本ページに掲載のリンク及びバナーには広告(PR)が含まれています。
犬の皮膚は人の皮膚より薄くデリケートなので、皮膚病にかかることは多いです。
それでは、実際どのような仕草や症状が出ていたら皮膚病を疑った方がよいのかをご紹介します。
具体的にどのような皮膚病が犬には多く起こるのでしょうか。
一般的によく見られるものを中心に解説します。
特に日々の診療で見ることの多い皮膚病です。
ホルモン病やアトピー体質、食物アレルギーなど基礎疾患があり発生することが多いと言われています。
痒みを感じることが多く、表皮小環と呼ばれる皮膚のめくれ、皮膚の赤み、ニキビのようなできものが認められることが多いです。
様々な要因からの細菌感染が原因です。
単発での発症よりも、基礎疾患やその他の皮膚病と併発することが多く認められます。
梅雨時期や夏場に発症することが多いのですが、それ以外でもシャンプー後にきちんと乾かさずに蒸れてしまったり、冬場でも服をずっと着ている犬が実は服の下で気づかない内に発症していたということもあります。
元々皮膚が弱い体質の犬は、季節性に繰り返すことも多く認められます。
抗生剤の内服、外用薬、シャンプー(抗菌剤含有)療法が広く治療として行われています。
痒みが激しい場合は皮膚の炎症を取り、正常な皮膚状態に近づけることで回復が早くなるため、一時的にステロイド薬など抗炎症薬を使用することもあります。
皮膚を清潔に保つことが第一です。
毛玉になりやすい犬種の場合は、ブラッシングやトリミングを定期的に行うのがおすすめです。
ご自宅でのブラッシングの際は、皮膚に傷を与えると膿皮症の原因となってしまう可能性があるので、ブラシが皮膚に強く当たらないよう気を付けましょう。
季節性で繰り返している子は、起こしやすい季節に抗菌剤入りのシャンプーで、毛のべたつきや皮膚の状態を見ながら予防的に週に1回ほど洗ってあげるのも良いでしょう。
自宅での補助治療としてシャンプーを行う場合は、細菌の住み処である表皮小環の根本の部分を重点的に洗うようにすると、効果的にシャンプーをすることができます。
脂っぽくべたつく皮膚の子によく見られる皮膚病です。
基礎疾患として、ホルモンの病気が隠れていることも多く認められます。
強い痒みを生じ、独特の香ばしい臭いを感じることがあります。
皮膚が全体的に赤くなり、長い期間患っていると皮膚が厚く変化してしまいます。
マラセチアという普段から皮膚の上に住んでいる真菌が、皮膚の状態が悪くなって脂が増えることにより増殖し、炎症を引き起こすと言われています。
基礎疾患が隠れていることも多いので、繰り返す場合や他にも体調に不安がある時は、血液検査等の精密検査を受診しましょう。
基礎疾患がある場合は、その治療も行いましょう。
抗真菌シャンプー(クロルヘキシジンやミコナゾール含有シャンプーが推奨されています)による洗浄が治療として効果的です。
皮膚のべたつきが激しい場合には、脂を落とす作用の強いシャンプーを併用することもあります。
その場合、洗浄後にきちんと保湿をしてあげましょう。
必要があれば、洗浄後に外用薬を使用することもあります。
抗真菌シャンプー剤は、普段使いのシャンプー剤と使用方法が異なります。
良く泡立てて特に症状の強い部分から洗い始め、10分間はシャンプー剤を症状のある部位につけておきましょう。
眼に強い炎症を起こす可能性もあるので、眼に入らないように注意も必要です。
心配な方はかかりつけ医に相談して、シャンプー時に利用できる眼軟膏を処方してもらうことも検討してください。
全身に症状が強く出ている場合は内服薬を併用することもありますが、少し肝臓に負担がかかる薬なので、肝臓に不安がある子は主治医に相談しましょう。
プードル 、 ダックスフンド 、 シーズー 、 コッカー・スパニエル 等がかかりやすいと言われており、他にもシワの多い犬種である パグ や フレンチブルドッグ でも、シワの隙間の蒸れやすい部分に多く発症が認められます。
元々皮膚が脂っぽくべたつく体質の子でも発症しやすく、アトピー性皮膚炎やホルモンの病気を基礎疾患としてもっている子も発症する可能性が高いと言われています。
皮脂を餌にマラセチアは増えてしまうので、体がべたついてきたなと感じたらシャンプーをしてあげましょう。
シャンプーを行う頻度は、痒みがなければべたつきに応じて2週間に1度程度が目安です。
その際は、皮膚の様子によってシャンプー剤の選択をしましょう。
べたつきがひどければ皮脂を落とす作用の強いもの、痒みがあって臭いもでてきているなら抗真菌シャンプーの使用がおすすめです。
また、洗浄後は保湿がとても大事ですので、きちんと保湿剤を使用し、皮膚の状態を良好に保つようにしてください。
免疫低下状態で発症しやすいと言われている寄生虫が原因の皮膚病です。
痒みや顔や足先の毛が抜ける、ひどくなると皮膚がぽってりと赤く腫れて出血する等の症状が多く見られます。
毛穴の中に住むニキビダニという寄生虫が栄養不良、衰弱、加齢による皮膚の状態悪化、病気・薬物による免疫低下、発情・妊娠・出産等の原因により過剰に増殖してしまい発症するのではないかと考えられています。
仔犬、シニア犬、シーズー、ウェルシュ・コーギー、マルチーズ、チワワなどがかかりやすいと言われています。
また、ステロイド剤による病気治療中、悪性腫瘍、副腎皮質機能亢進症、その他免疫低下状態にある犬も注意が必要です。
まずは注射や内服によってニキビダニを駆除する事が主な治療となります。
イベルメクチン、ドラメクチンという薬剤を使用することが多いですが、ぐったりしたりふらつくというような神経症状の有害反応が起こることがあるので、投与中は注意が必要です。
コリー 種やその他遺伝子変異を持つ犬では特に強く有害反応が出ることが知られており、最悪の場合は死に至る可能性があります。
少なくともコリー種ではこれらの薬剤の使用は避けるのが望ましいです。
その他に、ミルべマイシンオキシムという薬も内服薬として効果があります。
コリー種や遺伝子変異のある犬ではこちらの使用を検討します。
上記二種の薬剤に比べると有害反応は比較的少ないのですが、治療効果も劣ります。
また、効能外使用ではありますがフルララネルやアフォキソラネルという成分を含むおやつタイプのノミダニ駆除薬がニキビダニにも効果があるという報告が国内外でされており、使用している獣医師もいます。
コリー種でも安全に使用できるので、興味がある方はかかりつけ医に相談してみてください。
補助的治療として、シャンプー療法や外用薬の使用も一般的に行われています。
アミトラズという外用薬は主に動物病院での薬浴として使用され、症状が部分的にしかでていない子やコリー種等で広く使用されています。
シャンプー療法は、上記のような駆虫療法と併用することで高い治療効果を発揮し、犬の身体への負担が少ないことからおすすめです。
過酸化ベンゾイル、硫黄・サリチル酸、クロルキシレノール・サリチル酸等の成分が含まれているシャンプーを使用して、最初は週2〜3回から洗浄を開始し、皮膚の状態を見ながら回数を調節していきます。
他にも、二次的に細菌感染が起こっている場合は抗生剤の併用を行うこともあります。
ニキビダニ症を確実に予防する方法はありませんが、基礎疾患を患っている子はニキビダニ症の発症リスクが高いので、かかりやすい条件にあてはまる子は気を付けて皮膚の状態を見てあげ、気になることがあれば早めにかかりつけ医に相談するのがおすすめです。
ニキビダニ症は完治まで数ヶ月かかることも多く、外見上は完治したように見えてもまたぶり返してしまうことがありますので、かかりつけ医が治療終了と判断するまでは根気強く通院を続けましょう。
痒みが非常に強く、とても感染しやすい寄生虫が原因の皮膚病です。
初期は皮膚に小さな赤いつぶつぶ、フケ、わずかな脱毛、痒みが認められ、重症化すると激しい痒み、脱毛、角質が増殖し鱗のような黄色いカサブタが皮膚に張り付いているような症状が認められることもあります。
耳の周囲や、ヒジ、カカトのあたりに病変が見られることが多いです。
ヒゼンダニというダニが寄生する事によって起こります。
いわゆるマダニとは異なり肉眼で見ることは出来ず、皮膚の角質層にトンネルを掘り、強い痒みを引き起こします。
若齢犬に多いです。
近くに感染動物がいる場合は非常にかかりやすいので、多頭飼育の環境で感染犬が出た場合は、可能な限り生活環境を隔離するのがおすすめです。
一般的なノミ・マダニ駆除薬では駆除することができません。
セラメクチン、イベルメクチン、ドラメクチン、ミルべマイシンオキシム等の駆除薬を使用することが多く、症状が軽い場合はセラメクチンの含有されている首筋に垂らすタイプの薬を2週間毎に数回投与する治療が行われます。
重症の子ではイベルメクチン、ドラメクチンを使用することがありますが、これらの薬剤はコリー種や遺伝子変異のある犬では重大な有害反応を起こすことがありますので、使用は推奨されていません。
また、角質除去作用のあるシャンプー療法も補助療法として効果的ですが、疥癬にかかっている子は体力が落ちていることも多いので、様子を見ながら無理をしないようにかかりつけ医と相談しましょう。
ニキビダニ症で前述したフルララネル、アフォキソラネルも効能外使用ではありますが、安全性が高く疥癬にも効果があると言われています。
痒みが激しい場合は、一時的にステロイド剤を使用し痒みをやわらげる治療を行ったり、かきむしってしまい傷付いた皮膚から二次感染が認められる場合は、抗生剤の投与を併用することもあります。
一時的ですが、人にも寄生して皮膚炎を起こすことがあり、症状としては痒みと赤いプツプツとした湿疹が認められることがあります。
疥癬にかかってしまった犬の飼い主さんでその様な症状がある場合は、早めに皮膚科を受診してください。
ただし、人の疥癬と動物の疥癬は種類が違うので、人の皮膚では動物の疥癬は繁殖することが出来ないため、犬の治療と環境の消毒を適切に行えば心配しすぎることはありません。
犬に触る前後には手洗いをし、犬が使用したマットやタオルは50度以上のお湯で10分以上浸けてから洗濯し、しっかりと乾燥させるか通常の洗濯を行った後に乾燥機を使用しましょう。
ポメハゲと言われることもある、特に ポメラニアン によく見られる皮膚病です。
痒みや炎症を伴わない脱毛・薄毛が主症状です。
主に体幹部が左右対称に脱毛を起こしますが、尾が脱毛することもあり、脱毛部位の皮膚の色が黒っぽく色素沈着することもあります。
一般的に頭部や四肢には脱毛は認められません。
脱毛部位の皮膚は乾燥し、乾燥から二次的に皮膚病を起こすこともあるので注意が必要です。
原因は不明ですが、毛の生え換わるサイクル(毛周期)が止まってしまうことによる脱毛症です。
圧倒的にポメラニアンに多く見られ、その他の犬種では シベリアンハスキー やプードル等でも発症します。
オス・メス共に発症しますが、若齢の未去勢オスが多いです。
他の脱毛を引き起こすホルモンの病気や全身の状態を、血液検査、エコー検査等を用いて除外し診断されます。
原因が完全に解明されていないので、必ず効くというような治療法はありません。
同じ治療をしても発毛する子もいればしない子もいるので、まず治療を行ってみて、生え方に合わせて飼い主さんと相談しながら治療を進めます。
命に関わる病気ではなく、外見上の問題ということで、積極的な治療をしないという選択をされる飼い主さんもいらっしゃいます。
現在行われている治療としては未去勢、未避妊の場合は去勢、避妊手術が推奨されています。
他にも男性ホルモンの作用を抑えるような薬の使用、サプリメント(メラトニン、ビタミンE、ハイチオール、海草由来成分、脂肪酸)の使用が行われています。
また、マイクロニードル法といって麻酔が必要ですが、細い針で皮膚を刺激することによって発毛を促す治療を行っている獣医さんもいます。
その他、お灸で毛が生えたという子もいるので、興味のある方は東洋医学に詳しい動物病院に相談してみてもいいかもしれません。
原因が不明なので予防することはできません。
ただ、ご自宅でのケアとして、乾燥した皮膚では二次的に皮膚炎を起こしやすいため服を着せてあげたり、セラミドの含まれている保湿剤や、脂肪酸、セラミドの含まれている乾燥肌用シャンプーを使用することにより皮膚を乾燥から守ってあげてください。
皮膚バリアの維持に役立つ療法食フードも販売されていますので、使用してみたい方や、サプリメントを飲むのが難しい子はかかりつけ医に相談してみましょう。
薬だけでの痒みコントロールが難しい様々な要因から発生する皮膚病です。
痒みにより掻くことで、薄毛や発赤が眼の周りや口の周囲に見られます。
犬アトピー性皮膚炎には背景に遺伝的素因があると言われており、遺伝によるアトピー体質、アレルギーを起こす物質(アレルゲン)の存在、皮膚のバリア機能の低下等の要因が関与してアトピー性皮膚炎を発症します。
柴犬 、 シーズー 、 ウェストハイランドホワイトテリア 、 ミニチュアダックスフンド 、 ゴールデンレトリバー 、 ラブラドールレトリバー 、 フレンチブルドッグ 、 ビーグル 、 トイプードル 等がかかりやすい犬種と言われています。
多くの場合1歳〜3歳の若い犬で痒みが始まります。
夏だけというような季節性の場合もあれば、一年中痒い場合もあります。
アレルゲンと思われる物質を可能な限り回避すること、二次的に感染症を起こしている場合はその治療も行いつつ、内服薬や外用薬による治療が行われます。
アトピー性皮膚炎の治療としては、痒みを抑える対症療法、体質の改善を目指す治療と大きく分けて二つの治療法があります。
痒みへの治療としては、プレドニゾロンというステロイド剤が安価で効果も高いため使用されることが多いです。
上手に使用すればとても良いお薬ですが、長期間の使用では副作用が心配な薬ですので、別の薬を併用する、変更する、外用薬として取り入れるなど、かかりつけ医と相談して使用しましょう。
その他にも、近年新しい犬アトピー性皮膚炎の痒みを止める治療薬が日本でも発売されています。
2019年にも月1回の注射で痒みをコントロールできる可能性のあるロキベトマブ(商品名サイトポイント)という薬が、新しく犬アトピー性皮膚炎の治療薬として認可されました。
アトピー性皮膚炎の痒みを抑える治療ではそれぞれのお薬に良い点、使いにくい点、また体質によっての効果の違いもあるため、様子を見ながら薬を調節していきます。
体質の改善を目指す治療としては、インターフェロン療法や減感作療法があげられます。
インターフェロン療法は、体内の免疫物質のバランスを整えることにより、アトピーの症状を緩和させる治療です。
減感作療法ではアレルゲンを特定し、少量ずつ体内にアレルゲンを取り入れさせ身体をアレルゲンに慣れさせることにより、過剰なアレルギー反応を起こさないように体質改善を目指します。
アレルゲンを特定する方法は血液検査、皮内検査が行われますが、治療に結び付けることが難しいために推奨していない獣医師もいます。
日本国内ではハウスダストマイト(ホコリなどに含まれる人のフケなどを食べるダニ)に対する減感作療法の注射液が販売されていますが、このお薬に関しては血液検査(IgE検査)との相関性を示すデータが報告されていないことから、使用してみて治療効果を判定するという治療法を選択する獣医師もいます。
まずはかかりつけ医とどのような治療方針が良いか相談するのがおすすめです。
大学病院や皮膚科専門病院では、皮内検査といった少量のアレルゲンを直接皮膚に注入して反応を見るというような検査を実施していますし、減感作療法を積極的に行っている施設もあるので、希望する方は受診を検討してみましょう。
犬ではハウスダストマイト、草木の花粉、猫など他の動物のフケ、昆虫の死骸、カビ等が主なアレルゲンと言われています。
これらの物質を可能な限り環境から排除するために、掃除機をこまめにかけたり、空気清浄機の設置をする等の対策をしてあげましょう。
ご自宅で出来るケアとしては、皮膚バリア機能をアップするために年間を通して低刺激シャンプー等を使用して被毛を清潔に保ち、皮膚の保湿をしっかりとすることにより薬の量を減らせる可能性があります。
かくことによって皮膚バリアが破壊されてしまい、二次感染が起こりやすくなってしまいますので、かかせないように服を着せる等の対策がとても大事です。
なお、 小型犬 であれば人用の厚手のタイツや赤ちゃん用の服を使用している飼い主さんもいらっしゃいますし、痒い犬専用のお腹までカバーできる服も販売されていますので、体型に合った物を探して試してみると良いでしょう。
食物に反応して痒みが起こる皮膚病です。
食物に含まれるアレルギーを起こす物質(アレルゲン)を、体内に取り込んだ際に発生する痒みが主な症状です。
下痢や嘔吐、排便回数が増える、お腹がゴロゴロとなるというような消化器症状が認められることもあります。
食事に関連していますので、症状がアレルゲンを摂取している限り一年中認められます。
主に痒みが発生する場所として、ワキの下、指の隙間、内股の部分、眼の周囲、口の周り等の日々活動する際にこすれるような部分に多く見られます。
また、耳だけに炎症を起こし、外耳炎のみが認められるという犬もいますので、なかなか治らない、繰り返す外耳炎がある子は、食物アレルギーの検査を検討してみるのもひとつでしょう。
食物に含まれているアレルゲンを摂取することで、過剰な免疫反応を起こします。
1歳以下で発症する犬が全体の2分の1から3分の1とも言われていますが、どの年齢でも発症する可能性はありますので、1年中痒い場合は食物アレルギーかどうかを検査することをおすすめします。
ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、コッカースパニエル等に比較的多く認められます。
感染症などのその他皮膚炎でないことを診断した後に、除去食試験といって専用の療法食のみを2ヶ月食べさせ痒みがなくなるかをチェックします。
その後、痒みがなくなった場合は以前食べていたフードに含まれている成分等を1種類ずつ1週間毎に与え、痒みが再燃するかを見て、どの食物にアレルギーがあるのかを調べていきます。
そして、アレルゲンの疑いのある食材を避けた食事を続けることで症状を抑えることができます。
原因が判明したら、その食物を与えないようにするのが一番の予防策です。
また、新しい食物を与える際にも症状が出ないか気を付けてあげましょう。
食物アレルギーを持っている子は、アトピー性皮膚炎の素因を持っていることもよくありますので、食事だけで痒みが完全になくならない場合は、他の検査や治療、アトピー性皮膚炎と同様なご自宅での皮膚のケアが必要となってくる場合があります。
今回ご紹介した皮膚病は日常的に多く見られるものですが、皮膚病は単一で発症している場合よりも複数の病気が同時に発症していることの方が多いので、皮膚病が治らない場合はきちんと診断をつけて治療を行っていくのがおすすめです。
基礎的疾患としてアトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎がある子は、皮膚が常にデリケートな状態ですので、細菌感染やマラセチア皮膚炎を起こしやすいですし、なかなか治らない膿皮症やマラセチア皮膚炎を患っている子が、実は基礎疾患でホルモンの病気を発症していたというような事例もよくあります。
特にシニアになってから発症した皮膚病が治らない場合は、全身の精密検査を検討してみるのも良いでしょう。
長引いている皮膚病では、やみくもに投薬のみを続けていくよりも、検査を進めていくことが犬にとっても飼い主さんにとっても負担が少なくなる場合もあります。
薬剤感受性試験(どの抗生剤が効果があるのかを確かめる検査)や、皮膚パンチ生検という皮膚の一部をくりぬく検査を検討することも症状によっては良いでしょう。
皮膚パンチ生検では、多くの場合は局所麻酔でほんの少し(一針縫うほどの大きさが一般的)の皮膚を数ヵ所くり抜き検査をします。
皮膚をくり抜くと言うと少し怖いなぁと思われる飼い主さんも多いかと思いますが、この検査からわかることはとても多いので、皮膚病の治療が長期間続いている場合は投薬で経過を見ていくよりも、的確な治療方針を立てられ結果的に犬への負担を減らすことができる可能性もあります。
また、薬剤感受性試験は皮膚をこすって検査をする負担の少ない検査なので、長期間抗生剤を使用しているのになかなか治らない子や、現在使ってる抗生剤の効き目がいまいちという場合は、かかりつけ医に相談してみるのもおすすめです。
執筆・監修:獣医師 にしかわ みわ
大学卒業後、一般小動物病院にて臨床獣医師として勤務、一次診療業務に携わる。
その後、都内大学付属動物病院にて研修獣医師として勤務、高次診療業務に携わる。
再び各地の一般小動物病院に勤務する傍ら、電話における動物健康相談業務にも従事。
海外にて動物福祉を勉強するため、2019年に欧米諸国へ留学。
現在は留学や臨床業務の経験を活かし、動物の健康や各国の動物福祉に関する記事の執筆業務を行う。
公開日 : 2020/03/11