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犬に与えてはいけない食べ物がいくつか存在します。
まだペットフードが今ほど普及していない時代、犬や猫をはじめペットたちの食べ物は、人間の食べ残しを与えている家庭が多かったと言われています。
「猫まんま」という言葉を耳にしたことがある方もいると思います。
その時代を考えると、「犬が食べられない食べ物なんてあるのか?」「人間が食べられるのだから犬や猫が食べても問題ない」と思う方もいるかもしれません。
しかし、当時は今ほど犬や猫たちへの健康意識が高くはなかっただけであり、近年は「与えてはいけない食べ物」の認識も広がってきています。
犬に与えていけないとされる食材は、実は多数存在します。
有名なのは「玉ねぎ」や「チョコレート」ではないでしょうか。
ただ、それ以外にもイカやたこ、貝類、マカダミアナッツ、キシリトール、イチジク、ドライフルーツなど、ここでは挙げきれないほどたくさんの与えてはいけない食材があるのです。
本記事では、与えてはいけない食材の一つである「ぶどう」についてご紹介します。
犬がぶどうを食べた場合、健康被害として挙げられるのが腎臓の機能障害です。
具体的にぶどうの成分の何が原因で腎臓に影響を与えるかは明確になっていませんが、ぶどうを食べたことによって腎不全を起こした例が報告されています。
腎臓は、体の中の有害な老廃物をおしっことして体の外に排出する役割を担っています。
腎不全とは、その腎臓が75%以上ダメージを受けている状態で、重症化すると体の中の老廃物を排泄できなって尿毒症を引き起こし、元気食欲の低下、吐き気や下痢、重症では意識不明、痙攣などに繋がります。
最悪の場合は命に関わるとても怖い病気です。
私たちが普段口にしている食材で、まさか愛犬が亡くなるとは思いもしませんよね。
もしかしたら「今まで普通に与えていて何の問題もなかった」という方もいるかもしれません。
ぶどうの何の成分によって腎臓の機能障害が引き起こされるのか原因が不明なため、どのくらいの量を摂取すると危険なのかもわかっていません。
体の大きさなど個体差もあるので、一概には言えません。
しかし、ぶどうを摂取したことによる死亡例も報告されているのは事実ですので、決して与えないようにしましょう。
それでは、犬がぶどうを食べてしまった場合、どのような症状が出るのでしょうか。
ぶどうを食べてからおおよそ2時間から5時間程度で、以下のような中毒症状が現れると言われています。
嘔吐、下痢、食欲不振、腹痛、元気消失など。
嘔吐や下痢は、回数が少ない場合は少し体調が悪いのかなと見過ごしてしまう可能性があります。
また、少し様子を見ようと思っていると悪化してしまうこともあります。
嘔吐、下痢、脱水症状、おしっこが出ない、意識の低下、呼吸の異変、背中を丸めているなど。
最後の「背中を丸めている」のは、中毒の影響で腎臓に痛みがあり、そのために背中を丸めてじっと耐えているケースです。
ここまでくると、普段と明らかに様子がおかしいのが見て取れます。
ぶどうを犬に与えた場合、最悪の場合は死に至るほど危険であることは上記の通りですが、誤ってぶどうを食べてしまった場合はどうしたら良いのでしょうか。
ぶどうを食べてしまった量にもよりますが、まずは動物病院に相談しましょう。
特に、既に中毒症状が現れている場合は一刻を争います。
個体によってどのくらい食べると中毒症状が現れるかはわかりません。
実際にぶどうの中毒症状で命を落としてしまったわんちゃんは、小型犬で70gほどの量を摂取して亡くなってしまった例がありますが、これより少なければ問題ないという保証は一切ありません。
また、今まで問題なく食べていたからこれからも大丈夫という保証もありません。
まずは「犬にとってぶどうは中毒になる可能性がある」ということを十分に認識した上で、わんちゃんには与えないようにしましょう。
そして、目を離した隙にわんちゃんが勝手に食べることのないよう、リビングやキッチンなどわんちゃんの手の届く場所にぶどうを置かないように気を付けてください。
ぶどうを与えた場合の危険性は既にご紹介した通りですが、実はぶどうの加工品にも注意が必要です。
ぶどうの加工品であるレーズンも当然犬に与えてはいけません。
レーズンはぶどうを干して加工しているため、ぶどうの成分が濃縮されています。
そのため、ぶどうを食べるよりもレーズンを食べる方がさらに中毒症状を起こす可能性が高いと思われます。
その他、レーズンパンやレーズンを使ったお菓子類にも気を付けましょう。
また、ぶどうのエキスが入ったゼリーやぶどうジュースにも注意が必要です。
個体それぞれで中毒が出てしまう摂取量も異なりますし、ぶどうのどの成分による中毒症状かもわかっていないため、加工品のために抽出したエキスによって中毒症状が出てしまう可能性も否めません。
人間にとっては甘くてみずみずしく美味しいぶどう。
しかし、そんな美味しいぶどうでもわんちゃんにとっては死にも繋がってしまうかもしれない怖い食べ物です。
わんちゃんたちは、自ら危険な食べ物と理解ができないので、飼い主である私たちがきちんと管理してあげることが重要です。
わんちゃんが食べられないものをしっかりと理解することも大事な飼い主の義務です。
愛犬の体調管理に気を配りながら、少しでも一緒に楽しい毎日を送りましょう。
※合わせて読みたい: 【獣医師が解説】犬にブルーベリーを与えてもいい?中毒の報告と白内障への効果について
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/05/30
公開日 : 2018/12/02