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ノスリは日本をはじめ、広い範囲に生息している猛禽類の1種です。
「野を擦るように飛ぶ」 ことから、ノスリという名前が付けられたと言われています。
その色合いや鷹に似ているのに鷹狩りに使えないところから、「馬糞鷹(マグソダカ)」という大変不名誉な名前で呼ばれることもあるようです。
ユーラシア大陸の温帯に広く生息しています。
日本でも北海道から九州まで広い範囲に生息している、身近な猛禽類の1種です。
全長は50~60cm程、体重は0.5~1.3Kg程で、メスの方が大きい傾向にあります。
翼を広げると130〜150cmほどになります。
ノスリは「ピィヨー」「ピィエー」と鳴きます。
比較的良く鳴き、姿は見えなくても鳴き声が聞こえるということもしばしばあります。
ノスリは ネズミ やモグラを主食に、小型の鳥や カエル を食べて暮らしています。
ヘリコプターのように空中でホバリングしながら餌を探す習性があるため、餌を探している時のノスリは観察やバードウォッチングに適しています。
ノスリは他の猛禽類と比べると黒目がちで、かわいい顔をしています。
同じくらいの大きさの猛禽類よりもずんぐりした体型をしていて、枝に止まっている姿はなんとも言えない可愛らしさがあります。
ノスリは5〜6月頃に2〜3個の卵を産みます。
卵はオスとメスが交代で温め、33~35日程で孵化します。
ノスリの野生下での寿命は20年程と言われています。
ノスリと同じ中型のタカである「 オオタカ 」は、飼育下で20~25年は生きることから、ノスリも飼育下ではもう少し長く生きるのかもしれません。
なお、一般的に野生下より飼育下の方が長生きする動物が多いとされています。
身の安全が保障されている(外敵がいない)こと、毎日栄養価の高い餌を与えられること、適切な治療が受けられることなど様々な要因が影響しているようです。
日本国内では、3亜種のノスリが記録されています。
ノスリ属としてみるとさらに数多くの亜種が存在していますが、ここでは日本国内で見られる3亜種に限って解説します。
猛禽類の仲間の中ではトビと同じくらい、もしくはトビに次いで良く見かける動物です。
比較的開けた農地や野原で狩りをするため、関東圏にもかなりの数が生息しています。
大東諸島にのみ生息していた、島固有の亜種です。
環境省が制定しているレッドリストでは「EX」(絶滅)に分類されています。
1970年代から目撃、捕獲された記録がないことから既に絶滅してしまったと考えられています。
1964年に3つがいと1973年に1羽が目撃されたのみで、その生態はほとんどわかっておらず、写真やイラスト、はく製などの資料もあまり残っていません。
小笠原諸島にのみ生息している、島固有の亜種です。
環境省が制定しているレッドリストでは「EN」(絶滅危惧IB類 )に分類され、絶滅が心配されています。
天然記念物にも指定され、国をあげた保護の対象になっています。
分類:鳥綱 タカ目 タカ科 ノスリ属
和名:鵟
学名:Buteo japonicus
英名:Eastern Buzzard
分布:ユーラシア大陸、日本
大きさ:
全長:約50~60cm
体重:約0.5~1.3Kg
鳴き声:「ピィヨー」「ピィエー」
食性:動物食
繁殖:
性成熟:2~3年程
抱卵期間:33~35日程
産卵数:2〜3個
寿命:20年程度
日本国内において、ノスリをペットとして飼うことは可能です。
しかし、日本国内に生息している野生のノスリ(Buteo japonicus)を許可なく捕獲して飼うことはできません。
ノスリは多くの亜種があるため、アカケアシノスリやヨーロッパノスリなどの海外産の個体、もしくは海外産のペアを繁殖させた個体であれば、購入して飼育することができます。
なお、ノスリの近縁種であるモモアカノスリ(ハリスホーク)は比較的流通量が多く、愛好家も多いようです。
当項目ではノスリだけではなく、海外産の亜種やハリスホークを、ペットとして飼育する場合の購入方法や飼育に必要なものについて解説していきます。
ノスリは野生動物であり、そう簡単に購入することができません。
海外産の亜種やハリスホークについては、海外産の個体や海外産のペアを繁殖させた個体がペットショップや猛禽類専門店などで販売されています。
ノスリは一般的に販売されている動物ではないため、具体的な値段は不明です。
海外産亜種についても流通量が多くないため値段は不明ですが、かなり高価であると推測されます。
ハリスホークは年齢や性別にもよりますが、15〜30万程度で販売されています。
海外産の亜種ではなく、ノスリ(Buteo japonicus)を飼育したい場合は野生の個体を捕獲するしかありません。
ただ、日本国内に生息している動物のほとんどは、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣法)により、捕獲や飼育が禁止されています。
環境大臣もしくは都道府県知事の許可を得れば捕獲することができますが、学術研究目的や動物による農作物被害の防止目的など、具体的な目的がなければ許可が下りることはありません。
海外産のノスリやハリスホークについては、それほど入手が難しい動物ではありません。
しかし、猛禽類である彼らはペットショップで販売されている動物たち以上に飼育が難しく、一般向けのペットではありません。
お迎えする時は必ず念入りに準備を行ってください。
野生のノスリはネズミやモグラ、小型の鳥、カエルや ヘビ などを食べています。
ペットのノスリにはマウスやラット、 ウズラ やヒヨコなどを与えると良いでしょう。
猛禽類は肉の部分だけ食べていると栄養不足になってしまうため、内臓や骨などがついたそのままの状態で与えることが大切です。
ノスリやハリスホークを飼育する際は、彼らを繋いでおくための台座が必要です。
これはファルコンブロックと呼ばれるもので、猛禽類専門店で販売されています。
それなりに値段が張ることから、自作する方もいらっしゃるようです。
ノスリやハリスホークをはじめ、猛禽類は非常に鋭い爪を持っています。
腕にそのまま乗せることはできないため、頑丈でしなやかな皮素材でできた猛禽類用のグローブは必需品です。
調教をする際だけでなく、体調をチェックしたり病院に連れて行く際など、何かと使う機会があるでしょう。
イヌ に付ける 首輪やリード の役割を果たす、アンクレットやジェスを用意しておきましょう。
慣れれば自作することもできますが、最初は猛禽類専門店で販売されているものを購入した方がよいでしょう。
ノスリはどの亜種についても、飼育している方はそれほど多くないようです。
そのため、飼育の難易度やどのくらい人に慣れるかという点は不明ですが、他の猛禽類と同じく非常に神経質であると考えられます。
ハリスホークは鳥類にしては珍しく社会性を持ち、人に非常に慣れやすい性質を持っています。
猛禽類の中では初心者向けである、猛禽類の入門種であるなどと言われていますが、彼らを健康に飼育するのは簡単なことではありません。
近所に猛禽類を見てくれる動物病院はあるでしょうか。
20年先も面倒を見てあげられるでしょうか。
お迎えする前に彼らがどういった動物なのか、どういった病気になりやすいのか、どういった点で費用がかかるのかしっかりと把握しておいてください。
ノスリはケガや病気をして保護され、野生に戻すことができないと判断された個体が動物園で飼育されていることがあります。
常に飼育されているとは限らない動物であるため、興味があったらぜひ動物園に行ってみてください。
ノスリ(釧路市動物園)
— Funa (@Funa_Rhizobia) March 19, 2018
やっぱり猛禽でもノスリやトビは呑気な顔してるわ #写真 #ノスリ #動物園 pic.twitter.com/3gBCz64rs8
オジロワシやオオタカ、エゾフクロウなど多くの猛禽類が飼育されている釧路市動物園では、2010年に保護されたノスリが飼育されています。
ぜひ他の猛禽類たちと、ノスリの顔の違いを観察してみてください。
住所:北海道釧路市阿寒町下仁々志別11番
マップ: Googleマップ
電話番号:0154-56-2121
入園料:
一般 570円
中学生以下 無料
開園時間:
9:30~16:30(4月10日~体育の日まで)
9:30~15:30(体育の日~4月9日まで)
休園日:水曜日(12月~2月の間のみ、祝祭日の場合は営業)
公式ホームページ: 釧路市動物園
横浜市内という便利な立地にありながら、入園無料である野毛山動物園でもノスリが飼育されています。
ノスリと同じ猛禽類である、ハヤブサやコンドルも一緒に観察してみてはいかがでしょうか。
住所:横浜市西区老松町63-10
マップ: Googleマップ
電話番号:045-231-1307
入園料:無料
開園時間:9:30~16:30
休園日:月曜日(祝祭日の場合は営業、翌日休園)
公式ホームページ: 野毛山動物園
当記事では身近な猛禽類である「ノスリ」について解説してきました。
かわいい顔で畑を荒らすネズミを退治してくれる農家の味方、ノスリのことを少しでも知って頂けたら嬉しいです。
これからも彼らが空を飛び回り、子育てができる自然環境を維持していきたいですね。
公開日 : 2019/04/09