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ペットが死ぬまで寄り添うことこそ、里親・飼い主になる条件です
もともと、「里親」は保護者がいない児童、もしくは不適当な保護者と一緒の環境下にいると認められた児童を預かり「養育する人」のことを指す言葉です。
ペットの里親もほぼ同様で、里子である動物を新しい家族として迎える人のことを表す語として使われています。
日本国内には飼い主の手を離れてしまった、あるいは繁殖しすぎてしまったなどの理由から、保護された 犬 ・ 猫 ・ うさぎ といった動物がたくさんいます。
そして、引き取り手が見つからなかった場合、やむを得ず 殺処分 されてしまう動物が今でも多いのが現状です。
ペットの里親制度は、そんな動物達の生命を救うための一つの手段です。
動物の里親になるための方法や条件・知識を、この機会に今一度確認してみましょう。
動物の里親になることは、すなわち殺処分されてしまうかもしれない動物達の命を助けることに繋がります。
平成27年度の1年間だけでも、犬の引き取り数は46,649匹、うち返還・譲渡できた数は29,637匹。
また、猫の引き取り数は90,075匹、そのうち返還・譲渡できた数は23,037匹です。
すべての動物を保健所や保護団体で育てられれば良いのですが、どうしても収容できるスペースや飼育するための予算には限度があります。
そのため、保護されてから一定の期間が過ぎてしまった動物は殺処分されてしまうのです。
里親を探している動物達を家族として迎え入れること。
それは、たった一つしかない命を悲しい運命から救い出すことにきっと直結するはずです。
ペットショップで犬や猫を購入する場合と異なり、里親として動物を引き取る際には個体自体に対する費用は発生しません。
また、店頭で販売されているのは基本的に子犬や子猫ですが、里親を探している動物の中には成体も多いので、成長したおとなしい性格のペットが欲しい方にも最適と言えます。
そうとはいえ、飼育費・医療費は当然のことながら必要になります。
特に里親制度を利用してペットを譲り受ける場合、避妊・去勢手術はほぼ義務付けられることが多いです。
保健所にいた犬・猫の場合は、健康診断費やワクチン代だけではなく、持病を持っている子であると想像以上の医療費が発生する可能性もあります。
「里親=初期費用がかからない」と誤認されている方はいるかもしれませんが、動物を養っていくためには莫大なコストがかかることを念頭に置いておきましょう。
また、ペットを育てたいという意志さえあれば里親になれるというわけではありません。
動物の里親制度では、本当に飼い主としてふさわしいかどうか厳しい審査が行われるケースがほとんどです。
里親の応募をする際には、必ず募集条件を熟読しておきましょう。
里親を探している動物達には、過去に捨てられた経験がある子や、かわいそうなことに虐待を受けてきた記憶がある子も少なくありません。
穏やかそうな性格の子であっても、ふとした瞬間に嫌な思い出がよみがえり、急に新しい飼い主に噛み付いてしまうこともあります。
男性に乱暴されたことがあるために、女性にしか懐かない子もいます。
とりわけ大人になっている動物は、このような恐怖心を払拭できないこともあるでしょう。
複雑な事情を抱えている子が多いことから、気に入った動物を容易に譲ってはもらえないということも覚悟しておかなくてはいけません。
「ペットの里親の条件は、どうしてこんなにも厳しいの?」
そんな疑問や悩みを持ったことがある方も、きっと多いと思います。
実際、里親として応募したのに条件が合わなかった、許可してもらえなかったという体験をした方もいるでしょう。
動物の里親の譲渡条件を心から理解するためには、まずどういった理由で飼育放棄してしまう飼い主が多いのかを考えてみることが重要です。
元の飼育者がペットを放棄してしまう理由としては、以下のようなパターンが多いです。
・引っ越しや転勤により、飼えなくなった
・犬や猫の鳴き声がうるさいと近所から苦情が来た
・うさぎを賃貸住宅でこっそり飼っていたら、下の階に足音が響いてバレてしまった
・子どもの希望で飼い始めたが面倒を見ず、親も忙しくて世話ができなくなった
・未婚のカップルで飼っていたが別れてしまい、どちらもペットを引き取らなかった
また、飼い主の身体・経済的な不安から、仕方なく責任放棄してしまうこともあります。
たとえば、下記のような例があります。
・一人暮らしの高齢者が飼っていたが、病気になった/死去してしまった
・家族が動物アレルギーになってしまった
・飼い主の下半身が病気で動かなくなり、犬の散歩が難しくなった
・職場で解雇されてしまい、飼育費用を工面できなくなった
以上のようなことが原因で、飼い主の手を離れてしまったペットが数多くいます。
さらに、個体を無償で引き取れる里親制度を悪用して、生体実験のために動物を売却する人、虐待することを楽しむために里子をもらいに来る人がいることも事実です。
残念ながら、猫などを大量に虐待して検挙された人が、出所後に同じ過ちを繰り返しているニュースもあるほどです。
苦しんで生きてきた動物達に、再び悲しい思いをさせてはいけない。
そのような決意のもと、里親を募集している団体側では厳しい審査基準を設けているのです。
あくまでも、過去の事例を目安にしたものに過ぎないかもしれません。
ですが、一生涯を共にできる新しい家族を探すためには、どうしても一定のルールや物差しが必要なのです。
上述したことを踏まえて、メジャーな里子である 犬の里親 ・ 猫の里親 ・ うさぎの里親 の制度を活用するときに提示される、主な譲渡基準について紹介しておきましょう。
原則として、既婚者でかつ主婦(主夫)の方が主体になってお世話をしてあげられる家庭であれば、譲渡OKと見なされる傾向があります。
具体的には以下のような条件が挙げられます。
・十数年の寿命がある動物を、愛情と責任を持って最後まで育て続けること
・家族全員の同意を得ていること
・家族に呼吸器系のアレルギー体質・病気の人がいないこと
・庭やベランダではなく室内で飼うこと
・一人暮らしや同棲中のカップルではないこと
・高齢者だけの家庭ではないこと
・すでにペットがいる場合、すべての犬や猫の不妊手術が済んでいること
・犬の場合は、狂犬病予防注射を年1回行うこと
また、引き取る際に去勢もしくは避妊手術を受けさせることが一般的です。
譲渡時に手術代を団体側から請求されることもあれば、施術後の証明書提出を求められることもあります。
なお、ペット可の物件に住んでいることも絶対条件です。持ち家でなければ不可という愛護団体もいるので事前に確認しておきましょう。
世帯主の本人確認書類や源泉徴収票の提出が必須のことも多いです。
さらに譲渡後には、定期的にメールなどで写真を送って近況報告をするよう義務化されることもあります。
ちなみに、猫やうさぎについては完全室内飼いを推進される傾向があります。
特にうさぎの場合、暑さや寒さ対策のためエアコンをほぼ24時間稼働させなくてはいけません。
一方、犬の場合は毎日散歩させることが条件と言われることもあれば、個体によっては室内で遊ばせた方が良い子もいます。
もし譲渡条件が守られていないと判断された場合は、保護団体側にペットを返すよう要請されることもあります。
約束通りの飼育環境を作れているか、自宅を訪問される場合もあります。
無事に里子を迎えられたとしても、しばらくは審査が続くと考えておきましょう。
「こんなに厳しい条件では、里親を探している不幸な動物達を救えない……」
そう感じる方もいるかもしれません。
しかし、審査をクリアして里子を引き取った家庭があるのも事実です。
仮に里親の条件のレベルを下げたところで、幸せになれる動物が増えるという保証もないでしょう。
元々は、ペットを最後まで育てるつもりで飼い始めた人も多いはずです。
それでも、飼い主が動物アレルギーになったり、世帯主が突然転勤になったり失業したりという事情で、捨てられてしまった動物が数え切れないほどいます。
里親を募集している人達としては、条件を厳しくすることによって、命を預かることの大切さや重みを伝えようとしているのではないでしょうか。
すべての団体が、一人暮らしの方や60歳以上の方からの応募を拒否しているわけではありません。
諦めず、まずは里親を募集している団体や愛護センターに問い合わせてみることをおすすめします。
これまでにお話しした内容を留意した上でペットの里親に応募したいときには、以下を活用すると良いでしょう。
・保健所や動物愛護センター
・里親募集の掲示板やブログ
・里子の譲渡会場
・譲渡会場併設のカフェ(アニマルシェルター)
保健所・動物愛護センター・里親募集の掲示板・譲渡会といった情報は、自治体のホームページに掲載されていることもあります。
ホームページに記載が見つからない場合でも、一度お住まいの市区町村の窓口に聞いてみると良いですね。
中には、里親の説明会を開催している地域もあります。
里子の譲渡会場では、里親を待っている動物達と触れ合うことができます。
譲渡会場を併設しているペットショップや猫カフェ・うさぎカフェなどは、アニマルシェルターとも呼ばれており、里子と遊ぶことはもちろん、飼育用品の購入も可能です。
また、近所の動物病院に連絡してみると、里親を募集していることもあります。
いずれの場合も、講習会や数週間のトライアル飼育が必須であることが一般的です。
講習会は平日に行われることも多いので、土日しか休みが取れない方は注意しましょう。
なお、去勢や避妊手術代を請求されるのが主流であることを逆手に取り、不必要な費用を騙し取る詐欺団体もいます。
詐欺被害に遭わないためには、必ず契約書の内容を熟読してから署名するようにし、金銭を支払う際には明細書を発行してもらうようにしてください。
親身になって、健康管理やしつけのアドバイスをしてくれるかどうかもポイントです。
アフターフォローもしっかりしている団体であれば、譲渡後でも相談や獣医の紹介など随時対応してくれます。
動物達のケージの中や周囲についてもチェックしておくと良いですね。
本当に動物の健やかな暮らしを願っている団体であれば、里子達の生活環境を清潔に保っているはずです。
問題なく里親になれることが決まった場合でも、ペットを引き取った後のことについてきちんと考慮しておきましょう。
まずは、地元で信頼できる獣医師を探しておくことが肝心です。
犬・猫しか診察できない動物病院も多いので、特にうさぎのような 小動物 やエキゾチックアニマルを飼育する場合には、対応できる医院を早めに調べておきましょう。
ペットホテルを併設している病院であると、万が一のときにも頼れるのでなお安心ですね。
そして、お迎えしたペットが子どもか大人かに関わらず、新しい環境に慣れるまで、最低でも2~3週間はかかるものと思っておきましょう。
ストレスや緊張によって脱走してしまうことがないよう、注意深く見てあげてください。
動物の性格は、2割は遺伝、8割は日常生活によって形成されると言われています。
どのような暮らしをさせてあげられるかによって、ペットの個性や生き方が変わってしまいます。
里親となった人は、その責任を確実に担っていかなくてはいけません。
最後に、動物の里親・飼育者になるための最も大切な条件についてお話しします。
それは、ペットが寿命を全うするまで、何があっても離れることなく寄り添い続けるということです。
人間にとっての1日は、彼らにとっては5日に相当します。
あなたが1日旅行へ行って留守にしている間、彼らは5日間もの退屈な時間を強いられます。
犬・猫・うさぎといった動物の平均寿命は、10〜20年前後です。
その間に、たとえあなたや家族にどんなことがあっても、最期まで面倒を見てあげなくてはいけません。
もしもあなたが入院しなくてはいけなくなったとき、同じように愛情を注いでお世話をしてくれる人はいますか?
猫やうさぎを飼い始めて数年で、呼吸器系のアレルギーになってしまった人も多いです。
家族の誰かがアレルギーを発症してしまったとき、ペットを室内で飼い続けることはできますか?
ペットが怪我をしてしまったとき、診療費は1回につき5千円前後はかかります。
レントゲン撮影や点滴も必要な病気の際には、1万円以上は必要になります。
一つの命を守るためには、時間もお金もその子のために捧げなくてはいけません。
「そんなことはすべて、当たり前のこと。」
もしも素直にそう思えるなら、あなたは素敵なペットの飼い主になれることでしょう。
今この瞬間にも、里親との出会いを待っている子達がいます。
ぜひ1匹でも多くの里子をお迎えして、一緒に幸せな家庭を築いてあげたいですね。
最終更新日 : 2020/11/17
公開日 : 2017/06/28