。
フィルターには、外に設置するものや上部に設置するもの、水中に直接投入するものなど、様々なタイプがあります。
もちろん、水槽の大きさや鑑賞目的に対して、それぞれ向いているフィルターというものがあります。
設置が簡単で手軽なものもありますが、ディスカスの場合はある程度しっかりとした濾過能力が必要となります。
ですので、水槽の縁に付ける小型の 外掛けタイプや、 手軽な 投げ込み式 のものはあまり向いていません。
もし 60cm水槽 でディスカスを飼育するのであれば、 いくつかのフィルターを組み合わせるのがオススメです。
例えば、 スポンジフィルター を 上部フィルター と併用させることができます。
また、 外部フィルター を使用することもできます。
こちらは濾過能力が高いのですが、詰まりを防ぐため、補助としてスポンジフィルターなどと連結されることをオススメします。
(上部フィルターとも併用できます。)
酸素の供給量も少ないですので、 エアレーション も併用しましょう。
もっと大きい 60cm以上の水槽 の場合は、さらにパワーのある オーバーフロー が一般的です。
(60~90cm程度の水槽でしたら、オーバフロー以外のフィルターを併用や複数使用することも可能です。)
水槽とセットになっているため、 オーバーフロー水槽 とも呼ばれます。
こちらは高価ですので、大型水槽の飼育をお考えの方は、あらかじめ調べておくと安心ですね。
ちなみに、ディスカスを飼う際の水換えの頻度は、このフィルターのパワーによっても変わってきます。
また、毎日換える必要はなく、頻度によって換水量を変えるのが一般的です。
目安としては、 3日~1週間程度に1回 くらいが良いでしょう。
(パワーの強いフィルターの場合は、1ヵ月に1回程度の水換えでも大丈夫です。)
もちろん環境によっても最適な頻度は変わってきますから、色々試してみるのも良いかもしれません。
ディスカス飼育の際には、保温器具が必要となります。
特に冬場は、水温が下がりやすいので保温器具が欠かせません。
しかし、ただ設置すればいいというわけではなく、成長過程によって水温を変える必要があります。
幼魚 の場合、適した水温は 30~32℃ と、やや高温です。
成魚 では、 26~30℃ くらいが適温とされています。
実は、野生下のディスカスはもう少し低温で暮らしているのですが、飼育の際は、鑑賞が目的のためやや高温で飼うのが一般的です。
というのも、水温を上げることでディスカスが活性化し、より美しく鑑賞に適した個体となるからです。
さらに、水温を一定に保っておくことで病気の予防にも繋がります。
保温器具を選ぶ際には、熱帯魚用で上記の温度に調節できるものを選びましょう。
危険な温度にまで上がりすぎないものを選ぶと安心です。
大型水槽の場合は、保温器具のパワーも大きいものを選びましょう。
また、水温を常に確認できるように、 水温計 があると安心ですね。
一般的に、ディスカスの水槽では床材や水草を入れないことが多いです。
このような環境の水槽を、 ベアタンク といいます。
これは、やはりディスカス飼育に伴う水質悪化のしやすさなどが理由です。
食べ残しや糞を取り除く掃除や、水換えを頻繁に行う(特に幼魚)ためにこの合理的な方法がとられています。
また、ディスカスを危険にさらさないため、よく観察できるようにとの意味合いもあるようです。
もちろん、絶対に床材や水草を入れてはいけない、というわけではありません。
特に最近では、飼育方法が確立されてきたため、水草水槽での飼育も増えてきました。
多少手間はかかりますが、水草に映えるディスカスはとても美しいものです。
さらに、水草には水槽内の環境を整える作用がありますから、ディスカスにより適しているのではないか?と注目されています。
オススメの水草は、 アヌビアス・ナナ や タイガーロータス 、 ミクロソリウム や エキノドルス などの丈夫な水草です。
ほかにも、 ルドウィジア や ロタラ・マクランドラ などの赤い水草もオススメです。
基本的には丈夫なものがオススメですが、気に入った水草をレイアウトするのが良いでしょう。
水草を設置する場合は、 CO2の添加を行う ことも、参考にしてみてください。
一方、床材には、色々なソイルやサンドなどがあります。
これらを試すのも良いですが、 ディスカス専用のソイル というものもあります。
はじめて飼育をされる方は、ぜひ参考にしてみてください。
ディスカスに与える餌は、大きく分けて 3つ あります。
ディスカスハンバーグ 、 冷凍アカムシ(生餌) 、 人工飼料 です。
聞き慣れない餌もあるかもしれませんが、これらをバランス良く給餌するのがポイントとなります。
特にこの3つの中でよく話題になるのが、ディスカスハンバーグです。
ハンバーグ、と聞いて不思議に思われる方もいらっしゃることでしょう。
もちろん、野生下のディスカスがハンバーグを食べているわけではないのですが…。
これは、飼育下でディスカスが大きく立派な個体になるよう、考え出された餌です。
主に、 牛のハツ などを使ってつくられます。
(中には、イトミミズなどの生餌がベースのハンバーグもあります。)
人間が食べるハンバーグとは違い生で、ペースト状なのが特徴です。
市販の冷凍のものを与えたり、手作りしたものを与えることができます。
手作りした方が、コストは削減できます。
以下に、手作りの方法を記述していきます。
まず、牛のハツの筋や脂肪を取った後、こまかい塊になるようざくざく切っていきます。
さらにそれを、フードプロセッサーなどに入れてペースト状にします。
こうしてできたものを、ジップロックなどで冷凍保存し、給餌のときに与えるのです。
手作りする際は、大量につくって保存できるようにしておきます。
ほかの肉を加えたり、 ほうれん草 や ビタミン剤 を添加することもできます。
ディスカスが虫に寄生されているときは、虫下しの錠剤を砕いて入れることも可能です。
(虫下しのハンバーグは市販でもあります。)
上記の方法でできたハンバーグをディスカスに与えることは、飼育の醍醐味です。
しかし、ひとつ注意点があります。
なるべく餌の食べ残しが出ないよう、あげすぎないようにするということです。
これはどの餌にもいえることですが、 特にディスカスハンバーグの食べ残しは水質悪化を招きます。
水質悪化は、ディスカスが不調になる原因ですから避けましょう。
食べ残しがあるようなら、ディスカスを刺激しない程度に取り除いてあげるのが良いです。
餌をあげるときは、少しずつ様子を見て、食べきれる量を与えてあげるように気をつけましょう。
次に、 冷凍アカムシ についてご説明します。
こういった冷凍タイプの餌は、 生餌 と呼ばれます。
これは、ディスカスが喜んでたくさん食べてくれます。
(もちろん、前述のハンバーグもそうです。)
ただし、食べすぎはディスカスの体長不良にも繋がります。
やはり、適度な量を与えることが大切になります。
最後は、 人工飼料 です。
これは、よくある熱帯魚の乾燥フードになります。
あまり食いつきはよくないようですが、偏食を避けバランスの良い給餌をするために、ほかの餌とともに与えましょう。
色揚げの効果があったり、必要な栄養素を含んでいたりします。
ハンバーグや生餌に慣れたディスカスに与えると、見向きもされないこともあるようです。
しかし、根気よく与えていきましょう。
また、このほかにもディスカス向きの餌は色々あります。
ほかの熱帯魚の食べる餌が意外にもディスカスに適していた、ということもあるかもしれません。
熱帯魚の餌についてもっとお知りになりたい方は、ぜひ、以下の記事も参考にしてみてください。
ディスカスを繁殖させることは、飼育の楽しみのひとつです。
もし繁殖に成功すれば、孵った稚魚を育てることもできます。
ここでは、簡単な繁殖の方法と流れをご紹介していきます。
繁殖期になるとディスカスはペアをつくりますが、どれがペアなのかよく観察する必要があります。
(一般的に、グループのディスカス 5匹あたりで1ペア が成立するようです。)
ディスカスがペアになりますと、一緒に行動したり、 「ディスカスダンス」 をするようになります。
(「ディスカスダンス」については、 ③特徴 の項目でご紹介致しました。)
お互いにお辞儀のような動きをしたり、すれ違い様にこの行動をすることがあります。
また、産卵場所を確保してそこを掃除する姿も見られるようになります。
いつもと違う行動をしているディスカスがいたら、よく注意して見てみてください。
しっかりとした高さのある、 60cmワイド水槽 などがオススメです。
床材などは特に入れる必要はありませんが、産卵場所となるものを入れなければなりません。
普通、産卵のための 産卵塔 を使うことが多いようです。
(同じような太さの パイプ などでも、代用可能です。)
繁殖水槽に移したディスカスたちは、とても神経質になっています。
水槽のまわりでは音を立てないようにし、 できれば水槽に暗幕などをかけてあげましょう。
繁殖水槽では、 pH6 くらいにするのがオススメですが、個体差があります。
(特に、 ヘッケルディスカス はこれより低いpHにしないとなかなか産卵しないようです。)
もし、これで無事ディスカスが産卵をすれば、成功です。
この後オスとメスが交代で、卵を守るようになります。
無事受精したようであれば、 卵は黒くなっていきます。
無精卵は白っぽくなりますが、親のディスカスたちが取り除いてくれます。
3日後 くらいに孵化しますが、それまで水換えも行ってはいけません。
卵から稚魚が孵ると、ディスカスたちは交代で見守りはじめます。
それまでは糸のようなもので産卵場所にくっついているのですが、自由に動けるようになるのです。
まもなく、稚魚たちは親の体に群れはじめます。
これを、 体着 といいます。
最初から体着を行うのではなく、稚魚たちは勝手に泳ぎだそうとしますが、親が口などで誘導して教え込むようです。
親の体に群れる稚魚たちは、体表からにじみ出る 「ディスカスミルク」 をもらいます。
こうして、稚魚は親たちから必要な栄養素を与えられます。
親は交代で、身を挺してミルクを与えます。
しばらくは、この ブラインシュリンプ を与えましょう。
それから徐々に、普通の餌に慣らしていきます。
この頃から、少し水換えも行ってあげます。
親魚たちはもとの水槽に戻して、ゆっくり休ませてあげるのが良いでしょう。
稚魚たちには大きく育つよう、 ディスカスハンバーグ などを豊富に与えます。
(もちろん食べきれる量を、 1日2、3回程度 与えます。)
この後は徐々に成長していく稚魚たちを、飼い主さんが親代わりで見守ることになります。
餌をたっぷりと与え、その分水換えを頻繁に行い、お世話をしてあげましょう。
ぜひ、ディスカスをお飼いの際は、上記の方法を参考にして、繁殖に挑戦してみてください!
英表記:Discus fish
原産地:南米大陸のアマゾン川
体長:16~20cm
品種:ワイルドディスカス(ヘッケルディスカス、グリーンディスカス、ブルーディスカス、ブラウンディスカス)
改良品種(ターコイズディスカス、ブルーダイヤモンド、ピジョンブラッドディスカスなど)
値段:ヘッケルディスカス8000~3万円前後、グリーンディスカス3000~10万円前後、ブルーディスカス1万~10万円前後、ブラウンディスカス2500~2万円前後
ターコイズディスカス2000~2万円前後、ブルーダイヤモンド2000~3万円前後、ピジョンブラッドディスカス1000~5000円前後
特徴:群れをつくって行動する、通称「熱帯魚の王様」。飼育が難しいといわれている。繁殖期間中「ディスカスダンス」を行い、産卵場所を掃除し、「ディスカスミルク」を稚魚に与えるなど特徴的な行動をする。
性格:神経質で臆病。気性が荒い面もある。愛情深いともいわれる。
寿命:5~10年
かかりやすい病気:ディスカス病(シクリッド病)、ヘキサミータ病、エラ病、腹部膨張症、白点病(繊毛虫イクチオフティリウス寄生症)など
入手のしやすさ:容易
本記事では、ディスカスの基本的知識に加え、具体的な飼育の情報をご覧頂きました。
堂々とした姿と、優雅な泳ぎ姿が美しい熱帯魚の王様、ディスカス。
ここでご紹介したもの以外にも、個性的で美しいディスカスは、まだまだたくさんいます。
ぜひこれを機会に、魅力あふれるディスカスを見つけて、お飼いになってみてください。
最終更新日 : 2021/05/14
公開日 : 2017/04/15