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マンチカンは「突然変異的発生」といって、人の手を加えず自然に発生した 猫種 です。
近年になってマンチカンは突然有名になったかのように思えるかもしれませんが、もともと足の短い 猫 は古くから存在していたのではないかと考えられています。
その証拠に、イギリスのH.E・ウィリアム=ジョーンズ博士は1944年「Veterinary」という獣医学録の中で、足の短い猫種についての記録を残しています。
著書内でジョーンズ博士は、短い足を持っていても健康的で、血筋が4世代続いていた猫たちを紹介しています。
残念ながら、この猫たちはその後に血筋が途絶えてしまったそうですが、この記録は短足猫を記した最も古いものだと考えられています。
また、ドイツのスターリングラードでは1953年と1956年に、アメリカのニューイングランドでは1970年に短い足を持った猫が目撃されていることから、短足の猫は広い地域で昔から存在していたのではないかといわれているのです。
自然発生したマンチカンが現在のように交配によって生みだされるようになったのは、1983年に起こったある出会いがきっかけです。
その頃、アメリカ・ルイジアナ州のレイビルで音楽教師をしていたサンドラ・ホケンゲルは、愛車の下にいた2匹の短足猫(黒とグレーのメス猫)を発見しました。
興味を持ったサンドラは家に連れて帰り、「オズの魔法使い」に登場するマンキン族からインスピレーションを得て、2匹を「マンチカン」と呼ぶようになったのです。
サンドラは黒い猫を「ブラックベリー」、グレーの猫を「ブルーベリー」と名付けかわいがっていましたが、2匹はすでに妊娠をしていました。
そのため、サンドラはブラックベリーを自分で育てることに決め、ブルーベリーは知り合いに譲り渡したそうです。
サンドラの家で出産をしたブラックベリーは、短い足を持つ子猫を産みました。
サンドラはその中の1匹を「トゥールーズ」と名付け、ルイジアナ州のモンローに住むケイ・ラフランスに譲り渡したそうです。
しかし、当時はいまのように完全室内飼いが徹底されていない時代でした。
そのため、トゥールーズは野良猫と何度か自然交配を繰り返し、トゥールーズが暮らしている周辺では、マンチカンの野良猫が数を増やしていきました。
マンチカンの起源はまだまだ解明されていない謎が多いものですが、この後サンドラとケイが交配や育種に取り組んだことが、マンチカンのルーツになっているのではないかと考えられています。
マンチカンは日本でも知名度や人気が高い猫種ですが、実はマンチカンを正式に認めている公式団体はTICAだけです。
その理由は、マンチカンの遺伝子に深い関係があるといえるでしょう。
もともと、マンチカンのチャームポイントでもある短足は、劣性遺伝子によって出現しています。
短足は「長骨」と呼ばれる部分へ影響を与える優性遺伝子が、なんらかの理由で突然変異をし、劣性遺伝子になることで現れるのです。
実際に、両親のどちらかがこの劣性遺伝子を持っていると、マンチカンが生まれる確率は50%にもなるそうです。
このように、短足という特徴は劣性遺伝子によって現れたものだからこそ、公式団体は足にかかる負担を懸念しています。
TICAは2004年にマンチカンを公認しましたが、腰やお尻、脊椎に問題が現れるのではないかと考え、公認しないという姿勢を貫いている団体はまだまだ多いものです。
アメリカで有名なCFAやイギリスのGCCF、フランスのFIFeには、マンチカンは猫種として認められていません。
しかし、マンチカンのブリーダーたちからは「高齢になっても一般的な猫と同じように生活ができている」という報告も多く寄せられているため、公式団体とブリーダーの間にはまだ埋められない溝があるといえそうです。
日本でマンチカンと同じくらい人気を集めているのは、「 スコティッシュホールド 」です。
スコティッシュホールドは、特徴的な折れ耳が愛くるしい猫種でもあります。
現在、日本ではそんなスコティッシュホールドとマンチカンを組み合わせ、「スコマンチ」という猫種を販売しているペットショップも少なくありません。
しかし、折れ耳と短足を持つスコマンチは遺伝子の面からみても、健康面のリスクが大きいため、交配自体に疑問が投げかけられている猫種なのです。
そもそも、スコティッシュホールドの折れ耳は、骨の成長に異常が出ることにより現れます。
中には、成長するにつれて「骨軟骨異形成症」という骨の病気を引き起こしてしまう子も少なくありません。
そのため、骨の異常が猫種としての特徴になっているスコティッシュホールドと、劣性遺伝子によって短足が現れるマンチカンを異種交配させることは、リスクが大きいのではないかという指摘がされています。
実際にマンチカンを公認しているTICAでは、他の純血猫との交配を認めず、他の猫種の特徴を受け継いで生まれてきたマンチカンは公認もされません。
セミフォーリンタイプのマンチカンは、一般的な猫に比べて厚みがあります。
胸元が丸く腰がどっしりとしていますが、持ち上げたときにどっしりとした重みは感じません。
平らな額を持っており、丸みのあるくさび型(V字)をしています。
他の猫種よりも、頬骨の位置が高いのも特徴だといえるでしょう。
マンチカンの耳は根元が広く、先端が丸くなっています。
目は離れ気味についており、クルミ形をしています。
耳の根元に向かって、わずかに傾いてついているのも特徴だといえるでしょう。
目色はグリーン、ヘーゼル、イエロー、ゴールド、オレンジ、カッパー、サファイヤブルー、ブルー、アクアといったすべてのカラーが表れます。
中には、左右で目の色が異なる「 オッドアイ 」を持つ子もいるでしょう。
テレビで見かけるような短い長さの足を持つ子は「短足タイプ」。
それよりも長めの足を持った子は「長足タイプ」と呼ばれます。
実は短足の足を持って生まれてくるマンチカンは、全体の2割程度なのです。
長足タイプの子は短足のマンチカンに比べると足が長く見えますが、一般的な猫よりは短い足を持っています。
また、マンチカンは前足よりも後足の方が長いため、背が肩から尻尾にかけて高くなっているでしょう。
チャームポイントである手足の先は、コンパクトな楕円形になっています。
マンチカンの尻尾は、ボディとほぼ同じ長さをしています。
形は根元が太く、先端に向かって細くなっているのも特徴だといえるでしょう。
マンチカンは短毛種と長毛種のどちらも産まれ、長毛種の場合は「マンチカンロングヘア」と呼ばれることもあります。
しかし、長毛種の場合でも、被毛の長さはセミロング程度なので、 メインクーン などの長毛猫よりは被毛が短いのが特徴です。
長毛種の子は、首回りに飾り毛も見られます。
被毛の色はブラック、チョコレート、シナモン、レッド、ブルー、ライラック、フォーン、クリーム、ホワイトといったすべてのカラーが表れるため、自分好みの子とも出会いやすいでしょう。
バリュエーションが豊富な被毛はとてもなめらかで、シルキーな手触りをしています。
マンチカンは好奇心旺盛で、遊び好きな性格をしています。
手足が短いためジャンプはあまり得意ではありませんが、運動量は他の猫種と変わりがありません。
また、穏やかで愛情深い性格をしており、飼い主さんに甘える子も多いようです。
他のペットとも仲良くできるので、多頭飼いにも向いていますし、小さなお子さんにも優しい態度で接してくれます。
しつけ もしやすいため、猫を飼うのが初めてだという方でも育てやすい猫種だといえるでしょう。
セミコビータイプのマンチカンは、体重も重くありません。
平均体重は3~6kg程度とされているため、一般的な猫と同じくらいだといえるでしょう。
しかし、メスの場合はオスよりも体が小さくなりやすいため、体重が3kg未満である子も多いとされています。
一般的な 猫の平均寿命 は、完全室内飼いの場合で15歳程度です。
それに対し、マンチカンは少し短めの10~13歳程度が平均寿命だといわれています。
しかし、マンチカンは公認されてまだ歴史が浅い猫種です。
そのため、分析できるほど正確なデータが出されていないという現状があります。
だからこそ、飼い主さんは日ごろから、平均寿命を延ばせるようにサポートをしてあげましょう。
例えば、いつも与えている キャットフード を見直し、お肉やお魚が主原料(パッケージの一番最初に記載されており、製品の中に一番多く含まれている原材料のこと)のものに変更してみるのもひとつの方法です。
マンチカンは足の長さによって、平均価格が変わってきます。
チャームポイントである短足がきちんと現れている子は理想的だとされるため、平均価格は25~30万程度となっています。
しかし、反対に長足タイプの子は猫種としての特徴が分かりにくいため、15万前後で売られていることも少なくありません。
そして、毛色によっても平均価格は大きく変わります。
例えば日本人が好みやすいクリーム色の子は人気があるため、平均価格も25万前後であることが多いものです。
反対に、里親募集でもなかなか貰い手が見つからない サビ猫 の柄は、生後半年を過ぎると10万以下で売られていることもあります。
好奇心旺盛なマンチカンは飼い主さんがいないとき、思わぬ事故に遭遇してしまうこともあります。
例えば水に興味を示して、お風呂場やトイレに侵入し、溺れてしまうこともあるので気を付けましょう。
そして、マンチカンは足が短い分、ジャンプ力に欠けるところがあります。
一般的な猫からしてみれば楽々登れるような場所でも、マンチカンにとってはジャンプが届かない場合もあるでしょう。
そのため、キャットタワーを設置するときは、少し低めのものを選んであげるのがおすすめです。
最近では、取り外しできる階段が付属しているキャットタワーもあります。
こうした キャットタワー なら老猫になり、さらにジャンプ力がなくなったときでも安心して使用させられるでしょう。
マンチカンは遊び好きで活発な分、食べることが大好きな子も多いため、肥満になりやすいという特徴があります。
肥満は糖尿病やヘルニアを引き起こす原因にもなるので、注意が必要しましょう。
マンチカンは ダックスフンド のように胴長ではないため、脊椎に大きな影響がでる可能性が低いとされています。
しかし、背骨の間にある椎間板がつぶれて変形してしまう「椎間板ヘルニア」は、マンチカンに見られやすい病気のひとつです。
椎間板ヘルニアになると、足をひきずったり、首・足・胸に痛みや麻痺が見られるようになります。
飼い主さんは普段から飼い猫の様子をチェックし、異変を早期発見できるように努力していきましょう。
また、マンチカンをブリーディングさせたいと思っている方は、短足同士の交配を行わないことが大切です。
マンチカンの交配は、遺伝性疾患を避けるためにも「短足×長足」で行う必要があります。
「短足×短足」で交配を行うと、子猫が突然死したり、奇形が現れる可能性が非常に高くなるので、注意しましょう。
原産地:アメリカ
原種:アメリカの土着ネコ(その土地でもともと生息していた猫のこと)
公認年:2004年
公認団体:TICA
入手のしやすさ:入手しやすい
価格:25~30万前後(長足タイプは15万前後)
平均寿命:10~13歳
毛色:すべての毛(ブラック、ホワイト、ブルー、チョコレート、レッド、ライラック、フォーン、クリーム)
目色:グリーン、ヘーゼル、イエロー、ゴールド、サファイヤブルー、ブルー、アクア) ※オッドアイも産まれる
体重:3~6kg
ボディタイプ:セミコビー
体型:小型
特徴:短い四肢が最大のチャームポイント
性格:好奇心が旺盛で、無邪気
かかりやすい病気:糖尿病、ヘルニア
毛種:短毛種・長毛種
見た目も性格も愛くるしいマンチカンはスコティッシュホールドと並んで、近年人気を博している猫種です。
公認されて間もないマンチカンはまだ判明していないデータも多い猫種なので、おうちに迎えたいと思っている方は、ぜひ健康管理をしっかりと行ってあげてくださいね。
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公開日 : 2017/12/07