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分類は「食肉目ネコ科ネコ属」で、もう少し正確にすると「ネコ目ネコ科ネコ亜科ネコ属」のヤマネコの亜種に分類されます。
学名では「Felis silvestris catus」と表記します。
一部では「Felis catus」と記すこともあるようです。
「Felis」とは「ネコ」や「ネコ属」と言う意味を持ち、「Felis silvestris」で「野生のネコ」という意味を持ちます。
ですが一般的には「Felis silvestris」と検索をすると「ヤマネコ」という結果が表示されることでしょう。
ちなみに、不思議なことに「catus」だけで翻訳するとなぜか「ゴリラ」と訳される場合があります。
ですが、「Felis catus」のように繋げると「ネコ」や「イエネコ」のように訳されるのです。
「Felis silvestris catus」という学名はラテン語となり、発音が少し難しいですが「フェーリス・シルウェストリス・カトゥス」と読みます。
「ネコ属」「野生の」「ネコ」この辺りが語義とされています。
「Felis silvestris」でヤマネコとなるので、「Felis silvestris catus」のように最後にひとつ単語を加えることにより、「ネコという一群」のような意味を持たせています。
先ほど登場した「ヤマネコ」を意味する「Felis silvestris」という学名は、実はイエネコと同じ「Felis catus」とするべきではないかという説もあったようです。
ですが、2003年に「ICZN(動物命名法国際審議会)」は、「Felis catusと」についてイエネコのみに使用する学名にするべきだと強く主張し、その主張は通ることとなりました。
この結果ヨーロッパヤマネコは、これまで通り「Felis silvestris」という学名を使用することが認められたのです。
イエネコとは、 猫 全般を指すとされていますが、もう少し詳しい定義が知りたいところです。
イエネコの定義とはどのようなものかお話ししてみましょう。
起源はヤマネコが家畜化したことから始まります。
当時、家畜や食料を狙うネズミを捕獲させるために、人間はヤマネコを家畜として飼育し始めます。
このことを起源とする説もありますが、この時家畜化されたヤマネコの「亜種」がイエネコの定義であると定めている節も存在します。
しかし、広い意味での「イエネコ」はネコ科動物のネコ類の一部であるとも考えられています。
その反面、ネコ科動物全てを指す場合もあるのです。
これは学術的な用語として使われる場合ですが、英語で言うところの「cat」と同じように扱われ、ライオンやトラのような、ネコ科の大型種もすべて含める場合もあるようです。
こうしてみると、イエネコの定義を分かりやすく簡潔に説明するのは難しいようです。
こちらも少しややこしくなるのですが、イエネコはヤマネコでありますが、ヤマネコはイエネコではないという考え方があります。
この辺りは学名をイエネコとヤマネコで異なるものにしたことで起こってしまいました。
イエネコの祖先は、ヤマネコという考え方は実は一番有力な説となっています。
これは2007年にリビアヤマネコのミトコンドリアから摂取したDNA鑑定できちんとした結果が出ているからです。
DNA鑑定に基づき、リビアイエネコがイエネコの祖先だったと裏付けができあがりました。
元々ヤマネコは5種類おり、その中でも「リビアヤマネコ」は、人間によく慣れるなつっこい性格や骨格が似ている点で、イエネコと近似していると言われていたので納得の結果と言うわけです。
野生で暮らしていたヤマネコが、人間と共に暮らすこととなりイエネコは誕生しました。
その歴史は遡ること紀元前4000年ごろのエジプトと言われています。
イエネコの定義の項目でお話しした通り、このころ農業が発達しはじめ、穀物を荒らすネズミの存在に人々は頭を抱えていました。
穀物の畑や保管している場所に群がるげっ歯類に、いつしかネコたちが勝手に集まり始めました。
多くのネコが集まって来ると、その中に人懐っこい性格のものや、警戒心の低いネコがあらわれ、それらが人間に可愛がられ、そのまま共に暮らすようになっていったのです。
3600年ほど前に描かれたとされている絵画にも、人と猫が共に描かれているものがあることから、この説が最も有力とされてきました。
しかし、21世紀に入って新たな証拠が発見され、その歴史はさらに前にさかのぼることとなります。
地中海にある「キプロス島」の「シロウロカンボス遺跡」で、約9500年前ごろに建てられたと思われる墓の中から、なんとネコの骨が発掘されたのです。
人と同じ墓に埋葬されていたということは、それだけ愛され可愛がられていた、もしくは高貴な存在として神聖視されていたのかもしれません。
見つかったネコの骨をDNA解析すると、リビアヤマネコと同じ系統であることが判明しました。
これが先ほど「ヤマネコとイエネコの関係」でお話ししたことに繋がります。
発見されたネコの骨が、初めて人間に飼われることとなったネコと、現在のイエネコの血統が直接的に繋がって連続しているかは、現段階では不明確とされています。
ですが、恐らくこれが人間がネコを飼育した最古の事例として語り継がれています。
エジプトなどに生息していたヤマネコの血を受け継いだイエネコたちは、船乗りや商人の手によって全世界へと広がっていきます。
いつしかイエネコは中国を経由して、中央アジアにあるシルクロードを経由していきました。
こうして徐々にアジア圏内へと分布が広がっていくのです。
確かな記録は残念ながら残っていませんが、ネコが日本へやってきたのは、恐らく6世紀半ばごろではないかと言われています。
仏教の伝来をするためにやってきた人たちを乗せ中国からやってきた船の中に、ネコたちが一緒に乗ってきたのではと考えられています。
このことを裏付けるのは、やはりネズミなどのげっ歯類の存在です。
当時の航海は現代とは違い、とても日数のかかる長旅でした。
その長い期間に、乗せている大切な仏教の経典や資料などの紙類を、ネズミたちから守らなくてはなりませんでした。
そこで登場するのがネコというわけです。
このような裏付けもあり、恐らく飛鳥時代から奈良時代にかけてには、すでにネコは日本へと渡り住んでいたのではないかと推測されています。
ちなみに日本でネコが書物に初めてあらわれたのは、奈良時代の薬師寺の僧である「景戒」の「日本国現報善悪霊異記(日本霊異記)」とされています。
DNA鑑定でイエネコはリビアヤマネコの血を受け継いでいると確証が出ましたが、実は、リビアヤマネコから派生したネコはイエネコ以外にも存在します。
これらのネコもイエネコ同様にエジプトから世界中へと広まったリビアヤマネコから派生したネコとして、「Felis silvestris catus」として扱われています。
もちろん、あなたの周りで暮らしている「ノラネコ」にも「Felis silvestris catus」は存在しているのです。
イエネコとヤマネコが戦うというわけではありませんが、この2つの 猫の種類 がどう違うのか比較してみましょう。
イエネコの祖先はヤマネコですが、実際の生態はかなり異なっているのです。
生活環境が大きく異なることが違いとしてあげられます。
ヤマネコは野生環境での生活が基本です。
分類も「野生ネコ類」となっています。
一応ヤマネコはイエネコであるという定義がありますので、イエネコやピューマ以外のネコ亜科に属しているものを「ヤマネコ」と指しています。
分布は世界各地に広がっており、砂漠に住む「スナネコ」や、熱帯雨林などの木の上で生活する「マーブルキャット」、同じ熱帯雨林エリアに生息していても、木の上ではなく地上で生活する「マレーヤマネコ」など、住んでいるエリアと生活スタイルによってその生態は大きく異なります。
一つだけ共通しているのは、どの種も自然の中で生きているということです。
それが野生ネコ類という分類に属しているということなのです。
肉食なので、主にネズミや ウサギ 、昆虫や魚などを狩って捕食して生活しています。
食べるものや生活環境がイエネコとは異なるため、骨格などもイエネコに比べるとしっかりとしており、手足が太くなっています。
厳しい自然環境で生き抜くために起こった、必要な進化と言ったところでしょう。
ヤマネコは、自然で生活しているのが当たり前の生き物です。
そのため、人間の飼育下に入ることは困難を極めます。
力も強く、どう猛な部分もあり警戒心も強いことから、ペットとしての飼育には向きません。
また、野生のヤマネコは普通に手に入るものではないことも含め、ペットとしての飼育はほぼ無理だと考えるのが妥当でしょう。
イエネコは原則、人との共存に適しているネコを指すことが多い為、ペットとして入手することも飼育することもそれほど難しくはありません。
庭に遊びに来るノラネコも、保護施設から譲り受けてきた保護ネコも、ペットショップで安価で買ってきたネコも、みんなイエネコとなるからです。
イエネコは、人と関わることに本能的に適しているので、比較的穏やかな性格をしている子が多く、人間に甘えるのも上手です。
ヤマネコとの決定的な違いとなる生活環境は、人と共に暮らしていくというスタイルです。
最近では、室内で飼育される方が増えていますが、屋外に出している人でも、基本的には家の中で生活をさせています。
常に野生の中に身を置き、人と混じることのない生活をしているヤマネコとは大違いです。
自分たちでエサをとらずとも、常に餌を与えられている。
人間の庇護のもと、外敵に襲われることも少なく、病気や怪我をしても治療をうけさせてもらえる。
このような安全を確約されているのが「イエネコ」というものなのです。
イエネコは、古くから人と共に生き、人と共に歩いてきた長い歴史があるので、サバイバルな環境に対応する必要がありません。
そのため、小柄な体格をしているという特徴があります。
ヤマネコのように大柄で、しっかりとした骨格ではなく、小さくて柔らかく丸い存在は人間の目を楽しませてくれることも特徴的です。
愛らしい仕草や、くすっと笑ってしまうような行動をするのも、人間に守られているからこそのものなのです。
ただし、家の中での生活がメインとなるせいで、運動不足になりがちな傾向もあります。
そのため、イエネコは肥満傾向が高いとも言われています。
大人気アニメ&ゲームアプリの「けものフレンズ」はご存知ですか?
実は「けものフレンズ」にも「イエネコ」が登場しているのです。
もしかしたらアニメ版の「けもフレ」しか見ておられない方は「イエネコなんていなかった」と思われるかもしれません。
それもそのはず、「けもフレ」にはスマートフォーンのゲームが存在し、登場人物がアニメとは少し異なるのです。
「けもフレ」は、ゲームなどを含めた多くのメディアミックスを経て、アニメ化され多くの方々の目に触れることとなりました。
ゲームなどには出てきたのに、アニメ版では登場しなかったフレンズが沢山いるのです。
その中の1匹のフレンズが「イエネコ」となります。
CVは「桑島法子(くわしまほうこ)」さんが担当されています。
桑島さんといえばプリキュアの「明堂院いつき」こと「キュアサンシャイン」でおなじみです。
けもフレのゲームアプリ内にだけ登場する「イエネコ」のプロフィールにはちゃんと網目科は「ヤマネコ」と書かれています。
品種などの概念はけもフレの中には存在しませんので、「網目科」だけとなっています。
人懐っこく甘えたがりな性格な「イエネコ」は、実際の「イエネコ」の性格とよく似ています。
きちんと、本来のイエネコの性格や生態、歴史などを反映させていることも、けものフレンズで楽しむことができる1つのカギとなっているのです。
ちなみに、ゲームアプリ内では「イエネコ」は最上級のレアキャラ扱いとなっています。
レアリティレベル5とはゲーム内最大のレア度とされています。
実際のイエネコは、どこでも出うことができますが、けもフレアプリ内では遭遇するのが少々苦戦しそうですね。
野生のヤマネコが人と関わることで、飼い慣らされ、愛され、人と暮らすことに適応して生まれた「イエネコ」についてお話ししてみました。
とらえどころのない存在となる「イエネコ」ように感じるかもしれませんが、多くのネコがイエネコなのです。
道端でいつもすれ違うあの子や、いつも行く店先に転がっているあの子も、みんなイエネコなのかもしれません。
人と共に暮らすことに特化し、自ら家畜として生きるため進化したとも言われているイエネコ。
その可愛さは、きっとここでいくつもの言葉で説明するよりも、あなたのほうがきっとわかっているはずです。
これからもさらに、長い長い歴史をイエネコと人間で刻んでいけるといいですね。
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公開日 : 2017/11/03