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果物の中には ぶどう のように犬が食べてはいけないものもありますが、犬がみかんを食べても大丈夫です。
また栄養も豊富なので、与え方の注意点さえ守れば、おやつのバリエーションとして加えることができます。
犬の祖先は 狼 もしくは狼の亜種と考えられています。
基本的には肉食獣なのですが、木の実や果実を食べるという雑食性も持ち合わせていました。
犬はそのDNAを引き継いでいますし、さらに人間との生活で雑食性が強くなったと考えられます。
そのため、犬は猫のような純粋な肉食獣に比べると食べられるものが多く、みかんも食べることができるのです。
犬は、人間ほどは味に対して敏感ではありません。
食べ物の味は味蕾という舌や舌の周りにある器官によって感じるのですが、犬は人間の5分の1~6分の1くらいしか味蕾がないので、人間のようにたくさんの味を感じることはできません。
ただ、犬の舌は甘みを感じることができるので、犬は甘い味がするものを好みます。
柑橘類にはみかんの他にも色々な種類の物がありますが、すっぱいものではなく、温州みかんのように甘い味がするものの方をより好むでしょう。
犬は少量であればみかんを食べることができますし、みかんを喜んで食べるワンちゃんは少なくないでしょう。
しかし、犬にもそれぞれ味の好みがありますので、特に肉以外の食べ物に対しての好みが分かれることが多いです。
筆者は3匹の犬と暮らしていますが、みかんを好んで食べるのはそのうち1匹だけです。
もう1匹はすすめられれば口にしますが、自分からちょうだいとはいってきません。
また、別の1匹はすすめてもみかんを口にしません。
みかんは必ずしも食べなければならないものというわけではないので、ワンちゃんが好む場合にのみ与えるようにすると良いですね。
みかんはおいしいだけではなく、栄養効果の高い果物として知られていますが、それらの栄養効果は犬の体にも良いものです。
みかんの栄養素と言われて、真っ先に思いつくのはビタミンCなのではないでしょうか。
みかんに豊富に含まれるビタミンCは粘膜を強化し、免疫力を高める効果が期待できます。
みかんにはβクリプトキサンチンが含まれています。
Βクリプトキサンチンには抗酸化作用があり、老化しにくい体を作ることに役立ちます。
また、βクリプトキサンチンの抗酸化作用はがんの発生の予防になるとされている栄養素です。
Βクリプトキサンチンは温州みかんに多く含まれており、その量はオレンジの約100倍もあるとされています。
みかんにはクエン酸が含まれています。
クエン酸は疲労回復に効果があります。
みかんにはカリウムも含まれているのですが、カリウムは体内の過剰なナトリウム(塩)を排出するのに役立ち、みずみずしい体を保ちます。
みかんには水溶性の食物繊維であるペクチンが含まれています。
ペクチンはジャムなどを作る際に使われるものですが、果物や野菜に含まれている天然のゲル化剤です。
ペクチンは食物繊維なので、排便を促し、お腹の調子を整える効果があります。
犬は雑食性を持つ肉食動物なのでみかんを食べることができますが、果物や野菜は犬にとって主食とはなりえません。
そのため、与える際には注意が必要です。
犬にみかんを与える際は、外側の皮をとり、薄皮もとって果肉の部分だけを与えるようにすると良いでしょう。
外側の皮の部分はおいしくないので与えても食べないかもしれませんが、丸ごと与えてしまえば内側の実を食べようとして食べてしまう可能性があります。
みかんの外皮を犬は消化することが困難ですので、与えないようにしましょう。
みかんに種があった場合は、種も取り除いてあげてください。
みかんの種は犬にとって毒性はありませんが、消化できません。
みかんは薄皮ごと食べるという方も多くいらっしゃると思いますが、犬には薄皮の部分も取ってあげた方がいいです。
薄皮がついたまま犬に与えても食べることはできますし、あまり気にせず食べる子もいますが、薄皮は食物繊維が豊富なために、犬の胃腸の負担になる可能性があります。
犬の消化器官は、基本的に肉を消化するのに適した構造になっているので、大量の食物繊維は負担になってしまいます。
みかんには犬に良い健康効果が期待できますが、カロリー過多や消化不良になってしまう恐れがあるので、与えすぎないようにしましょう。
犬におやつを与える目安としては、犬が1日に必要とするエネルギーの10%程度にします。
みかんのカロリーは100g当たり45キロカロリーです。
みかんにはそれぞれ大きさにばらつきがありますが、一般的によく見かけるMサイズのみかん1個がおおよそ75gくらいですので、みかん1個あたりのカロリーは33.75キロカロリーとなります。
体重が10㎏の成犬であれば、1日に必要なカロリー量は約600キロカロリー程度になります。
この10%だと160キロカロリーとなり、みかん約1.5個分になります。
カロリー的に見るとそのくらいの量を食べさせても良いことになりますが、筆者がいつもみかんを与えている感覚としては、体重は10kg程度の中型犬にみかんを1.5個も与えるのは多いと感じます。
みかんは食物繊維が多く、犬の消化器官は食物繊維が多すぎると消化不良になる可能性があります。
現実的な犬に与えるみかんの量としては、体重1kg程度の中型犬であれば、人間が食べる量の5分の1程度と考えると良いでしょう。
これはかかりつけの獣医さんに教えて頂いた方法です。
犬にみかんを与える際の目安量としては以下の通りとなります。
みかん1個を75g、一房分を7~10gとして考えます。
みかんは犬の健康効果も期待できる食べ物ですが、体に良いからといって、ほぼ肉食獣である犬に対してみかんを大量に毎日与えることは逆に健康を損なう可能性があります。
健康に良いおやつの1つとしておやつのバリエーションに加え、適量をときどき与えるようにすると良いでしょう。
筆者の愛犬は体重10kgの中型犬です。
冬にはほぼ毎日みかんを食べるのですが、愛犬はみかんが大好きなのであげています。
与える量は、2~3房程度です。
ご紹介した10kgの中型犬に与える量の約半分を毎日あげていますが、ほんの少しなので問題はないようです。
愛犬の好みや体質に合わせてあげるようにすると良いですね。
犬にみかんをあげるときには以下のことに注意して与えてください。
犬はみかんを食べることができますが、本来は肉食中心の動物なので、みかんの消化は得意ではありません。
最初にみかんを与える際は、ごく少量から始めるようにしましょう。
また、与えた後にはうんちの状態を確認して、量を調節するようにしてください。
下痢をするようなときには無理に与えない方がいいですし、適量であっても消化せずに出てくる場合は量を減らします。
犬にも個体差があるため、果肉だけをあげてもみかんのつぶつぶが消化されずに出てくることもあります。
つぶつぶが消化されないで出てきてしまう場合は、みかんをつぶすかミキサーにかけてあげると良いです。
稀にですが、犬はみかんにアレルギー反応を示すことがあります。
犬も食物に対してアレルギーを発症することがあり、その子によってどんな食べ物に対してアレルギーを発症するかはそれぞれ異なります。
まずは少しだけあげてみて、体調に異常がないか確認してください。
もしみかんを食べた後にアレルギーの反応が出たときには、みかんを食べさせるのをやめて、獣医に相談するようにしましょう。
みかんが好きなワンちゃんは、お留守番のときに、みかんが手が届くところに置いてあれば食べてしまうかもしれません。
食べ過ぎると消化器官に負担となってしまい、嘔吐や下痢を発症する恐れがありますので、みかんを放置しないようにしましょう。
病気であったり、薬を飲んでいたりする犬にみかんを食べさせる場合は、獣医に相談してから与えるようにしてください。
みかんと同じ柑橘類の中には、薬の作用を強くしてしまう成分を含むものがあります。
グレープフルーツなどにはフラノクマリンという成分が含まれており、これは免疫抑制剤や高脂血症の薬の効き目を強くしてしまうとされています。
みかん(温州みかん)にはフラノクマリンは含まれていませんが、薬を飲んでいるワンちゃんに与える場合は事前に獣医に相談してから与えた方が安心です。
一般的にみかんと呼ばれる温州みかんについて解説してきましたが、みかん以外にもたくさんの柑橘類があります。
前述したように、グレープフルーツなどには温州みかんにはない成分が含まれているので、病気の犬に与える場合は注意が必要ですが、日本でよく見かける柑橘類はほとんどのものを犬に与えても大丈夫です。
これらの柑橘類の果肉にはフラノクマリンは含まれていないか、含まれていても影響が出ない程度のごく少量です。
どの柑橘類も、与える際の量の目安は温州みかんと同じです。
ただし、犬はすっぱいものは好きではない傾向があります。
温州みかんやオレンジなど甘味の強い者は好んで食べますが、酸味が強い柑橘類については好きではないことが多いでしょう。
これらの柑橘類はフラノクマリンの含有量が多いために、薬を飲んでいる場合は効果が強くなりすぎる可能性があります。
健康で薬を飲んでいない場合は少量を食べてもいいですが、薬を服用している場合は与えないでください。
生のままのみかんではない、加工品のみかんは犬に与えても良いのでしょうか。
ミキサー等にかけておうちで作った、砂糖を加えていないオレンジジュースであれば少量を与えても大丈夫です。
また、市販されている果汁100%のオレンジジュースも与えることができます。
たくさん与えるとカロリー過多になってしまいますので、飲ませすぎないように注意しましょう。
加糖してあるオレンジジュースは、犬には与えないようにしましょう。
手作りの加糖していないみかんゼリーであれば犬に与えても大丈夫です。
しかし、市販のみかんゼリーにはたくさんの糖分が含まれていることがほとんどです。
犬には糖分が多すぎるので、市販のゼリーは与えないようにしましょう。
また、甘味料としてキシリトールが使われている場合は、犬には絶対に与えないようにしてください。
犬はキシリトールを食べると中毒を起こすことがあります。
体重10kgの犬が1gのキシリトールを食べた場合でも中毒を起こす危険性があるとされており、最悪の場合死に至るケースもありますので、絶対に与えないようにしてください。
みかんの缶詰は長期間保存するために大量の糖分が加えられているので、犬の健康には良くありません。
缶詰のシロップを洗い流したとしても果肉に糖分が染み込んでいる状態ですので、犬にみかんの缶詰は与えないようにしましょう。
犬はみかんを食べることができます。
甘いので、みかんが好きなワンちゃんは少なくないでしょう。
与え方の注意点や量に気を付けて、おやつのバリエーションの1つとして取り入れると良いですね。
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/09/07
公開日 : 2020/02/07