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オオタカは世界のかなり広い範囲に生息している、中型の猛禽類の一種です。
日本にも生息しており、九州や四国の一部を除いた広い範囲で生息していることが確認されています。
オオワシやオジロワシと比較すると体はやや小さく、オスよりメスの方が大きな体を持っています。
非常にハンティング能力が高いことから、古くから鷹狩に用いられてきました。
ちなみにオオタカの「オオ」は元は”大きい”という意味ではなく、”蒼”という意味であったようです。
つまり、大きなタカではなく、色が蒼い(青い)タカということで”オオタカ”という名前が付いたと言われています。
オオタカは一時期密猟や生息地が開発されたことから数が減り、絶滅が危惧されていました。
しかし、その後の法律による保護や開発の制限が実を結び、大きく数を増やしました。
そのため、現在では国内希少種指定が解除され、絶滅の恐れは少なくなったと考えられています。
ただ、飼育やはく製作り目的の密猟が絶えないこと、依然として主な生息地である山地の開発が進んでいることから、引き続き法律で厳重に守られています。
北アフリカからユーラシア大陸、北アメリカに至るまでかなり広い範囲に生息しています。
日本では北海道から本州を主に、九州や四国の一部でも生息が確認されています。
オオタカを基本として10亜種に分類されています。
学者によってはそれ以上に分類を行っていることもありますが、ここでは和名が付いている6亜種について紹介します。
学名に「フジヤマ」という名前が付いた、日本やサハリン、南千島に生息している亜種です。
中国から朝鮮半島に生息し、冬鳥として日本に飛来することもある亜種です。
ロシア周辺に生息する亜種で、名前の通り白い羽毛と大きな体が特徴です。
ヨーロッパ北部周辺に生息する、大型で非常にパワフルな亜種です。
イギリスと北部を除くヨーロッパに生息する、比較的小型の亜種です。
北部を除くアメリカやカナダに生息する亜種です。
全長はオスで50~59cm程、体重は540~1.2Kg程です。
翼を広げると1~1.3m程にもなります。
オオタカは「キッキッキッ」「ピョー」と鳴きます。
声だけ聞いたら猛禽類とはわからないような、高めの声をしています。
オオタカは ハト や ムクドリ などの鳥類、 リス や ネズミ などのほ乳類を食べています。
知能の高い カラス すら捕獲してしまうほど、高いハンティング能力をもっています。
背面は青っぽい色を帯びた黒色で、腹面は白色で細くて黒い横じま模様が入っているのが特徴です。
目の上にはまるで眉毛のように見える、白い帯状の模様が入っています。
オオタカは2~3月に巣作りを始めて4~5月に抱卵期を迎え、1回に1~5個の卵を産みます。
卵はメスが主体となって温め、35~43日程で孵化します。
分類:鳥綱 タカ目 タカ科 ハイタカ属
和名:大鷹
学名:Accipiter gentilis
英名:Northern Goshawk
分布:北アフリカからユーラシア大陸、北アメリカ、日本
大きさ:
全長:約50~59cm
体重:約540~1.2Kg
鳴き声:「キッキッキッ」「ピョー」
食性:動物食
繁殖:
性成熟:オス・約4年、メス約8年
抱卵期間:35~43日程
産卵数:1~5個
寿命:野生下で約10~12年、飼育下では約40年
オオタカを日本国内において、ペットとして飼うことは可能です。
ただし、正式な手順を踏んで輸入・捕獲された個体、もしくは輸入個体から繁殖させた個体に限ります。
オオタカは日本にも生息している動物ではありますが、国内のオオタカは鳥獣法で保護されているため、許可なく捕獲や飼育をすると法律違反となり、罰せられてしまうので注意が必要です。
また、オオタカは元々山地に住んでいる動物であるため、非常によく通る大きな声で鳴きます。
集合住宅や防音に配慮しない環境で飼った場合、まずご近所トラブルの原因になると考えてください。
海外産の個体、もしくは海外産個体を繁殖させた個体がペットショップで販売されていることがあります。
それらの個体であれば、特に法律的な問題もなく購入して飼育することが可能です。
オオタカは種類や性別、羽根の具合によってかなり値段に差があります。
1羽あたりおおよそ30万~100万程度で取引されています。
ちなみにペットショップを通さず、オオタカを個人で輸入するのはなかなか大変な作業となります。
オオタカはCITES(サイテス・ワシントン条約のこと)の付属書Ⅱ類に分類されている動物です。
将来絶滅の危険性が高まる可能性があることから、国際間の商業取引が制限されています。
そのため、オオタカを海外から国内に輸入する際は、 輸出国の政府が発行する許可証 が必要となります。
また、日本国内のオオタカは 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣法) により、捕獲や飼育が制限されています。
ペットとして飼うために捕獲することは原則許可されず、鷹狩や学術研究など具体的な目的があって捕獲を行いたい場合は、都道府県に届け出を行い、そこで許可を得るような形になります。
許可を得た後は都道府県に飼養申請を出し、年に1度その登録内容を更新する必要があります。
オオタカを入手することができたら、早速飼育環境作りに取り掛かりましょう。
オオタカは鷹狩に使われた歴史は長くても、ペットとして飼われている歴史が長いわけではありません。
決して飼いやすい動物ではないことを常に頭の片隅に置いておきましょう。
野生のオオタカは、鳥やほ乳類を捕まえて食べています。
自宅で飼う場合は冷凍ウズラやラット、ハトなどの動物を丸ごと与えます。
与える前にはある程度解凍しておき、凍ったまま与えないようにしてください。
与える量はオオタカの体重にもよりますが、毎日ウズラを2羽程度食べる個体が多いようです。
訓練の時や入手できた時は、ハトやマウスなどの生餌を与えると良いでしょう。
なお、人間が食べる肉は血や内臓が抜かれているため、猛禽類のエサ(栄養源)には適しません。
オオタカを鷹狩に使わず、完全に室内飼いにする場合も、ある程度管理できるようにしておくことが望ましいです。
イヌに付ける首輪やリードの役割を果たす、アンクレットやジェスを用意しておいた方が良いでしょう。
鷹匠の方や フクロウ ・タカなどを飼っている方がそれらのグッズを手作りする方法を公開していたり、ハンドメイド品を販売していたりすることがあります。
できれば道具の使い方やしつけの方法も、一度はプロの教えを受けることをおすすめします。
個体差はありますが、オオタカは季節を問わず水浴びすることを好みます。
オオタカの体が入るくらいの洗面器や、水浴び場を用意してあげましょう。
オオタカは猛禽類の中でも警戒心が強いことから飼いにくく、初心者向きではない動物です。
根気よく慣らせば腕に乗ってくれるようにはなりますが、人に懐くのではなく慣れるだけと考えましょう。
初心者は猛禽類についてよく勉強し、オオタカを飼う前にチョウゲンボウやトビ、ノスリの仲間を飼うところから始めてください。
オオタカをペットとして飼うことはできますが、今まで解説してきた通り決して簡単なことではありません。
まずはオオタカがいる動物園に通い、その声の大きさや羽を広げた時のサイズ感を確認してみてください。
オオタカは怪我をして飛べなくなった、弱っていた等の理由で保護されて動物園に搬入されることが多く、比較的飼育している施設があります。
京都市動物園のオオタカ。
— Shrimpie(シュリンピー) (@molamola_lucky) April 20, 2017
足元の生のエサを食べているところ… #動物園 #京都市動物園 #オオタカ pic.twitter.com/RtHdne4XjX
動物の繁殖に力を入れていることで有名な京都市動物園にて、オオタカが飼育されています。
傷ついた野生のオオタカを保護し、治療してから野生に復帰させる試みも行われています。
住所:京都府京都市左京区岡崎法勝寺町 岡崎公園内
マップ: Googleマップ
電話番号:075-771-0210
入園料:
一般(高校生以上) 600円
中学生以下 無料
開園時間:
3月~11月 9:00~17:00
12月~2月 9:00~16:30
休園日:月曜日(祝祭日の場合は翌平日)
公式ホームページ: 京都市動物園
国内最大級の飼育施設を建設し、アジアゾウを導入したことで話題になっている円山動物園でもオオタカが飼育されています。
冬場に行くと、オオタカをはじめ雪の中で生き生きと過ごす動物たちを観察することができます。
住所:札幌市中央区宮ヶ丘3番地1
マップ: Googleマップ
電話番号:011-621-1426
入園料:
大人(高校生以上) 600円
小人(中学生以下) 無料
開園時間:
3月~10月 9:30~16:30
11月~2月 9:30~16:00
休園日:公式ホームページの「 開園時間及び休園日 」を参照
公式ホームページ: 札幌市円山動物園
※合わせて読みたい: 「円山動物園」の歴史や見所、料金やアクセス情報など
世界遺産である姫路城の中にある姫路市立動物園では、オオタカが導入されています。
今後姫路城にまつわる鷹匠文化を継承し、フライトショーを行っていくようです。
オオタカと人との信頼関係を実際に目にすると、オオタカに対するイメージが変わるかもしれません。
住所:姫路市本町68番地 姫路城東側
マップ: Googleマップ
電話番号:079-284-3636
入園料:
大人(高校生以上) 200円
小人(中学生以下) 30円
開園時間:9:00~17:00
休園日:12月29日から1月1日のみ
公式ホームページ: 姫路市立動物園
オオタカの生態や捕獲、飼育に関することについて解説してきました。
非常に格好良いため憧れる方も多い猛禽類ですが、正直 飼育難易度がかなり高い動物 です。
簡単な気持ちで飼い始めると、人もオオタカも不幸になりかねません。
オオタカに十分な運動をさせてあげられるでしょうか、毎日冷凍ウズラやマウスを与えられるでしょうか。
多くの時間をつぎ込んで根気よく向き合い、信頼関係を築き上げることはできるでしょうか。
オオタカ自体の値段に加え、最長40年間の餌代や病院代、消耗品代や光熱費を払い続けられるでしょうか。
オオタカはしっかりと向き合うことができれば、掛け替えのないパートナーになってくれる動物です。
せっかくお迎えするのですから、人もオオタカも幸せになれるようにぜひ準備を万全にしてあげてくださいね。
最終更新日 : 2021/11/02
公開日 : 2019/03/29