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ふわふわな巻き毛と愛嬌ある顔立ちがたまらない「セルカークレックス」
アメリカ原産のセルカークレックスという 猫 をご存知でしょうか。
短毛と長毛の種がいますが、どちらもくるくるとカールした巻き毛が特徴的な猫です。
その見た目から「羊の皮をかぶった猫」のように例えられることもあるほどです。
もちろん、これは見た目のことだけではなく、セルカークレックスの穏やかでおとなしい性格なども影響しています。
セルカークレックスは英語で書くと「Selkirk Rex」となります。
一見、猫の名前とは思えない何とも不思議なこの名前。
なぜこのような名前になったのでしょう。
実はセルカークレックスの名前の由来はとても単純です。
セルカークレックスが見つかった保護施設の近くにある山脈「セルカーク」から取られています。
分布している土地や、発見された場所に関連する名前が付けられることはそれなりにありますので、さほど珍しい事ではありません。
しかし、もしセルカークレックスが別の場所で発見されていたら、どのような名前になっていたのだろうと考えるのもまた面白いものです。
名前の後半につけられた「レックス」ですが、これは遺伝分野における専門用語です。
意味は「巻き毛」をさし、セルカークレックスの見た目にちなんでつけられました。
ちなみに、世界には三大巻き毛の猫というものが存在し、その中の1匹がセルカークレックスです。
残りの2匹はイギリス原産の「コーニッシュレックス」と「デボンレックス」と呼ばれる種です。
この3つの種の中で、セルカークレックスはもっとも歴史が浅い種といわれています。
珍しい見た目を持つセルカークレックスは、1987年(昭和62年)に発見されました。
多くの珍しい新種の猫というと、人間の手で交配され誕生したイメージが強くなります。
しかし、セルカークレックスは自然に発生した 猫種 であるといわれています。
アメリカはモンタナ州にある動物保護施設。
その動物保護施設で、バヒーズという女性が保護されている5匹の中に、ヒゲと被毛がカールした珍しい風体の子猫を見つけたのが始まりです。
不思議なことに、一緒に保護されていた残りの4匹の子猫たちのヒゲや被毛は全くカールしていませんでした。
このことにより、この巻き毛の子猫は「突然変異」で誕生したのではないかとも考えられていたのです。
この時引き取られたヒゲと被毛がカールした珍しい見た目の子猫は、 ペルシャ の繁殖家である「ジェリ・ニューマン」という女性の手に渡ります。
今考えると、この風変わりな見た目の猫を引き取ったのがペルシャの繁殖家でなければ、セルカークレックスが誕生することはなかったのかもしれません。
時は過ぎ、引き取った子猫は成猫となり、3匹の子猫を産みました。
どの子も見事にヒゲや被毛がカールしていました。
そのため、ヒゲや被毛がカールするのは突然変異ではなく、遺伝性が強いということがわかりました。
そこでジェリ・ニューマンは、毛先がカールした引き取った猫の新たな交配を計画し始めます。
カールした毛でははなく、直毛の毛質を。
そして人懐こい性格を高めるためにペルシャとの交配を行います。
次に忍耐強い性格を持たせるために、 エキゾチックショートヘア との交配も行いました。
これらの交配により、現在のセルカークレックスに限りなく近い、原型となる種が誕生したのでした。
その後も交配を続けていき、ペットとしてふさわしい容姿や性格を兼ね備えた猫種の育種が進められました。
結果的に、1990年(平成2年)には世界最大の猫の血統登録機関となる「TICA」が新種登録にむけた予備期間を設け、経過観察を開始することとなりました。
そして1992年(平成4年)に「TICA」が、時を経た1998年(平成10年)には「TICA」と同じく、世界最大の猫の血統登録機関となる「CFA」やその他の団体で、セルカークレックスは新しい猫種として認定され、登録される運びとなりました。
見ての通り、セルカークレックスは20世紀の終わりごろに誕生したとても新しい猫種です。
そのためCFAは、純血種の遺伝子の多様性を確保するため、決められた猫種とだけ異種交配をすることを認めています。
以前は、以下の猫種との交配が認められていました。
現在は、 ブリティッシュショートヘア 、 エキゾチックショートヘア が、2025年(1月1日生まれ)までCFAにて異種交配が認められています。
自然発生で誕生したセルカークレックスは、原種がはっきりとしていません。
雑種とペルシャではないかと推測されていますが、真相は定かではありません。
それではここからは、セルカークレックスの特徴を確認しながら、セルカークレックスはどのような猫種なのかをみていきましょう。
現在公認されている猫の中でも、セルカークレックスはなかなかの大型の猫種であると言われています。
どれぐらい大きくなるのか平均体重をみてみましょう。
オスの場合はおよそ4.8~6.5kg程度、メスの場合はおよそ2.9~4.5kgがセルカークレックスの平均体重と言われています。
雑種 の成猫の平均体重が、オス4.3~5.5kg程度、メス3.1~4.2kg程度となっていますので、最大値になると確かに少々大型のタイプといえるでしょう。
しかし、これらはあくまでも平均値としてあげているだけで、実際はセルカークレックスだけでなく、他の種でも個体によって差は出てきます。
特にセルカークレックスは個体差が激しい面がありますので、この数字だけを見て大型の種であるとは一概には言えません。
可愛さを際立たせているのがまんまるな頭。
そして全体的にふっくらとしたフォルムです。
最大の特徴となるヒゲと被毛のカールもあいまって、マシュマロのようなふわふわ感を彷彿させます。
しかし、実は胴体の部分はなかなかの筋肉質。
予想に反して胴体ががっしりしているので、抱っこすると驚かれることでしょう。
セルカークレックスは、元々ペルシャの血が入っているのではないかと言われています。
さらに交配でもペルシャが使われていましたので、ペルシャの特徴をとても色濃く受け継いでいます。
それが真ん丸な頭の部分。
そしてぺちゃんこな短い鼻です。
この二つのおかげで、なんとも愛嬌のある顔立ちとなっています。
セルカークレックスといえば、ここまでにも繰り返し登場しているヒゲと被毛のカールです。
個体差が大きいセルカークレックスは、ショートヘア、セミロングヘア、ロングヘアとバリエーション豊富な毛の長さも特徴です。
ただし、どの長さであってもこの特徴的なカールは発生します。
ところが、セルカークレックスでありながら直毛のまま産まれてくる個体もいます。
恐らくその原因となるのは遺伝子の兼ね合いです。
両親ともにセルカークレックスの特徴となる巻き毛となる遺伝子を持っていないと、直毛で生まれる個体もいるのです。
もちろん、全てがそうではありませんが、特徴的である巻き毛のセルカークレックスの誕生を希望される場合は、両親ともに巻き毛でその遺伝子を持っているほうが確率は高くなります。
スコティッシュフォールド のように、耳が折れ曲がっていなくいても、同じスコティッシュフォールドとして扱われます。
セルカークレックスも同じで、直毛であったとしても血統書上ではきちんと「セルカークレックス」として扱われます。
まれに、直毛の個体を「セルティック」という呼び名で呼ぶこともあるようです。
毛の長さだけでなく、毛のカラー(瞳のカラーも含む)もバリエーション豊富です。
個体差が大きいことが分かっていますので、どのような毛色(瞳の色)でも、柄のパターンであっても全てセルカークレックスとして認められています。
探せば オッドアイ の個体を見つけることも可能だと言われています。
自然発生で誕生したセルカークレックスですが、交配されていく中でペットとして適した猫種として育種されてきました。
つまり、セルカークレックスは問題なくペットとして人間と共に暮らしていけるということです。
それではここからは、セルカークレックスをペットとして迎えたい方に向けたお話をしていきましょう。
ここまでにも少しお話ししましたが、セルカークレックスはペットとしてとても適した猫種です。
もちろん、性格にも個体差はありますが、多くのセルカークレックスは人懐っこく、とても甘えん坊です。
むしろ、甘えん坊をとおりすぎて「寂しがり」とまで言われてしまうタイプの個体もいるようです。
とにかく人が好き、人とふれあっていたい。
大好きな場所は飼い主さんの膝の上。
それぐらい人間が大好きで、そして寂しがり屋です。
筋肉質なボディをもっていますが、性格が大変おとなしく穏やかなため、室内での飼育にも適しています。
お部屋の中をしょっちゅう大運動会かのように走り回って、近隣のお宅に騒音でご迷惑を掛けることもほぼありません。
ですがやはり猫なので、紐のついたおもちゃなど、一般的な 猫のおもちゃ も大好きです。
寂しがり屋なので、あまり長い時間放っておくとストレス過多になってしまいます。
そのような場合には、適度にスキンシップや遊び相手になってあげるとよいでしょう。
ストレスは万病のもととなりますので、ペットとして迎え入れられる場合はたっぷりかまってあげてください。
成猫にもなるとおとなしく穏やかな面が強くなり、ペットとして大変扱いやすいのですが、子猫の時代は少々異なります。
子猫~成猫になるまでの間は、どちらかというと活発な面が目立ちます。
猫の本能ともいうべきか、ハンティングなども大好きなので、お部屋を所狭しと走り回る子も出てきます。
成猫になるとやはり体が大きくなる傾向があるため、運動量ががたっと落ちてしまいます。
そのため太りやすい傾向もあるようです。
可能であれば子猫時代に、遊びながら体をしっかりと動かす習慣をつけさせておくとよいでしょう。
肥満になってしまうと、正常な体重に戻すのはなかなか大変です。
多くの病気の要因ともなりかねません。
セルカークレックスの平均寿命は、13~15歳程度と言われています。
人間の飼育下で生活することが大前提となっている猫種ですので、この長さにも納得です。
一般的な 猫の寿命 でも15歳ぐらいだと言われていますので、寿命が長くも短くもなく一般的といえるでしょう。
また、セルカークレックスは、他の猫種と比べて成長が穏やかに進みます。
通常だと1~1年半ほどで成猫になるものが多い中、セルカークレックスは3年近くかけて成猫へと変化していきます。
日々の体調管理や食事の管理を怠らずお世話してあげれば、平均寿命よりも長生きする確率はアップします。
個体差もありますが、飼い主さん次第で共に過ごせる時間が長くなることもあるのです。
セルカークレックス最大の特徴となるカールした巻き毛。
ペットとしてセルカークレックスを飼育するのであれば、巻き毛の手入れは最も重要なケアとなります。
セルカークレックスは、抜け毛も多くアレルギーが少しでもある方にはあまりお勧めできない猫種です。
通常でも1日1回はブラッシングをしてあげて欲しいのですが、セルカークレックスの場合はそれを忘れてはいけないレベルで重要なのです。
巻き毛の猫種は皮脂が多い傾向があります。
そのため、抜けた毛が体にくっついたまま残ってしまいやすいのです。
これに気づかず手入れを怠ってしまうと、皮膚病などの原因に直結します。
毎日のブラッシングさえすればいいとかんがえず、 シャンプー も適度に行うことが望ましいです。
セルカークレックスをペットとして飼う場合、子猫から飼育されるのであれば、小さいうちからシャンプーを嫌がらないように慣らす訓練もしておきましょう。
そうとはいっても、セルカークレックスの巻き毛の長さは個体によって様々です。
直毛であったり、短毛の固体で有ればここまでお話ししているほど、やっきになってブラッシングなどを行う必要はありません。
寂しがり屋さんなので、できればコミュニケーションを取るつもりで毎日ブラッシングして上げられればベストです。
目安とすれば週に2~3回程度ケアしてあげられれば大丈夫です。
セミロング以上の長さとなると、お話しした通りどれだけケアをしてあげられるかが勝負です。
基本は毎日のブラッシング・コーミングが必須となります。
うっかり忘れてしまうこともあると思いますが、できるだけ毎日巻き毛のお世話をしてあげましょう。
どうしてもシャンプーやお風呂そのものを嫌がるタイプの場合は、濡れタオルで丁寧に拭いてあげるだけでも大丈夫です。
毛がもつれてしまうと痛がったり、ブラッシングを嫌がったりもします。
そうならないためにも日々のこまめなケアが大切です。
交配の歴史も正しく行われていますし、自然発生で誕生している猫種なため、セルカークレックスは基本的には丈夫な猫種です。
ただ、注意したいのは猫種の育成で登場したペルシャの血から受け継がれる可能性のある影響です。
ペルシャは遺伝性の疾患が多いことが特徴としてあげられます。
腎不全を起こしてしまう可能性がある「多発性のう胞腎」、「肥大型心臓病」などの遺伝を受け継いでしまう可能性も否めません。
中高齢になってくるとどの猫種でも腎不全はなりやすい疾患ではあります。
残念なことに、猫の腎不全は現時点では治療をする術がありません。
ですので、そうならないためにも日頃から食生活や体調管理を怠らないようにしなくてはいけません。
もし多飲多尿などの兆候があらわれたら、急いでかかりつけの獣医さんに相談してください。
後天的にかかりやすい疾患としてあげられるのは「真菌症」や「脂漏性皮膚炎」、「外耳炎」などがあげられます。
実はこれらは巻き毛の猫種に多い、皮脂の分泌の多さが影響しています。
遺伝的に皮脂が過剰に出てしまうので防ぎようがありません。
そこに加えて日本は高温多湿な気候です。
過剰に分泌された皮脂をそのままにしてしまうと、先ほどあげたような疾患をおこしてしまう原因になり兼ねません。
ペルシャの血を色濃く受け継いでいる愛嬌のある短い鼻の部分も要注意です。
鼻が短いので「涙管」がとても短い個体が多いのも特徴です。
そのせいで、目の周辺に涙が溢れやすくなる形状をしています。
その涙で湿った部分に雑菌が繁殖することもありますので、湿っていると気づいたらこまめに綺麗な柔らかい布などで拭き取ってあげてください。
セルカークレックスは、歴史も浅くまだまだ珍しい猫種です。
ペットショップでもまだ見かけることは少ないでしょう。
もちろん、ペットショップでも取り扱いがある場合もありますのでまずは店員さんに相談してみることをおすすめします。
ネットを検索すると、セルカークレックスを取り扱っているブリーダーさんの情報も多く出てきますので、そちらか購入するのも良いでしょう。
価格の相場としては、おおよそ15万円程度が平均的な価格となります。
個体差が大きいため、状態が良いと28万近くまで価格が跳ね上がることもあるようです。
セルカークレックスだけでなく、価格の変動を決めるのはその猫種としていかに「らしい」見た目や性格をしているかです。
血統や顔立ち、毛や瞳の色、体格や月齢。
さまざまな要素があいまって、その個体の価格が決定します。
ショートヘア、セミロングヘア、ロングヘア。
長さが変われば印象もガラッと変わる「セルカークレックス」
どのような歴史や特徴があるのか、ペットとして付き合っていくために知っておきたいことについてご紹介してみました。
ふわふわの巻き毛はみたまま、ふかふかのさわり心地です。
どっしりと構えた体に、まんまるな頭とつぶらな瞳、そして低い鼻。
愛着だらけで、ネコ好きさんにとってはたまらなく魅力的な猫種といえるでしょう。
まだまだ日本でも珍しい猫種となりますが、ペットとしてはうってつけの性格ですので、もし飼育するチャンスがきたらたくさん可愛がってあげてください。
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最終更新日 : 2020/12/18
公開日 : 2018/02/05