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・カナディアン・エスキモー・ドッグ(Canadian Eskimo Dog)
・アメリカン・エスキモー・ドッグ(American Eskimo Dog)
・アラスカン・マラミュート(Alaskan Malamute)
5. シベリアン・ハスキーを代表する忠犬「バルト」と「トーゴ」の命のリレー
9. シベリアン・ハスキーと「アラスカン・マラミュート」の違いについて知りたい!
シベリアン・ハスキーの起源は、 犬種 の名前にも入っているシベリア北東部、チェルスキー山脈一帯が起源とされています。
シベリアン・ハスキーは、ここシベリア北東部に住んでいるエスキモーの中の1民族「チュクチ族」に飼育されてきた犬種でした。
チュクチ族はトナカイの牧畜を行う民族で、漁や狩猟を行なってきた遊牧民族。
シベリアン・ハスキーはその生活の中で、主に「そり引き」や「ボート引き」といった運搬作業、「狩猟」や「番犬」といった仕事を与えられ、チュクチ族と古くから生活を共にしてきた犬でした。
シベリアン・ハスキーの「ハスキー」という呼称。
枯れたような声の事をハスキーボイスと呼びますが、シベリアン・ハスキーの「ハスキー」は全く異なる意味を持ちます。
「ハスキー」とは、かつてエスキモーを指す呼称でした。
チュクチ族を含めたエスキモーは毛皮を売って生計を立てており、この毛皮で貿易を行なっていた商人達や、シベリアを訪れる冒険家達から「ハスキー」と呼ばれていました。
そして、チュクチ族が連れていた「 犬 」達もまた、ハスキー犬と呼ばれ始めたのでした。
かつてのアメリカではドッグレースが盛んに行われており、冬には犬ぞりレースも人気のドッグレースでした。
シベリアン・ハスキーが一般的に認知され始めたと言われるのが1909年の「アラスカ賞金レース」と言われています。
アラスカ賞金レースは、アラスカ州「ノーム」から「キャンドル」までの約653kmを犬ぞりで走るレースで、この年に初めてチュクチ族も賞金レースに参加することになり、チュクチ族が連れていたのがシベリアン・ハスキーだったのです。
しかし、シベリアン・ハスキーは他の犬ぞりの犬種と比較しても小さめの犬種で、性格も従順であったために、注目をあつめることはありませんでした。
1909年のレースでは注目を集めることのなかったシベリアン・ハスキー。
しかし、このレースを見た一人のマッシャー(犬ぞり操縦者)がシベリアン・ハスキーの能力に目をつけ、翌年のレースのためにシベリアン・ハスキーを70頭購入し、トレーニングを開始し始めます。
そして、1910年に行われたアラスカ賞金レースでシベリアン・ハスキーは見事にその実力を開花させたのでした。
彼はシベリアン・ハスキーで構成される3つのチームでレースに参加し、1位・2位・4位という素晴らしい功績を収めます。
こうしてシベリアン・ハスキーという犬種は、名実ともに一般に知られるようになったのです。
シベリアン・ハスキーの人気はこうして高くなり、多くの人がシベリアン・ハスキーを求めるようになりましたが、1930年に入るとシベリア(ロシア)からの輸出が中止されることとなります。
こうした背景には1930年代に起きた「大恐慌」があり、当時のソ連(ロシア)によるシベリア国境の貿易中止が関係しています。
しかし、カナダから経由してアメリカ北部(アラスカ州)等にも渡っていたシベリアン・ハスキーはその後、改良も加えられて世界的にも人気の犬種となりました。
そして、改めて「シベリアン・ハスキー」という犬種で「AKC(アメリカン・ケネル・クラブ)」が新品種として登録することとなったのです。
シベリアン・ハスキーの原産国が「ロシア」としている説明や、「アメリカ」とされている説明がありますが、どちらの説明も間違ってはおらず、こうした歴史背景があったためなのです。
1品種として認められたシベリアン・ハスキーは、1939年〜1945年に起きた第2次世界大戦時にも、捜索や救助犬として活躍を収めてきました。
その後はそり犬や作業犬としてだけではなく、家庭犬やショードッグとしての人気も高まり、1939年にはカナダでもシベリアン・ハスキーが新品種として登録されることとなったのです。
現在においてはAKCの飼育頭数ランキングで2013年が14位、2014年が13位、2015年からは12位と、アメリカ国内でも人気の高い犬種となっています。
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アメリカでは未だに高い人気を誇るシベリアン・ハスキー。
日本国内に関しては2016年の時点で登録頭数656頭、133犬種中の30位となっています。
そんなシベリアン・ハスキーですが、1980年後半〜1990年前半にかけて空前のシベリアン・ハスキーブームが日本に起こりました。
その引き金となったのが、少女漫画の「動物のお医者さん」。
主人公の飼い犬である「チョビ」がシベリアン・ハスキーであったため、漫画の人気に伴ってシベリアン・ハスキーも一気に人気犬種の仲間入りを果たすことになりました。
空前のハスキーブームで日本でも人気の犬種となったシベリアン・ハスキーでしたが、ブームが去ったあとは、別の事で社会問題を引き起こすこととなります。
その社会現象というのが、シベリアン・ハスキーの飼育放棄でした。
「毛が抜ける」「言うことを聞かない」「力が強すぎる」「頭が悪い」等、非常に根本的な問題でシベリアン・ハスキーを手放す飼い主が増え、捨てられたシベリアン・ハスキーが野犬化したり、保健所にシベリアン・ハスキーが溢れるといった社会問題が起きたのです。
まだまだペット先進国とは言え無かったこの時代の日本で、シベリアン・ハスキーのような大型犬は手に余る犬種だったのかもしれません。
大型犬 は多くの運動量を必要とし、ある程度広いスペースで飼育するのが理想的ですが、十分な運動が行えなければストレスも溜まり、問題行動を引き起こすこととなります。
筆者も子供だったこの頃、「シベリアン・ハスキーは狼の血が濃いから懐きにくいし、頭も良くない」と聞いたことがありました。
しかし、この認識は間違っています。
前述の通り、シベリアン・ハスキーは犬そりで活躍してきた犬種で、本来であれば人に対しても従順で、頭も決して悪くはありません。
こうした認識は、飼育の仕方が誤っていた飼い主の問題であり、シベリアン・ハスキーの問題ではありません。
確かにシベリアン・ハスキーの容姿はオオカミに似ており、近年行われたDNAの検査でもオオカミに近い遺伝子を持つということが判明しました。
しかし、シベリアン・ハスキーのこれまで従事してきた実績もあることから、オオカミに近いことが頭の善し悪しに関係あるかと言えば、関係のないことかもしれません。
前述の通り、シベリアン・ハスキーはシベリアやカナダ北極圏で生まれ育った犬種で、「スピッツ」系統の犬種です。
シベリアン・ハスキーのように、極寒の地で生まれ育った犬種には他にも「 アラスカン・マラミュート 」や「 サモエド 」等の犬種がいますが、いずれの犬種もスピッツタイプの犬種となっています。
2012年にアメリカで行われた遺伝子検査では、85種類の犬種の遺伝子が検査され、どの犬種が一番オオカミの遺伝子を持っているか分析されました。
この遺伝子検査によって、シベリアン・ハスキーは7番目にオオカミの遺伝子を多く持つことが判明しました。
では、シベリアン・ハスキーと同じ環境化で誕生した犬種にはどのような種類が存在し、遺伝子の結果はどうだったのかを見てみましょう。
【原産地】ロシア(シベリア)
スピッツタイプの容姿が色濃く残る、ロシアの大型犬種「サモエド」。
シベリアン・ハスキーと同じく、そり犬やカモシカ狩り等に従事してきた作業犬です。
オオカミの遺伝子ランキングでは、85犬種中 12番目という結果でした。
【原産国】カナダ
カナダ北極圏に暮らすエスキモーのイヌイット族に飼育されてきた「カナディアン・エスキモー・ドッグ」。
そり犬としてだけではなく、狩猟犬としても活躍してきた犬種で、良質なそり犬を作出するため、シベリアン・ハスキーとも交配されることの多かった犬種です。
オオカミの遺伝子ランキングに関しては、調査対象外です。
【原産地】カナダ(ラブラドル半島)
ラブラドール・ハスキーは、主にそり犬を目的として作出された作業犬。
作出の際にはシベリアン・ハスキーも用いられていますが、「 ラブラドール・レトリバー 」は用いられてはいません。
オオカミの遺伝子ランキングに関しては、調査対象外です。
【原産地】アメリカ
「エスキモー」の名前が付いていますが、実際にはエスキモーとの関係は一切なく、元々の犬種名は「アメリカン・スピッツ(American Spitz)」。
改名されたのには時代背景が絡んでおり、「エスキモー」の名称が付けられた理由ははっきりしていません。
オオカミの遺伝子ランキングに関しては、調査対象外です。
【原産地】アメリカ(アラスカ州)
本来「アラスカン・ハスキー」という犬種は存在しませんが、良質なそり犬や狩猟犬を作出するため、シベリアン・ハスキーやアラスカン・マラミュートといった犬種を交配させて作られた犬種が、総称としてアラスカン・ハスキーと呼ばれます。
オオカミの遺伝子ランキングに関しては、調査対象外です。
【原産地】アメリカ(アラスカ州 西部)
容姿はシベリアン・ハスキーとそっくりなアラスカン・マラミュート。
アラスカ西部の原住民であるエスキモーのマラミュート族が飼育していた犬で、シベリアン・ハスキーとも似た環境下で生まれ育った犬種です。
オオカミの遺伝子ランキングに関しては、シベリアン・ハスキーを抑えて4番目という結果でした。
上記のように、極寒の地で誕生した犬種はシベリアン・ハスキー以外にも存在します。
また、シベリアン・ハスキー以上にオオカミの血を引く、シベリアン・ハスキーの近似犬種が存在することもお分かりいただけたかと思います。
いずれの犬種においても作業犬として従事してきた犬種ばかりで、人間の生活を助けてきました。
因みに、日本を代表する「忠犬」と言えば「 秋田犬 」や「 柴犬 」が挙げられますが、秋田犬に関しては85犬種中3番目という結果に。
ブーム以降はシベリアン・ハスキーの飼育放棄が増え、シベリアン・ハスキーは頭が悪いといった認識が一般的になってしまいましたが、頭が悪く飼育のしにくい犬種がここまで存続してくるわけがありません。
事項では、そんなシベリアン・ハスキーを代表する忠犬たちの物語について解説していきたいと思います。
秋田犬にも忠犬「ハチ公」がいるように、シベリアン・ハスキーにも忠犬が存在します。
その中でも最も有名なのが「バルト(Balro)」というシベリアン・ハスキーです。
バルトが活躍したのは1925年のこと。
ゴールドラッシュに湧いていた1900年代には10,000人を越える住民がいたアラスカ州の「ノーム市(Nome)」ですが、1920年代には1,000人を切る小さな町となっていました。
このノーム市には、アラスカ州北部の先住民であるエスキモーのイヌイット系民族も数多く生活していましたが、1925年の1月からイヌイット系民族の間で「ジフテリア」が大流行してしまいます。
ジフテリアとは、最悪の場合は死に至る事もある感染症。
皮膚や咽頭・扁桃、鼻など、粘膜による経路で感染するもので、咳などでも飛沫感染する恐ろしい感染症です。
症状には咳・嘔吐、高熱、神経麻痺、扁桃腺等が腫れ上がることによって気道が詰まり、窒息するといった症状が見られます。
治療に関してはジフテリアに対する「血清」が有効となりますが、早期発見・早期治療が重要となります。
現代においては予防接種が行われているものの、未だ世界中で犠牲者が出ている感染症でもあります。
ジフテリアが大流行し始めたちょうどその頃、ノーム市のあるアラスカ州全体はブリザードが吹き荒れていました。
さらに悪い事に、ノーム市にはジフテリアを治療するための血清が十分に無い状態であったため、感染が爆発的に拡大してしまう可能性が高かったのです。
唯一、ジフテリアの血清が揃っていたのがノーム市から飛行機で約1時間30分程の場所にある「アンカレッジ(Anchorage)」でしたが、激しいブリザードの影響により飛行機で輸送するのは不可能だったのです。
そして、この悪天候の中で唯一血清を運ぶことが出来るのは「犬ぞり」による輸送しかありませんでしたが、ノーム市とアンカレッジの間には標高1,500mの山岳地帯がそびえていたため、犬ぞりで血清を輸送するという事は現実的ではありませんでした。
次なる候補に挙がったのが、ノーム市から約1,085km離れた「ニナナ(Nenana)」でした。
しかし、血清を輸送する難関は距離だけではありません。
この時、ブリザードが吹き荒れていたアラスカ地方は−50℃という氷点下。
さらに犬ぞりには300,000ユニットの血清を積んでの輸送という、非常に過酷なものでした。
こうしてノーム市へ血清を運ぶため、約200頭の犬と20名のマッシャーが集まり、全20チームでリレーを行いながら血清を運ぶ事になったのです。
TIL the sled dog, Togo, was responsible for leading his team through the most dangerous and longest stretch of the 1925 Serum Run by 200 miles. Balto and his team led the last 55 mile stretch into the town of Nome getting most of the credit and media attention. pic.twitter.com/xFTbQT2GS7
— The Florida Oracle (@FloridaOracle) March 2, 2019
このような過酷な状況にもかかわらず、1925年1月27日に出発した犬ぞり部隊は2月2日の正午、わずか5日半という日程で血清を輸送し、ノーム市の危機を救うことが出来ました。
この輸送劇で命を落とした犬は6頭、命がけで走り抜いた犬たちの中でも最も長い距離を走り抜いた犬が上記の写真、犬ぞりチームのリーダー犬「トーゴ」でした。
シベリアン・ハスキーのトーゴは初日に134kmを走り抜き、3日間で合計274kmという距離を走り抜きました。
そして、血清を繋いだリレーの中で最後の区間を走り抜いたのは、シベリアン・ハスキーのリーダー犬「バルト」が率いる犬ぞりチームでした。
バルトはこの輸送劇の「顔」として脚光を浴び、ノーム市を救った英雄犬として称えられました。
バルトやトーゴたちによる偉業はその後も称えられ、現在もニューヨークにあるセントラルパークにはバルトの銅像が建てられ、アラスカのイディタロッド博物館にはトーゴの剥製が展示されています。
1996年にはスティーブン・スピルバーグ総指揮によるアニメーション映画「バルト」でも、この命のリレーが描かれています。
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時間:78分
シベリアン・ハスキーの毛色に関しては、「ブラック&ホワイト」「シャンパン&ホワイト」「カッパーレッド」「シルバー&ホワイト」「グレイ&ホワイト」「ホワイト」など、多くの毛色が存在します。
中でも、シベリアン・ハスキーのイメージとして強い毛色は「ブラック&ホワイト」や「シルバー&ホワイト」です。
比較的珍しい毛色になる「ホワイト」のシベリアン・ハスキーについては、「ホワイトハスキー」という呼称でも呼ばれます。
シベリアン・ハスキーの柄ですが、子犬の頃には目の上に「麻呂柄」が入っている場合が多いです。
しかし、この麻呂柄も成犬になるにつれて白い面積が多くなり、ほぼ顔全体が白くなっていきます。
中には麻呂のままで成長する子もいますが、多くは顔の全体が白い柄になっていく傾向にあります。
シベリアン・ハスキーの特徴といえば、オオカミのような勇ましい容姿以外にも、特徴的な「目」が挙げられます。
シベリアン・ハスキーの目の色にはいくつかの種類が存在し、「黒」以外にも「青」「茶」「黄」といった目の色が認められます。
また、左右の目の色が異なる「オッドアイ(またはバイアイ)」と呼ばれる目の色を持つ個体も存在します。
シベリアン・ハスキーと言えば青い目(ブルーアイ)のイメージも強いですが、このように幾つかの目の色の種類があるのです。
他の犬種でブルーアイと言えば、遺伝子疾患等による影響でブルーアイになる場合もありますが、シベリアン・ハスキーに関しては何ら問題はありません。
シベリアン・ハスキーにおけるブルーアイは、元から目のメラニン色素が少ないという理由が挙げられます。
そのため、ブルーアイであっても視力が悪かったり、疾患を引き起こすと言った問題はないのです。
ブルーアイと同じく、オッドアイに関しても遺伝子疾患のイメージが強いですが、こちらもシベリアン・ハスキーに関しては、何ら問題もありません。
他の犬種に見られるオッドアイに関しては「虹彩異常症」という症状によるもので、先天的・後天的いずれの場合でも発症するもので、犬だけでなく 猫 や人間でも見られるものです。
オッドアイ になる原因は、目の色素を作るメラニン色素が片目だけ少ないために起きるためで、犬の中でも特に「 ボーダーコリー 」に関してはマール系の毛色のボーダーコリーがオッドアイや、ブルーアイを引き起こす可能性が高くなっています。
シベリアン・ハスキーにおけるオッドアイに関しては、ブルーアイでも説明したとおり、元から目のメラニン色素が少ないために起きているもので、健康状態には何の問題もないのです。
シベリアン・ハスキーの性格は非常に明るく、人間に対しても人懐っこい性格をしています。
また、犬ぞりでも活躍してきたことからも分かる通り、他の犬や集団の状況でも問題なくすごすことの出来る性格です。
飼い主に対しても従順でありますが、一方で頑固な一面もあるようです。
シベリアン・ハスキーを飼育するにあたっては、主従関係をはっきりさせることがポイントとなるでしょう。
陽気な性格で楽しむことが好きなため、知らない土地でもぐんぐんと進んでいってしまうために、迷子になってしまうという子も少なくはないようです。
こうした性格が、「シベリアン・ハスキーは頭が悪い」と言われてしまう原因なのかもしれません。
容姿はオオカミにも似ており迫力もあるので、番犬としても最適な犬種と思ってしまいますが、シベリアン・ハスキーは攻撃的な性格ではないため、番犬としての性質としては高いとは言えません。
人に対しても有効的に振る舞ってしまうため、見掛け倒しになってしまう事もありそうです。
そのため、シベリアン・ハスキーは番犬として張るよりも、仲間と集団で作業を行うことのほうが向いているかもしれません。
番犬向きの犬種ではありませんが、作業犬としての能力が高いのがシベリアン・ハスキーなのです。
そして、シベリアン・ハスキーは飼い主とのコミュニケーションを大事にし、スキンシップを好む犬種です。
日頃から無理なくシベリアン・ハスキーとスキンシップをやコミュニケーションをとることが出来る方であれば、シベリアン・ハスキーは良い相棒となってくれることでしょう。
「秋田犬」や「柴犬」等の日本犬は、十分な躾や主従関係を付けることが大事という話を聞いたことがあるでしょうか。
こうした事と同じ事が、シベリアン・ハスキーにも言えるのです。
前述の通り、シベリアン・ハスキーだけでなく秋田犬や柴犬に関しても、オオカミの血が色濃く残る犬種であることがわかりました。
こうした犬種に共通するのは、リーダーを大事にし、リーダーを立てて行動するということです。
シベリアン・ハスキーを飼育するにあたっては、飼い主さんがリーダーと認めさせることが大事になり、この順位が逆転してしまっては言うこともきかなくなってしまうでしょう。
そのため、他の愛玩犬と同じような躾の仕方では不十分である場合もあるでしょう。
単に甘やかすのではなく、しっかりと主従関係をはっきりとさせることが、シベリアン・ハスキーにとってはストレスの軽減にも繋がり、リーダーに仕えることが喜びとなることを理解しておきましょう。
犬種名:アラスカン・マラミュート(Alaskan Malamute)
原産地:アメリカ(アラスカ州 西部)
体高:58cm〜71cm
体重:39kg〜56kg
その容姿から、しばしばシベリアン・ハスキーとも混同される「アラスカン・マラミュート」。
アラスカン・マラミュートの歴史はシベリアン・ハスキーとも似た部分があり、アラスカ西部の原住民であるエスキモーのマラミュート族が飼育していた犬でした。
前項でも触れましたが、シベリアン・ハスキーよりもオオカミに近いのは、アラスカン・マラミュートという事がわかりました。
しかし、両犬種ともにあまり馴染みのない方が見ると、同じようにオオカミのような容姿の犬で、迫力のある雰囲気も同じと感じてしまうことでしょう。
容姿の違いに関してはシベリアン・ハスキーよりも、アラスカン・マラミュートの方が大きく、全体的に丸みを帯びているのがアラスカン・マラミュートの特徴となります。
そして、どちらも同じ犬種に見えるかもしれませんが、実はその容姿にもしっかりと大きな違いがあります。
まず大きな違いとなるのが、「尻尾」です。
よく見てみると、アラスカン・マラミュートの尻尾は巻き上がった尻尾をしています。
一方、シベリアン・ハスキーの尻尾は垂れ下がった尻尾をしています。
犬が落ち着いた状態でなければわかりにくいですが、平常時の尻尾は両犬種とも異なるスタイルとなっています。
両犬種は「顔」にも大きな違いがあります。
アラスカン・マラミュートの輪郭は比較的丸く、シベリアン・ハスキーの輪郭はアラスカン・マラミュートと比較すると面長な印象を受けます。
そして「耳」の付き方にも違いが見られます。
耳の向き:やや外側
耳の付いている位置:やや低い位置
耳と耳の間隔:広い
耳の向き:正面〜上
耳の付いている位置:高い位置
耳と耳の間隔:狭い
アラスカン・マラミュートの耳の向きはやや外側に向いているのに対し、シベリアン・ハスキーの耳の向きは正面〜上を向いており、アラスカン・マラミュートはやや低い位置に耳が付いていますが、シベリアン・ハスキーの耳は高い位置に付いています。
耳と耳の間隔も、アラスカン・マラミュートは広めですが、シベリアン・ハスキーは耳と耳の間隔が狭いです。
慣れるまでは見比べないとわからないかもしれませんが、よくよく見るとこのように耳にも大きな違いがあることがわかります。
両犬種の根本的な違いとなるのが「目」の色です。
前述の通り、シベリアン・ハスキーの目の色にはブルーアイ等の色も認められますが、一方のアラスカン・マラミュートの目の色に関しては「ダークカラー」のみが認められます。
シベリアン・ハスキーもダークアイの目の色はありますので、目の色だけで判断するわけにはいきませんが、最もわかりやすい判断は目の色で行えるのです。
このように、シベリアン・ハスキーの容姿に似たアラスカン・マラミュートとは、意外と違う点があることがわかります。
余談ですが、映画「スターウォーズ」に登場するキャラクターの「チューバッカ」ですが、やや丸みを帯びたオオカミのような容姿だと思わないでしょうか。
実はこの「チューバッカ」のモデルとなったのは「アラスカン・マラミュート」だと、スターウォーズの監督ジョージ・ルーカスが明かしていたのだとか。
シベリアン・ハスキーが特に気を付けたい、好発する病気については特筆して挙げるものもなく、そこまで神経質になる必要はありません。
しかし、大型犬特有の病気や眼病については、念のため気を付けておきたいところです。
大型犬に多く見られる病気に「股関節形成不全」という病気が挙げられます。
股関節形成不全とは、成長段階で股関節の形が異常な形になり、痛みを伴うために歩き方がおかしくなったり普通に座ることが出来ないと言った症状が見られる、先天的な病気です。
大型犬に多いと言われるのは、小型犬等よりも成長段階のスピードが早く、体重もかなり多くなるためと言われています。
そのため、股関節形成不全を発症するのは生後6ヶ月あたりからが多く、中には1歳を迎える頃に突如発症するケースもあるようです。
股関節形成不全を予防・対策するには、幼少期からしっかりと運動を行うようにして体を支える筋肉量を増やすことや、無駄な脂肪を付けさせないために肥満体型にならないようにすることです。
また、股関節形成不全の7割は遺伝的なものであると言われていますので、幼少期に検査を行なったり、血統で股関節形成不全を持つ犬がいないかを確認してみると良いでしょう。
成犬になるまでにしっかりとした運動を行なっていなければ、股関節形成不全の他にも骨格や関節の病気を引き起こしますので、シベリアン・ハスキーにとって運動がどれだけ重要かがおわかりいただけるでしょう。
シベリアン・ハスキーに好発するわけではありませんが、念のため「若年性白内障」等の眼病にも注意しておきましょう。
前項でもシベリアン・ハスキーの目について触れましたが、目の色が病気に関係するわけではなく、シベリアン・ハスキー自体が角膜の栄養障害をやや引き起こしやすい犬種であると言われます。
「緑内障」「ぶどう膜皮膚症候群」「進行性網膜萎縮症」と言った眼病も存在しますので、定期的に目の検診を受けるのが大切になります。
また、偏った食事を避けて、栄養のあるバランスの取れた食事を与えることが大事になってきます。
シベリアン・ハスキーは犬ぞりで活躍してきた犬種だけあり、体力もかなりのものがあります。
性格的にも非常に活動的であるため、多くの運動や遊びを必要とする犬種です。
スタミナの多いシベリアン・ハスキーですので、運動欲求を十分に満足させてあげられるのは、非常に大変な事となるでしょう。
ペットとしてシベリアン・ハスキーを飼育する際には、1日1時間以上の散歩は必須といえます。
散歩のほか、月に数回はドッグラン等で思い切り走らせてあげることもストレスの解消となりますので、できるだけ取り入れていきたいところです。
自宅内でもスキンシップを取りたがりますので、一緒に遊んであげる時間を作ることが、シベリアン・ハスキーとの絆を深めるポイントになるでしょう。
シベリアン・ハスキーは中〜大型犬となり、前述の通り多くの運動量を必要とする犬種です。
犬ぞりが引ける程の力も持ち合わせておりますので、力の弱い飼い主さんですと引っ張られてしまうこともあるでしょう。
急な飛び出し等にも対処出来るよう、しっかりとリードを掴むことは当たり前ですが、幼少期から 散歩 や リード に慣れさせることも大事になります。
また、特にオス犬は成犬になってくると縄張りを意識するので、知らない犬に対して警戒する場合もあります。
こうした部分も、若いうちから ドッグラン 等で社会性を身に着けさせるようにすることで、他の犬に対しても有効的にさせることが出来ますので、運動やストレス解消も兼ねて他の犬と遊ばせるようにしましょう。
集団で生活することに向いているシベリアン・ハスキーは、仲間がいなくなってしまうと不安な状態に陥ってしまいます。
そこで取る行動は、オオカミにも見られる「遠吠え」です。
遠吠えは仲間を呼ぶための本能的な行動であり、仲間に自分の位置を知らせるための行動ですので、「無駄吠え」などに見られる行動とはまたちょっと違います。
留守番をする時には遠吠えをする可能性も高くはなりますが、無駄吠えを止めさせるのは難しいため、無駄吠えをしないような落ち着ける環境を作ってあげることが解消策となるでしょう。
場合によっては近所トラブルの原因にもなりかねないので、飼い主さん自身が犬の習性について理解しておく必要があります。
シベリアン・ハスキーが必ず遠吠えするわけではありませんが、確率的にはやや高めだと理解したうえで、飼育するようにしましょう。
極寒の地で生まれたシベリアン・ハスキーは、その寒さを凌ぐために非常に密集したダブルコートの被毛を持ち、−40℃以上にもなる氷点下の環境でも耐えられると言われています。
一方で、日本のような高温多湿の環境は苦手といえます。
特に夏場は注意が必要で、散歩の時間を涼しい時間にずらしたり、飼育環境を適温に保つことが重要となります。
あまりに高温の状態が続いてしまうと、熱中症などの症状を引き起こしてしまうため、室内飼育をする場合にはクーラーの設置は必須といえます。
また、こまめな水分補給や昼夜の寒暖差にも注意が必要です。
夏場は少しでも涼しい状態にさせるため、無駄毛の処理も大事なケアとなります。
無駄毛が体に多く付着していると、思うように体温を逃がすことが出来ませんので、夏場は特にこまめにブラッシングを行うようにしましょう。
シベリアン・ハスキーに限られた事ではありませんが、ダブルコートの被毛を持つ犬種は抜け毛が多いです。
そのため、年中ブラッシングを行う必要もあり、特に換毛期を迎える春や秋には毎日のブラッシングが必要になるでしょう。
抜け毛をそのままにしておくと「皮膚病」を引き起こす要因になってしまったり、部屋が毛だらけになって不衛生な状態になりますので、こまめにブラッシングを行って常に清潔な状態を保つように心がけましょう。
犬種名:シベリアン・ハスキー(Siberian Husky)
別称:アークティック・ハスキー
原産国:ロシア(シベリア)
体高:オス 54cm〜60cm、メス 51cm〜56cm
体重:オス 20kg〜27kg、メス 16kg〜23kg
寿命:12年
販売価格:約20万円〜25万円
「頭が悪い」といった不名誉なイメージを持たれるシベリアン・ハスキーですが、決して頭の悪い犬種ではないということがお分かりいただけたでしょうか。
一時期のブームと社会問題が起きたことによって、実際のところはまだまだ本来のシベリアン・ハスキーの魅力にまだまだ気がつけていないのかもしれません。
シベリアン・ハスキーの飼育についてはある程度、注意する必要があるポイントがありますが、それさえ当たり前となってしまえば唯一無二の相棒になってくれることでしょう。
最終更新日 : 2021/11/03
公開日 : 2017/12/14