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雪国代表の人気の犬種と言えば、シベリアンハスキーが挙げられます。
一時期、日本でも「ハスキー犬ブーム」が巻き起こりました。
しかし、元々ペット用の犬ではないため、ペット用の犬に比べて飼育難易度は高いです。
本記事では、シベリアンハスキーの魅力や飼育上の注意点を以下の流れでお届けします。
シベリアンハスキーは、オオカミのような野生的な見た目のかっこいい 犬の種類 です。
そんなシベリアンハスキーについて詳しく見ていきましょう。
シベリアンハスキーは、シベリアからカナダ北極圏にかけてのツンドラ地帯が原産地です。
シベリア地帯やアラスカ半島を訪れた探険家や毛皮交易を行う北米商人らが、チュクチ族を含めてエスキモーのことを「ハスキー」と呼称していました。
それから、その用務犬として用いられていた当犬種もハスキーと呼ばれるようになったという説や、遠吠えの声がしわがれている(husky)からハスキーと呼ばれるようになったという説もあります。
犬ゾリなどの牽引による人荷の運搬・狩猟補助などを行う使役犬として重用されてきました。
ドッグレースや犬ゾリレースで活躍し、アラスカのノーム市でジフテリアが大流行した際に、ハスキー犬が氷点下50度にもなる酷寒の中、544kmもの距離をリレーしながら血清輸送して多くの人命を救いました。
その名誉犬バルト像がニューヨーク市のセントラル・パークに建立されるなどして大いに認知されるようになりました。
1900年代になると、アメリカ・アラスカ州ではゴールドラッシュ(金の発掘)の人気が高まり、それに合わせて犬の需要が高くなりました。
そこで、シベリアからアメリカにシベリアンハスキーは輸入され、働く労働力やレース犬としての人気を高めていきます。
その後、北米経由で改良が加えられて全世界に広まり、現在では極地系犬種の中では特に抜きん出た人気を誇ります。
日本では漫画「動物のお医者さん」、映画「南極物語」の大ヒットで知名度が一気に上がり、バブルを追い風に飼育者が激増して「ハスキー犬ブーム」を引き起こし、社会現象にまでなりました。
シベリアンハスキーは、オオカミに似た容姿からクールな印象ですが、性格は遊ぶことや冒険することが大好きでいたずら好きです。
特に成長期~青年期はいたずら好きで力の強い犬種であるため、物を壊したりしないように気を付ける必要があります。
なお、基本的には穏やかな性格です。
警戒した相手ではない限り、威嚇や噛みつくことはほとんどありません。
とても友好的で人間とも仲良くできますし、動物とも仲良くできます。
社会性が強いため、従順で集団生活に向いています。
また、独立心も強いため、脱走してしまうと放浪することもあります。
清潔好きなことから家庭犬に向いている犬種です。
値段は35〜55万円と血統によって幅があり、良血の個体になると75万円以上の値段で取引されることもあります。
平均的な寿命は約10〜12年で、およそ5~6歳までが人間でいう成長期・青年期にあたると言われています。
成犬では、体高約50~60cm、体重約16~28kgほどになります。
近年では左右の瞳の色が違うオッドアイや、毛並がブラウンのシベリアンハスキーも見られます。
犬ゾリが得意なぐらいなので、体力とパワーが抜群に優れてる犬種です。
シベリアンハスキーの毛色の種類を紹介します。
シベリアンハスキーの中ではメジャーな毛色です。
白黒はっきりしているため、成長過程における模様の変化などが読み取りやすいです。
こちらも比較的メジャーな毛色です。
明るいブラウンとホワイトというイメージです。
ホワイト一色の珍しいタイプです。
ホワイトハスキーと呼ばれています。
シベリアンハスキーは目の色にもそれぞれ違いがあります。
早速、見ていきましょう。
黒い目は日本人には馴染み深く、受け入れられやすい色です。
シベリアンハスキーの中では一般的な色です。
クールな印象をより一層引き立ててくれるため、人気も高いです。
優しい雰囲気を強めてくれる茶色。
毛色も茶色だと、より一層穏やかな雰囲気ですね。
茶色とも似ていますが、よく見ると違います。
動物的な色です。
色は今までに出てきたものですが、左右の目の色が違うことがあります。
これをオッドアイ(バイアイ)と言い、虹彩異色症とも言われています。
オッドアイは、左右の眼で虹彩の色が異なる、もしくは一方の瞳の虹彩の一部が変色する形質のことを言います。
何らかの理由により片方の眼球だけメラニン色素の量が減少した場合、瞳の色が変わり、もう片方の眼球と色が異なるといった具合です。
一般的には病気が原因ですが、シベリアンハスキーの場合は少し違います。
もともと日光照射が少ない地域で生まれたシベリアンハスキーの眼はメラニンが少なく、青色をしていました。
やがて日光照射が多い地域に移動したことで、メラニンの多い茶色の眼に変わったと言われています。
病気が関係していれば当然寿命も短くなりますが、シベリアンハスキーのオッドアイは虹彩異常症によるものではないので、オッドアイだからといって寿命に差はありません。
オッドアイの魅力に惹かれてシベリアンハスキーを飼う人もいます。
ここからはシベリアンハスキーの飼育方法を解説していきます。
まずは、飼育環境からです。
シベリアンハスキーは極寒育ちなので、 暑さにはとても弱い 犬種です。
本来-50℃前後での環境でも耐えられる様、分厚いダブルコート(毛が二層)であるため、日本の夏はシベリアンハスキーにとって耐えがたいものだと言われています。
もちろん、外で飼うことは不可能ではありませんが、暑い気候の地域では外で飼うことは厳しいかもしれません。
基本的には室内飼いがおすすめです。
体臭もほとんどないので、室内飼いはしやすいです。
シベリアンハスキーは大型犬であることから、室内であれば居住空間が広い方が望ましいです。
夏場はエアコンをつけ、散歩は朝晩の涼しい時間帯にしてあげましょう。
体力もあるため、充分に散歩ができる環境、できれば走り回ることができる環境が欲しいところです。
体力的にお年寄りだけで飼育するのは厳しいところがあります。
シベリアンハスキーは子どもにも優しく接することができる犬種ということもあり、家庭に子どもがいることは問題ではありません。
また、シベリアンハスキーは仲間意識が高い犬種です。
人懐っこく、従順な性格のシベリアンハスキーはかまってあげる時間を確保しないと寂しさから不安になります。
それによって、仲間を呼ぶ本能から無駄吠えや噛みつきなどの問題行動に発展してしまいます。
シベリアンハスキーは多頭飼育をしている方が、性格の落ち着いている子に育ちやすい傾向があるようです。
一方で、独立心が強い性格なので、常に構うことはさけて一人の時間を作れるような飼い方をしましょう。
シベリアンハスキーは週に1回のブラッシングが基本ですが、換毛期には毎日のブラッシングが必要となります。
毛を放置すると皮膚疾患のきっかけになってしまうので、できるだけマメなブラッシングをしてあげることが飼い方のコツです。
シベリアンハスキーはもともと雪国でソリを引く犬だったので、ペット用に改良された犬種を飼うよりもしつけのハードルは高いです。
シベリアンハスキーのしつけは、どんな性格か熟知した上で行う必要があります。
いたずら好きであるため、「何でも口に入れてみる」などの行為が多く、誤飲を起こしやすいと言われています。
誤飲に気付かないと最悪死に至る場合もあります。
危険性のある物を飲み込んでしまっていた場合などは手術が必要になることもあり、「いたずら」と言っても大きなリスクになります。
シベリアンハスキーは主従関係の上につくリーダーにはとても従順になる犬ですので、リーダーとして理想であることを教えるために、できるだけ子犬のうちから服従訓練をすることも大切です。
アメリカのドッグトレーナーで動物行動学者シーザー・ミランも、シベリアンハスキーのしつけの基本は「疲れさせること」だと言っています。
つまり、運動量をしっかり確保してあげなさいということです。
いい加減な散歩ではかなり不十分と言えます。
体力があり余ってしまうことが多く、ストレスになってしつけも行き届かなくなることがあります。
朝晩1日2回、1~2時間かけて運動させる必要があります。
ハスキー犬を飼うコツは、毎日充分な運動で疲れさせることです。
シベリアンハスキーは犬ゾリを引く本能が残っていますので、散歩をする際に先に引っ張っていく癖があります。
このような癖も、リーダーウォークをしっかり教えてしつける必要があります。
きちんとしつけることができれば、シベリアンハスキーは大人しく友好的な犬になります。
一般的な犬の病気もそうですが、シベリアンハスキーならではのかかりやすい病気もあります。
それは、足腰の病気と目の病気です。
ここでは、シベリアンハスキーがかかりやすい病気を紹介していきます。
大型犬であるシベリアンハスキーは産まれつき股関節の形がおかしく、成長過程で痛みを示すようになることがあります。
股関節形成不全という病気です。
これは、太ももの骨と骨盤とを結合する股関節の形が先天的に異常な状態を言います。
普通は生後7~9か月くらいの成長期で発症し、股関節部分が不安定になって重度になると後ろ足がふらふらして歩けなくなります。
成長期は、急激に体重が増加するため、股関節へ過度のストレスがかかりやすいことも原因の1つです。
後ろ足がうまく使えず、跳ねるように歩いたり、腰を振って歩いたりします。
また、うまくおすわりができない、運動や段差を嫌がるといった症状も見られます。
多くの場合、成長後に症状が一旦軽快するように見えますが、股関節の関節炎は進行していくため、後に症状が再発します。
遺伝的な要因が大きい ので、シベリアンハスキーをお迎えする際には、事前にその子の血統に発症しているシベリアンハスキーがいないか確認しておくようにしましょう。
前十字靭帯は、 肥満 、 大型犬 など膝関節に負担がかかっている場合や、 高齢 で靭帯が弱くなっている場合に傷めやすいです。
少しジャンプしたり走ったりしただけで切れてしまうこともあります。
前十字靭帯が損傷すると、その足に痛みが生ずるため、足を上げたままケンケンで歩いたり、引きずったりしてその足に体重をかけようとしなくなります。
軽い損傷であれば数日でその症状は消えます。
しかし、治療をしないで痛い足を庇っていると、反対側の足が同じように完全に切れてしまうこともあります。
予防としては、 シベリアンハスキーは大型犬なので肥満には特に気をつけましょう。
白内障とは、水晶体の一部や全体が白く混濁した状態を言います。
犬の白内障で最も一般的に見られるのは、6歳以上の犬の老齢性変化によるものです。
シベリアンハスキーでは、若いうちから白内障を発症することがあります。
シベリアでは日照時間が短く、厚い雲が空を覆っていることが多くなっています。
それによって、日本の紫外線、夏場の暑さなど、シベリアとは全く違う環境に身体の色々な機能がついていけなくなります。
生育環境が変化することで白内障になりやすいと言われます。
ごく初期の白内障は、健康診断などで指摘されることがあります。
白内障が進行すると、飼い主も水晶体の白濁を確認できるほか、視力障害のため散歩を嫌がったり、物にぶつかりやすくなったりします。
白内障で視力が失われた場合、視力を取り戻すための外科手術を行なうことがあります。
手術を実施している施設、手術が可能かどうか、合併症や手術後に必要な処置などについて、かかりつけの獣医師とよく相談しておく必要があります。
犬の緑内障とは、眼球の内圧(眼圧)が高まることによって網膜や視神経が影響を受け、視野が悪化した状態を言います。
急性緑内障を発症すると視力障害のほか、角膜が混濁したり、目が充血したりします。
さらに、強い痛みで目を閉じられなかったり、目の周囲を触ろうとすると噛み付いたりすることもあります。
治療としては、眼圧を下げて視力を回復させるための点眼薬や内服薬のほか、時には外科手術を行います。
また、急性期には、緊急的に眼圧を下げるための薬の注射を行うこともあります。
状態が安定したら、正常な眼圧と視力を維持するために内科治療を続けます。
緑内障は再発を繰り返しながら悪化することがよくあります。
視力が回復できない場合、痛みを取るために眼球摘出や義眼の挿入を行うこともあります。
特発性てんかんとは、脳に腫瘍や炎症などの異常が見つからないにも関わらず、痙攣発作などを起こす病気です。
特発性てんかんの発症の詳細なメカニズムは分かっていません。
全身が痙攣し、意識を失い、よだれや失禁を起こす全身発作や、顔面の一部や四肢だけが痙攣したり震えたりする部分発作があります。
発作は一時的で、突然に始まるが、自然に治まってしまうことが多いです。
その時間は、数十秒~数分の間です。
発作が治まるとけろりとしていることもよくあります。
特発性てんかんは完治が困難で、生涯付き合っていかなくてはなりません。
治療方法は、発作の頻度や重症度から決定します。
軽症であれば、投薬はせずに経過観察のみを続けることもあります。
一方で、複数の薬を組み合わせて発作を抑えていく場合もあります。
このように、生育環境の変化や遺伝、体の構造からシベリアンハスキーがかかりやすい病気があるので、気を付ける必要があります。
本記事では、シベリアンハスキーの魅力をお伝えしました。
雪国生まれのシベリアンハスキー、少しは身近な存在になって頂けたでしょうか。
シベリアンハスキーは、ブームが過ぎた今でも人気の犬種です。
流行りに乗るのではなく、きちんと理解をした上でお迎えできる飼い主さんが増えれば幸いです。
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/03/16
公開日 : 2016/09/23