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キツネは、「哺乳綱ネコ目(食肉目)」に属する、イヌ科イヌ亜科に分類されます。
和名はそのままで「キツネ」、漢字で書くと「狐」、英語では「fox」と標記します。
キツネと呼ばれるのは一般的に「アカギツネ」を指すようで、アカギツネは人間に最も近い存在であると言われています。
日本で古来から「キツネ」といえば、「アカギツネ」の亜種となる「ホンドギツネ」とされていましたが、蝦夷地への開拓が進むにつれ、北海道エリアに住むキタキツネのことも含めて「キツネ」と呼ぶようになりました。
多くの種が存在するキツネですので、今回は日本に生息するキツネを中心にその特徴をみてみましょう。
体長は尻尾を除くと、平均的におよそ52~80㎝程度です。
尻尾は個体差が大きくなりますが、平均するとおよそ26~50cmとなり、体長なみの長さを持つ者も多くいます。
体重は4~10kg程度で、オスのほうが少々体重が重くなります。
ですが、実際のところオスとメスではあまり体格差はありません。
オスの平均体重が5~6kg程度。
メスの平均体重が5kg程度。
この数字から見ても、大差はないということがお分かり頂けるでしょう。
かなり細身で軽量であることも特徴です。
他のイヌ科の動物と比べると圧倒的に小さい個体となります。
また、大きな耳と尻尾、ふわふわの毛というのも、他のイヌ科の動物とは異なる部分です。
キツネはあらゆる機能が優れていることでも有名です。
・視覚
・嗅覚
・聴覚
この基本的な3つが優れているのは当然のことで、身体能力や記憶力も素晴らしいことが特徴としてあげられます。
頭が良いので警戒心も強くなっています。
身体能力の高さといえば、ジャンプ力です。
固体によっては、なんと2m近くジャンプすることもあると言われています。
キツネは周囲に対応する能力に優れており、生息地が変わってもすぐに適応することが可能です。
季節ごとにどうすれば栄養を確保できるかという知恵を持っているので、どこに行っても大丈夫なのです。
視覚の良さも適応力に繋がっており、その瞳は明かりを捉える細胞が他の動物より多くなっています。
そのため、昼間だけでなく夜に狩りをおこなうことも可能です。
逆に、明るさに過敏に反応してしまうため、猛禽類などのように昼間の活動は抑えるのではと考えられがちですが、ここがキツネの能力の高さです。
キツネは、明るい場所で光の刺激が強くなると、その刺激から目を守るための機能が働きます。
そのような優れた機能を持っているとは、なんというハイスペックぶりでしょう。
このことにより、夜行性でありながら昼間の行動や狩りも問題なく、獲物を捕まえることも容易いのです。
またイヌ科の動物には珍しく、色を識別する能力にも長けています。
感覚も鋭く、獲物の位置を正確に捉えることができます。
近年研究され明らかになったことの中に、キツネは地球の発する磁力を感じ取ることができるので、位置情報を正確に把握できるというものがあります。
これが本当であれば、キツネと言う名のスナイパーに狙われたら、ひとたまりもないということになります。
キツネは大変賢い動物としても有名です。
狩りをする際に溺れたふりをして、敵の目を欺き捕食するなどはお手の物です。
学習能力も高く、一度エサが取れない場所だと気づくと二度と近寄ることはありません。
このことを逆手にとって、人間の生活圏で悪さをするキツネの駆除や予防を行う策もおこなわれています。
賢いということは警戒心も非常に強いので、一度成功すれば姿を見かける可能性が格段に低くなります。
キツネの賢さといえば、カラスなどの知能が高いと言われている動物同様、狩りで捕食したエサを分割して保管しておく習性があります。
色々な場所に穴を掘り、その中に残ったエサを隠しておきます。
ですが、このエサを見つけるのはすぐれた嗅覚がなせるものではなく、キツネの恐ろしいまでの記憶力が隠したエサまで導いてくれるのです。
また、賢すぎて人間を恐れない部分もあります。
北海道などの観光地では、道路上で車から野生のキツネにエサを与えるマナー違反をする方が後を絶ちません。
野生のキツネへの餌付けは禁止されているにもかかわらずです。
一度エサを貰えると分かった野生のキツネは、道路をエサ場と思い込み出てきてしまいます。
そのせいで、交通事故に遭い命を落とすキツネが後を絶たないのです。
ここからは、キツネの生態についてお話ししましょう。
森林や雑木林などの草原に多く生息しており、特に森林と畑が混在している田園地帯のような環境を好むキツネは、世界各国で生息しています。
土地によっての適応能力が高いのも、幅広いエリアに分布している要因の一つと言えるでしょう。
世界で見ると、ヨーロッパやアジア、北アフリカの中央部などに最も多く分布しています。
そのなかでもアカギツネが最も多く生息していると言われています。
日本では本州・九州・四国・淡路島に「ホンドギツネ」が、北海道と北方領土に「キタキツネ」が生息していることが確認されています。
最近では沖縄本島にもその姿が確認されていますが、自然分布ではないようです。
佐渡島でも姿が確認されていますが、これも人為的に移入されたと考えられています。
人為的な移入の場合は、その土地に長く定着しないので自然分布ではないという結論に至ります。
こうしてみてみると、日本だけでもほぼすべてのエリアにキツネが生息していることが分かります。
イヌ科の動物としては大変珍しい習性が、群れをつくらないで生活・行動をするという点です。
原則、単独か家族単位で行動する為、社会性は低いのではないかと言われています。
イヌ科でありながら、どこかきまぐれなネコ科の動物のような習性を持っているのです。
日本にはいくつかの「狐塚(きつねづか)」と呼ばれるものが存在し、その中にはいくつかのグループが1つにまとまって生活していた形跡があるものもあります。
しかし、これはキツネの習性としては大変珍しいケースと言えるでしょう。
キツネは夜行性の肉食をメインとする「雑食獣」にカテゴリーされます。
主食となるのは、 ウサギ や 鳥 、げっ歯類のような 小動物 や昆虫です。
ミカンやリンゴのような果物も好んで食べるようです。
エサが少なくなると、人間の生活圏にあらわれて、ごはんやパンのような残飯を漁って食べる雑食性もあります。
キツネの天敵となるのは大型の猛禽類(鷲・鷹・ フクロウ など)や野良犬、エリアによってはオオカミなどがあげられます。
天敵ではないのですが、野生のキツネの死亡原因に寄生虫によるものも多く見受けられます。
カエル類に寄生虫が多く、その カエル を食べてしまい死亡するということもあるようです。
猫 などと同様に、伝染病などの感染源となるネズミを食べる点で、キツネも益獣として扱われてきました。
人間に大きな被害を与える身近な存在の「 ハツカネズミ 」の天敵は、キツネであるとまで言われているほどです。
キツネの尿をつけた石を置いておけば、ネズミの忌避効果があると人々は気付き、田畑のそばに祠を設置し油揚げでキツネを餌付けしていました。
餌付けすることで、キツネは定期的にその場にあらわれるため、忌避効果が継続するからです。
このことはキツネへの信仰心が高まっていくのと同時に、人々の文化として根付いていきます。
しかし、キツネはその野ネズミのせいで「エキノコックス」という寄生虫に感染してしまう可能性があります。
エキノコックスに感染したネズミを食べたキツネが排せつした糞には、虫卵が含まれています。
この虫卵が、何かのはずみで人間の口に入ってしまうと、肝臓に幼虫として寄生してしまいます。
人の肝臓に寄生した幼虫は、10年ほどの潜伏期間を経たのち「エキノコックス症」を発症させます。
手塚治虫氏の作品「ブラックジャック」にもこのエキノコックスが登場することで、知名度がアップしました。
エキノコックスは、幼虫が口に入った場合は問題ありませんが、卵が口に入ってしまった場合のみ感染を引き起こします。
基本的に野生のキツネに接触しない事が、一番の予防となります。
野生のキツネに触れることができる機会の多い、エリアにある「北海道衛生部」や「保健環境部」では以下のようなことを注意喚起として呼びかけています。
・沢水(さわみず)や小川などの生水は飲まない
・自然に派生している果実や山菜は、よく洗うか必ず熱を加えてから食べる
・野外での外出を行った際は、必ず手をよく洗う
・キツネだけに限らず、野生の動物へ近づかない、餌付けはおこなわない
繁殖というと春先をイメージするかもしれませんが、キツネの繁殖期は冬の寒い季節です。
1月から2月ごろにかけてピークを迎えます。
人間の妊婦さんでも「食べつわり」と言うものがあり、何も食べられない人もいれば、ひたすら食べ続ける方がいらっしゃいます。
それと同じと言うわけではありませんが、キツネも妊娠中はとても食欲が増進する傾向があります。
普通なら、お腹に子どもがいる時期はできるだけ巣にこもるなどして、外敵から身を守るのが野生の本能です。
しかし、お腹がすきすぎた妊娠中のキツネは、自ら狩りに出て捕食活動を行います。
夜行性であるにもかかわらず、お腹がすきすぎて日中に行動するほどだと言われています。
3月から4月ごろになるとキツネの出産が始まります。
平均すると一度に3~5匹程度の数を出産します。
基本的に単独行動・家族単位で行動するキツネですが、この時期だけは他のキツネのグループと行動を共にすることもあります。
同じ巣穴で2匹以上のキツネが出産することもありますし、産まれた子狐の育児のために巣に戻るキツネもいます。
生後2~3か月もすると、子ギツネたちは巣穴から外の世界へ出てきます。
まずは巣穴のすぐ近くを探索し、遊びながら外の世界を体感していきます。
そして夏の始まりとなる7月ごろになると、母キツネは子ギツネたちに狩りの特訓を開始します。
ただ、その期間はせいぜい1か月で、8月にもなると母親キツネは子ギツネたちを巣から追い出し2度と戻すことはありません。
これは遅くても秋が始まるころには行われ、別れた後は親子としては認識しなくなります。
一人前に巣立ちした後、親子の縁を切るかのような別れを行うキツネ。
なぜこのようなことをするのか、詳しいことは分かっていません。
察するに、縄張り内のエサの取り合いを防いだり、エサを減らさないようにするためではないかと言われていますが、母性までもが消えてしまうとは少しさみしいものです。
キツネと一言にいっても、世界中で多くの呼び名が存在します。
「fox(フォックス)」といえば大抵は通じるのですが、想像もつかない呼び方をする地域もあります。
また、なぜキツネがキツネと呼ばれるのか、語源についてもご紹介しましょう。
冒頭でお話ししたとおり、日本では「キツネ(狐)」と呼ばれます。
英語では「fox(フォックス)」と呼ぶのが一般的ですが、メスのキツネは「vixen(ヴィクスン)」と呼びます。
これはフランスでも同様で、「ルナール(renard)」が一般的ですが、メスのキツネは「ルナルド(renarde)」と呼ばれています。
他の国は以下のようにキツネを表記します。
ドイツ「フックス(fuchs)」
イタリア「ヴォルペ(volpe)」
中国語で「フーリー(狐狸)」
ラテン「ウルペース(vulpes)」
ギリシャ「アローペークス(αλεπηξ)」
ロシア「リサー(лиса)」
スペイン「ソーロ」「ゾーロォ(zorro)」
これだけの呼び名がある時点で、キツネが世界中に幅広く分布しており、人間と近い存在となっていることがみえてきます。
国によっては、英名や和名からかなりかけ離れた発音になることも特徴のひとつです。
日本で呼ばれている「キツネ(狐)」という名前の由来には、かなり多くの諸説が存在します。
キツネの鳴き声を元にした説では「きつ」が鳴き声であるとしています。
付属する「ね」は接尾語的につけられてものではないかとこの説では言われています。
イヌ科の哺乳類であることから広まった説では「き」=「臭」、「ね」は 犬 を意味する「ゑぬ(えぬ)」と言う言葉から取り、間に入る「つ」は助詞として扱うものもあります。
つまり「臭い犬」という意味になり、何ともキツネにとっては失礼な話になっています。
見た目から出てきた説もあり、黄色い体でネコのような生き物であることから「黄猫」でキツネとするものや、恒に黄色いということで「黄恒」とするものもあります。
平安時代前期に書かれた仏教説話集である「日本霊異記(にほんりょういき・にほんれいいき)」にも、キツネの名前にまつわる物語が存在します。
この「日本霊異記」は、薬師寺の僧侶「景戒(けいかい・きょうかい)」が書いたもので、全部で3巻あります。
恐らく810~824年ごろとなる「弘仁(こうにん)」の時代に完成したのではないかと言われているものです。
大変古いものなので、日本最古の説話集となります。
「日本霊異記」の中に、キツネの名前にまつわるロマンティックな物語が登場しますのでご紹介してみましょう。
自分にふさわしい妻を探すため旅に出ていた男性は、あるとき大変美しい女性と遭遇します。
その美しさに一目で虜になってしまった男性は、その女性を口説き見事妻として迎え入れることとなりました。
いつしか妻のお腹には子が宿り、産まれてきたのは男の子でした。
夫婦は新しい家族と共に幸せに暮らしていくのだと信じていたことでしょう。
しかしある日、時を同じくして出産した飼い犬が妻に向かって牙をむき、敵意剥きだして吠え立てるようになりました。
おびえた妻は、主人である男に犬を処分してほしいと懇願しますが、それは可哀そうだとたしなめられます。
ですが、 子犬 が大きくなる頃、事件が起こってしまいます。
妻に敵意をむき出しにした母犬が産んだ子犬たちが、妻に対して牙をむいたのです。
噛みつこうと妻を追い立て吠え立てる子犬たち。
それに驚いて怯えた妻は、なんとキツネの姿となり垣根の上に登り避難しようとしたのです。
そう、妻の本当の姿は人間ではなく、メスのキツネだったのです。
周囲に正体を知られてしまった妻は、悲しみにくれ家を後にします。
ですが主人である男は、妻であるキツネのもとを訪れ、「君のことが忘れられない」と想いを伝えます。
「せめて毎夜寝床に来て一緒に寝てはくれまいか」
この言葉に妻であったキツネは心を打たれます。
愛にあふれる主人の言葉に心を動かされたキツネは、毎晩主人の寝床へとあらわれるようになるのです。
原文をひもとくと、「来て一緒に寝てはくれまいか」と言う部分は「来つ寝よ」のように表現されています。
この「来つ寝よ」が「きつね」となり、キツネの名前の語源になったのではないかというものです。
キツネは、物語の中ではずるがしこかったり、忌み嫌われることが多いですが、このような美しい愛情の物語もあるのです。
この物語は「日本霊異記」の第二話、「狐を妻として子を生ましめし縁」となります。
「狐女房」伝説と呼ぶこともあります。
日本に生息している「アカギツネ」や「キタキツネ」「ホンドギヅネ」だけでなく、世界中には多くのキツネの亜種が存在しています。
その中から5種類のキツネをご紹介いたしましょう。
世界中で、もっとも生息していると言われているのがこの「アカギツネ」です。
漢字表記はそのまま「赤狐」、学名は「Vulpes vulpes」となります。
生息地は地上で生息する食肉目の中では最も大きく、北アメリカからユーラシアにかけて、さらには北アフリカの一部にまで及びます。
このことから、アカギツネの亜種はとても多くなっています。
体長45~87cm程度、尻尾の長さは30~56cm程度。
見た目は赤錆色ですが、お腹の部分は白い毛でおおわれています。
赤錆色の赤色の度合いは、真紅のものから金色のものまで個体によって大きく幅があります。
大きな三角の耳の先端は黒くなっています。
フサフサとした毛の尻尾の先端は白色の毛をしておりよく目立ちます。
北海道近辺に生息することで有名な「キタキツネ」
漢字で書くと「北狐」で、学名は「Vulpes vulpes schrencki」と表記します。
日本では北海道に多く存在しますが、世界的にみると北半球に多く生息しています。
先ほどご紹介した「アカギツネ」の亜種となります。
体長は62~78cm程度、尻尾は38~44cm程度の長さをしています。
日本の本州と四国、九州エリアに生息している「ホンドギツネ」と比べると、全体的に体型は大きめです。
耳の裏と4本の脚の足首部分が黒いことが特徴です。
アカギツネの亜種であることから、相似点がとても多いと言われています。
学名「Vulpes vulpes japonica」となるホンドギツネは、その名の通り日本の本州・九州・四国という「本土」に多く分布しています。
体長は52~76cm程度、尻尾の長さは26~42cm程度。
他の日本に生息するキツネに比べると小柄で、体重は4~7kg程度となっています。
赤みがかった黄色い毛で全身をおおわれていることから、「きつね色」と呼ばれています。
お腹と頬と尻尾の先端は白い毛でおおわれています。
尻尾の毛は、他の種に比べて格段にフサフサしているため、とても太い尻尾に見えます。
長さも比較すると長いほうだと言えるでしょう。
毛皮の美しさに定評があるため、装飾品に使用されることも多々あります。
キタキツネとの見分け方は、体の小ささと、足首の部分が黒くなっていない所をチェックするとよいでしょう。
頭骨や乳頭の数から、実はアカギツネとは別の新種の可能があるとも言われています。
真っ白なふわふわの毛で全身をおおわれた、北極地域原産の小型のキツネ「ホッキョクギツネ」
漢字で書くと「北極狐」、学名は「Vulpes lagopus」となります。
体長はおよそ46~68cmで、尻尾の長さは尾長26~42cm程度と言われています。
さすがに北極の文字が名前に入るだけあり、寒さに対する耐性がとても高くなっています。
なんとマイナス70℃でも少し寒いと感じる程度だと言われています。
これほどまでに寒さに強いのには、ホッキョクギツネの毛に秘密があるのです。
ホッキョクギツネの毛はとても深くて濃いため、体温を逃さず、かつ外気から体を守ってくれるのです。
どれぐらい深くて濃いかというと、アカギツネの体毛と比較してみるとよく分かります。
アカギツネの場合、体毛の半分は下毛となっています。
しかしホッキョクグマはなんとその7割が下毛となっているのです。
また、ホッキョクグマの足にも寒さ対策ができる秘訣があります。
極寒の地でも足が凍結するのを防ぐために、対向流熱交換系があることと、体脂肪が沢山体に蓄えられているのです。
対向流熱交換系とは、2本ある血管の血液がそれぞれ正反対の温度をしているとイメージしてください。
足に向かって流れる血液は低く、足から戻ってくる血液は温かく、こう考えると分かりやすいですね。
密度の高い毛に、対向流熱交換系の存在。
そして丸い体型であることや、鼻と口の部分を指す「マズル」や足が短いこと、耳が小さくて分厚いことなどから、表面積と体積の比率が低いことも影響しています。
極寒地では、寒さに晒されてしまう表面積が多いか少ないかで、保てる体温が変化するのです。
そういう意味では、環境にいち早く適応するキツネの特性が良くあらわれています。
ここまでにご紹介したキツネとは一線を画す、そういっても過言でもないキツネ「フェネックギツネ」
少々名前が長いので「 フェネック 」と略されることもしばしばあります。
和名はそのままカタカナの表記で、学名は「Vulpes zerda」と標記します。
体長は30~40cm程度、尻尾の長さは15~30cm程度、体重に至ってはなんと1~2kg程度と、とても小さいキツネです。
この小ささはイヌ科に属する動物としては最小だと言われています。
主な生息地域は砂漠。
北アフリカからアラビア半島に多く分布しています。
全身を柔らかい毛が厚くおおっているため、砂漠地帯での昼夜の激しい寒暖差にも適しています。
砂漠の日中の厳しい暑さに対応するため、特徴的な大きな耳が放熱をする役割を果たします。
この大きな耳は、それだけではなくまるでアンテナのように、砂の中にいる獲物の音を聞き取り、見つけ出すことに役立つと言われています。
ちなみにこの耳のサイズはだいたい8~15㎝程度となるため、体長から考えてもとても大きな耳となります。
サン=テグジュペリの名作「星の王子さま」の第21章に登場するキツネが、とても耳が大きく描かれていることから、恐らくその時王子が出会ったキツネはフェネックギツネなのではないかと考えられています。
大人気のメディアミックス「けものフレンド」にも可愛いキツネのフレンズが登場します。
まずはアニメ、マンガ、ゲームの中に登場するキツネのフレンズをご紹介ましょう。
・キタキツネ
・チベットスナギツネ
・ギンギツネ
・オグロスナギツネ
・ホッキョクキツネ
・フェネック
・キュウビノキツネ
これだけのキツネがけものフレンズには登場します。
けもフレは様々なジャンルの融合、メディアミックスですので、ここで紹介したフレンズが、すべてのメディアに登場するわけではありません。
今回はアニメ版のけものフレンズに登場する3匹をご紹介しましょう。
アニメ第1話から登場するキツネの仲間が「フェネックギツネ」の「フェネック(Fennec)」です。
アライグマとともに、パークの危機を守るため、サーバルちゃんとかばんちゃんの後を追っています。
ですがフェネックはどちらかというと、勘違いしたアライグマの暴走に付き合わされている……という感じです。
【お知らせ♨️】
— 本宮佳奈 (@motomiyakana) November 10, 2017
本日発売の「声優グランプリ」に、
"温泉むすめ"として、グラビア&インタビューを掲載していただきました♪
温むすについてはもちろん、新曲について語らせていただいてます✨
写真もぜひ見てほしいです???????? #声優グランプリ #温むす pic.twitter.com/4Sm47HTUFY
CVを担当するのは、ジャストプロ所属の「本宮佳奈」さんです。
アニメ版のけものフレンズではフェネック以外に、「ミナミコアリクイ」の声も担当されています。
アニメ第9話「ゆきやまちほー」に登場するキツネの仲間が「ギンギツネ(Silver fox)」です。
現実世界にいる「ギンギツネ」は北半球に幅広く分布しており、黒地の毛に白銀色の指し色が入っている、美しいキツネです。
【相坂優歌】ニューシングル「ひかり、ひかり」発売にあたり店舗様にご挨拶に伺いました。アニメイト新宿様。 pic.twitter.com/RijKlKz3XM
— フライングドッグ (@FlyingDogInc) November 10, 2017
CVを担当するのはアプトプロ所属の「相坂優歌」さんです。
けものフレンズ以外では、映画実写化にもなったアニメ「サクラダリセット」で、主人公・ケイの中学時代の同級生「岡絵里」役を演じています。
アニメの中では「ゆきやまちほー」の温泉宿にいて、キタキツネと一緒に宿と温泉の管理を行っています。
初登場はサーバルとかばんちゃんが暖を取っているかまくらに頭から突っ込んできたシーンとなりました。
これはギンギツネが雪の中にいる獲物を狩るときの習性で、目星が付くと顔から雪の中に飛び込むことをアニメの中にも反映させているのです。
ギンギツネと同じく、アニメ版9話「ゆきやまちほー」に登場するのが「キタキツネ(Ezo red fox)」です。
けものフレンズでのキタキツネの特徴といえば「ゲーマー」であることです。
温泉地によくある、ゲームを暇つぶしにやっていたら、見事なまでのゲーマーになってしまったという設定です。
#ポッキープリッツの日 どちらも楽屋にあって嬉しい(゚∀゚)???? pic.twitter.com/TUPxV0esWm
— 三森すずこ (@mimori_suzuko) November 11, 2017
CVを担当するのは、ブシロードグループが運営している声優プロダクション「響」所属の「三森すずこ」さんです。
三森さんといえば、あの伝説の声優グループ「μ's」のメンバーでもあります。
こちらも大人気メディアミックスの「ラブライブ!」の中に登場する、架空の9人組女性スクールアイドルグループのリアル版です。
ラブライブでは「園田海未」役を担当されています。
けもフレアニメ版のキタキツネは、ゲーマーであること以外に面倒くさがりの不思議ちゃんでもあります。
だるいというか、アンニュイと言うか、そのようなフレンズを好演しています。
実はキツネは、"法的には"ペットとして飼育することが可能です。
もちろん寄生虫の問題や、性格などの問題もありますので、ペットとしてキツネを飼うということについてお話ししてみましょう。
キツネはイヌ科の動物でありながら、縦社会を望まず群れを嫌い、警戒心が大変強い動物です。
つまりよほどのことが無い限り人間に心を許すことはありません。
ペットとして飼う場合、主従関係を築くことはとても大変だと考えておきましょう。
キツネにしてみれば、主人である飼い主は友だち程度にしか考えないのです。
この手の動物によくある、「飼育には○○の許可が必要~」ということはキツネにはありません。
ですから、面倒な手続きなしで飼育をスタートすることができます。
キツネをペットショップなどで購入するとなると、相場は5~10万程度となります。
有名人気犬種のわんちゃんに比べると、さほど高くないと感じるかもしれません。
ペットとして主流のキツネといえばフェネックですが、フェネックの場合は価格が跳ね上がります。
フェネックの相場はメスが最低でも55万から、オスの場合は80万程度からスタートします。
高額なものはオスもメスも100万を超えると言われています。
こうしてみると、なかなかの高額であると言えるでしょう。
普通のペットショップにふらっと立ち寄っても、キツネに遭遇できることはまずないでしょう。
エキゾチックアニマルを取り扱っているようなペットショップや、キツネを専門に扱うブリーダーさんに相談するのがベストです。
野生のキツネを捕獲するという方法もありますが、それはかなりの難易度な上に、狩猟経験のない一般の方には可能性は皆無だと考えておきましょう。
ただ、先ほども飼育の件でお話しした通り、キツネは鳥獣保護法などで保護対象としての指定がありません。
ですから、飼育することが可能なうえに、野生のキツネを捕獲して飼育することも、"法的には"一応可能といえます。
だからといって、得体のしれないルートから生きた動物を手に入れるのはかなりの高リスクを伴います。
基本的には信頼できるペットショップか、ブリーダーさんから入手することをおすすめします。
可愛いから飼ってみたい。
最初のきっかけは、どの生き物でも似たようなものです。
ですが、イヌやネコとは勝手の違うキツネを飼育するのはかなり困難を極めると考えておきましょう。
そこで、キツネと暮らすための心構え「鉄の5か条」をご紹介しましょう。
1.トイレは覚えない生き物である!
2.寄生虫には細心の注意を払え!
3.刺激物は厳禁!
4.たくさんの運動と、美しい環境を!
5.人間には懐かないと思え!
ここまでにご紹介したキツネの習性も反映されているので、ある程度はご理解いただけることでしょう。
鉄の5か条さえ守ればいいと言うわけではありませんが、これは基本中の基本です。
イヌ科の動物ですが、とにかくキツネはトイレを理解しません。
もちろん、個体によって性格などが異なるのは人間と同じです。
もしかしたらあなたが飼うキツネは、しっかりとトイレのしつけができるかもしれません。
ですが、その確率は驚くほど低いと考えておきましょう。
寄生虫の怖さに関しては、すでにここまででお話ししているとおりです。
キツネを飼うことが決まったら、速やかに寄生虫が体内にいないか検査をしてから自宅に招き入れましょう。
ただお近くの獣医さんがキツネを見てくれるかどうかは難しい所です。
購入を確定する前に、今後のことも考えて家から行ける範囲に、キツネを見てくれる獣医さんがいるかの確認も必要です。
これはさほど難しいことではないはずです。
ここだけはイヌ科の動物だと思い込んでおけばOKです。
通常ペットに与えることは禁止されている、ネギ類やチョコレートのような刺激物は命取りになり兼ねますので、絶対厳禁です。
肉食系ですが、雑食でもありますので、食事は普通にドッグフードやキャットフードを与えて問題はありません。
正直、独身の方がワンルームで飼うというのは不可能と考えておいてください。
キツネは大変活発な動物です。
ですから狭いケージに閉じ込めておくことは絶対にやめてください。
身体能力の高さや、ジャンプ力などを考えると、人間用の部屋を1つ丸ごとキツネに与えるぐらいでないと厳しいでしょう。
そして、キツネは大変きれい好きなため、部屋の清掃などは欠かさないようにしてください。
排せつ物の処理、毛づくろいなど、忙しくても後回しにせず、気づいたらすぐ行動が基本です。
もしかしたら、これが一番難しいかもしれません。
どんなに可愛がっても、大事にしても、あなたが家族として招き入れたキツネは、あなたに懐かないかもしれません。
それでも、一度決めたら最後の時まできちんと向き合い世話をしてあげるのがルールです。
その覚悟だけはしておかなければいけません。
運よく幼いころからキツネを育てることができれば、懐いてくれて同士のように受け入れてくれるかもしれません。
性格によってはあっさり、飼い主であるあなたを仲間として受け入れてくれるかもしれません。
しかし、これはあくまでも可能性の話です。
基本的には人には懐かない生き物であることを肝に銘じておきましょう。
眠る姿、じゃれている姿、大きな耳に真っ黒な瞳、ふわふわで大きな尻尾。
可愛い!と思わず見とれてしまう事もあれば、しゃんと背筋を伸ばし耳をピンと立てどこかを見つめる姿の凛々しさに息をのむこともあるでしょう。
多面性を多く持つ魅力あふれるキツネは、昔からずるがしこいと言われたり、神様の使いとも言われてきました。
あなたが好きなキツネはどの面でしょう。
ペットとして飼うのは少々難しいので、こんなところに足を運んでみてはいかがでしょう?
・宮城蔵王キツネ村
宮城県白石市福岡八ッ宮字川原子11-3
・北きつね牧場
北海道北見市留辺蘂町花丘52−1
・熊谷きつね牧場
北海道北見市留辺蘂町富士見
・フクロウとキタキツネの森
札幌市南区豊滝475番地12
気軽にお近くの動物園に足を運ぶもよし、旅行がてらいろいろなキツネに会いにくのもよし。
素敵なキツネとの出会いがあなたに訪れますように。
公開日 : 2017/11/13