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まるで猫みたいな犬?でも愛嬌たっぷりな憎めない存在「ペキニーズ」
「ペキニーズ(英名:Pekingese)」は中国が原産となる 犬種 です。
かつて中国では、ペキニーズは歴代王朝の宮廷でのみ飼育が許されていたと言われています。
祖先となる犬種はチベット原産の「チベタン・スパニエル」であると言われています。
ごく限られた地位と名誉をもったもののみが飼育を許されていたペキニーズは、富と権力の象徴として扱われていました。
ですが実際は、産まれた仔犬の状態によっては市場に流され、庶民の手にも渡っていたとも言われています。
体格やサイズ、毛や瞳の色が規定外であると、当時はペキニーズとしては認められていなかったのかもしれません。
どれほどペキニーズが王宮で寵愛を受けていたかが分かるエピソードがあります。
それが「皇帝」の葬儀の場でした。
皇帝の葬儀が行われるとき、その棺を墓まで導くのは、皇帝から寵愛を一心に受けていたペキニーズの仕事でした。
中国の「三大悪女」と名高い、かの有名な「西太后」の葬儀でもペキニーズは大役を果たしています。
1911年(明治44年)に執り行われた「西太后」の葬儀。
その棺を先導したのは、「西太后」の寵愛を受けていたペキニーズの「モータン」でした。
一説では、西太后が愛した犬種は「 シーズー 」とされている記録もありますが、シーズーはこの時代にはまだ誕生していないと言われています。
シーズーは清朝後期に、ペキニーズとチベット原産の「ラサ・アプソ」との交配により誕生したという記録が残ってます。
ペキニーズ、ラサ・アプソ、シーズ、いずれも中国王宮で古くから温存され、長らく愛されてきた犬種ばかりです。
冒頭でお話しした通り、ペキニーズの英名は「Pekingese」となります。
愛称は英名を簡略化させて「Peke」と呼ばれることもあります。
名前の由来は生息地由来となっており、「北京の犬」という意味を持っています。
ペキニーズが一般的な呼び名ですが、原産国となる中国だけは異なります。
中国ではペキニーズを「京巴(ジンバー)」などと呼んでいます。
ちなみにペキニーズが一般的な呼び名となっていますが、実はいくつかの名前を持っています。
「Peking lion dog」「Lion Dog」「Chinese Spaniel」「Pelchie Dog」「Peking Palasthund」「宮廷獅子狗」などです。
ペキニーズの意味となる「北京の犬」と同じそのまんまの呼び名「北京犬」などもあります。
同じであっても「ペキニーズ」とは呼ばず、敢えて「北京犬」と呼ぶことにも、中国原産であるところからくるこだわりがあるのかもしれません。
「宮廷獅子狗」などは、過去の宮廷だけで寵愛されていた歴史の名残を感じさせます。
ペキニーズにはさまざまな名前が存在するとお話ししたところで、ここまでに登場した以外の三つの「呼び名」についてお話ししましょう。
当時の中国では神聖な生き物として扱われてきたペキニーズには、その容姿から三つの呼び名が存在していたと言われています。
「獅子犬」はその見た目のとおり、まるで獅子のような風体であること、中国やチベットでは獅子が神聖な生き物であることからつけられた呼び名です。
「太陽犬」も獅子犬と同じで、ふわふわの長い毛がまるで太陽をイメージするからつけられたのではないかと言われています。
しかし、3つ目の「袖犬」だけは他の二つと異なり、ペキニーズの容姿とは関係なくつけられた呼び名です。
実は中国の皇帝たちはペキニーズを寵愛するあまり、自らの洋服の袖にペキニーズを入れていたのです。
これなら片時も離れることがありませんし、常に可愛がることが可能です。
ペキニーズが時の皇帝たちに、どれほどの寵愛を受けていたのかがよくわかる呼び名といえるでしょう。
ペキニーズは、なぜこれほどまでに中国の王朝で寵愛されたのでしょう。
それは祖先犬となる「チベタン・スパニエル」まで話は遡ります。
「チベタン・スパニエル」は先ほどもお話しした通り、チベット原産の犬種です。
このチベットは仏教への信仰心が厚いことは古くから有名です。
そのチベットで、「チベタン・スパニエル」は寺院に住む僧侶たちの手によって飼育・繁殖をされていました。
仏教やラマ教では「釈迦はその偉大な力により、獰猛な獅子をも服従させる」と考えられていました。
そこでチベットの僧侶たちは、まるで獅子のような風体を持つ犬種を誕生させるべく奮闘します。
その努力の成果として「チベタン・スパニエル」との交配の結果誕生したのが、ペキニーズです。
その見た目はまるで獅子( ライオン )。
中国やチベットでこれほどまでに高貴さを象徴する犬は少なくありません。
こうして誕生したペキニーズは、諸国宮廷への献上物として納められることとなりました。
それは秦の始皇帝をはじめとする、歴史上に登場する名だたる人物ばかり。
そのような歴代の皇帝たちへペキニーズは贈り物として献上されたのです。
中国の皇帝たちの手に渡ったペキニーズは、高貴な犬種として神聖化されていきます。
いつしかペキニーズは皇帝や皇族以外が飼育することを禁じるようになっていきました。
その禁を犯した者は、最も重い罪となる「死刑」に処されたとまで伝えられているほど門外不出として守られていたのです。
一部の階級以上の人間だけが手にすることができるとなれば、ますます神聖化されていくのも当然です。
中国の宮廷の外へは一切出すことない「門外不出」として扱われたペキニーズは、とても大切に扱われていました。
そして「西太后」が定めた犬種の標準(スタンダード)に倣い、宮廷内のみだけで繁殖が行われていきました。
門外不出として、2000年以前より宮廷内で守られてきたという長い歴史をもつペキニーズ。
西太后が定めたと言われているペキニーズのスタンダードとはどのようなものだったのか記録が残っています。
1800年代後半に、西太后がペキニーズについて記録させた文章には以下のように書かれていました。
このような記録をおこない、ペキニーズはかくあるべきとスタンダードを定めました。
一番最後の「前足は曲がっていること」という記述については、容姿がどうのこうのという話ではなく、皇帝の傍から離れることが無いようにという意味が込められています。
自由を奪うという考え方は、さすが世界三大悪女として名高い「西太后」らしいとも考えられます。
そのような門外不出の歴史を持つペキニーズが、中国の地から世界へと出ていくことになったのは1860年(明治7年)のことです。
この年、中国はイギリス軍に攻め込まれた「アロー戦争」の最後の戦いが起こりました。
その際、イギリス軍に侵略されてしまった中国は多くの戦利品を略奪されたのです。
その略奪された中にいたのが5頭のペキニーズでした。
こうして中国の奥まった宮廷のみで大切に大切に守られてきたペキニーズは、中国宮廷から外に出ることになったのです。
この時にペキニーズに降りかかってしまった悲しい事件も有名な話です。
大切に守り続けたペキニーズがイギリス軍の手に渡ることを恐れた宮廷の人々は、白人の手に渡るぐらいならとペキニーズを殺してしまったのです。
その結果、イギリス軍が宮廷に突入した時には、無数のペキニーズの亡骸がみつかったと言われています。
中国の宮廷の人々にとって、ペキニーズはそれほどまでに神聖で、守りたい存在だったということでしょう。
イギリス軍の手により、中国を旅だったペキニーズたちは、ビクトリア女王へと献上されることとなりました。
中国から外の世界に出ても、やはり身分の高い人たちの手にまず渡る。
ペキニーズにはそれだけの価値があったのでしょう。
イギリスに渡り、ペキニーズはさらに多くの人たちを魅了していきます。
そしていつしかペキニーズは、イギリスからさらに分布を拡大し、多くの諸外国へ紹介されていきます。
特にヨーロッパやアメリカでは急激に人気を得て、一躍人気犬の仲間入りを果たしたのです。
このような経緯を経て、残念ながら原産国である中国では絶滅してしまい、原産国以外で分布を広げられた珍しい 犬 となりました。
さまざまな悲しい過去もありますが、今もなお、世界中で愛されていることには変わりはありません。
日本でも安定した人気を誇る、それがペキニーズという犬種です。
それではここからは、ペキニーズの特徴についてお話ししていきましょう。
世界中、万人に愛され人気を維持し続ける特徴には、どのようなものがあげられるのでしょう。
愛される秘訣にはその愛嬌のある顔立ちがあげられます。
特に鼻の低さはペキニーズの目立つ特徴となっています。
よく見ると、目と鼻の位置がほぼ同じ横一直線のラインに並んでいます。
この絶妙な目と鼻の配置こそが、愛嬌のある何とも言えない顔だちを産みだしたのです。
鼻ぺちゃな犬種といえば後に交配して誕生する「シーズー」をはじめとするいくつかの犬種があげられます。
シーズー以外だと、「 ブルドッグ 」や「 パグ 」などが代表的です。
しかし、並み居る鼻ぺちゃな犬種の中でも、断トツで鼻が低いのがペキニーズだといわれています。
中国の宮廷で神聖化された理由の一つとなる、顔の周りのふわふわの毛。
これこそがペキニーズの最大の特徴です。
よくみると、顔周りだけでなく全身を覆う被毛のすべてが長くなっていて、そのお陰でボリューム感満載の容姿となっています。
それはまるで綿菓子のようなふわふわ感を持っていて、そのお陰でまあるい愛されフォルムを作り出されています。
ペキニーズは「ダブルコート」と呼ばれる毛質で、毛の量が多いことも特徴です。
顔周り、特に首から胸元にかけての毛が伸びると、本当に獅子のたてがみを連想させるような膨らみが完成します。
その姿はとても雄々しく、堂々とした佇まいを感じさせます。
毛の色は、フォーンと呼ばれる金色かかった色に、わずかに黒が指し色のように混ざったものがドッグショーなどで多く見受けられます。
それ以外には「ホワイト」や「ブラック」、白地に一色、または二色のはっきりしたカラーの斑がボディの部分にある「パーティーカラー」も見受けられます。
恐らく世界規模でみると、ホワイトが最も多くなりますが、それぞれのカラーごとに良さがあります。
ちなみに、耳と尾の部分に飾り毛があるのもポイントです。
理想的なペキニーズの体重は、オスが5kg、メスが5.5kgとされており、これを超えないほうがよいと言われています。
実際の体重は3.2~6.4kg程度で、平均すると5kg程度となっています。
ペキニーズというと、 小型犬 のイメージが強くあります。
体高は20~30cm程度ですので、確かに小さい部類に入るでしょう。
しかし、先ほどの平均体重を見て頂ければお分かり頂けるように、見た目に反して意外にずっしりと重いところも特徴です。
前脚の付近は太くがっしりとしていて、後足付近は比較的細め体型となっています。
それはさながら「洋梨」と形容するのがピッタリなフォルムです。
ペキニーズは前脚が短く、がに股です。
そのため、歩く際には前脚を回しながら歩きます。
すると自動的に体が横に揺れながら歩くことになります。
これが「ローリング歩行」です。
ふわふわとした長い毛を振りながら、コロコロと転がるような歩き方。
それはペキニーズの可愛らしさをアップさせる特徴の一つです。
犬の可愛い仕草として、首をかしげるというのがありますが、ペキニーズもよく首をかしげる仕草を行います。
見ていると思わずこちらも一緒に首をかしげたくなるほどです。
ちょっと困ったような顔で首をかしげるペキニーズは、何にも代えがたい可愛さがあふれ出しています。
この仕草も人気の一つと言われています。
ふわっとしていて、ふにゃっとしている。
なんとも穏やかで和むその見た目とは裏腹に、とても勇敢な一面ももっています。
独立心も旺盛で、頑固なところも意外だと思われることでしょう。
ですが、気性が荒いとか、ケンカっぱやいわけではありません。
自分から他の犬にケンカをしかけるようなことはないと言われています。
ただ、一度ケンカになってしまうと自分から引き下がることはほぼありません。
あくまでも売られた喧嘩は買う主義というイメージです。
ペキニーズを語る際、よく「まるで 猫 のような」という言葉が幾度となく登場します。
数いる犬の中でも、もっとも犬らしくないとまで言われてしまうこともあるようです。
その大きな要因が「プライドの高さ」です。
神格化され、愛されてきた歴史がそのプライドの高さを培ってしまったのかもしれません。
愛玩犬として生きてきた歴史が長くあるにも関わらず、抱っこされるのを嫌がる個体が多いことでも有名です。
そして、人に媚びるようなことを決してしません。
誰にも媚びないプライドの高さや、頑固なところ、そして気まぐれなところ。
こうしてあげてみると、確かに犬というより猫の性格に近いものを感じます。
飼い主に忠実であるという点はとても犬らしいのですが、独占欲の強さはやはり猫っぽい。
なんとも不思議な性格をしているため、それに振り回されるのも悪くないという方も多いようです。
ペキニーズはプライドが高いこともあり、大変警戒心の強い性質をもっています。
人見知りも強く、基本的に慣れ親しんだ家族など以外にフレンドリーにかかわることはありません。
この辺りも猫っぽいと思われる所以です。
しかし、ひとたび仲良くなってしまえば警戒心も人見知りも、そのようなことは微塵も感じさせないほど懐いてくれます。
まさにツンデレという表現がしっくりくる、人懐っこさももっているのです。
それではここからは、ペットしてペキニーズをご家庭に迎え入れたい方のために、飼い方や価格など気になる情報をご紹介します。
常に取り扱いがあるかは微妙ですが、ペットショップでも購入は可能です。
しかし、実はペキニーズはペットとして飼育する場合、少々しつけが難しい犬種であることから、ペキニーズに詳しい ブリーダー さんから購入するほうがおすすめです。
やはり専門的にペキニーズを繁殖・飼育されているブリーダーさんですから、相談するにのはうってつけです。
ペットショップやブリーダーとは異なる入手ルートもあります。
それが「里親制度」です。
ペキニーズの里親制度を目的とする団体「ペキニーズレスキュー」という愛護団体が存在します。
そこでは「収容犬」であったり、「迷い犬」であったり、「飼い主の放棄」や「繁殖リタイア」など、さまざまな事情を持つペキニーズを保護しています。
非営利団体として活動する中で、 里親 となる飼い主さん探しも行っているそうです。
興味のある方は調べてみるとよいでしょう。
※合わせて読みたい: ペットの里親・飼い主になるための条件-保護犬・猫・動物を引き取りたい人達へ-
ペットショップやブリーダーからペキニーズを購入するときの相場は、約15~25万円程度なります。
毛並みや毛質、顔のバランスや、毛の色、そしてスタイルなど、価格には個体差が大きく影響します。
3万円程度で取引される例もありますが、おおよそ15~25万円程度はかかると考えておいてください。
中には40万近くに高騰する固体もいるようです。
無理な交配の歴史などがなく、大切にされてきたせいか、ペキニーズは病気に対する抵抗力が比較的強いと言われています。
しかもかなり健康で丈夫な部類にはいるとまで言われていますので、長く共に暮らすことが可能です。
平均寿命 は12~15年程度だと言われています。
病気に対する抵抗力が高く丈夫な部類に入るペキニーズですが、やはりかかりやすい病気もあります。
これらに注意してあげることで、少しでも長く共に暮らしていけるよう繋げていきましょう。
脚が短い犬種に多いのが「椎間板ヘルニア」です。
ちょっとしたソファや段差から飛び降りただけでも、体への衝撃はかなり起こっています。
飼育環境で段差やぶつけそうな場所には注意が必要です。
鼻が低いことで起こりやすいのが「鼻腔狭窄」があげられます。
鼻が低い犬種の場合「軟口蓋過長」と呼ばれる、口の中で上あごのお肉が垂れ下がってしまい呼吸が苦しくなる病気も有名です。
また被毛が多いことから暑さに弱いため「熱中症」を起こすことも考えられます。
こまめな毛のお手入れを怠ると「アレルギー性皮膚炎」などの皮膚に関するトラブルも起こりやすくなっています。
他には「白内障」や「膿皮症」、「ドライアイ」などもかかりやすい病気としてあげられています。
ペキニーズをペットとして飼う場合、特徴的な長い被毛のケアを怠らないようにしてあげてください。
毎日のブラッシングは基本です。
ブラッシングを怠ると、驚くほどのスピードで毛玉ができてしまい、それをほぐすのに一苦労します。
そして、その長くボリューミーな被毛のせいで暑さがとても苦手です。
そのため、ペキニーズを飼育するのであれば、体温管理・室温管理がおこないやすい室内飼育が推奨されています。
室温・気温が高すぎると呼吸困難を起こすこともありますので、できれば夏場の屋外の散歩は控えるのが賢明です。
ただし、あまり活発ではない性質を持っていますので、散歩に行かないとなると運動不足が懸念されます。
運動不足からくる肥満にも要注意です。
理想体重をキープできるように、日々の食事の管理にも気を付けてあげましょう。
顔などのしわの部分には汚れや皮脂がたまりやすくなります。
放っておくと皮膚病を起こしますので、しわの間も丁寧にきれいに拭いてあげましょう。
特に食後などは汚れが溜まりやすくなりますので、食後に拭いてあげる習慣をつけるのもおすすめです。
先ほど少し触れましたが、ペキニーズは しつけ が少々難しい犬種と言われています。
それはまるで猫のようだと言われてしまう気まぐれさであったり、プライドの高さ、警戒心の強さが要因となります。
犬のしつけに多い「褒めて伸ばす」方法は、ペキニーズにはあまり通用しないと考えておきましょう。
自由奔放な性格のペキニーズに合わせるのではなく、きちんと主従関係をはっきりさせることが大切です。
主従関係がはっきりすれば、とても忠実でいられる賢さを持っています。
成犬に近づけば近づくほど、持ち前のプライドの高さはぐんぐんアップしていきます。
できるだけ早い段階でしつけや飼い主さんとの関係をきちんと構築しておきましょう。
まるで猫のような性格をしている不思議な存在「ペキニーズ」
しかし見れば見るほど、そして知れば知るほど世界中で人気を常に維持している存在であることが良く分かります。
ふわふわの毛並みや、印象的な愛らしいつぶらな瞳。
低い鼻はなんとも愛嬌があり見ているだけで和めます。
猫のように気ままで自由奔放ですが、一度決めたら飼い主さんには忠実を誓います。
健康で病気もしにくいと言われていますので、初心者の方にも飼育がしやすいことで有名です。
マイペースなくせに、人間との距離を上手にとってくれる。
そのような賢さを備え持つ魅力たっぷりなペキニーズ。
もっとペキニーズの魅力にはまってみるのも悪くなさそうです。
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公開日 : 2018/02/05