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まだまだ日本では名前を聞く機会が少ないシェットランド・シープドッグ。
さっそくどんな犬なのかを知っていきましょう。
シェットランド・シープドッグの起源は、スコットランド北部の沖合にうかぶシェットランド諸島にあります。
寒さの厳しいこの島々で働く農夫たちの傍らに、「トゥーニードッグ」と呼ばれる牧畜犬がいました。
この「トゥーニードッグ」として活躍していた犬に、さまざまな 犬種 がかけ合わせられて誕生したのがシェットランド・シープドッグです。
農夫たちはペットとして愛でる犬よりも共にたくましく働いてくれる 犬 を求めていましたから、初期のシェットランド・シープドッグは今とずいぶん異なる姿をしていました。
スピッツやスパニエルがその祖先にあたるといわれています。
それが19世紀後半にイギリスに渡ると、より愛らしい姿を求めて ボーダーコリー や ポメラニアン 、キング・チャールズ・スパニエルなどとの交配が行われ、今日の姿になりました。
その愛くるしさは多くの人を魅了してやみません。
シェットランド・シープドッグは コリー によく似た姿をしています。
実際、シェットランド・シープドッグのかけ合わせの歴史の中にもコリーが登場しました。
2つの犬種の違いはどこにあるのでしょうか?
一見してわかる違いはやはり、その大きさです。
シェットランド諸島は亜寒帯に位置する厳しい気候のために作物が育ちにくく、それに伴ってか家畜も多くが小柄です。
シェットランド・シープドッグもこの例にもれず、コリーと比べるとおよそ20cm近く体高に差があります。
コリーは一時期、広々とした庭を持つイギリスやアメリカの上流家庭に好まれていましたし、日本でのシェットランド・シープドッグの人気は、マンションでもじゅうぶん飼育できる小さなサイズにあるともいえます。
住宅事情や大きさの好みは、どちらをペットに選ぶかを決断する際の大きなポイントです。
また、コリーもシェットランド・シープドッグと同じように、スコットランド地方で牧羊犬として活躍してきた歴史を持ちます。
もっとも、コリーが羊の群れを追って誘導していたのに対し、シェルティーは主に家畜や畑に近づく外敵の番をする役だったという違いもあります。
ここからはより具体的に、シェットランド・シープドッグの基本データをみていきましょう。
シェットランド・シープドッグの体高はおおよそ33cm~40cmほどです。
大人の膝の少し下に背中がくる程度の大きさです。
犬種のスタンダードな美しさを競うドッグショーに出場した犬たちです。
おおよその大きさがイメージしていただけたでしょうか。
体重は雌で6kg~8kg、雄で7kg~10kg前後になります。
シェットランド・シープドッグの価格は、 子犬 で17万円~24万円ほどです。
元気な子犬を選ぶときには、歯ぐきがすっきりしたピンク色をしているか、瞳がとろんとした涙目ではなく活き活きと輝いているかといった点が参考になります。
ブリーダーのほか、ボランティア団体などに里親の募集が出ていることもあるので、あわせてチェックしてみてください。
シェットランド・シープドッグの寿命は10年~16年ほどです。
しかし個体差があり、時には20年ほど生きる犬もいます。
およそ2年で成犬に成長し、7歳頃から老齢にさしかかります。
シェットランド・シープドッグは、忠実で愛情深い性格を持つことで知られています。
牧羊犬時代には外敵から家畜を守っていたことはすでに述べましたが、だからといって決して気性が激しいわけではありません。
家族を喜ばせることが大好きで、素直に飼い主を慕ってくれます。
新しい環境にも比較的すぐに順応しますが、小さい子供がいたり、すでに他のペットがいる場合には気をつけて慣らしてあげましょう。
ファースト・インプレッションでおびえさせてしまうと、なかなか新しい家になじみにくくなります。
もっとも、時にはシャイな犬もいます。
できれば親犬にも会わせてもらい、しっかりと子犬の性格を見極めてください。
ジャパン・ケンネル・クラブ(JKC)では、シェットランド・シープドッグという犬種の色として5つのパターンを定めています。
ベーシックな「セーブル」、3色が際立つ「トライ」、まだらのマール遺伝子を持った「ブルーマール」、2色の「バイブラック」および「バイブルー」がその5つです。
同じパターンの中でも、まだら模様の入り具合やそれぞれの色の比率は個体によってかなり違います。
ある意味シェットランド・シープドッグのカラーバリエーションは、とても豊富であるといえるでしょう。
シェットランド・シープドッグと言われてたいていの人が思い浮かべるのが、このタイプの毛色ではないでしょうか。
胸元が白く、顔から背中が茶色に覆われています。
明るい茶色が美しいピュアセーブルと、やや黒い色合いのヘテロセーブルがあります。
「ブラック&ホワイト&タン」とも称される、メリハリのついた3色の毛色です。
「タン」とは茶色のことです。
ブラック&ホワイトの2色のみの毛色を持ちます。
トライと同様、色の分け目がとてもはっきりしています。
後でご紹介するブルーマールと同じくマール遺伝子を持ち、毛色がまだら状になっています。
ブルーマールとの違いはタンが発色していないことです。
もっともブルーマールでも茶色い部分がほとんどない犬も多く、なかなか見分けがたいかもしれません。
青みがかった毛色にまだら状の斑点が入っていること、ブラック・ホワイト・タンの3色が入っていることが特徴です。
シェットランド・シープドッグの中でもクールな印象を与えます。
マール遺伝子の影響が瞳にもあらわれて、ブルーの瞳を持つ犬もいます。
その姿の美しさから珍重されているブルーマールですが、この毛色の犬が持つマール遺伝子には注意も必要です。
マール遺伝子は色素を欠乏させる働きを持ち、それが犬の毛色をまだら状に美しく脱色させます。
しかし、マールの毛色を持つ犬同士をかけ合わせてしまった場合、弱視や目の見えない犬が生まれてしまったり、内臓に重大な疾患を抱えていたり、あるいは死産してしまう確率もかなり高くなるのです。
マール遺伝子どうしのかけ合わせは「ダブルマール」と呼ばれ、時に体の真っ白な犬が生まれることもあります。
珍しく美しいことを売り文句に、こうした個体を販売しようとする悪質な業者もいます。
美しさだけを追うのではなく、生涯大切にパートナーとして過ごせる犬を見つけてください。
また、知らずにうっかりブルーマールどうしをかけ合わせてしまった…ということのないように、注意が必要です。
特にかかりやすい病気を知っておくことで、いざという時に対処がしやすくなります。
シェットランド・シープドッグは四肢の関節が弱く、関節炎にかかりやすい傾向にあります。
関節炎を発症するとびっこをひいたり、今までのように動き回らなくなり、時には急に座り込んでしまうこともあります。
歩くと痛むため外に出たがらなくなり、しょんぼりとしてしまいます。
関節炎を発症してしまうと完治させることは難しく、痛み止めの薬を投与しながら様子を見ることになります。
予防のためには、階段や足場の悪いところで激しい運動をさせることを避け、足に行き過ぎた負担がかからないようにしましょう。
肥満にならないよう、体重をコントロールすることも重要です。
適度な運動を欠かさないことは肥満を防ぐためだけでなく、足を鍛えることにもなります。
また、たんぱく質やカルシウムをたっぷり含んだ食事を与えてあげましょう。
耳道が炎症を起こしてしまう外耳炎は、犬のかかりやすい病気のひとつです。
寄生虫や細菌の感染などによって起こることがあり、発症すると耳をかゆがったり、しきりに頭を振るしぐさをするようになります。
シェットランド・シープドッグのように顔まわりの毛が長く、耳が垂れて通気を妨げている場合には外耳炎を起こしやすいといえます。
綿棒を使うなどして定期的に耳を掃除し、清潔にしておいてあげましょう。
外耳炎の治療には、抗真菌薬などが使われます。
ポリープなどが原因で炎症を起こしている場合には、手術が必要になることもあります。
また、毛が長いシェットランド・シープドッグにとっては皮膚疾患も大敵です。
特にじめじめと湿度の高い梅雨の時期には湿疹などができていないか、チェックしてみてください。
定期的なブラッシングやシャンプーは病気を予防するだけでなく、毛並みを美しく保つためにも役立ちます。
犬のシャンプーに関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。
とくに目立った原因が見当たらないにも関わらず起こるてんかんの発作を特発性てんかんといいます。
いくつかの犬種でこの発作が起こりやすいといわれていますが、シェットランド・シープドッグもそのひとつです。
突然からだをのけぞらせるようにして細かく震え、泳ぐような奇怪な動きをしたり、泡を吹いていたりと、一見してただごとではない状態に陥ります。
この間犬に意識はなく、発作がおさまると何事もなかったかのようにいつもの様子に戻ってゆきます。
頻度はさまざまで、生涯に1度しか起こらなかったということもあれば、毎日のように発作を起こすという場合もあります。
1回目の発作が起こった後、まだ記憶が新しいうちに2回目の発作が起こったら医師に相談することをおすすめします。
脳に腫瘍があるなど、何らかの原因によって起こる症候性てんかんの場合には、その原因を取り除く処置が必要になります。
しかし、特発性てんかんの場合には原因がはっきりしませんから、抗けいれん薬を投与しつつ様子を見ることになります。
この場合のてんかんとは、長く付き合うことになると思ってよいでしょう。
発作の激しさには驚かされますが、てんかんだけで死亡することはほぼありません。
落ち着いて処置し、発作が始まる前に何か変わった様子がなかったかどうかを記録しておきましょう。
シェットランド・シープドッグは胃腸が弱い傾向にあり、すぐにお腹を壊しがちです。
食事を与えるときは1度にまとめてお腹をいっぱいにさせるより、朝夕2度に分けてゆっくり消化する時間をとってあげることがおすすめです。
フィラリアは犬にとって非常に怖い病気です。
その予防のために使われる薬に「イベルメクチン」が含まれるものがあります。
このイベルメクチンシェットランド・シープドッグを含むコリー系の犬種にとって副作用を起こしやすく、危険であるという話が飼い主の間に広がっています。
フィラリア予防に使われる量はほんのわずかであり、危険な症状を引き起こすには至らないとの見方が大勢ですが、念のためと思われる方はセラメクチンやモキシデクチンなど、他の予防薬を使うことをおすすめします。
最後に、シェットランド・シープドッグと活き活きと過ごすために必要不可欠な日常の運動について補足しておきます。
家畜を守るために島を駆け巡っていたルーツを持つシェットランドシープドッグは、小型でありながらエネルギーにあふれ、動きたくてたまらなくなっています。
そのため、できる限り1日に1時間以上の運動を心がけてください。
散歩 に行くにも、シェットランド・シープドッグはモコモコとした短い足を使い、かなり速く走ります。
場合によっては自転車と並走するくらいでちょうどよい速さです。
コンディションの悪い道でなければ、全力で駆けることは犬にとってとてもよい運動になります。
交通に危険のない範囲で、安全に配慮しつつ走らせてあげてください。
原産地:シェットランド諸島
価格:17万円~24万円程度
毛色:セーブル、トライ、ブルーマール、バイブラック、バイブルー
寿命:10年~16年程度
体高:33cm~40cm程度
体重:雌6kg~8kg、雄7kg~10kg程度
特徴:長い被毛、半ばで垂れた耳、アーモンド型の瞳
性格:忠実で愛情深い
かかりやすい病気:関節炎、外耳炎、特発性てんかん
小さな体に、愛情とパワーをはちきれんばかりにたたえたシェットランド・シープドッグの魅力を知っていただけたら幸いです。
パートナーとして選ぶ際の参考に役立ててみてください。
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最終更新日 : 2020/12/23
公開日 : 2016/12/30