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猫の祖先はリビアヤマネコという野生種の猫です。
リビアヤマネコは、現在も中東からエジプトにかけての砂漠地帯に暮らしていて、外見は日本でもよく見かける キジトラ猫 にそっくりな小型の肉食獣です。
リビアヤマネコは狩りで獲物を捕って暮らしているのですが、その狩りの仕方はなるべく自分の気配を消して、獲物を待ち伏せて仕留めるというやり方です。
そのため、音を立てずに動くことができますし、隠れるのも得意です。
また、相手に気付かれないためには、匂いを消さなくてはなりません
自分の匂いを獲物となる動物に気付かれないように、リビアヤマネコは自分の体を舐めてきれいにします。
人間のペットとして暮らしている猫は野生種ではなく イエネコ ですが、祖先であるリビアヤマネコの本能を色濃く受け継いでいます。
ペットであれば狩りをして自分で食べ物を確保する必要はありませんが、家の中で暮らしていても自分で自分の体を舐めるという習性は持ち合わせているのです。
猫の舌はザラザラしていますね。
猫と同じように、人間と暮らしている 犬 の舌は猫のようにザラザラとはしていません。
犬はあまり自分で グルーミング をする動物ではないので、犬の舌は自分の身体を清潔にするのに便利なようにはできていないのです。
それに比べて、猫の舌は自分の体を清潔に保つために最適な機能を持ち合わせています。
猫に舐められるとザラザラしているのを感じられますが、それは猫の舌に糸状乳頭と呼ばれる突起物が無数に生えているためです。
猫の舌をよく見てみると、毛のようなものが無数に生えていることがわかります。
そのような構造になっているのは、自分の体の汚れを取ったり、余分な毛を取り除いたりするためと考えられます。
つまり、猫の舌はブラシの役割をしているのですね。
また、猫の舌にある糸状乳頭はブラシの役割だけではなく、猫の体をきれいにするために唾液が絡まりやすくなっていることがわかっています。
糸状乳頭の先端にU字状のくぼみがあり、そこに唾液が付くことにより、猫の体全体に唾液を行き渡らせられるようになっているのです。
猫の舌は他の動物の舌に比べて、自分の体をきれいにするために非常に重要な役割があることがわかりますね。
猫が自分の体を舐めるのにはちゃんと理由があります。
前述したとおり、猫はきれい好きな動物です。
猫が自分の体を舐めるのは、毛づくろい(グルーミング)のため。
もともとは狩りを成功させるためですが、ペットとなった現在でも、自分でグルーミングしてきれいにしているのです。
猫は特に シャンプー をしなくても匂いがなく、きれいな状態であることが普通なので、もし匂いやフケが気になるようであれば病気である可能性が考えられます。
また、 老猫 になって関節炎等でグルーミングをしにくくなると、自分できれいにできなくなりますので、その際は飼い主さんが ブラッシング をしたりタオルで拭いたりしてあげるといいです。
猫は1日に何回も自分の体をグルーミングしますが、特によく行う時間帯があります。
それは食事が終わった後です。
食事が終わった後は口の周りを舐めたり顔を洗ったり、前足や肉球を念入りにグルーミングする様子が見られます。
これは野生動物であったときの名残です。
現在は栄養が考えられたカリカリの キャットフード を食べる子がほとんどですが、野性で生きていた頃は、自分で捕った獲物を食べていました。
そうすると口や顔、足に血や匂いがついてしまうので、それをきれいにするために食事の後は念入りにグルーミングをするのです。
今は血が滴るような食事をするわけではありませんが、野生で生きていたとき本能が残っています。
猫は自分の体を舐めてきれいにするという行動はごく普通のことです。
しかし、同じ箇所を何度も舐める、毛がはげてしまうほど舐めるなど、通常のグルーミングとは違う行動が見られるときは何らかの異常が原因であると考えられます。
猫はストレスに弱い動物です。
自分の体を辞める理由の一つに、ストレスを軽減しようとしているということが考えられます。
そもそも猫は、何らかのストレスを受けると自分の気持ちを落ち着かせようとしてグルーミングをするという習性があります。
キャットタワー に登ろうとして落ちてしまったり、床が滑って転んでしまったりなど、ちょっとした失敗の後に体を舐めているのは、ごまかそうとしているのではなく気を落ち着かせようとしている代替行為なのです。
通常それらの行動は異常なものではありません。
しかし、同じ箇所を何度も舐めてしまう、毛が薄くなるほど舐めてしまうなどの通常のグルーミングから逸脱した舐め方をしているときは、何らかの強いストレスや継続的なストレスを原因とする異常な行為である可能性が考えられます。
もし通常のグルーミングとは違う異常な舐め方を確認し、その理由が何らかのストレスであると考えられる場合は、早くそのストレスを取り去ってあげるようにしてください。
放置すると毛がすっかりなくなるまで舐めてしまったり、症状が進んで自分を噛むなどの自傷行為が見られたりするようになることもあります。
猫が感じるストレスとしては、引越しで生活の環境が変わった、新しい家族が増えた、猫が住んでいる場所が汚い、猫が落ち着いて暮らすことができない、常に騒音にさらされているなどが考えられます。
もし猫のストレスが何であるかわからないときは専門家に相談してみましょう。
※合わせて読みたい: 猫にストレスを与えないお世話の仕方
猫は体がかゆいときも舐めることがあります。
かゆいときは後ろ足でかくことが多いですが、それ以外にも舐めたり噛んだりという行動も見られます。
猫が同じ箇所をしきりに舐めたり、噛んだりする様子が見られたら、皮膚炎の可能性があるためすぐに病院に連れて行ってあげましょう。
皮膚炎も早期発見・早期治療することで早く治りますし、医療費も安く済みます。
放置すると出血をする、傷からばい菌が入るなどして治療にたくさんお金がかかることになりますし、治るまでの期間も長くなってしまいます。
猫は自分自身だけではなく、飼い主さんのことも舐めますね。
猫が飼い主さんを舐めるのはどんな気持ちからなのでしょうか。
猫が飼い主さんを舐める理由として一番大きいものは、やはり愛情表現でしょう。
猫は子育てをするとき 子猫 の体をたくさん舐めてあげます。
子猫の体をきれいにしてあげる、排尿を促すという理由以外にも、子猫に対する愛情から母猫は子猫を舐めてあげるのです。
自分以外の猫を舐めるという行動は、親子だけではなく、多頭飼育をしていると猫同士でもよく見られます。
お互いを舐めてグルーミングしてあげるという行動は仲が良い猫同士で見られますが、仲が悪い猫同士では相手を舐めてあげるということはありません。
この点から考えても、猫が飼い主さんを舐めるのは、そこに好意や愛情、信頼があるからだと言えますね。
猫は変化が嫌いな動物です。
そのため、飼い主さんからいつもとは違う匂いがすると不信感を抱きます。
他の猫を触って帰宅したら猫にしつこくチェックされたり、愛猫が近寄ってきてくれなかったりという経験がある方もいるでしょう。
大好きな飼い主さんがいつもと違う匂いをさせていることは、猫にとっては気に入らない状況ですし、早くその匂いを消し去りたいと思っています。
飼い主さんに着いた変な匂いを取り除き、自分の匂いをつけるために舐めているのです。
猫は飼い主さんにかまって欲しいときや、自分に注意を向けて欲しいときも舐めることがあります。
飼い主さんが寝ているときに顔や手を舐めてくるのは、早く目覚めて自分と遊んで欲しい、ご飯がほしいといった要求があるときが多いです。
猫の舐めるという行為は、コミュニケーション手段の一つでもあります。
猫は飼い主さんを舐めることで、愛情を向けて欲しいという気持ちを伝えているのですね。
猫の舌はザラザラしているので、舐められると痛いと感じることもありますし、あまりしつこいときはやめて欲しいときもありますね。
しかし、猫が飼い主さんを舐めるのは基本的に愛情表現からであり、好きではない人は舐めません。
せっかく飼い主さんのことが大好きといってくれているのに、それをやめさせるのはちょっとかわいそうですね。
もし猫ちゃんがしつこく舐めてくるのをやめさせたいときは、猫ちゃんの要望を短い時間でもいいので叶えてあげるようにすると良いでしょう。
猫は簡単にはあきらめない動物でもあるので、自分の願いが叶えられるまではしつこく舐めたり鳴いたりという行動を続けることがあります。
叱ってもあまり効果がないばかりか、猫ちゃんとの信頼関係を崩してしまいかねませんから、猫ちゃんにしつこく舐めるのをやめて欲しい場合は、猫ちゃんの願いを叶えてあげるようにするのが一番です。
忙しくても2~ 3分の間撫でてあげたり、抱っこしてあげたりする時間は取ってあげられますね。
ほんの2~3分でも相手をしてあげると満足してくれる子は多いでしょう。
お腹が空いたという催促に対してもカリカリを3粒あげるだけで満足してくれることも少なくありません。
ただし、食べ物の要望に毎回応えることは良くありませんので、撫でてあげたり猫じゃらしで遊んであげたり、他のことに注意を向けてあげるようにしてもいいです。
猫が自分の体を舐めるのはごく普通の行動です。
しかし、体に異常がある場合も舐めることがあるので、普段から猫ちゃんの行動をよく注意して見てあげるようにしましょう。
猫は毛が生えているので、皮膚の炎症に気付きにくいです。
毎日猫ちゃんの様子を観察することで、早期に異常に気づいてあげることができるでしょう。
また、猫が飼い主さんや他の猫を舐めるのは愛情表現からです。
そうとはわかっていても、あまりしつこくされると飼い主さんはちょっと困ってしまいますね。
でも舐めることをやめさせるときは猫ちゃんの気持ちを汲んで邪険にせず、猫ちゃんが満足してくれる方法をとってあげると猫ちゃんとの絆が深まるでしょう。
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公開日 : 2019/01/08