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一般家庭で飼育される うさぎ の寿命はおよそ5〜10年、平均すると8年ほどです。
一時期は5〜6年ほどと言われていましたが、最近は主流なペットとしてうさぎの人気がでてきたことから、適切な飼育方法も普及してきましたので、10年ほど近く生きられるうさぎも増えてきました。
理想的な飼育環境で育ったため、12〜15歳まで長生きできたうさぎもいるほどです。
過去に最も長生きしたのは、オーストラリアのタスマニア州で暮らしていた、Flopsy(フロプシー)ちゃんと言われています。
元は野生のアナウサギだったフロプシーちゃんは、1964年8月に保護されてから1983年6月まで、18年と10.75ヶ月も生きたということです。
人間の年齢に直すと、なんと約130歳!
ぜひともギネスの最高記録を目指して、可愛いペットが健康的に暮らせる環境を整えてあげたいですね。
ところで、うさぎの平均寿命は品種によって異なるものなのでしょうか。
人気の ネザーランドドワーフ は5〜6年ほど生きる子が多く、 ミニウサギ や ミニレッキス ・ ホーランドロップ ・ ライオンラビット ・ジャージーウーリー・アメリカンファジーロップといった人気のタイプの子たちの寿命は約5〜10年ほどです。
うさぎは大変デリケートな生き物ですから、ストレスや骨折・感染症といったものが原因で、若い内に命を落としてしまう子もいるのが現状です。
ただ、うさぎの寿命は単純に種類によって変動するものではなく、飼い主によって左右されると言っても過言ではありません。
うさぎは本来、とても繊細でストレスを感じやすい動物です。
一説に「うさぎは寂しいと死んでしまう」というものがありますが、これは迷信。
人間と同じで誰にも邪魔されることなくリラックスしたいときもあれば、飼育者と一緒に遊びたいときもあります。
気疲れしているうさぎは、食欲が落ちたり、健康なウンチを出せなかったりすることが多いです。
食事量や排便に変化がないかを観察し、日常的に適度な距離でコミュニケーションをとってあげること。
つまり、飼い主の慈しみや育て方次第で、うさぎの寿命は変わってしまうと考えてあげましょう。
※合わせて読みたい: うさぎの飼い方解説!値段、選び方、種類、餌、しつけ、エサについて
うさぎの寿命を考えるにあたり、まずはうさぎの年齢は人間にたとえると何歳位になるのか、把握してあげることが肝心です。
仮にうさぎの年齢を人間の歳に換算すると、おおよそ下記の通りです。
個体差はありますが、うさぎの1年はおよそ人間の5〜6年分に相当します。
したがって、たった1日でもうさぎにとってはものすごく長い貴重な時間です。
退屈な時間や、怪我や病気を我慢しているような時間が長くならないよう、常に気を遣ってあげてくださいね。
※合わせて読みたい:
うさぎの年齢別育て方!うさぎの寿命や人間との年齢換算も解説
うさぎを長生きさせてあげるためには、以上のことを念頭に置き、うさぎが心身ともに健やかに暮らせるようにしてあげることが重要です。
以下の注意点を守りながら、うさぎに快適な生活をさせてあげましょう。
うさぎを飼うときには、うさぎの診察が可能な動物病院を必ず探しておきましょう。
犬 や 猫 しか受け付けられないという医院も意外と多いので、うさぎに詳しい獣医さんが近所にあるか、早めにチェックしておいてくださいね。
本来被捕食動物であるうさぎは、基本的に鳴くことはほとんどなく、体調が悪くても隠そうとする特性があります。
明らかに様子がおかしいと気づいたときには、病気がかなり進行していることも決して少なくありません。
半年に1回を目安として健康診断に連れて行ってあげることも、うさぎの寿命を延ばすためのポイントの一つです。
なお、繁殖させる予定がないメスうさぎは、3歳未満の若いうちに避妊手術を行うことをおすすめします。
避妊手術を行わないまま妊娠しないとホルモンバランスが崩れてしまい、子宮ガンにかかってしまう子がたくさんいるためです。
一方、オスのうさぎの場合には、去勢手術を勧めるか否か、医師によって考え方が分かれます。
手術の際に使われる麻酔はうさぎにとってはリスクが高いという理由から、オスうさぎについてはなるべく自然体で生活させることを推奨する動物病院も多いです。
体が小さいうさぎに麻酔を施すのは経験豊富な獣医師でも難しいことであり、もし避妊・去勢手術を行うならば体力のある若い内に済ませることが得策です。
手術の可否についての相談をするためにも、確実に信頼できる病院を見つけておきましょう。
体調が悪くても隠そうとする特性から、日ごろから飼い主が気を付けてうさぎの様子を観察する必要があります。
うさぎに多い病気やケガ、それに伴う様子の変化や対処法を知っていておくと良いでしょう。
うさぎの骨はとても弱く、骨折や脱臼をしやすいです。
実際、家の中でのうさぎの事故は骨折・脱臼が大半で、 ケージ や部屋の中を走っているとき、また飼い主に抱っこされたときに怪我をしてしまうケースが多いです。
骨折や脱臼が原因で食欲不振になり、時にはそのまま亡くなってしまうことさえあります。
うさぎを抱っこするときには、うさぎの背後から前足と後ろ足を抱え込みながら持ち上げるのがベストです。
もしうさぎの腰を押さえながら抱っこしてしまうと、逃げようとして腰椎が折れてしまうこともあるので、くれぐれもご注意ください。
万が一、足腰が急にブラブラしているなどの症状が見られた場合には、すぐに病院で診てもらいましょう。
特に背骨が折れてしまうと命に関わるので、素早い対応が必要です。
なお、うさぎが1日食べ物を口にしないときは生死に関わる危険性があるため、即病院へ連れて行ってください。
色んな原因によって起こる、消化不良をはじめとする胃腸のトラブルです。
原因はストレスやその他の病気が引き起こしていることもあります。
ある日突然エサを食べなくなった…ということがあれば、このうっ滞を疑ってみてください。
胃腸の動きが止まり、食べたものやガスがお腹に溜まって動くことが困難になります。
その結果、エサを食べなくなり、排泄物の量も減ります。
重症化すると死の危険もあるので、エサを食べないことに気付いたらすぐに病院へ連れていきましょう。
うさぎは 猫 と違い、毛づくろいをした際に体の中に溜まった毛を自分で体外に出すことができません。
そのため、消化管に毛玉が溜まってしまうという病気です。
食欲不振や排泄物の量が減るなど、うっ滞の原因ともなります。
年に2回の換毛期に毛づくろいをすると、普段より多くの毛が抜け体内に入ります。
また、ストレスを感じるとうさぎは毛づくろいを多くするようになるため、ストレスが直接毛球症と関係していることもあります。
軽度であれば投薬で治療が可能ですが、重症化すると手術をして体内に溜まった毛玉を取り出す必要があります。
毛づくろいの際に多くの毛が抜けないよう、日ごろからこまめなブラッシングをしてあげることで予防することができます。
縦に長いのが特徴であるうさぎの歯は、実は伸び続けていきます。
何もしなければ、なんと年に30cmも伸びることがあります。
そのため、うさぎは歯と歯をすり合わせるように噛んで食事をし、自ら歯を削っているのです。
歯並びが悪かったりかみ合わせが悪いと、うまく歯を削ることができず、伸びた歯が口内に刺さったり、他の病気を誘発したりと深刻な事態になります。
エサを口からこぼすなど、エサを食べづらそうにしていたり、食事のスピードが落ちていたりする場合は、動物病院でうさぎの口の中を見てあげてください。
発見が遅れると伸びた歯が口内を傷つけて出血したり、よだれや口内潰瘍ができたりすることがあります。
不正咬合は、遺伝的な歯列や顎の異常が原因となる場合もありますが、食事内容の偏りが原因にもなりえます。
ペレットや野菜チップのほか、チモシー(牧草)もたっぷりと用意し、しっかりと歯を摩耗させることができるような食事を用意しましょう。
万が一歯が伸びているのを見つけたら、早めに動物病院を受診してください。
歯切り、歯削りなどの対処をしてもらいましょう。
また、不正咬合は繰り返しやすい症状なので、一度不正咬合になった子はより注意して日頃から歯の様子を観察してあげてください。
足裏の毛が抜け落ちて直接皮膚が床面に接することで、皮膚が炎症を起こしてしまう症状です。
犬や猫と違って肉球のないうさぎは、フローリングなどの、うさぎの足への衝撃や摩擦が大きな素材の上を歩き回ると足裏の毛が抜けてしまうのです。
足裏の毛に薄い部分がある、または完全に禿げてしまっている場合は、ソアホックを疑ってみてください。
ひどくなると炎症を起こしてしまいますので、早めに動物病院で対処法を仰ぎましょう。
床面は柔らかい素材を使用するようにし、ケージの中はおしっこや水などで濡れていない状態を保ってください。
また、肥満のうさぎになると足に負荷がかかり、足の床面に対する接地面が多くなってソアホックを引き起こす原因ともなりますので、それ以外の健康のためも含め、体重管理には十分気を付けてあげる必要があります。
うさぎはストレスを感じるとスタンピングと呼ばれる足踏みをすることがあります。
スタンピングが多いと足への負荷もそれだけかかり、ソアホックを起こしやすくなるので、ストレスのない環境を整えてあげることも重要です。
軽症であれば飼育環境を整えることで改善する場合もありますが、それでも悪化してしまう場合は早めに病院へ。
皮膚炎に対する軟膏や内服薬の投与、患部を守るバンデージなど症状に合った対応をしてもらえます。
※合わせて読みたい: うさぎの鳴き声・鳴き方って?感情・体調を理解するため、しぐさと行動に注意!
うさぎの食生活管理も人間と同様で、個体の成長に合わせて行いましょう。
生後6ヶ月までの成長期にはカロリーを多く消費するので子うさぎ用のペレットを、生後7ヶ月以上のうさぎには大人用のペレットをあげてください。
※合わせて読みたい: うさぎのエサはどう選べばいい?ペレット、チモシー、おやつから野菜までうさぎの餌の種類と与え方を徹底解説!
また、うさぎは5歳以上で老化が始まる子が多く、病気にもかかりやすくなってきます。
運動量の低下による肥満も病気の原因になりやすいので、気を付けましょう。
老年期のうさぎには、尿石症や腎不全などの症状が出る子も多数いるため、5歳を超えたらカルシウムが少ないシニア用のペレットに切り替えておくと無難です。
6歳になると、うさぎの生命線である歯が緩んで不正咬合も発生しやすくなります。
老いてくると下半身も弱ってくるので、関節に効くサプリメントを与えてみるのも良いでしょう。
不正咬合について前述したとおり、うさぎの歯は伸び続けてしまうため、年齢に関わらずチモシー(牧草)は常に食べ放題の状態を維持してあげましょう。
健康診断などの際に、病院からおすすめの食事方法を教わっておくとより安心ですね。
※合わせて読みたい: うさぎや小動物の主食チモシー。チモシーの種類、選び方、与え方は?
うさぎは夏の暑さ対策が欠かせないため、ほぼ24時間のエアコン稼働が必須です。
温度変化にも敏感なので、なるべく室内は24度以下になるよう保ち、冬の寒暖差にも注意してあげてください。
うさぎの快適な温度は18度と言われています。
必要があれば、夏は直射日光が当たらない場所、冬は外気が入らない場所など、季節によってケージの位置も変えてあげましょう。
特に老年期は体力が落ちているので、より温度管理が重要です。
※合わせて読みたい: うさぎを飼うのに最適なケージとは?うさぎの飼育ケージの選び方とおすすめ商品!
できる限りうさぎがストレスを感じない環境づくりを心がけましょう。
人間と同じで、騒音がある場所やさまざまな角度から丸見えの空間では、うさぎは落ち着いて暮らすことができません。
テレビや洗濯機といった音が大きい家電の側や、人の出入りが多いドアの近くにケージを置くのは避けましょう。
また、トイレは壁側になる位置に設置し、ケージ自体も段ボールや仕切りで囲ってあげるとより良いです。
ケージ内にも、うさぎの体が隠れるようなシェルフや牧草で編まれた巣のようなものを入れてあげましょう。
ストレス行動が減って、寿命が延びるという報告があります。
※合わせて読みたい: うさぎのトイレのしつけ方についてはコチラ!うさぎの特性と気持ちを理解してあげましょう
うさぎの寿命は、ストレスと大きく繋がっていると考えられています。
常日頃からうさぎの気持ちを考え、精神的な負担を与えない状況や環境について熟慮してあげることが大切です。
うさぎの寿命を延ばして一緒に長生きしていくためには、うさぎに絶えず愛情を注ぎ、いつもとほんの少しでも様子が違う場合はすぐに気付いてあげることが何よりも大切です。
毎日の丁寧なケアを怠らないこと、そして病気の際には早期発見および早期治療できることが一番でしょう。
少食気味なとき、軟便や下痢を出したとき、不自然な歩き方や座り方をしているとき、鼻音がピーピーと鳴いているときなどは、うさぎの不調のサインです。
このような合図を決して見逃さないことが、うさぎと長く生きていくための秘訣と言えます。
普段からうさぎの表情や走り方、体重、トイレ、エサの量などをチェックしておくことで、うさぎの命を守り続けることができます。
一昔前に比べたら長くなってきた、うさぎの寿命。
それでも私たち人間と比較すると短い、たったの10年前後です。
1日1日を楽しく健やかに悔いなく生きていけるよう、日々寄り添いながら過ごしてあげてくださいね。
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監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/06/15
公開日 : 2017/07/19