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シュナウザーはドイツ原産の 犬 です。
テリア系の犬だと思っている方は多いですが、テリア種の多くはイギリス原産です。
外見がテリアに似ていて、実際に日本やアメリカではテリア・グループに分類されていますが、テリアの血統は入っていませんのでご注意ください。
シュナウザーと同じような口ひげのあるフォックステリア、スコッチテリアなどはイビサン・ハウンド系の犬で古代エジプト発祥。
対してシュナウザーは中国発祥のチベタンマスティフ系統の犬なのです。
全く系統が違うのに似た外見の犬になったという珍しい 犬種 です。
シュナウザーには「ジャイアント」、「スタンダード」、「ミニチュア」の3種類の大きさが認められています。
スタンダードシュナウザーを基にして、後にジャイアント、ミニチュアが産出されました。
スタンダード・シュナウザーは古い歴史を持つ犬です。
15世紀~16世紀、ルネッサンスの画家であるレンブラントやアルブレヒト・デューラーの絵画、エルダー作のタペストリーにもその姿が描かれています。
シュナウザーがいつから存在していたのかはっきりした記述はないのですが、少なくともルネッサンスの時代以前からドイツでは普及していたようです。
当時の主な生息地はバイエルン地方やヴュルテンベルグの辺りだったと考えられています。
スタンダード・シュナウザーは14世紀ごろから 牧羊犬 、番犬として用いられていました。
1800年代の半ばになってドイツのブリーダーがシュナウザーの犬種としての固定化に取り組み始めました。
ワイヤーヘアード・ピンシャー、黒い被毛を持つジャーマン・プードル、灰色の被毛のウルフ・スピッツなどがかけ合わせれて固い被毛と独特の口ひげを持つ現在の姿になったとされています。
その後、19世紀半ばから後半にかけて、農場を荒らす ネズミ などの害獣駆除、家畜の番などの目的で産出されたのがミニチュア・シュナウザーです。
ミニチュア・シュナウザーは魅力的な容姿から愛玩犬としても可愛がられていたようです。
ジャイアント・シュナウザーはさらにその後に産出された犬種で、黒い被毛の グレートデン 、 スタンダード・プードル 、ウルフ・スピッツ、ポインター、ブービエ・デ・フランダースといった 大型犬 を交配して産出されたと考えられています。
ジャイアント・シュナウザーは牛の番や統率をする牧畜犬として活躍しました。
「人間の頭脳を持った犬」と言われるほど賢さを称賛されていたシュナウザーは、1800年代から1900年代初頭にかけて牧畜犬や猟犬としてのほかに、 警察犬 や護衛犬としても用いられるようになり、戦時中には救護犬、伝令犬としても活躍しました。
ジャイアント・シュナウザーは現在でも、ドイツなどでは警察犬としても用いられています。
1995年に発生した阪神淡路大震災のときにはスイスの災害救助犬として来日したこともあり、救助に活躍してくれました。
ヨーロッパでは警察や救助犬として用いられることも多いジャイアント・シュナウザーですが、アメリカでは警察犬としてシェパードが多く使用されるようになったことにより、「警察犬= シェパード 」という印象が強く広がりました。
スタンダード・シュナウザーはジャーマン・ピンシャーから発生したワイヤヘアードだったので、1800年代後半までは「ワイヤーヘアード・ピンシャー」と呼ばれていました。
1879年にハノーバーで開催されてドイツ国際ショーに最初のシュナウザーが出展され、その犬につけられていた名前が口ひげを表す「シュナウツ」だったことから、「シュナウザー」が犬種名となりました。
シュナウザーは1900年になると広く知られるようになり、1907年にミュンヘンでバイエルン・シュナウザー・クラブが発足しています。
とても賢い犬であるシュナウザーは、第一次世界大戦中に警察犬以外にも赤十字の使役犬としても活躍し、その職員が飼っていた犬がともにアメリカに渡ったり、シュナウザーの魅力に惹かれた旅行者が連れ帰ったりなどしたことにより、1900年初めにアメリカでもスタンダードシュナウザーが普及するようになりました。
アメリカでは1925年にアメリカ・シュナウザー・クラブが誕生しています。
シュナウザーはアメリカでも人気犬種となっています。
日本にシュナウザーがやってきたのは、第二次世界大戦後に軍人が連れてきたことによるとされています。
しかし、当時の日本には犬の トリミング 技術は存在しておらず、被毛の手入れに手間がかかるシュナウザーは普及しませんでした。
1960年代の高度成長時代になり、日本でもシュナウザーが家庭犬として普及し始めます。
ミニチュア・シュナウザーは2000年ごろからは特に人気犬種となり、ドラマに登場したことにより人気犬ランキングでも上位に位置するようになります。
2016年のジャパンケンネルクラブのランキングは7位となっています。
外見的な特徴はなんといっても、まゆ毛と口ひげ。
この被毛がシュナウザーをとてもユーモラスな犬に見せています。
シュナウザーにはテリアの血は入っていませんが、テリア犬種のようにまゆ毛と口ひげがああります。
これは農場でネズミなどの害虫を駆除する際に犬の体を守るためのものです。
犬はネズミを捕獲する際に直接噛みつくので、ネズミに反撃されたときに顔を守るためなのです。
体形は横から見るとスクエア型をしており、もともと使役犬として産出されたことから俊敏で軽快な動きが得意。
耳はたれ耳です。
かつては断耳や断尾がなされていましたが、現在では多くの国でこれらの行為は動物虐待とみなされ禁止されています。
断尾する場合はごく幼いときに麻酔なしで尾を切ってしまうので、大変な苦痛を子犬に味合わせますので無理にする必要はないと筆者は思います。
立ち耳のシュナウザーも見かけますが、これは幼少時に手術を行い、立ち耳にしたものです。
シュナウザーはサイズによって3種類に分類されています。
ジャイアント 体重30~40kg 体高 60~70cm
スタンダード 体重15~20kg 体高45~50cm
ミニチュア 体重 4~7kg 体高30~36cm
同じ種類でもジャイアントとミニチュアではかなり大きさに違いがありますね。
ジャイアントは警察犬や軍用犬としても用いられることからとても力強いです。
大きさによって性格に多少の違いがありますが、賢く、飼い主への忠誠心にあふれ、穏やかな気質であることは共通しています。
ジャイアント 12歳~15歳。
スタンダード 13歳~16歳。
ミニチュア 12歳~15歳。
サイズによる違いはほとんどなく、ジャイアントは大型犬種の中では長めの 寿命 です。
もともとの基本形であったスタンダードが一番平均寿命が長いとされています。
厳しい環境でも耐えうるように産出されたシュナウザーの被毛は、柔らかいアンダーコートと針金のように固いトップコートからなるダブルコートです。
しかし、一般のダブルコートの犬と異なり、換毛期による抜け毛がありません。
抜け毛がない代わりに、被毛が伸び続けるのでトリミングは必ず必要です。
被毛の色はソルト・アンド・ペッパー(グレー)が一般的で、そのほかにブラック、ブラック・シルバーなどがあります。
先述した通り、シュナウザーは「人間の頭脳を持つ犬」問われるほど賢い犬です。
そのため高度な訓練についてくることも容易にでき、警察犬のほか救助犬など多岐にわたって活躍してきました。
そして、好奇心が旺盛で楽しいことが大好き。
人間に対して愛情深く、従順でもあるため しつけ がしやすい犬です。
一方で、もともと牧畜犬として産出され、番犬としても用いられたために警戒心は強めです。
飼い主への忠誠心が強く、知らない人に対してはあまりフレンドリーではありません
吠えやすい傾向があるので番犬として有能ですが、現在の日本では吠えすぎるのは苦情の元になるので飼い主の制止に従うようにするしつけは必要でしょう。
シュナウザーはサイズになかなりの差がありますので、サイズにより必要な飼育環境は若干異なりますが、飼い主への愛情と忠誠心が強いことは共通ですから、一緒に過ごす時間を多くとれるように室内飼育をしてあげましょう。
ダルコートの被毛であるため、日本の夏の気温と湿度はシュナウザーの健康にとってリスクが高いです。
室内飼育をしてクーラーで温度・湿度を管理してあげましょう。
スタンダード、ミニュチュアは適切な運動を行えばアパートでの飼育も可能です。
シュナウザーは活発で活力にあふれた犬です。
それに見合うような運動をさせ、活力を失わせないように肥満には注意しましょう。
シュナウザーは太りやすい傾向があるともいわれています。
肥満は様々な病気の原因となります。
太らせすぎないためには食事内容も大切。
高カロリー低たんぱくの良質な ドッグフード を与えてあげたいですね。
シュナウザーは抜け毛がが少なく匂いもほとんどありません。
しかし、毛が伸び続けるために定期的なトリミング(カット)が必要です。
飼い主自身でカットすることも可能ですが、耳、頭、首、胸、胃、尾の下の被毛をきれいに整えておくことやはりプロを頼ったほうがいいでしょう。
そのため、シュナウザーの飼育にはトリミング代もかかるということを念頭に置いておく必要があります。
抜け毛があまりないのですが、本来抜けるべき毛も抜けづらい面があるのでトリッピング(手で毛を抜く)で余分な毛を抜いてあげるケアをすると、被毛を美しく保つことができます。
しかし、無理に毛を抜くことは犬にとっては苦痛ですし、皮膚の炎症を招くことになりますので注意してください。
食事の後はあごひげをきれいにしてあげましょう。
※合わせて読みたい: 愛犬をきれいにしてあげよう!トリミングサロンの価格、自宅での手入れについて
シュナウザーもほかの犬種と同様に歯石がたまりやすく、歯肉炎等を発症しやすいので、お口のお手入れが必須です。
できれば毎日、少なくとも週に2~3回は歯磨きしてあげましょう。
液体歯磨きを併用すると高い効果が得られます。
シュナウザーの耳は断耳されることもありますが、現在ではたれ耳のままの姿が多く見かけられますし、子犬に痛い思いをさせることもないでしょう。
たれ耳の犬は耳が蒸れやすいので週に1回程度、匂いがないか、赤くなるなどの異常がないか等、耳の状態を確認してください。
外耳部分が汚れていたらコットンと専用のクリーナーで優しくぬぐってあげてください。
内耳部分は繊細で素人が手を出すのは危険ですので、異常を発見したら速やかに獣医を受診しましょう。
シュナウザーは毎日激しい運動をする必要はありませんが、活発な犬であるため散歩に最低1日2回は連れ出してあげる必要があります。
賢く活発なシュナウザーは1日中家にこもっていると、飽き飽きしてしまいます。
運動と知的好奇心を満足させるために、1回30分程度の散歩を1日最低2回は行いましょう。
1日3回の 散歩 をした方がいいという意見もあります。
時々 ドッグラン などで思いっきり走り回ったり、ほかの犬と遊べるとよりいいでしょう。
散歩以外でもボール遊びやゲームなどをして、シュナウザーが退屈しないようにしてあげるといいですね。
しっかり運動しエネルギーを発散できたシュナウザーは室内でととなしくしていることができます。
反対に運動不足は、物を壊す、無駄吠えをする、攻撃的になるなど問題行動をの原因になります。
人間の3歳ほどの知能があると言われるほどとても賢い犬で、飼い主への忠誠心も従順であるためしつけは難しくありません。
楽しいことが大好きなので、しつけはおやつやゲームをごほうびとして楽しく行いましょう。
ほめて伸ばすしつけのほうがシュナウザーの能力をより伸ばしてくれます。
少し頑固な面がありますし自己判断能力も秀でているため、飼い主は犬に対して正しい行動をとる必要があります。
飼い主の気まぐれで、「今日はいいけど、明日はだめ」といった一貫性のないしつけをすると、シュナウザーは混乱してしまいますし、人間への信頼も揺らぎます。
シュナウザーは飼い主への独占欲は強い方ですが、飼い主は溺愛せずにしっかりとしたリーダーシップをとってあげることが犬の精神の安定のためにも大切です。
吠えやすい傾向があるものの、正しいしつけをすれば無駄吠えなどは防止できます。
シュナウザーはほかの犬に対してもあまりフレンドリーではありませんが、社会性を身に着けさせることで、ほかの犬や動物とも仲良くなることは可能です。
シュナウザーは飼い主に対する忠誠心が高い犬で、誰にでもベタベタするわけではありません。
ほかの犬に対してもあまり友好的ではない面がありますので、社会化は大切です。
人間社会でうまく暮らしていけるように、幼いころから多くの人と触れ合い、ほかの犬とコミュニケーションをとる機会を設け、社会化を促進しましょう。
社会性が養われたシュナウザーは、ほかの人や犬、ほかの動物とも仲良くすることが可能です。
シュナウザーは賢いので、いたずらや悪いこともすぐに覚えてしまいますし、飼い主のコマンドの出し方が悪いと犬が混乱することもあります。
犬を初めて飼う方に特におすすめなのが「犬のしつけ教室」。
飼い主が犬と一緒に参加できるものを選びましょう。
コミュニケーション・スキルを磨く機会になりますし、飼い主は犬の扱い方を学ぶことができます。
シュナウザーはおおむね丈夫な犬ですが、気を付けたい病気がいくつかあります。
犬は高齢になると白内障を発症しやすいのですが、シュナウザーは若年性白内障を発症するケースがあります。
予防法は残念ながらありませんが、早期の治療により進行を遅らせることができます。
ストルバイトやシュウ酸カルシウムなどによる結石ができやすい傾向があるとされています。
オス犬が尿道に結石ができた場合は命にかかわることがありますので、日ごろからおしっこの状態に気を付けましょう。
症状が軽ければ療養食での治療も可能です。
犬の糖尿病は様々な原因により発症しますが、肥満も原因の一つです。
糖尿病は白内障を併発することもあります。
シュナウザーは太りやすい傾向があると言われていますので、まずは肥満体にさないように毎日の食事と運動に気を付けましょう。
シュナウザーは家族に対して深い愛情を持ちますから子供たちの良い友人となってくれます。
賢く自分で考えて行動できるので、幼い子供との生活にも向いています。
※合わせて読みたい: 犬と赤ちゃんの同居の方法、注意点、メリット
活発なシュナウザーにとって10代の一緒に遊び、運動してくれる子供は最高の家族でしょう。
子供にはしっぽや耳を引っ張るといった乱暴な行為をしてはいけないなど犬の扱い方を教え、大人の監視の中で遊ばせるようにしてください。
シュナウザーはほかの犬に対して友好的でない面もありますが、十分に訓練と社会化がなされていれば、ほかの犬やペットとの同居も可能です。
シュナウザーの価格は13万円~30万円。
愛情と知識を持った良識的な ブリーダー から購入するようにしましょう。
幼少時に親兄弟と一緒に過ごすことができたか、人間から大事にされたかということはその後の性格形成に大きく影響します。
特にミニチュアシュナウザーはドラマに登場したことで急激に人気が高まったので、人気に乗じた悪質ブリーダーも多く存在しています。
ブリーダーの元を実際に訪問し、自分の目で確認することをおすすめします。
シュナウザーは急激に人気犬種になったことで、遺棄の数も増えてしまいました。
飼いきれないことによる遺棄のほかに、悪質ブリーダーからの繁殖犬の遺棄も目立つようになってきており、里親募集掲示板には常に掲載されている状態です。
このような子たちの里親になり、愛情ある家庭を与えてあげることは大変意義のあることです。
原産国 : ドイツ
値段 : 13万円~30万円。
毛色 : ソルト・アンド・ペッパー(グレー)が一般的で、そのほかにブラック、ブラック・シルバーなどがあります。
寿命 : ジャイアント 12歳~15歳。スタンダード 13歳~16歳。ミニチュア 12歳~15歳。
体重 : ジャイアント 30~40kg スタンダード 15~20kg ミニチュア 4~7kg
体高 : ジャイアント 60~70cm スタンダード 45~50cm ミニチュア 30~36cm
特徴 : テリア犬種のようにまゆ毛と口ひげがあります。体形は横から見るとスクエア型をしており、もともと使役犬として産出されたことから俊敏で軽快な動きが得意です。
性格 : シュナウザーは「人間の頭脳を持つ犬」問われるほど賢い犬です。そのため、高度な訓練についてくることも容易にでき、警察犬のほか救助犬など多岐にわたって活躍してきました。好奇心が旺盛で楽しいことが大好きです。人間に対して愛情深く、従順でもあるためしつけがしやすい犬です。
かかりやすい病気 : 白内障、尿結石、糖尿病
シュナウザーは賢く従順で、しつけもしやすいことから比較的飼いやすい犬でしょう。
しかし、犬を飼うからにはある程度の知識が必要ですし、シュナウザーはトリミング代もかかるので経済的な余裕も必要です。
また、家族と一緒にいることを好み、運動時間も確保しなければならないことから、シュナウザーと一緒に過ごす時間を確保できる方に向いている犬です。
一時的なあこがれだけでは10年以上生きる犬の一生分の世話をすることはできません。
「この子を最後まで家族として大切にする」という決意のもとで家族に迎えてほしいと思います。
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最終更新日 : 2021/04/12
公開日 : 2018/03/14