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ミヌエットは、 マンチカン と ペルシャ を交配させることで産み出された比較的新しい猫種です。
そして、1996年に猫種として確立されたミヌエットは、一時期「ナポレオン」という名前で登録されていました。
しかし、その当時のフランスでは、ナポレオンが皇帝として君臨していため、皇帝と同じ名前をしていることに対しての指摘が行われました。
そこで2015年に今までの猫種名を変更し、「ミヌエット」と呼ぶようになったのです。
アメリカ原産のミヌエットは、人の手によって産みだされる「人為的発生」という方法で誕生した 猫の種類 です。
しかし、ミヌエットを誕生させたのは猫のブリーダーではなく、 犬のブリーダー をしていたジョセフ・スミスでした。
ジョセフはもともと、胴長短足で長い耳を持つ「 バセットハウンド 」という 犬種 を専門に扱っており、足の短い犬を好んでいたのです。
そんな彼はある日、アメリカの「ウォール・ストリート・ジャーナル」という新聞で、短足な猫種であるマンチカンを見かけ、同時にマンチカンが置かれている悲しい状況も知りました。
マンチカンは短足がチャームポイントになっている猫種ですが、すべての子が短足を持っているわけではありません。
なぜなら、短足同士は遺伝的疾患を引き起こす可能性があるため、必ず短足×長足(一般的な猫よりは足が短い)で交配させなければならないからです。
そのため、マンチカンの中には短足という特徴がはっきり出ず、長足で生まれてくる子も少なくありません。
しかし、こうした長足の子は短足ではないことが理由となり、捨てられたり、保護センターに収容されたりすることが多かったのです。
ジョセフは短足の動物を扱うブリーダーとして、こうした現実に強い憤りを感じ、自分の手で短足が固定化された猫種を生み出そうと考えました。
新品種を産み出すため、ジョセフはまず、マンチカンとペルシャを異種交配(違う猫種同士を交配させること)させ、短足と低い鼻を持つ子猫を誕生させました。
そして、次はその 子猫 と ヒマラヤン や エキゾチックショートヘア などを交配させることで、短足を持つ大人しい性格の猫種を作り出そうとしたのです。
ジョセフによる育種は15年にも及びましたが、結局自身が理想とするミヌエットが作り出せなかったため、彼は2008年に育種計画から外れてしまいました。
そのため、ジョセフがいなくなった後は、サム・テートやマージ・ガドナーといったブリーダーが力を注ぎ、ミヌエットの育種を進めていったのです。
こうした産みだされたミヌエットは、2001年に世界的な血統登録団体であるTICAに仮登録され、2015年には新品種として本格的に公認されるまでになりました。
現に、アメリカでは日本とは少し違う「メヌエット」という猫種名で親しまれています。
また、ミヌエットはTICAだけだなく、小型猫を専門に登録しているTDCAにもされているのです。
しかし、ミヌエットは短毛や長毛のどちらも産まれたり、低い鼻がペルシャほど目立ったりしないため、猫種としての外見的特徴が一目で分かりにくいという問題点も抱えています。
そのため、CFAでは公認が見送られていたり、キャットショーへの出展も少なかったりするため、まだまだ希少価値の高い猫種だといえるでしょう。
セミコビータイプのミヌエットは、四肢や胴、尾がやや長めです。
丸みのあるボディは小さめで、コンパクトな印象を与えるでしょう。
しかし、筋肉質でがっちりとしているため、抱き上げたときにずっしりとした重みを感じさせます。
また、一般的な猫より短くて太い首を持っているのも、ミヌエットの特徴です。
ミヌエットの頭部は、全体的に丸みを帯びたシルエットをしています。
そのため、どの角度から見ても頭部が丸く見えるでしょう。
また、他の猫種よりも横幅が広いため、顔の形が真ん丸に見えます。
ミヌエットの耳は中くらいから小さめで、やや離れ気味でついています。
根元が広く、先端が丸くなっているのも愛くるしい特徴だといえるでしょう。
少し離れ気味についている目は、たれ目な印象を与えます。
ただし、ペルシャの血が入っていても、ペルシャのように目と目の間に溝があるのは、あまり理想的だとはいえません。
また、ミヌエットはすべての目色が現れます。
具体的には、カッパーやゴールドといったオレンジ系やヘーゼルというグリーン系、サファイヤブルーやアクアといったブルー系などが見られるでしょう。
そして、ミヌエットの中には左右で違う目色をしているオッドアイの子も現れます。
しかし、オッドアイの場合は青い目を持っている側の耳が難聴であったり、障害を抱えていたりするケースも多いので注意してください。
ペルシャの血が入っているため、ミヌエットの鼻は一般的な猫よりも低くなっています。
しかし、呼吸器系の疾患を避けるため、鼻はペルシャほどつぶれていません。
額と鼻のつなぎ目にくぼみがあるのも、呼吸系の疾患を引き起こさせないためであるといわれています。
ミヌエットはブラック、チョコレート、シナモン、レッド、ブルー、ライラック、フォーン、クリームといった、すべての被毛パターンが現れます。
被毛はオーバーコート(体の一番表面を覆っている毛)と、アンダーコート(皮膚に近い場所を覆っている毛)からなるダブルコートで柔らかい手触りをしています。
しかし、毛が生え変わる換毛期には、抜け毛が目立つこともあるでしょう。
また、ミヌエットは毛包(人間でいう毛穴)から6本の毛が生えているため、被毛にボリューム感があります。
短毛種と長毛種のどちらも産まれますが、短毛種の場合でも、一般的な短毛の猫種よりも毛が長いのも、ミヌエットならではの特徴だといえるでしょう。
被毛にボリューム感があるミヌエットは、尻尾が一般的な猫よりもふさふさとしています。
存在感のある尻尾は気品があり、長毛種は特にゴージャスな印象を与えてもくれるでしょう。
猫の尻尾は、大体ボディと同じくらいの長さをしている場合が多いですが、ミヌエットの場合はボディよりも長めの尻尾をしています。
ミヌエットは、短足がチャームポイントの猫種ですが、実はあまりに短足すぎる子は好まれません。
そのため、四肢の長さはボディの1/3以上が理想的だといわれています。
また、O脚の子もあまり好まないため、脚は前胸部からまっすぐと伸びている子が理想的です。
一般的な猫の平均体重は、およそ3~5kg程度だといわれています。
しかし、ミヌエットはTDCAに公認されている小型猫種であるからこそ、体重も軽いのです。
平均体重はオスとメスによって異なりますが、オスの場合は3~4kgで、メスは2~3kg程度の軽さです。
ただ、筋肉質なミヌエットは太りやすい猫種でもあるので、肥満対策として低カロリーの キャットフード を与えるなどして、平均体重を維持していきましょう。
一般的におうちで飼われている 猫の平均寿命 はおよそ15歳程度ですが、ミヌエットの平均寿命はやや短く、12~14歳前後だといわれています。
しかし、こうした平均寿命は飼い主さんのお世話や、毎日与えるキャットフードによっても変わってくるものです。
特に成長期にあたる生後2〜3ヶ月頃は体が作られる時期でもあるので、栄養素の高い子猫用の総合栄養食を与えて、丈夫な体を作ってあげましょう。
希少価値の高いミヌエットは、日本ではまだ知名度が低い猫種です。
ペットショップでもあまり見かけられない猫種のため、 里親 サイトなどで出会うことは難しいといえます。
そのため、おうちに迎えたいと思っている方はミヌエットを専門に扱っているブリーダーさんに連絡を取ってみましょう。
身近にブリーダーさんがいない方は、ネット上のブリーダーサーチサイトを活用してみるのもおすすめです。
ブリーダーサーチサイトなら、子猫の時期に譲ってもらうことが可能なので、人慣れしやすい子に育てることもできます。
ただし、ミヌエットは被毛の色で購入価格が変わってくるので注意しましょう。
基本的なミヌエットの販売価格はおよそ20~30万前後ですが、白色や茶色のミヌエットは希少価値が特に高いため、値段は50万前後に設定されていることもあります。
マンチカンとペルシャのチャームポイントを持ち合わせているミヌエットは、外見だけでなく、性格も愛くるしい猫種です。
マンチカンらしい好奇心の強さを持っているミヌエットは、活発で遊び好きなため、新しいものに対して、すぐに興味を示します。
そのため、飼い主さんが買ってきた新しいおもちゃにきちんと反応してくれる子も多いでしょう。
そして、ペルシャの血が入っているからこそ、温厚な一面を見せてくれるのもミヌエットのチャームポイントです。
温厚なミヌエットは鳴き声も少ないので、マンションやアパートなどの集合住宅でも飼いやすい猫種となっています。
さらに、ミヌエットは飼い主さんと遊ぶことを好みますが、人間だけでなく、他の動物や同居猫に対しても優しい態度で接してくれるため、多頭飼いにも向いています。
もともと人見知りをしない性格なので、来客時に怯えてしまうことも少ないでしょう。
また、ミヌエットは賢い猫種なので、 犬 をしつけるときに使う「クリッカー」と呼ばれる道具を活用して、トレーニングを行うことができます。
クリッカートレーニングをマスターした子は、お手やおかわりといった芸を披露してくれることもあるでしょう。
しかし、ミヌエットは甘えん坊な一面がある反面、しつこく構われすぎることを嫌う子も多いものです。
そのため、小さなお子さんと暮らしていると、知らない間にストレスを溜めこんでしまうこともあるので注意しましょう。
ミヌエットは、きちんとした自立心を持っている猫種です。
シャムのように、人間に対して依存心が高い猫種ではないからこそ、自分らしいペースで暮らせるように配慮してあげましょう。
ミヌエットは活発な性格をしているため、きちんとした運動量を確保してあげることが大切です。
走り回れるような広いスペースを用意してあげるのはもちろんですが、猫は横よりも縦の広さを重視する動物です。
そのため、 キャットタワー やキャットウォークなどを設置して、上下運動ができるようにしてあげましょう。
しっかりとした上下運動は肥満防止にも繋がるため、結果的に、平均寿命を延ばすことも可能になります。
そして、ミヌエットは被毛にボリューム感があるため、ブラッシングをこまめに行ってあげましょう。
短毛種の場合は1日に1回、長毛種の場合は1日2回程度のブラッシングで、抜け毛をケアしてあげる必要があります。
ただし、換毛期は抜け毛が増えるため、毎日のブラッシング回数を増やすことを心がけましょう。
例えば、短毛種の場合でも朝と夕、1日2回のブラッシングを行い、抜け毛を飲みこみすぎないように気を付けてあげてくださいね。
ミヌエットは遺伝子的に、心疾患を引き起こす可能性がある猫種です。
中でも左心室の壁が内側に向かって肥大することで、血液の流れが悪くなってしまう肥大性心疾患は、ミヌエットに発症しやすい病気だといわれています。
この病気はペルシャが遺伝的に発症しやすいとされているため、ペルシャの血を受け継いでいるミヌエットも発症しやすいのです。
しかし、心臓の病気は症状が見られ始めてから対処を行っても、手遅れになってしまうケースも少なくありません。
そのため、飼っている猫が息切れをし始めたり、運動を嫌がったりする場合は念のために一度、超音波検査で心臓を調べてもらいましょう。
肥大型心筋症は現在、完治させることができないため、お薬による治療が基本になってきます。
悪化させると、命を落としてしまう危険性がある肥大型心筋症は、早期治療がカギになってくるので、普段からこまめにミヌエットの様子を観察しておきましょう。
ミヌエットはペルシャほど鼻が低くありませんが、他の猫種と比べると、やはり低いものです。
そのため、ペルシャと同じように呼吸器系の疾患にかかってしまう子もいるので、注意しましょう。
呼吸器系疾患としては、鼻づまりがみられることがあるので、飼い主さんは加湿器を用意して呼吸がしやすい環境を作ってあげることも大切。
さらに、空気中に飛んだ抜け毛が呼吸を妨げてしまう可能性があるため、空気清浄器を設置するのもおすすめです。
のう胞腎は、両方の腎臓にある小さなのう胞(袋状で液体が入っている)が大きくなってしまう病気のことで、遺伝子が関係しています。
のう胞腎臓は両親のどちらかが、腎臓に必要なタンパク質を作る遺伝子に異常を持っていると、子猫も50%の確率で発症してしまうともいわれている恐ろしい病気です。
のう胞腎は、のう胞が大きくなってくるため触診でも診断が可能ですが、早期発見をしたい場合はレントゲン検査や超音波を行いましょう。
中でも食欲が減ったり、多飲多尿といった症状が見られたりした場合は、速やかに動物病院で相談してみてください。
ミヌエットは他の猫種よりも鼻が低いため、角膜炎や流涙症といった病気にかかる子も少なくありません。
角膜炎は結膜炎よりも痛みが強く、猫が目の周りを気にしたり、涙が見られたりするのが特徴です。
そして、流涙症は涙やけとも呼ばれ、目をかゆがったり、目やにが増えたりといった症状が見られます。
こうした目の病気は、目薬などを使うことで症状をやわらげてあげることができるでしょう。
しかし、遺伝的に目の疾患を抱えている子は、低力が低下してしまったときに同じような異変が見られることもあります。
そのため、いつでも痛みや不快感を和らげてあげられるよう、おうちには猫用の目薬を用意しておくことも大切です。
原産地:アメリカ
原種:マンチカン、ペルシャ
公認年:2001年
公認団体:CFA、TDCA
入手しやすさ:やや難しい
価格:20万~30万前後(白色と茶色は50万前後)
平均寿命:12~14歳
毛色:すべての毛色(ブラック、チョコレート、シナモン、レッド、ブルー、ライラック、フォーン、クリーム、ホワイト)
目色:すべての目色(オッドアイも含む、グリーン、ヘーゼル、イエロー、ゴールド、オレンジ、カッパー、サファイヤブルー、ブルー、アクア)
体重:オス3~4kg、女の子 2~3kg
ボディタイプ:セミコビー
体型:小型
特徴:筋肉質でがっちりしているが、ボディはコンパクト
性格:好奇心が旺盛だが、協調性がある
かかりやすい病気:肥大型心筋症、呼吸器系疾患、のう胞腎、角膜炎、流涙症
毛種:短毛種・長毛種
ミヌエットは、マンチカンの人気が高まってきた近年では注目されやすくなっている猫種です。
ペルシャとマンチカンの長所を受け継いでいるミヌエットはしつけやすく、人間と共存しやすい性格でもあります。
気になった方は、ぜひこれを機にミヌエットの内面も理解したうえで、おうちに迎えられるようにしていきましょう。
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監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/10/12
公開日 : 2017/10/12