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ブリーダーの定義とは、 犬 ・ 猫 を中心とする動物の血統からなる交配・出産・繁殖を手掛け、品質を向上させる目的で行われる繁殖行為のことです。
ブリーダーは動物愛好家であり、その動物種や品種を心から愛し、良い環境で育て、質の良いペットを生み出すために日々の努力と勉強を重ね、その親から子どもを繁殖させて育てます。
犬のブリーダーには、自分の愛する犬種のみの犬質向上を目的とし、長期に渡りブリーディングを重ね、作出した犬をドッグショーや品評会などの場で評価してもらうことを重んじる真の愛犬家の方たちもいます。
ようするに、ブリーダーとは動物愛護の精神が強く、本来のブリーダーとは、決して営利目的で行われるものではありません。
犬の場合では、犬種の流行には左右されず、自分の愛する犬種のみをとことん愛し、その犬種だけを扱います。
愛情とプライドを持ち、動物の繁殖と育成に取り組んでいる繁殖家の方たちのことを真のブリーダーと呼びます。
日本では、ペットを飼うと決めたらおよそ8割以上の方がペットショップで入手するという現状です。
しかし、ドイツ・イギリス・アメリカを中心とする動物愛護先進国では、ペットを迎えるためにブリーダーへ予約するスタイルが一般的で、ペットショップでの生体販売はほとんど扱っていません。
このスタイルによって、ブリーダーは買い手が決まっている数だけ繁殖できるので、時間と経費を節約することができます。
ヨーロッパは世界の中でも動物保護法が確立されており、ペットを飼育する側の愛護精神も非常に高いのです。
特にイギリスでは、ブリーダーや販売業者がペットショップでの生体販売を自主的に制限しています。
また、スイスでは犬の飼い主になるためには試験を受けなければなりません。
犬の生態・飼育法などの知識を学び、その上で試験にパスしないとプリーダーから犬を譲渡してもらえないケースもあります。
このような徹底したスタイルは、動物愛護の精神が高い国ならではのこと。
海外の動物愛護先進国におけるペット流通事情を知ることで、動物を繁殖するブリーダーの真の姿が見えてくるのではないでしょうか。
動物繁殖をペットとして販売目的で繁殖させる行為はブリーダーではなく「パピーミル」とい呼ばれることもあります。
さまざまな血統を維持したり品種の向上を目的とする行為が、自然に適応できないような変種を作出してしまうことで、動物本来の持つ性質さえも変質させてしまったり、特定の遺伝病にまでも定着させてしまう恐れがあり得るため、動物愛好家たちの間で問題となっているのが "パピーミル" 。
パピーミルは犬・猫だけではなく、近年のペットブームにおいて人気の小動物を営利目的のみで繁殖している繁殖業者のことです。
日本のペット産業においては、およそ10年ごとに人気品種が入れ替わるペットブーム現象が著しく変化しています。
パピーミルはブームの品種を取り扱い、その品種の生態や飼育ケアについて知識が足りないまま、劣悪な飼育環境の元で無理な繁殖を行っています。
不健康な個体が誕生した挙句、高額で取引きできなかった個体を処分するなど悪質な繁殖業者の行為が問題となっています。
犬を飼いたいと思った時、ブリーダーから直接購入するか、ペットショップから購入すべきか悩まれる方も多いのではないでしょうか。
そもそもブリーダーとペットショップの違いとは何でしょうか。
上記で解説したように、動物愛護先進国である欧米では、ペットショップで仔犬が陳列販売されていません。
なぜペットショップでの仔犬を買うことが動物愛護精神に相反するのでしょうか。
生後間もない仔犬がどんな流通経路を辿り、飼い主の元へやってくるのか...これが重要なカギとなります。
まずはペットショップから 子犬 を購入する場合、ブリーダーがオークション(犬の競り市)や犬のブローカーなどを仲介してペットショップに陳列されてから飼い主が購入します。
オークションやブローカーなどは多くのブリーダーから大量の子犬が持ちこまれ、大規模なオークション会場には、日に数百頭もの子犬が取引きされることになります。
ワクチン接種もスタートできないほど生後間もない大量な子犬の中に、感染症にかかっている子犬がいる確立も高くなります。
そもそも生まれたばかりの子犬たちを接触させること自体が大変危険なことなのです。
感染症には潜伏期間があり、ペットショップが仕入れた時は元気でも、飼い主が家に迎えた後に発症するケースもあり得ます。
例え1頭でも! 感染症を持っている子犬を知らずにペットショップが仕入れてしまったらどうなるでしょう?
ペットショップ内の他の仔犬への感染率が高くなり、死を招くリスクも高くなります。
ブリーダーから直接購入する場合は、清潔に保たれた無菌状態の犬小屋の中で、母犬の母乳で育てられた他の兄妹たちと暮らした子犬を譲渡するわけですから、感染症のリスクは極めて低くなります。
仔犬の社会化期とは、生後4週齢から13週齢にかけての数週間が犬の性格や精神面を決定づける時期であり、仔犬が社会に慣れるために重要な期間となります。
仔犬にとって一番大切な社会化期を、早期の段階で流通されることが大きな問題となるのです。
ペットショップで販売される場合は、小さいほど売れるという理由から、売れ残りを防ぐために生後60日未満で店頭に陳列される仔犬がおよそ8割です。
つまり、ペットショップに陳列される仔犬は、生後50日程度で母犬や兄妹犬と引き離されているのです。
人間や他の動物たちに対して友好的な感情を抱くようになる大切な社会化期に、母犬や兄妹犬と引き離されストレスのかかる小さなケージで暮らすことにより飼い主が躾け難い個体に育つ要因となります。
ブリーダーから直接譲渡の場合は、母犬や兄妹たちと社会化期を過ごした後、生後56日目以降に飼い主の元へ譲渡するため、心身ともに健康な仔犬を迎えることができます。
このように、ペットショップでの仔犬の陳列販売は、仔犬の安全性を無視したものであり、最悪の場合、感染症やストレスから死に至ることさえあります。
このような視点から、動物先進国ではペットショップ生体販売を自主的に制限しています。
日本のペット市場においては、ペットショップの生体販売が主流となっています。
近年では、悪質ブリーダーによる大量の動物遺棄事件の報道や、犬・猫の 殺処分問題 への認識の高まりによって、動物愛護団体や個人の愛犬家・愛猫家たちの間でもペットショップの生体販売を反対する方たちが増えています。
もちろん、ペットショップに卸をするブリーダーのすべてが悪質だということではありません。
健康なペットを迎えるには、ブリーダー直販でもペットショップでも、信頼できる優良な施設を選びたいですね。
ペットショップで犬・猫を購入する際は、まずはショーケースや店舗内の衛生面が行き届いているかを厳しくチェックしましょう。
特に多くの動物種を取り扱っている大規模なペットショップは、不特定多数の人間やさまざまな動物が出入りする施設ですので、衛生面がきちんと管理されていなければなりません。
また、スタッフが犬種や猫種の生態についてしっかりとアドバイスをしてくれるかどうか、これが重要なポイントとなります。
第一章では、真のブリーダーとはどういうものなのか、ペットを迎える飼い主の立場から学ぶべきことを解説してきました。
次に、ドッグブリーダーを目指す方のために、ブリーダーとしての心得や仕事内容、要件などをまとめてみました。
・犬の原種について深く理解していること
・血統及び犬種のタイプ、性格を理解していること
・交配の良否、犬種の有する遺伝性疾患について研究し、疾患を予防するために無理な交配はしない
・メス犬の繁殖生理を熟知している
・出産後の仔犬の飼育管理を十分に行い、譲渡前に遺伝性疾患の有無に関してのチェックや各種予防接種などを行う
・仔犬の登録を速やかに行う
・奇形や欠点を有した仔犬は絶対に提供しない
これらをブリーダーとして心得た上で、きちんと守っている繁殖家こそが真のドッグブリーダーと名乗れるのではないでしょうか。
まず、ブリーダーの仕事は、ひと言でいえば動物を繁殖させること。
ですが、その仕事内容は意外にハードで奥が深いものです。
ドッグブリーダーは、少なくとも数頭から数十頭の動物の命を預かることになります。
出産後の仔犬として成長するまで育て上げる必要があります。
もちろん、その数は1頭だけではなく数十頭の飼育ケアを行うことになります。
ブリーダーを専業としている方の場合、多頭飼育が基本となりますので、一日のほとんどの時間を動物とともに過ごすことになります。
犬の飼い主さんならお分かりかと思いますが、ドッグブリーダーの一日は日に2~3回のエサやりに加え、 犬の散歩 ・トイレ掃除が基本です。
さらに具体的なドッグブリーダーの一日のスケジュールを例に挙げてみましょう。
・6:00 起床
起床したらすぐに犬の様子に異変がないかを確認。
・6:15 散歩
朝の散歩に連れて行く。
※夏の季節は日の出に合わせ4時~5時に起床。涼しいうちに散歩を済ませる。
・7:00 エサやり
毎朝決まった量と内容をきちんと与える。
・8:00 健康チェック
毛並や毛艶、目や耳のチェックをしながら健康状態に異常がないかを観察する。
・11:00 エサやり
2度目のエサやり。
・12:00 昼食
犬にエサやりが終了した後自分の食事の時間。
・13:00 ケージの掃除
感染症予防のため動物の飼育環境は常に清潔を保つ。
室内の温度調節も怠らずに常に気を配る。
・16:00 散歩
夕方の散歩に連れて行く。
・17:00 エサやり
3度目のエサやり。
・18:00 健康チェック
仔犬がきちんと母犬の母乳を飲んでいるか、順調に育っているか、母子ともに健康のチェックは欠かせない。
・20:00 夕食
飼育している犬の世話が完了後、自分の夕食の時間。
・0:00 就寝
すべての犬の異変や怪我など再びチェックしてから就寝。
以上のように、生活サイクルが犬中心になります。
自分の愛犬を1頭飼育することを考えれば、飼育する犬の数が増える分、仕事に費やす時間は増えることがお分かりだと思います。
なお、母犬の出産時期には一日中、犬から目を離せない日々が続きます。
母犬の陣痛はいつ起こるか分かりませんし、出産前からどんなことが起きるのか読めないからです。
さらに、子犬が産まれた後も、母犬が仔犬に母乳を与えているか、育児放棄していないかを確認する必要があります。
生後間もない仔犬は病気にかかりやすいことも多いため、栄養状態、健康状態を観察しなければなりません。
特に仔犬がある程度成長するまでの期間は、ブリーダーは精神的にも肉体的にもハードな日々が続きます。
基本的にブリーダーは年中無休の仕事です。
家庭で1頭の犬を飼育する場合は、1頭の犬に対し飼い主の愛情を注ぎ責任もって飼育すれば良いですが、ブリーダーは基本的に多頭飼育で繁殖を目的とするわけですから、犬の数だけ面倒を見る必要があります。
すべての犬の飼育ケアから繁殖までをひとりで行う場合、完全フリーの休日を取るのはほぼ不可能といえるでしょう。
ブリーダーを目指すなら、一日中犬につきっきりで世話をする覚悟と、趣味を持たない覚悟が必要です。
ただし大規模なブリーダーの場合は、ひとりですべての犬を管理すること自体が困難ですので、他の飼育スタッフがいるのなら、ローテーションで休日を取ることも可能です。
次に、ブリーダーになるための要件について解説していきましょう。
ブリーダーといっても、仕事のスタイルはさまざまです。
・優良な血統を究明しドッグショーや競技会などで評価されることを目指す
・独自のこだわりを持ちひとつの犬種に限定して繁殖する
・警察犬などの特殊能力を持つ犬に限定して繁殖する
など、自分が目指す方向性によって、ドッグブリーダーのスタイルも変わってきます。
自分がなぜブリーダーを目指したいのか、どんなところにこだわりを持つのかがポイントです。
ただ単に、営利目的のみでブリーダーになりたいという方はご遠慮願います。
まずは、実務経験を積むことが必要です。
実務経験を積むには、まずは人脈を作ることが重要となります。
そのためには、JKCなどが主催しているドッグショーをひたすら見学に行き、ブリーダーの方たちに話しかけることから人脈を作りましょう。
ブリーダーと直接つながりが持てる方法は、実際にドッグショーを見学に行き、自分が好きな犬種の犬をブリーダーから譲ってもらうことです。
実際に犬が育てられた環境を見学することができるため、これもひとつの経験になります。
愛犬が誕生し育てられた環境を観に行くことで、ブリーダーから多くのことを学ぶことができます。
信頼関係を深める中で、ブリーダーから直接犬の飼育ケアから繁殖にいたるまでの話が聞けますし、さらにブリーダーを目指そうとする際には、良き相談相手になってくれることでしょう。
ブリーダーになるには時間と根気が必要になってきますので、本気でブリーダーを目指す方は、ぜひ一度ドッグショーを見学に行くことからおすすめします。
長いスパンを掛ける時間があるのなら、ブリーダーの元へ弟子入り(就職)するという方法もあります。
信頼できるブリーダーの元でノウハウを学び、人脈を広げた後に独立開業という流れが一番理想的な方法です。
ブリーダーには国家資格などはなく、必須とされる資格はありません。
(※ブリーダーに関連する民間資格としては、愛玩動物飼養管理士・ペット繁殖指導員・動物看護士・JCSA認定ドッグブリーダーなどがあります。)
ブリーダーとして開業するには、事業所・業種ごとに都道府県知事または政令市の「第一種動物取扱業」の登録を受けなければなりません。
また、動物管理の方法や飼育施設の規模や構造などの基準を守ることが義務付けられています。(※環境省HP「第一種動物取扱業者の規制」より)
第一種動物取扱業の登録をするためには、ひとつの繁殖業者に対して一人を動物取扱責任者として選ぶ必要があります。
動物取扱責任者の要件は、下記の3つの要件のうちいずれかに該当しなければなりません。
1.ペットショップやブリーダーなどで半年以上の登録施設での実務経験
2.畜産学を専攻する学科(⇒高校)・獣医学や畜産学の正規の過程を教育する学科(⇒大学)・動物看護を専攻する学科(⇒短期大学)・動物の生理生態等について教育する学科(⇒専修大学)などを卒業していること
3.動物関連の資格を取得していること(※愛玩動物飼養管理士・愛犬飼育管理士・愛護動物取扱管理士など)
さらに年に1回、研修会を受講することが必要です。
受講しないと登録が取り消されることもあるため、ブリーダー登録をされた方は研修会への出席は必須です。
上記のように、動物取扱責任者の要件は、動物の生態に関する深い知識が必要となるために設けられています。
一般過程の学校を卒業後、個人のブリーダーや企業に就職し、現場で必要な実務スキルを身につけてから独立される方もいます。
しかし、動物を飼育するうちに強い動物愛護精神や自身のこだわりから、ブリーダーを目指す方もいらっしゃることでしょう。
その場合は、動物の専門学校に通うというひとつの方法もあります。
ブリーダーを養成する専門スクールはほとんどなく、多くの動物専門学校では、グルーミング・トレーニング・動物看護・飼育管理などペットに携わる仕事を目指す方向けにカリキュラムが用意されています。
卒業後は、個人のブリーダーのアシスタントか企業への就職を目指すことになります。
犬の生理は半年に1度しかありません。
メスの生理が起きて1週間目を目安に繁殖を行います。
すなわち、メスが1頭しかいないなら繁殖チャンスは半年に1度、年に2度となります。
その頻度で仔犬が授からなかったら?...それで終わりです。
このようなことから、最低でもメスは2頭以上は必要です。
ブリーダーとして成功するには、血統の良いメスが多いことが条件となります。
良い血統の純血種のオス・メスがいないと、ブリーダーとして生計を維持することはできません。
開業前にブリーダーなどの人脈や信頼関係を築く惜しみない努力が必要となります。
愛情込めて作出した仔犬が、きちんと世話をしてくれる飼い主さんに譲渡したくなる気持ちが、ブリーダーになってはじめて分かることでしょう。
こちらも人脈のひとつとして非常に重要なポイントです。
ブリーダーになるには、いつでも相談に乗ってもらえる獣医師との連携が必要です。
出産間近の母犬は人間と同様、毎日欠かさず様子を観ていても陣痛はいつ起こるか分かりません。
最悪、深夜に陣痛が起こるかもしれませんし、帝王切開になることもあり得ます。
もしも、あちこち走り回った挙句、どこの動物病院も対応してくれなかったらどうでしょう?
最悪、仔犬の命も母犬の命も危険にさらされることになります。
ブリーダーの前にひとりの愛犬家として、こんな悲しいことはありませんよね。
ブリーダーを目指すなら、早朝でも深夜でもいざという時に対応してもらえる獣医師との信頼関係を築いておくことが必要です。
例えば、短頭種のフレンチブルドックやペキニーズなどの犬種では、頭部に比べ骨盤が狭い体型のメスが多いことから、出産は帝王切開が前提となるケースが非常に多いです。
犬の繁殖を目的とするブリーダーにとって、犬の生理を熟知している獣医師との連携は非常に大切であり欠かせない存在となります。
本気でブリーダーを目指すには、動物に対する強い愛護精神と品種を究明する深い知識や、最期まで諦めない覚悟と惜しみない努力が必要です。
単に営利目的で生計を立てるための職業ではないことがお分かりでしょうか。
初めて自分が繁殖した仔犬を飼い主の手に渡す瞬間は、きっと想像を絶する感動があることでしょう!
ブリーダーを目指すなら、優良ドッグブリーダーとしてぜひ成功していただきたいと思います。
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最終更新日 : 2020/11/04
公開日 : 2017/08/08