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現在ではギネスブックからその名前は消されていますが、ラーテルは「世界一怖いものしらずの生き物」と言われることがあるほど強い生き物です。
実はアナグマや イタチ の親戚で、見た目もアナグマによく似ていますが、その頑丈さは比べ物になりません。
また、ミツアナグマという和名の通り蜂蜜が大好きで、生息地の一つであるケニアでは「2匹のラーテルは養蜂筒でしくじらない」ということわざがあったりもします。
そのため、有名なアニメ、けものフレンズのゲームアプリでも、蜂蜜において共存関係であるノドグロミツオシエと一緒に登場する姿を見ることができるのです。
今回はそんなラーテルについて、その生態と特徴をメインに解説させて頂きます。
ラーテルはアフガニスタンやイラク、南アフリカ共和国などの暖かく乾燥した地帯に生息しています。
そのため夜行性で、日中は洞の中や岩の隙間で寝ていることが多く、あまりその姿を見ることはできません。
怖いもの知らずというと体が大きいイメージを持つと思いますが、なんと大きさは80~110cm程度、体重は7~14kg程度と、 中型犬 程度の大きさと体重しかないのです。
しかしその強さは体の大きさと比例しておらず、自分の何倍もある ライオン やハイエナに立ち向かい撃退できるほどの力を持っています。
最も、大型肉食獣を襲ったり撃退することもあると言われていますが、それは主に繁殖期などで気が荒くなっている時にしか行いませんし、肉食獣の捕食もしません。
主食とするのは小型の哺乳類、小鳥などの 鳥類 や 昆虫類 ですが、特に蜂の子や成虫、蜂蜜を好むことでよく知られています。
学名の「Mellivora capensis」にはケープ地方の蜂蜜食いという意味があり、そのことから和名でもミツアナグマという名前が付けられました。
また非常に悪食で、地上を這うような姿勢でパッサージュと呼ばれる走法で素早く走り、捕食対象となるものは何でも食べてしまいます。
そうした食性と、ラーテル自体が隙間を出入りできるような小柄な生き物であり、蜂や 小動物 の類を食べてしまうことから畜産業者や養蜂業者の方には害獣として扱われています。
ちなみに、ラーテルが「the most fearless animal(世界一怖い物知らずの動物)」としてギネスに乗った理由はその貪欲さにあります。
大好物の蜂蜜や蜂の子を手に入れるためにはまず、蜂の攻撃を耐えなければいけません。
そのため、蜂の巣を襲う哺乳類は非常に限られており、ハチクマとよばれるタカの仲間や少し刺されても平気な大きい体を持つ熊などしかいないのです。
蜂の巣を襲うこと以外にも、ラーテルは他の肉食獣の獲物を奪ったりもしますし、餌となりそうなものを持っている場合は人を襲うこともあります。
その食に対する貪欲さから「世界一怖い物知らずの動物」と呼ばれることになりました。
こうした面から非常に強い生物であると思われがちなラーテルですが、実際にはライオンやジャッカル、ヒョウなどに捕食されることもあります。
子供はまだ皮膚や爪なども発達していないので、ハイエナに食べられてしまうことも・・・。
しかし、そうした大型の捕食者があまり生息していないような岩石砂漠や礫砂漠などの場所では、ラーテルは生態ピラミッドの頂点になっているのです。
そんなラーテルも環境開発による影響には勝てず、生息地では年々その数を減らしつつあります。
同じイタチ科の仲間でクズリと呼ばれる哺乳類がいます。
熱帯地域に生息するラーテルとは真逆で、主にアメリカ西部やモンゴル、ロシアなどの寒帯に生息しています。
和名ではクロアナグマと呼ばれる生き物です。
このクズリもラーテルのように小柄な体ですが、シカや羊、そしてなんとトナカイも倒せてしまうほどの能力を持っています。
顎の力がとても強いため、歯で太い骨をかみ砕けるほどの力を出せるのです。
その力強い顎で、雪に足を取られている獲物に噛みつき捕えてしまいます。
また、足裏が体格とくらべて大きく、体重を分散することによって雪の上をスムーズに歩くことができるため、冬の時期のクズリは非常に優秀なハンターとなります。
生息域が被っている肉食動物、ヒグマやオオカミも場合によっては撃退しますし、飼育下ではありますが、ホッキョクグマを殺傷した記録も残っているほどです。
ラーテルと同じく健啖家で、そのため学名や英名にも大食漢を意味する単語がついています。
ちなみに、アメリカンコミックで有名なXメンに登場するウルヴァリンはこちらのクズリがモデルになっています。
日本に住むアナグマ、ニホンアナグマもけものフレンズに登場している動物です。
ニホンアナグマはタヌキにも似ていることから、昔から タヌキ と間違われてきた生き物です。
ずんぐりむっくりとした体形をしており、基本的な体色は違いますがどこかラーテルにも少し似ています。
食性は同じイタチ科であるタヌキやラーテルなどと変わりがなく、昆虫や小動物、果物などを好んで食べます。
性格は臆病で、イタチや リス 、タヌキなども行う行動ですが、危険を察知すると擬死という行動をとってしまいます。
擬死とは極度の緊張によるストレスで体が固まってしまう現象で、死を偽装することにより捕食者の気を緩めるという意味があると推測されています。
そうした面から、自分より体の大きな動物である 犬 や人間などに襲い掛かることは、恐怖のあまりパニックに陥ることなどを除けば非常に稀です。
ちなみにタヌキ鍋という食べ物がありますが、実際にタヌキ鍋として食べられていたのはアナグマであるとされています。
タヌキの肉は臭みがあり、あまり食用には適さないのですがニホンアナグマの肉は問題なく食用として使えるのです。
また、ぶんぶく茶釜にでてくるタヌキも、実はニホンアナグマだったのではないかという説があります。
タヌキは縄の上を歩くことはできませんが、ニホンアナグマは可能なためです。
最もこちらの説はニホンアナグマである、もしくは ハクビシン であると考えられていますが、何分昔の話であるためどの「タヌキ」を指していたのかははっきりとわかっていません。
ラーテルが蜂の巣を襲って蜂蜜を食べる際は、「蜜教え」をしてくれる小鳥と共存関係にあることが多いです。
よく見られるのがノドグロミツオシエと呼ばれる小さな小鳥で、この鳥は他の生き物に蜂の巣がある場所を教え、蜜のおこぼれをもらうという性質を持っています。
ノドグロミツオシエが蜂の巣を見つけるとラーテルの周りをさえずりながらとびまわり、目的地である蜂の巣までラーテルを先導します。
ラーテルは主に地表性なため高い場所にある蜂の巣を見つけることが中々できませんし、ノドグロミツオシエは自ら蜂の巣を襲う力を持っていない、というお互いにない箇所を補って協力し合い、蜂蜜を手に入れるのです。
最もラーテルがノドグロミツオシエに蜂蜜を分け与えるわけではなく、ラーテルの食べ残した蜂蜜をノドグロミツオシエが食べる、という形になります。
また、ノドグロミツオシエは蜂の巣に案内した生き物が全くミツオシエの取り分をよこさないと、次からは案内しなくなるという面を持っています。
ノドグロミツオシエはラーテルだけではなく人にも「蜜教え」をするのですが、人間に巣をすべて持っていかれたのか、全く案内をしてくれない個体もいるそうです。
ミツオシエ科の鳥は他にも数種いますが、実はノドグロミツオシエのように他の動物の手を借りるという特徴を持つ種類は少なく、自分で蜂の巣を襲って蜜や幼虫を食べています。
ラーテルの最大の特徴は背中部分にある装甲のような皮膚です。
この皮膚は非常に分厚く、ライオンの鋭利なかぎ爪も牙も歯が立たないほどに頑丈な作りになっています。
装甲を利用することで、ラーテルは大型の肉食獣とも渡り合っていけるのです。
頭から尻尾にかけて白い体毛が生えていますが、その部分が硬い皮膚となっているため、上から攻撃を受けても防御ができる仕組みになっています。
ただ、腹側や顔などの皮膚が比較的薄い場所を攻撃されるのは弱いようで、そこを噛みつかれたり引っかかれたりしてしまうとラーテルでも傷を負ってしまいます。
南アフリカ共和国にはラーテル歩兵戦闘車(Ratel IFV)と呼ばれる戦車があります。
これはどんなものでも跳ね返してしまうラーテルの皮膚にあやかってつけられた名前です。
ラーテルは毒に対して強い耐性を持っています。
そのため、猛毒をもつ コブラ に対しても臆することがなく、積極的に捕食をします。
噛まれてしまった場合も全然平気・・・というわけではなく、一時的に動けなくはなってしまいますが数時間もすれば回復し、活動することができます。
ラーテルは毒蛇のもつ神経毒を分解し、排出する能力に優れているのです。
コブラ類のもつ毒は非常に強烈で毒の量も多いのですが、ラーテルに対しては致死性があるわけではありません。
このような毒への耐性を持つことから、ラーテルは蜂に刺されたとしても問題なく蜂蜜を食べることもできるのです。
一般的に、野生動物は自分よりも体が大きな動物に攻撃を仕掛けることはありません。
仮に獲物として狙われてしまったときも多くの動物は逃げることを選びますし、立ち向かっても一瞬で攻撃を仕掛け続けるということは滅多にしないと言っても良いです。
しかしこのラーテルは動画の通り、メスライオン4頭にも全く臆することなく立ち向かっています。
背中に爪を立てられたり、噛みつかれていたりしていますが全く気にする素振りを見せません。
ひっくり返されたときはさすがに抵抗をしていますが、むしろ自ら攻撃を仕掛けにいっている様子も見ることができます。
このように、ラーテルは自分よりも大きな動物であろうと臆しない性質を持っています。
繁殖期になると攻撃性が増すようですから、もしかするとこのラーテルは繁殖期か、それか近くに子供がいたのかもしれませんね。
なお、ラーテルはイタチの仲間でもあるため肛門の近くに臭腺を持っています。
イタチ科が臭腺から出す臭いはかなり強烈で、一度匂いが付くと何日も取れないと言われるほどです。
野生動物の嗅覚は我々人間よりも優れていることが多いため、この匂いもラーテルの強い武器となっています。
肛門から強いにおいを出す・・・というとやはり一番有名なのは スカンク でしょうか。
逆立ちの警告ポーズから浴びせられる非常に強烈な悪臭ガスは風向きによっては2kmにもおよぶと言われています。
狂犬病の媒介者でもあるため、スカンクが生息する北~南アメリカでは恐れられている生き物です。
そんなスカンクは、実はラーテルと同じ ネコ 目イタチ上科に分類される生き物です。
姿もスカンクの方がもふもふとしていますがよく似ており、背中から頭にかけて白い体毛を持っています。
スカンクはラーテルと違い頑丈な皮膚は持っていないため、タカやワシなどの嗅覚が発達していない鳥類が天敵となります。
スカンクは臭腺からブチルメルカプタンと呼ばれる成分が入ったガスを噴射します。
何にも例えづらい悪臭はスカンク臭と呼ばれることもあり、衣類ならまだしも肌につくとタンパク質と吸着して匂いが取れなくなるという嫌な一面も持っています。
幸いなことにラーテルの臭腺はスカンクよりもひどいものではなく、肌についても数日でとれると言われていますが、悪臭であることに変わりはないので現地でラーテルを目撃しても近づかないほうが良いでしょう。
ラーテルをペットにすることは不可能ではありません。
一般のペットショップ等では販売されていませんが、ネット上ではラーテルを販売しているショップも存在します。
しかし、その価格はなんと150万円ほどと、非常に高価なペットとなります。
また、上記した生態からも見て取れますが、ペットとして飼育するにはかなり難易度が高い生き物です。
国内でもラーテルを飼育している 動物園 は一か所しかありません。
現在日本には多くの動物園が存在していますが、それでも一か所しかないということは飼育難易度がそれなりであるということではないでしょうか。
更に問題なのが、飼い主に懐いてくれるのかということです。
野生の個体を捕獲したものである場合、人間に懐くことはほぼないと言ってもよいです。
野生動物は基本的に人間に懐くことは稀ですし、懐いてくれる動物はそもそもその種類が穏やかな性格であることが多いです。
雑食で悪食なため餌に関しては問題ないと思われますが、飼育場所の掃除やコミュニケーションを取ろうとするたびに威嚇、攻撃された場合は継続した飼育が難しいと考えられます。
ラーテルの寿命は飼育下で25年ほどと、決して寿命が短い生き物ではありません。
何歳のラーテルを購入したかにもよるとは思いますが、犬や猫と同じくらい長生きしてくれる動物なのです。
販売をされている以上、ラーテルを飼育することは不可能ではありませんが、そうした面から考えるとほぼ無理に近いというのが現状であると言えるでしょう。
ラーテルは日本には生息していない動物なため、動物園でしかその姿を見ることはできません。
かつ、ラーテルを飼育している動物園は日本に一つしかないのです。
名古屋にある「 東山動植物園 」は唯一ラーテルを見ることができる動物園です。
日本でも最大級の動物園をもっており、なんと動物の飼育頭数は日本一。
非常にたくさんの珍しい動物たちの姿を見ることができます。
イケメンのニシローランドゴリラ「ジャバーニ」の名前を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ラーテル以外にもシンリンオオカミやユキヒョウなど、他の動物園ではなかなか見ることができない沢山の動物をみることができますので、動物好きにはかなりお勧めのスポットです。
東山動植物園に行った際には是非、動くラーテルの姿を見に行ってみてください。
アプリがメインですが、相棒のノドグロミツオシエと活躍する姿を見ることができます。
したたかなノドグロミツオシエと血気盛んで勇猛果敢な熱血漢のラーテルのコンビは必見です。
学名にも蜂蜜食い、と付けられるほどに蜂蜜が好きな生き物です。
毒に対して強い耐性を持っているため、蜂に刺されることもお構いなしで蜂蜜を食べに行きます。
しかし、天然ものも養殖もの関係なく食べてしまうため、現地の養蜂業者さんには害獣扱いされています。
ライオンやヒョウ、ハイエナなどがいる場所ではラーテルは必ず最強というわけではありません。
背中の皮膚が鋭い爪や牙を通さないと言っても、お腹や顔の皮膚は柔らかいためです。
そのため大人のラーテルでも、ライオンやハイエナに捕食されることだってあるのです。
ただ、そうした大型の捕食者がいない場所では、ラーテルは生態系のピラミッドの頂点に位置されています。
コブラの毒を受けても数時間後には起き上がれるほど強い耐性を持っています。
コブラの毒は強いうえに注入される量が多いため、噛まれた場合早急に処置をしないと死に至るケースが多い強烈なものです。
体が大きな動物であれば毒の周りはさほど早くないのですが、ラーテルの体型は中型犬程度しかありません。
それなのにコブラの毒が回っても死なないことは、ラーテルの毒耐性の強さを表しています。
これはイタチ科の生き物によくみられる特性です。
イタチ科の中でもよく知られているのはスカンクでしょうか。
ラーテルの臭腺から出るガスはスカンクほど強くはないと言われていますが、皮膚や服についた場合数日は取れないと言われているほどには匂いが強いです。
自分よりも体が大きな生き物に襲い掛かるほど凶暴性が強いことや人に慣れるかどうかわからないことなど、多くの懸念がありますのでラーテルをペットにすることはあまりお勧めできません。
販売自体はされており、ネット上で150万円ほどの値段がつけられていますが、購入することはできます。
名古屋の東山動植物園では動くラーテルの姿を見ることができます。
日本一沢山の動物を飼育している実績のある東山動植物園では他にも様々な動物が展示されていますので、かなりお勧めの動物園です。
フェレット やオコジョ、ミンクなど、イタチ科の生き物はみんな小さな体ながらすごいパワーを秘めている種類が多いです。
今回紹介させて頂いたラーテルも、ライオンやハイエナと比べるととても小さいにも関わらず、大きな相手に恐れを感じずに戦うという力を持っています。
実は日本に住むイタチも、さすがに大型肉食獣には手出しはしませんが、自分の体よりも大きな生き物を獲物として捕らえることがあるんですよ。
妖怪の逸話として残っているかまいたちや管狐なども、イタチ科の生き物のパワーを感じさせる話だと思います。
この記事がラーテルの知識を少しでも深めたい方の参考になれば幸いです。
最終更新日 : 2021/10/30
公開日 : 2018/02/10