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今までは犬にブルーベリーを1日10粒ほどであればあげても良いと言われていました。
ところが、近年になってブルーベリーで中毒をおこす犬がいるという話も散見されるようになってきました。
果たしてブルーベリーは犬に中毒を起こすのでしょうか。
最近になってなぜブルーベリーが犬に危険かもしれないという話が出てくるようになったのかというと、米国獣医栄養学専門医の獣医師の一人が、犬のブルーベリー中毒について発表したことから始まっています。
ブルーベリーを食べた犬に以下のような中毒症状が見られたら要注意です。
ただ、論文を検索しても上がってこないことから、しっかりとした発表が待たれている状況です。
今までブルーベリーをあげていても、何も健康面で問題が出たことはないという方も多いのではないでしょうか。
これまでの常識では、ぶどうは中毒が出るものの、ブルーベリーは大丈夫と思われていました。
しかし、ブルーベリーが危険かもしれないという報告が出ているのであれば、あえてブルーベリーを食べさせなくても良いでしょう。
食物中毒の影響は、個体差が大きいことが特徴です。
一口食べただけでも命に関わるような悪影響が出る犬もいれば、お茶碗一杯ほど食べても大丈夫な犬もいるのです。
絶対に安全と言われているものでないのであれば、口にしない方が賢明です。
人用と同様に、犬用のブルーベリーサプリメントも多く発売されています。
これらのサプリメントが安全なのかをここで簡単に判断することはできません。
まずブルーベリーの何が犬に中毒を起こす物質なのかもはっきりと分かっていない状況なので、サプリメントに含まれるブルーベリーの物質が必ずしも悪いものとは言えません。
ブルーベリーサプリメントが必須ということでなければ、あえて与えなくても良いかと考えます。
健康のためにブルーベリーサプリメントをあげたいという方は、メーカーさんに「安全性試験」について問い合わせるのも良い方法です。
信頼のおけるメーカーさんであれば、製品をどのくらい食べても大丈夫か、どのくらい食べると有害事象が見られたかのデータを持っているかもしれません。
これらを確認できれば、飼い主様も安心できるのではないでしょうか。
犬にも良いとされているブルーベリーの栄養素をご紹介します。
基本的には抗酸化物質であり、毛細血管の損傷を予防する効果や、免疫調節機能の向上効果が期待されています。
カロテノイドの一種であり、脂溶性の天然色素として植物や細菌、藻類によって合成されます。
光酸化障害を予防する効果があるものの、哺乳動物にとってのビタミン(なくてはならないもの)というわけではありません。
抗酸化作用があり、体内での代謝で酸性された活性酸素を消去することで、細胞膜を保護することが分かっています。
脂溶性物質なので、脂肪分と同時に摂取(食べる)ことで腸管からの吸収率が上がります。
脂溶性ビタミンの一つであり、抗酸化作用によって活性酸素の悪影響から細胞膜を守っています。
また、細胞シグナルの調節、遺伝子発現、免疫機能調節、アポトーシス(細胞の自死)に必要な物質です。
犬でのビタミンE欠乏症では、骨格筋の脆弱化、精子形成の阻害、不妊が見られますが、総合栄養食の品質が向上している近年では欠乏症を見かけることはありません。
脂溶性ビタミンは過剰摂取によって毒性が出てしまうことが多いなか、ビタミンEは安全性が高く、明確な毒性が出ないことが多いです。
それでも、ビタミンEを過剰に摂取させることにより他の脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、K)の吸収が阻害され、それらの欠乏症になる可能性はあります。
人間やモルモットはビタミンC(アスコルビン酸)を体内で合成することができないために食べ物から得る必要がありますが、犬や猫は体内で作り出すことができます。
ほとんどの哺乳類はグルコース(糖分)からビタミンを合成(グルクロン酸経路により)することができます。
ビタミンCは生体内で多くの重要な役割を担っており、抗酸化作用としての働きや、コラーゲン生成、薬剤やステロイド、チロシンの代謝にも必要な物質です。
ただ、健康な犬は体内でビタミンを合成しており、食べ物で補給しなくても欠乏症になることはありません。
中高齢の犬の黒目が、白く濁るように変化してくることは多くあります。
似たような症状に核硬化症(かくこうかしょう)というものがあり、やはり目が白くなって見えます。
これは加齢性の変化であり、視力の低下もあまりありません。
しかし、眼の白濁が白内障であれば、ゆっくりと見えにくくなり、緑内障に発展することもあります。
そのため、白内障は飼い主様の関心が高い病気ではないでしょうか。
たくさんのサプリメントや点眼薬が存在しているのですが、犬の白内障に効果的な(治るような)内科治療はありません。
様々な獣医眼科専門書でも内科治療の効果は懐疑的であり、ほとんどの獣医眼科医は内科治療ではなく外科治療を推奨しています。
それでは、白内障の治療にはどのようなものがあるのでしょうか。
第一選択は、人と同様に白く濁った水晶体を除去し、眼内レンズを挿入する外科手術です。
近年では眼科専門の動物病院も増えており、中~大規模の動物病院でも白内障の手術を実施している所が多くなっています。
難しい手術ではないものの、術後に合併症が出ることもあるので、安易に踏み切ることはおすすめしません。
手術費用も50〜150万円と幅もあるため、複数個所の動物病院を検討した方が良いでしょう。
本当に手術が必要なのか、手術が出来る状況なのか、術後の合併症にはどんなことが考えられるのかを、必ず担当の獣医師に説明してもらうようにしてください。
白内障の多くは後天的に中高齢で発症しますが、先天的なものも存在します。
遺伝性の白内障では、まだ若い生後数か月で水晶体の白濁(目の中が白い)が発見されます。
大体の白内障は加齢による変化であることが多く、その変化を止める術がない状況です。
加齢以外では、目の炎症から波及して白内障が加速することもあります。
そのため、いつもより涙が多い、白目や結膜に充血がある、目を開きづらそうにしているなどの症状があった時には、すぐに受診することが大切です。
白内障がブルーベリーサプリメントで治った!というような劇的な効果は期待できません。
また、ブルーベリーサプリメントを利用していても、予防や進行の遅延もあまり期待できないのが実情です。
それでも、抗酸化物質を含むブルーベリーサプリメントは、毛細血管や視神経に良い効果が期待されています。
白内障だけでなく、腎不全の犬用にもブルーベリーエキスが使われているものもあります。
これは、抗酸化作用や抗炎症作用を期待してのサプリメントです。
今までブルーベリーサプリメントを飲んでいる犬に、他の犬よりも腎臓が悪くなっている印象はありません。
ブルーベリーの何が犬に悪さをしているのかが判明していないため、エキスと書いてあるものはブルーベリーの毒性のない部分を使っているのかもしれません。
毒性試験や安全性試験を行っているメーカーのものであれば、ブルーベリーエキスの健康への効果も期待できます。
犬が嫌がっていないのであれば、サプリメントも悪いものではないでしょう。
犬はぶどうを食べると中毒症状が出る危険性があるというのは、よく知られた事実です。
ところが、ぶどうの何が悪いのかは実はまだわかっていません。
分かっているのは、干しぶどうの方が毒性が強いらしいということぐらいです。
日本ではぶどう中毒になった症例は少ないものの、海外の報告では数粒のぶどうでも中毒症状を起こして、腎臓が悪くなってしまったというものもあります。
ぶどうと一口に行っても、色や大きさ、形が様々で、どの種類のぶどうが悪いのかも不明です。
それでもぶどうを犬にあげてはいけないというのが常識となっています。
報告されている犬のぶどう中毒の症状は、以下のようなものです。
また、重症で急性腎不全(腎臓に大きなダメージが出て、機能が低下している状態)になってしまった場合、入院治療が必須となります。
ぶどうを犬にあげてしまうケースは多くあり、「二粒しかあげていないのですが、受診が必要ですか?」とお電話で聞かれることがあります。
海外の中~大型犬が数粒で中毒を出しているので、特に小型犬では数粒なら大丈夫とも言えないのがぶどう中毒です。
犬がぶどうを食べてしまったときは、すぐにかかりつけの動物病院に電話しましょう。
そして、食べた直後で、吐かせる処置が妥当かどうかを獣医師に診察してもらいます。
中には「吐かせる処置って何?」と不安に思われる方がいるかもしれません。
具体的な方法としては、お注射で持ちが悪くなるお薬を投与します。
それによって、胃内にあるうちは吐き戻してもらうことが可能になります。
大きな持病(発作を持っているなど)が無ければ、基本的に大きな問題の出ない処置ですが、事前に獣医師から使うお薬のリスクをしっかりと聞いておきましょう。
食べたのが数時間前となると、胃から先の小腸までぶどうが流れていってしまっているかもしれません。
その場合は吐かせることが出来ないので、中毒症状が出ないことを祈ることになります。
中毒になりそうな時には血液検査をしてみて、肝臓や腎臓などに負担がかかっていないのかを検査します。
点滴やビタミン剤、活性炭などの吸着剤を飲むなどの治療を指示されることもあります。
※合わせて読みたい: 犬はぶどうを食べたら危険!その理由と食べてしまった際の対応について
ぶどうに中毒性があるのであれば、ブルーベリーにも毒性があってもおかしくないような気はします。
ただ、健康食品という印象が強いだけに、ブルーベリーもダメなのかと驚かれたのではないでしょうか。
実際に犬用のサプリメントにはブルーベリーエキスが使われているものが多くあるので、獣医師でも戸惑っています。
また、ぶどうについても犬の勉強をしていないと、あんなに美味しいぶどうが中毒を起こすなんて想像がつきにくいかと思います。
玉ねぎ、ニラ、ニンニク、香辛料などは、いかにも犬が食べるべきでは無さそうですが、甘くておいしいぶどうも中毒物質なのです。
同じく、意外にも犬には毒性が強いものに歯に良いキシリトール、増毛剤のミノキシジルなどがあります。
このように人には良いと言われているものでも、犬には命に関わる中毒物質になるという物は多く存在するのです。
美味しいものを家族である愛犬にも味わってもらいたい気持ちはよくわかります。
しかし、人の食べているものを犬にあげる前に、必ずあげても大丈夫なものなのかを事前に調べるようにしましょう。
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/02/04
公開日 : 2022/02/04