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日本では、海外ドラマ「名犬ラッシー」で一躍有名となった「コリー」という 犬種 。
この名犬ラッシーのヒットで、日本でもコリーが一時期大ブームとなり身近な犬種となりました。
名犬ラッシーによるコリーブームは、初めて日本で名犬ラッシーの放送が始まった1950年代のこと。
その後も名犬ラッシーはお茶の間の人気を集め続け、1975年には「新・名犬ラッシー」として再放送、再度コリーブームが到来するのでした。
しかし、この当時の日本はまだまだ「血統証付き」の犬や、 大型犬 を飼うというのが一般的ではなかった時代。
実際に飼ったコリーは、ドラマで見た「名犬ラッシー」と同じとはいかず、多くの人がコリーを手放すという結果になったのです。
近年においてはコリーもめっきり見かけなくなり、やや珍しい犬種に変わっていっています。
コリーはもともと牧羊犬として活躍していた犬種で、そのルーツは紀元前50年頃にまで遡ります。
当時、コリーの原産国と考えられているスコットランドは古代ローマのほぼ支配下にあり、ローマ人がスコットランドへと持ち込んだ犬が、コリーの祖先にあたる犬だと考えられています。
それから数世紀に渡って、この犬はイングランド北部〜スコットランド(ブリタニア北部)の範囲で有能な牧畜犬として大事に飼育されてきました。
「コリー(collie)」という犬種の名前は、この地の先住民であるケルト系民族が公用語として使っていたゲール語で、「役立つ」という言葉に由来すると考えられています。
また、JKC(ジャパンケネルクラブ)では「スコットランドの羊は顔と肢が黒かったことからコリー(アングロ・サクソン語で黒を意味する)と呼ばれ、牧羊犬も黒い毛色が主流だったことからコリー・ドッグと呼ばれ、のちにコリーとなった。」との表記があります。
このようにコリーに関しての歴史はあまりにも古いため、コリーのルーツに関する詳しいことははっきりとしておらず、最も古い記録でも1800年頃の記述しか残されていないのです。
1860年頃に入るとコリーは愛好家からも注目を浴び始め、中でもイギリスのヴィクトリア女王が好んでコリーを飼育し始めました。
そのため、コリーは単に牧畜犬として飼われるのではなく、上流階級の間で人気の高い犬種へと変わっていきます。
このコリーの人気をより高めたのが、1878年に開催された「ウェストミンスター・ドッグ・ショー」でした。
ヴィクトリア女王は2頭のコリーをこのドッグショーに出陳、その結果コリーはアメリカの上流階級でも一躍知られるようになったのです。
そして、この出陳されたコリーは「スムース・コリー」と呼ばれる短毛タイプのコリーでした。
愛好家や上流階級の方々に飼育され始めたことで、コリーはその容姿を更に磨かれるようになり、1886年にはコリーの「スタンダード」が定められるようになりました。
ちなみに、この当時のコリーのスタンダードは、今もなお同じものとなっています。
ヴィクトリア女王が好んでスコットランドから連れ帰ったコリーは、「スムース・コリー」と呼ばれる毛の短いコリーでした。
コリーを単に「コリー」と呼ぶ際には「ラフ・コリー」を指しますが、実は短毛の「スムース・コリー」も存在するのです。
ただし、単に毛の長さだけが特徴ではありません。
はじめにコリーが人気を博した1860年代、それまで牧畜犬として繁殖されていたコリーはショードッグとしても繁殖されるようになり、その容姿をより美しくするために別品種との交配が行われ、改良されていきました。
スムース・コリーは本来、現在のラフ・コリーのような容姿ではなく、体高がもっと低く、決してスマートと呼べる体型では無かったのだそう。
しかし、ショードッグとして人気を集め始めていたスムース・コリーは、別品種との交配以外にもラフ・コリーとの交配も進められました。
その結果、スムース・コリーとラフ・コリーの差は被毛の長さだけに近付けられていったのです。
コリーには毛の長い「ラフ・コリー」と、毛の短い「スムース・コリー」がおり、今では明確に別品種として区別されていますが、当時はまだ長毛タイプ・短毛タイプといった考え方でしかありませんでした。
ショードッグとして人気を博し、品種改良が進められていったコリーの2タイプは、さらに別品種との交配も加えられ、より素晴らしい犬種へと改良されていきました。
ラフ・コリーには、俊足と美しい被毛を持ち、オオカミ狩りの狩猟犬としてロシアの貴族から愛されていた「ボルゾイ」を。
スムース・コリーには、俊足と美しいボディを持ち、狩猟犬として上流階級の貴族からも人気の高かった「イングリッシュ・グレイハウンド」が交配に用いられました。
こうしてコリーの両タイプは、現在のようなマズルや足の長い、美しいボディとへと改良されていったのです。
また、ラフ・コリーに関しては1867年に誕生した「オールド・クッキー」という犬種が基本の形と考えられています。
「オールド・クッキー」は、犬の毛色の「セーブルカラー」を生んだ犬としても知られる犬種で、ラフ・コリーのベースとなっていることでも知られます。
このセーブルカラーの登場により、皆さんも「コリーと言えばあの毛色」と言うようにラフ・コリーを代表する毛色となり、コリーの人気は不動のものとなったのです。
体高:56cm〜66cm
体重:23kg〜34kg
毛色:セーブル&ホワイト、トライカラー、ブルーマール
性格:友好的で陽気な性格。攻撃性も少なく、我慢強い性格で知られる。
体高:51cm〜61cm
体重:18kg〜29.5kg
毛色:セーブル&ホワイト、トライカラー、ブルーマール
性格:警戒心が強く、やや内向的で神経質。家族に対しては友好的で、陽気な性格を見せる。
ラフ・コリーとスムース・コリーでも、被毛の長さだけではなく、若干の違いがあるということがわかります。
性格の違いについても、改良が進められていく中で変わっていったと考えられています。
また、この両犬種の他にも、コリーと名の付く犬種が存在します。
体高:50cm〜55cm
体重:14kg〜22kg
特徴:運動能力・作業能力が高く、責任感が強い。神経質な面もあるが、攻撃的ではない。
※関連記事: ボーダーコリーの歴史、性格、毛色、飼い方
体高:51cm〜56cm
体重:18kg〜27kg
特徴:好奇心旺盛だが落ち着きがあり、知的な雰囲気を持つ。攻撃的でもなく、神経質な面もありません。
体高:48cm〜61cmほど
体重:18kg〜32kgほど
特徴:社交的で、作業能力も高い。一部の団体で登録される品種。
体高:不明
体重:不明
特徴:元々はケルト民族がアイルランドに持ち込んだとされる古い犬種。その後、様々な犬種との交配が進んでしまい、現在では一品種としては認められていない。
このように、コリーにはラフ・コリーとスムース・コリー以外にも、色々な種類が存在します。
また、日本ではコリーと言うとラフ・コリーが一般的と説明しましたが、イギリスでコリーというと、ボーダー・コリーが一般的なのだそう。
コリーの小型と言われる犬種に「 シェットランド・シープドッグ(シェルティー) 」という犬種がいます。
シェルティーはコリーと非常によく似た容姿でありながら、体高が33cm〜41cm、体重が6.4kg〜12kgとコリーよりも小さく、 小型犬 〜 中型犬 に分類される犬種です。
コリーと同じように原産国はイギリスで、主に牧畜犬として従事してきた犬種で、非常に明るく、人間に対して友好的な犬種としても知られます。
一見するとコリーを小型化した犬に見えますが、実はその歴史は非常に古く、ボーダー・コリーをはじめとしたコリーの祖先であると考えられています。
日本ではコリーよりもシェルティーの飼育率の方が断然多く、目にする機会も多い犬種です。
日本でも、コリーと言えば長毛種のイメージが圧倒的に強く、スムース・コリーの存在はほとんど知られてはいません。
実は、スムース・コリーは世界的にも飼育頭数が少なく、ラフ・コリーの比ではないのです。
その原因となったのが、ショードッグとして人気を博した時代の明暗でした。
ヴィクトリア女王が好んでスムース・コリーを飼育していたものの、ショードッグとしてはラフ・コリーの人気が圧倒的に高く、スムース・コリーは低迷していきました。
そんな中、世界は2度の世界大戦を経験することとなります。
終戦後、スムース・コリーの数は絶滅寸前にまで追い込まれてしまいました。
一方で、ラフ・コリーはショードッグや上流階級の貴族が飼育してた頭数も多かったため、こうした事態にはならなかったのです。
こうしてスムース・コリーはその数を減らしてしまい、現在においてはだいぶ数も回復してきたものの、まだまだ頭数としては少ない犬種なのです。
「JKC」の2016年の調査による日本国内での飼育頭数は、ラフ・コリーが121頭なのに対し、スムース・コリーは5頭という数字です。
コリーの性格は「名犬ラッシー」のイメージでも分かる通り、非常に賢く、人間のパートナーとしても有能な性格を持ちます。
現代ではショードッグとしてのイメージも強いですが、本来は牧畜犬として活躍した犬種。
非常に働き者の性格で、攻撃性もなく忠実な牧畜犬として重宝されてきました。
基本的には穏やかで、家族や子供に対しても優しい態度を取るので、非常に飼育もしやすく初心者でも飼育することができます。
しかし、牧畜犬として活躍していたことからも分かる通り、コリーは多くの運動量を必要とする犬種です。
コリーの運動欲求を満たしてあげることや、好奇心を満たしてあげること、留守番ばかりで寂しい思いをさせないことは、コリーにとって非常に重要なことなのです。
こうした欲求を満たすことができなければ、コリーと言えど吠え癖が酷くなったり、時には攻撃的になってしまう場合もあります。
コリーにとって、運動させることは非常に重要なポイントとなります。
1日に2回の散歩、1回の 散歩 は1時間程度の長歩きが理想的です。
また、散歩も大事ですが、時にはドッグランで思い切り走らせたり、他の犬とコミュニケーションを取らせる工夫も必要になります。
こうした運動はストレス解消のためにも重要なものですが、コリーの健康維持にも欠かせないもの。
活動的な犬種が十分な運動を行えないと、次第に肥満体型になっていってしまいます。
肥満体型になってしまうと、そもそも運動自体も思うように行えなくなり、足腰への負担も増えてしまいます。
また、内臓への負担も増加してしまうため、目に見えない病気を引き起こしてしまう場合もあります。
ドッグフード や おやつ の与え過ぎによっても肥満は起きますが、十分な運動を行うことは、コリーの健康維持にとって大事な要素です。
コリーは 吠え声 が大きかったり、吠えて何かを知らせるという行動が見られます。
状況にもよりますが、これは一概に「吠え癖」とは言えないものなのです。
コリーは牧畜犬として活躍してきた犬種で、牧畜犬は1頭で50頭近くの羊の群れを「吠えて」追い込んだりする仕事を行います。
また牧場は広いので、遠くの仲間とコミュニケーションを取るのにも「吠えて」コミュニケーションを取ったりもします。
こうした行動は、牧畜犬にとっては当たり前といえる行動であり、こうした能力をより高めるためにマズルが長く改良されてきたりもしました。
前述の通り、コリーはストレスが溜まることによっても吠え癖が起きてしまいますが、コリーはそもそも吠えて行動するところもあるので、仕方がないという部分もあります。
もちろん、コリーは学習能力も高いので良し悪しの区別もつき、ペットとして飼育する際にも飼育しやすい犬種なので、ここで吠えてはいけないという理解はできます。
そのためには、しっかりとした しつけ と、飼い主さんとの信頼関係が大事になってきます。
ラフ・コリーを飼育するにあたり、大変に感じられるのが被毛の管理ではないでしょうか。
美しく、ふさふさとした被毛を綺麗に維持するためには、毎日のブラッシングが重要になります。
さらに、換毛期と呼ばれる毛の生え変わりの時期には、更に大量の抜け毛が発生しますので、より多くのブラッシングが必要です。
適度に抜け毛を取り除いてあげないと、美しい被毛を維持することができないばかりか、皮膚も蒸れてしまい、皮膚病を引き起こしてしまう可能性もあります。
しかし、ブラッシングはラフ・コリーとのコミュニケーションを取るのに最適な時間。
毎日ブラッシングを行い、綺麗にしてあげることで、ラフ・コリーもブラッシングが大好きな時間に変わることでしょう。
大変な作業ではありますが、時間を上手に使って、コリーとの信頼関係を深めていけるようにしてください。
美しい毛並みが魅力のコリーの主な毛色をご紹介します。
コリーの毛色には「セーブル&ホワイト」「トライカラー」「ブルーマール」の基本3色が認められています。
中でも一番メジャーな毛色が「セーブル&ホワイト」で、「セーブル」には明るめの色(ピュア)から、濃い色(ダーク)までが存在します。
「名犬ラッシー」も、このセーブルカラーのラフ・コリーであったことで知られます。
毛色が「ブラック」「ホワイト」「タン(茶色)」の3色からなる毛色で、本来のコリーの毛色がこのトライカラーであったとされます。
メインとなる毛色はブラックで、足や頭部にはタンカラーの斑があります。
「ホワイトコリー」とも呼ばれるホワイトの毛色を持つコリー。
大部分はホワイトの毛色ですが、体や頭部はセーブル・トライ・ブルーマールいずれかの毛色が入ります。
また、この色の入り方で「セーブルヘッド」「トライヘッド」「ブルーヘッド」と呼び分けられます。
ブルーマールとは、「マール遺伝子」と呼ばれる遺伝子が作用し、トライカラーの黒色の部分がまだら模様になるもので、銀色とも灰色とも言える青灰色の毛色になります。
ブルーマールの毛色を持つコリーは、毛色だけではなく目の色も色素が変わり、両目ともブルーの瞳を持つコリーもいれば、片目だけがブルーの瞳(バイアイ)を持つ場合もあります。
ブルーマールは比較的希少色として扱われ、希少性や好みによってもその価値は変わってきます。
そのため、ペットショップなどでブルーマールが販売される際には、セーブルよりも高値が付けられる場合が多いでしょう。
しかし、このブルーマールのコリーを迎え入れる際には、必ず両親の毛色を確認するようにしてください。
また、片親の毛色はトライカラーであるのが安全と言えます。
そうというのも、ブルーマール同士を繁殖させた場合には「ダブルマール」と呼ばれ、かなりの高い確率で先天的な障害を持つコリーが誕生します。
「マール遺伝子」は片親だけから受け継ぐ際には問題がないと言われていますが、両親から「マール遺伝子」を引き継ぐと、主に視力や聴力に重篤な障害を持ち、容姿はかなり白い状態であるとされます。
したがって、ブルーマール同士を繁殖させるのはタブーとされているのです。
ブルーマールの他、JKCでは認められていない「セーブルマール」という毛色も存在します。
セーブルマールもブルーマール同様、「マール遺伝子」によって毛色が変わり、ベースをセーブルカラーとしながらも、所々に淡い毛色が混ざります。
しかし、ブルーマールよりもはっきりとした毛色の変化がつきにくく、ダブルマールになってしまう可能性も否めないことから、注意が必要な毛色として扱われます。
悪質なブリーダーはこうした希少性を狙い、ダブルマールでより薄いブルーマールを誕生させたり、希少価値としてセーブルマールを計画性もなく繁殖させるといった方法を行います。
コリーの ブリーダー であればマール遺伝子についての知識は豊富なはずなので、両親を確認し、ダブルマールであることがわかれば、そのブリーダーから迎え入れるのを辞めた方が良いでしょう。
コリーの寿命はおおよそ8歳〜12歳ほど。
寿命 を全うできるように、幼少期からの運動や、ストレスが溜まらないような生活がポイントとなるでしょう。
前述の通り、肥満体型は人間と同じく、寿命を縮める要因にもなりますので、標準体型をしっかりと保つようにしましょう。
ただし、コリーは神経質な一面もありストレスにも弱い犬種ですので、便の状態が悪くなったりと、お腹の調子を悪くしてしまう場合もあるようです。
飼い主の留守が多いなど、あまりに寂しいと感じてしまう環境や、好奇心が満たされないような環境で飼育するのは避けた方が良いでしょう。
病気に関しては好発する病気遺伝性の疾患も存在しますが、命に関わるほどの疾患もありません。
しっかりとした運動や、栄養のある食事を摂らせ、健康な体を維持できればしっかりと寿命を全うしてくれることでしょう。
コリーに好発する病気に「コリーアイ(コリー眼異常)」と呼ばれる眼疾患が存在します。
コリーアイは、コリーやシェットランド・シープドッグ、ボーダーコリー等に多く見られる先天性の遺伝子疾患のひとつ。
その症状は、発育の段階で網膜剥離を起こしたり、眼房内出血や眼底の形成不全が起こり、失明してしまうこともあります。
全く無症状である場合や軽度である場合もありますが、コリーアイの治療法や予防法はないため、発症した場合には経過を観察しながら治療を施すことになります。
コリーアイは遺伝性であるため、コリーアイを発症した犬を繁殖に使用しないことや、ブルーマール同士の交配を行わないことが大事です。
犬に寄生する寄生虫による病気に「フィラリア症(犬糸状虫症)」と呼ばれる病気が存在します。
このフィラリア症と言う病気は、主に「蚊」を媒介して「フィラリア」と呼ばれる糸状の寄生虫が犬の心臓や肺動脈に寄生してしまい、命を落としてしまうという恐い病気です。
フィラリアに感染すると、フィラリアの幼虫は犬の血液中を移動し、肺動脈や心臓を目指します。
血液中にフィラリアの幼虫がいるため、感染した犬が蚊に刺されるとフィラリアの幼虫も吸い込んでしまい、別の犬の血を吸血する際にフィラリアの幼虫が移ってしまうのです。
そして心臓にたどり着くと、30cm近くの成虫へと成長して繁殖をし始めてしまい、心臓などで繁殖することで血流が詰まってしまい、様々な症状を引き起こしてしまうのです。
また、場合によっては突然死してしまう事もあります。
しかし、フィラリア症はフィラリア予防薬を投与することで未然に予防することができ、現代ではしっかりと投薬を行っていれば、フィラリアに感染することはありません。
多くの犬種はこのフィラリア予防薬でフィラリア症を予防することが可能となりますが、コリーを含めた多くの牧畜犬は、このフィラリア予防薬に注意が必要となります。
フィラリア予防薬には「イベルメクチン」と呼ばれる抗生物質が含まれ、このイベルメクチンが発見されたことで多くの犬は救われました。
しかし、牧畜犬の多くはこのイベルメクチンに対して中毒症状を引き起こす可能性を持っており、イベルメクチンを接種する際には十分な検査が必要となります。
「イベルメクチン中毒」と呼ばれるこの中毒症状は、「嘔吐」や「うつ症状」「呼吸低下」「盲目」といった重篤な症状を引き起こし、場合によっては命を落とすこととなります。
ただし、全てのコリーがイベルメクチンに対して中毒症状を引き起こすわけではありません。
また、イベルメクチン中毒を引き起こす投与量は、通常量以上の投与による場合とされているので、少量であれば問題ないと考えられています。
そうとはいえ、他の犬種と比較すると突出してイベルメクチン中毒を引き起こす可能性を持っているため、フィラリアに対しての正しい知識と注意が必要になるのです。
ヨーロッパで行われた「MDR1変異遺伝子頻度(イベルメクチン中毒を引き起こす遺伝子の変異率の割合)」の調査では、4,729頭の様々な犬種が調査対象となり、下記のような結果が発表されました。
上記の数値からも分かる通り、コリーは約半数がイベルメクチン中毒を引き起こすと考えられる「MDR1」遺伝子の変異が認められます。
動物病院でも周知の事実なので、こうした説明は行われると思いますが、飼い主さんがしっかりとイベルメクチンのリスクについて理解しておく必要もあるでしょう。
コリーでも安全性の高いとされているミルベマイシンというお薬を処方する動物病院が多いです。
最近では、オールインワンと言われるノミ・ダニ・フィラリア・回虫などが全て予防できるものが出てきていています。
新しくお薬を飲ませる時には、何の成分が入っているのかも確認するようにしてください。
原産国:イギリス
サイズ:大型犬
体高:オス 61cm〜66cm、メス 56cm〜61cm
体重:オス 27kg〜34kg、メス 23kg〜30kg
カラー:セーブル&ホワイト、トライカラー、ブルーマール
性格:友好的で陽気、攻撃性も少なく我慢強い。
寿命:8歳〜12歳
グループ:ハーディンググループ
販売価格:17万円前後
コリーは一時期「名犬ラッシー」を夢見て飼育されましたが、実際は飼育が難しい犬として認識されてしまいました。
この時代の日本にはまだまだ犬の飼育に関しての知識も乏しく、コリーという犬の理解も進まないまま、「名犬ラッシー」だけがひとり歩きしていたと考えられます。
現代の日本においては、この頃と比べると格段に犬に対しての知識や理解も進んでいますので、コリーがどれだけ飼育しやすいかと言うことがわかることでしょう。
そうとはいえ、大型犬なのでしっかりと飼育できる環境を整え、万全の体勢でコリーを迎え入れるようにしてください。
十分な愛情を注いでいけば、名犬ラッシーとは言わずとも、飼い主さんの大事なパートナーになってくれることでしょう。
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監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/04/28
公開日 : 2017/09/26