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30種類以上存在するテリア種の中でも、古い歴史をもつ犬種であるケアーンテリア。
ケアーンテリアの姿形はほとんど改良されておらず、元々の形を受け継いでいる犬種の一つとして、テリア愛好家の中でも人気の高い種類です。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア やスコティッシュ・テリアと共通の祖先と言われており、それぞれの姿を見てもよく似た外見をしています。
まずは、そのケアーンテリアの誕生と歴史、そして現在についてご紹介します。
ケアーンテリアは、原産国であるスコットランドのハイランド島で、害虫駆除のための狩猟犬として人間と生活していたのが始まりです。
農作物を荒らす キツネ などの小動物を追いかけて狩ることにより、農作物を守る役目を担っていました。
現在もその狩猟犬としての性質を残しているため、逃げる小動物を見ると本能的に追いかけ回します。
名前にある 「ケアーン」とは「積み石」を意味 しており、スコットランドでは標識などの補強として積み石をしており、その隙間に隠れ込んだ小動物を積み石の中に入って追い出していたことから、それにちなんで「ケアーンテリア」と名付けられました。
「積み石」にちなんでケアーンテリアと名付けられた彼らでしたが、 誕生当初の名前はスコティッシュ・テリア でした。
当時は、スコットランドのテリアたちは全てまとめてスコティッシュ・テリアと呼ばれてました。
1800年代後半にこのグループからダンディ・ディンモント・テリアが独立し、その際に残ったテリアたちをまとめて ハード・ヘアード・スカイ・テリア と名付けましたが、その後も毛色に合わせて分類されるようになっていきました。
このとき、分離したホワイトの毛色の犬種が現在のウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアとされています。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアが独立して残ったテリアたちはさらに名称が変わり、ショートヘアード・スカイ・テリアと呼ばれました。
しかし、スコットランドのスカイ島にはスカイ島が原産のスカイ・テリアという犬種が存在しており、スカイ・テリアと区別される形で 1912年にケアーンテリアと改名 されました。
狩猟犬として活躍していたケアーンテリアでしたが、徐々に家庭犬として一般家庭に飼育されるようになっていきます。
家庭犬としての飼育が多くなるにあたって、人間の手によって少しずつ改良されることが多いなか、ケアーンテリアはそのままの形を好む愛好家が多く、その意向もあって 現在までほとんど改良されることなくもともとのケアーンテリアの形を保って います。
警戒心の強さと勇敢さ、そして嗅覚や視覚が優れていたことで番犬としての需要も高く、イギリスでは一時期もっとも人気の高い犬種でした。
しかしながら、他のテリアの台頭もあって、現在は以前ほどの人気はなくなってきているようです。
日本でも注目された時期もありましたが、現在は飼育数も少なく、ブリーダーの数も減少しつつあります。
現在は、 ヨークシャー・テリア 、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、ノーフォーク・テリアなどの犬種がテリア種の中では人気が高く、飼育数も多い傾向にあります。
2018年のJKCのケアーン・テリアの登録数は81頭 という少なさに対し、 ヨークシャー・テリアは9948頭、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアは564頭、ノーフォーク・テリアは321頭 と比較するとその希少性の高さが覗えます。
小型犬 に属するケアーンテリアのサイズは、 体高が約28㎝~31㎝、理想体重が6kg~7.5kg とされています。
小型犬でテリアというと「ヨーキー」と呼ばれるヨークシャー・テリアが有名ですが、体重が2~3kg程度しかないヨークシャー・テリアと並ぶとサイズも体格もかなりがっしりしているのがわかります。
スコットランド出身のケアーンテリアですが、以前のブリーディングはヨーロッパタイプとアメリカタイプに二分化していました。原産国であるヨーロッパタイプの方がアメリカタイプよりも少しサイズが大きいのが特徴でしたが、近年はその区別もなくなりつつあり、ヨーロッパタイプのケアーンテリアが主流になりつつあるようです。
ケアーンテリアの外見的特徴の一番といえば、 立耳とピンとたった尻尾 。
また、 短めの マズル と黒い鼻 が特徴的です。
がっしりした体格で、体高よりも体長の方が長く、手足は少し短めでしっかりとした 筋肉質な体型 をしています。
小型犬でありながら大型犬のような体力をもつケアーンテリアは、とっても活発で元気一杯。
やんちゃで楽しいことが大好きな性格で、 走り回るのが大好き です。
勇敢で警戒心が強いので番犬としての一面も持ち合わせています。
飼い主への忠誠心も強く、知性も高いことから学習能力も高く 、しつけが上手くできれば素晴らしいパートナーになるでしょう。
一方、頑固で負けん気の強い面もあり、 あまり甘やかしすぎるとワガママに育ってしまう ことも…
古くから狩猟犬として活躍してきた背景から、動くものを追いかけたり、吠えたり、穴を掘るのも得意です。
狩猟犬の本能のため、無理にやめさせるのではなくオン・オフの切り替えを教えてあげるなどしてストレスを解消してあげるといいでしょう。
動くものを追いかける性質を利用してボール投げをしたり、得意の穴掘りのようにカゴの中のおもちゃを探させてみたり、コングを使っておやつを食べさせるなど、頭を使って遊んだり好奇心をくすぐるようにしてあげるといいでしょう。
疲れ知らずところもあるので、飼い主が様子をみて適度に休ましてあげましょう。
とにかく元気いっぱいの犬種で子供と遊ぶのも大好きです。
また、 家族といつも一緒にそばにいるのが大好きで少し寂しがりや の一面があるので、お留守番が多いと拗ねていたずらや嫌がらせとして自己主張してしまうなんてことも。
出来る限りたくさんの時間を一緒に過ごしてあげてください。
ケアーンテリアの毛色は クリーム、ウィートン、レッド、グレー、ブラック(に近い)、ブリンドル です。
単色のブラックやノーリッチテリアのようなブラック&タンは許容されていません。
また、単色のホワイトも許容されておらず、ホワイトは近い犬種でウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアがいます。
それでは、それぞれのカラーをご紹介します。
柔らかい雰囲気で白に薄く茶色かかったような色味。
小麦色。
クリームより濃い茶色で、かわいらしい色味。
ウィートンよりさらに濃い赤みが強い茶色。
ブラックが少し薄く軽くなった色味。
黒がベースでグレーなどの毛色が混じっている毛色。
ほとんどブラックです。
ベースの色味に全体的に他の色味が混ざった毛色。
写真はレッドブリンドルです。
ケアーンテリアの毛色は変化すると言われており、子犬から成犬、そしてシニアになるまでの間で幾度も毛色が変わることがあります。
特に変化が出やすいのが何色も毛色が混ざったブリンドルで、子犬の時はウィートンよりだったのが、成長するにつれてグレー、ブラックのように変化したり、生まれた時はブラックに近かったのが、グレー、そしてクリームといったように色が抜けていくこともあります。
それぞれのカラーでそれぞれの可愛らしさがあり、将来どんな毛色が出てくるのかを楽しむことができます。
ケアーンテリアの被毛は、針金のような硬いトップコートと柔らかいアンダーコートのダブルコートからなります。
狩猟犬として活躍していた時代、獲物を追いかけ回す際に穴を掘ったり岩の間をすり抜けたりする中で毛が硬く強くなったと言われていますが、現在の家庭犬としての暮らしではそのような状況にないため、徐々に毛が柔らかくなっていきます。
ケアーンテリアらしさを保つため、硬いトップコートを活かしたい場合は、トリミングでカットするのではなく、 ストリッピング(プラッキング)と言われる手法を用いて毛を抜く方法 があります。
ショーに出るような場合やどうしても硬いコートを残したい場合はこのような手法が用いられますが、普通の家庭犬として過ごす場合は必須ではありません。
家庭犬としての手入れは、 週に一度の ブラッシング 、月に1〜2回の シャンプー で体を清潔に保って あげましょう。
ケアーンテリアは非常に体力のある犬種です。
小型犬というと「部屋の中で遊ぶだけで十分な運動量になる」という方もいますが、ケアーンテリアの運動量はそんなものでは足りません。
大型犬並みの体力を持ち合わせており、1時間散歩をしてもまだまだ元気です。
家の中で遊ばせるだけでなく、1 日2回、30分程度は散歩につれていって あげましょう。
体力があり、好奇心旺盛なので、自分のペースでハイペースに進もうとしますので、小さな頃からきちんとリーダーウォークを身につけさせることも重要です。
また、時々 ドッグラン に連れていって思いっきり遊ばせてあげる のもいいでしょう。
狩猟本能が強いので、ボールで「取ってこい」の遊びを覚えさせてあげると喜んでやります。
頭のいい犬なので、トレーニングを積めば、 アジリティ を楽しむこともできます。
ケアーンテリアは、とても賢い犬ですが、テリアらしく気が強く、頑固な面があるため、初めて犬を飼う人には難しい犬種とされています。
しかし、信頼関係を築ければ、とても従順ないいパートナーになってくれます。
そのためにも、幼少期からきちんとしつけをすることが重要です。
好奇心旺盛な性格故に、散歩中、色々なものに興味を持って落ち着かないことも。
犬主導の散歩に慣れてしまうと知らない間に落ちているものを口に咥えて誤飲してしまったり、猫や鳥を追いかけて思わぬ事故にあってしまったりと危険がいっぱいです。
犬が リード を引っ張ったりしないよう、人間のペースで散歩をできるようにリーダーウォークを心がけましょう。
警戒心が強いため、少しの物音に反応して吠えたり、来客のチャイムの音に向かって吠えてしまうことも多いです。
社会化とされる幼少期に、なるべくたくさんの刺激に触れさせるために様々な場所に連れて行ったり人に慣れさせるといいでしょう。
また、チャイムなどの音は小さい頃から慣れさせてあげることも重要です。
ご飯が食べたいとき、遊んで欲しいとき、サークルから出して欲しいとき、お留守番が嫌なとき、何か訴えるときに吠えてしまうことがあります。
吠えているからといって大人しくさせようとその要求に応えてしまうとそれを記憶しており、要求したいときに毎回吠えてしまうようになります。
要求吠えをしている際は徹底的に無視を決め込んで、大人しくなってから要求に応えるようにすると無駄吠えを防ぐことができます。
ケアーンテリアの気を付けたい病気に皮膚疾患があります。
比較的皮膚が弱い傾向にあるため、ブラッシングの際に常日頃から皮膚の状態をよく観察し、異常がある場合は獣医師に相談するなど早めに対処しましょう。
前述したストリッピング(毛を抜く)を行うと皮膚が強くなるという説もあるようですが、素人が行うと逆に皮膚を傷つけてしまう場合もあります。
ストリッピングを行う場合は、プロに任せるか、通常のトリミングの手入れにするなど皮膚を傷つけないように気をつけましょう。
※合わせて読みたい: 愛犬をきれいにしてあげよう!トリミングサロンの価格、自宅での手入れについて
小型犬に多く見られます。
膝の「おさら」の骨が内側や外側に脱臼してしまう病気です。
主に先天性、遺伝性の場合が多いです。
跛行、疼痛、患肢の挙上といった症状が見られますが、軽いものから重症な場合など様々です。
重症化すると歩行困難になり外科手術が必要になることもあります。
老犬によく見られます。
腎臓は、体の老廃物を濾過して尿として排出する役割を担っており、この機能が低下すると体から老廃物を出すことができず、体の中に毒素が溜まって尿毒症に繋がり命に関わります。
慢性腎不全は、シニア犬になればなるほど発生の可能性が高まります。
なるべく腎臓に負担をかけない食生活を心がけ、定期的な健康診断によって早期発見をすることが重要です。
ケアーンテリアの平均寿命は12~15歳前後です。
足腰がしっかりしているので、比較的丈夫な犬種ですが、シニアに入ると前述した病気以外にも様々な病気のリスクが高まります。
見た目は元気そうに見えても体は少しずつ老化が始まってきていますので、定期的に健康診断を受けさせ、少しでも様子がおかしいと感じたらかかりつけの獣医に相談するなど飼い主が体調管理に注意してあげましょう。
JKCの登録数を見てもわかるように、現在の日本ではケアーンテリアは非常に珍しい犬種といえ、家族に迎え入れるには少々難易度が高いです。
ペットショップにはまず並ばないので、日本でブリーダーを探すのが一番の近道と言えるでしょう。
価格はおおよそ20~30万前後と言われていますが、現在かなり数が減って来ているため、場合によっては50万円以上する場合も。
ショードックになれるような血筋であれば100万近くなんてこともありえます。
なかなか巡り会えない犬種の上に探しているファンも多いので、もしも迎え入れるチャンスが巡って来た際は、機会を逃さないことをお勧めします。
原産国:スコットランドハイランド島
値段:30~50万円
毛色:クリーム、ウィートン、レッド、グレー、ブラック(に近い)、ブリンドル
寿命:12歳~15歳
体重:6~7.5kg
体高:28~31㎝
特徴:立ち耳、ピンとした尻尾、少し長めの体長、短めの手足、筋肉質、がっしりとした体格
性格:勇敢、忠誠的、警戒心が強い、遊び好き、好奇心旺盛、やんちゃ、活発、寂しがりや
気をつけたい病気:皮膚疾患、膝蓋骨脱臼、慢性腎不全
ちょこまか笑顔で走り回り、落ち着いたと思って目を離した隙にいたずらのオンパレード。
ちょっぴり寂しがりやで常に飼い主と一緒にいたいとべったり甘える可愛いらしさ。
かと思いきや、何か危険を察知した時には我先にと勇敢に向かっていく逞しさ。
一度ケアーンテリアと過ごしてみると、もうその魅力にイチコロになること間違いなしです。
テリアの中でも飼育の難易度が高い犬種ですが、それでも大丈夫という方は、是非とも一緒に生活することをおすすめします。
きっと素晴らしいパートナーになってくれることでしょう。
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公開日 : 2019/12/12