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鳥ペットの病気といっても、ピンとこない方も多くいらっしゃることでしょう。
そもそも、どんな病気があるのでしょうか?症状は?対策の仕方は?
そんな様々な疑問にお答えするため、今回は簡単な流れに沿って、病気の種類や予防方法を紹介していきます。
鳥ペットの病気は、細菌や寄生虫、生殖器系のトラブル、神経の異常など、様々な理由によって引き起こされます。
この項目では、特に代表的な病気を取り上げ、それぞれの 原因 と 症状 、 対策 について紹介します。
さらに、病気ごとにかかりやすい鳥ペットの種類を挙げていきますので、ぜひ参考にしてください。
鳥同士の接触や、便、羽毛の経口摂取により感染します。
また、母鳥から卵への垂直感染も確認されています。
治療が非常に難しく、死亡してしまう可能性があります。
急性の場合、 食欲不振 、 下痢 、 貧血 などが見られ、 突然死 してしまうことがあります。
抗ウイルス剤がないため、 発症後の治療は難しいとされています が、投薬や食事で免疫力を高める方法もあります。
定期的な検診も有効です。
危険性が高いのは セキセイインコ 、 コザクラインコ 、 ボタンインコ 、 ヨウム 、大型オウム類など。
オカメインコ の発症は少ないようです。
人に感染する恐れもある 人獣共通感染症 です。
鳥ペットをお飼いの方で、 軽度なインフルエンザ症状が長く続く、原因不明の 高熱や咳 といった症状が現れたら、病院に行きましょう。
その際、鳥ペットを飼っていることを医師に伝えます。
適切な治療を受ければ大事に至ることはありませんが、発見が遅くなると多臓器不全に至ることもあります。
また、潜伏期間が数日から数年と長いので注意が必要です。
発症後は、動物病院で抗生剤の投薬を行うことができます。
投薬を行う場合は、副作用に注意が必要です。
主にセキセイインコ、オカメインコなど。
ハトや九官鳥でも見つかっています。
フィンチ類や カナリヤ では少ないです。
感染した鳥の便を摂食してしまうことにより寄生されます。
ジアルジアは、人にも感染する人獣共通感染症です。
また、犬や猫にも感染します。
動物病院などで投薬を行いましょう。
文鳥 にも時々見られます。
親鳥からヒナへ口移しで給餌することによる 経口感染 が多いです。
人のトリコモナスとは別物なので、鳥のトリコモナスは人に移りません。
感染した鳥との飲み水や餌の共有によって感染します。
親鳥から雛への感染が主な経路です。
そのうや食道、口の中に炎症 を起こし、 餌を吐き出す ようになります。
保温環境を作り、動物病院などで投薬を行います。
ラブバードや大型オウム類は発症例が少ないようです。
菜種や大豆、キャベツなどの過剰摂取で、甲状腺ホルモンの素材であるヨウ素を取り込むことができなくなることが原因です。(甲状腺種誘発物質を含みます)
甲状腺ホルモンが減ることにより、毛並み(羽毛の艶)が悪くなり、脂肪代謝の変化で脂肪腫ができることもあります。
呼吸時に苦しそうにし始め、進行すると 呼吸困難 、 心不全 、 餌の吐き出し が起こります。
場合によっては 肥満 を引き起こします。
さらに症状が進行すると、 死に至る場合もあります。
日頃から、副食として ボレー粉 などを与えるようにしましょう。
ヨード剤を与えるなど、投薬を行うこともできます。
ヒナの頃に多く見られる病気です。
進行すると 脚や 翼が麻痺 します。
粟玉(むき粟に卵黄をまぶしたもの)は炭水化物が多く、ビタミンが不十分なので、 パウダーフードなどと併用するようにしてください。
動物病院などで投薬、注射を行うこともできます。
主にセキセイインコ、オカメインコ、文鳥、大型オウム類などに見られます。
さらに進行すると 胃出血 を起こし、便の色が黒っぽくなります。
診断的治療として、動物病院などで投薬を行うことができます。
ストレスを感じている場合もあるので、環境に配慮してあげましょう。
卵がなかなか産出されず、痛みで苦しそうにしていたら卵づまりの可能性が高いです。
冬場など気温の低い時期は、 保温をしっかりしてあげることも大切です。
症状が見られた場合は保温をし、 すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
進行すると、 腹部膨大 、 脚麻痺 や 呼吸困難 などを引き起こします。
発情期の健康チェックを念入りに行いましょう。
原因は様々ありますが、 飼い主さんとの心の距離の問題 が原因となることもあります。
ただ、寄生虫やウイルス感染、血行障害などによっても起こるため、それらを診察してもらいましょう。
ここからは、病気の予防と対策についてご紹介します。
「何か特別な方法が必要なの?」と思われるかもしれませんが、実は日々のお世話で防いでいくことが可能です。
お世話のポイントとなるのは、 運動 、 餌 、 日光浴 の3つです。
日常の中でどうやって対策していくのかということを、上記の項目ごとに説明していきます。
日々の運動は、鳥ペットの健康に欠かせない要素です。
運動不足は肥満の原因にもなりますし、ストレスを感じさせてしまいます。
肥満もストレスも、鳥ペットにとって様々な病気の原因となる可能性があります。
それでは、どうやって運動をさせたらいいのかをご紹介します。
放鳥とは、普段ケージの中にいる鳥ペットを一定時間外に出してやることです。
鳥ペットを飼う上で、欠かせないお世話となります。
放鳥中に室外に飛んで逃げてしまうことがあるので、羽切り(クリッピング)を実施しておくのを忘れないようにしましょう。
野生下では自由に飛び回っている鳥さんなので、ずっとケージの中にいてはストレスがたまってしまい、毛引きの原因にもなります。
しかし、あまりにも長時間の放鳥は、鳥ペットにとってかえって良くない結果を招くことがあります。
例えば、部屋の中で事故(踏まれる、挟まれる)にあってしまうかもしれませんし、ケージに戻るのが苦痛になってしまうこともあります。
料理中や、飼い主さんの食事中の放鳥も避けましょう。
また、 鉛 や テフロン 、 亜鉛 でできたものがあると、鳥ペットが中毒を起こす危険がありますので気を付けてください。
観葉植物の誤食も危険なので、置かない方が安心です。
放鳥時間の目安としては、 1日1回、30分~1時間くらい がおすすめです。
なるべく毎日、同じくらいの時間帯にしてあげるように心がけましょう。
また、放鳥はコミュニケーションをとる場でもあるため、ぜひ一緒に遊んであげてください。
ケージの中におもちゃを入れてあげると、 運動不足の解消やストレス軽減 にも繋がります。
特に、飼い主さんが仕事でいない時間など、寂しがり屋の鳥ペットはとても喜ぶでしょう。
おもちゃには、 自然素材 のものと 人工素材 のものがあり、種類も豊富です。
一番基本的なおもちゃは、かじって壊すことができる 消耗品のおもちゃ です。
中には、知能を発達させるための 知育おもちゃ と呼ばれるものもあります。
特に頭の良い大型インコやヨウムなどにおすすめですが、鳥ペット全般に適しています。
最近では、家にあるものでつくれる 手作りおもちゃ も人気なので、興味のある方はぜひ作ってあげてください。
注意することは、齧って食べてしまうものは避けること。
そして、おもちゃが多すぎると過発情の原因にもなるので、姿の写る鏡や仲間と勘違いしそうな鳥の模型は入れないようにしましょう。
鳥ペットの餌をざっくり種類分けすると、 主食 と 副食 、 野菜類 や、 おやつ に分類することができます。
主食 には、 シード (種) と ペレット(総合栄養食) があり、最も基本的な餌となります。
鳥ペットの餌、と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、この 主食 にあたるものでしょう。
シードを好きな鳥が多いですが、栄養バランスからするとペレットの方が病気の予防になります。
そして、これらと一緒に食べる 副食 と 野菜類 はとても重要です。
鳥ペットに必要な栄養素は、この2つから補うと言っても過言ではありません。
副食 からは、ミネラルやカルシウムを摂ることができますし、 野菜類 からはビタミンを摂ることができます。
しかし、 副食 は 与える量に注意 が必要で、 野菜類 の中には 与えると危険なもの が存在します。
栄養バランスの良い餌を与えるには、正しい知識を身に付けることが必要になるのです。
また、 おやつ は栄養のためというより、鳥ペットの楽しみのために与えるものとなります。
コミュニケーションをとる上でも重要になるので、与え過ぎには注意してください。
餌についてもっと詳しく知りたいという方は、鳥ペットの代表格であるインコの餌についてまとめた記事があるため、ぜひ参考にしてください。
→参照記事: インコの餌・食事について知っておきたいコト
日光浴をさせてあげることは、鳥ペットの健康に必要不可欠です。
実は、鳥ペットは日光を浴びることによって ビタミンD3 を合成しているのです。
これは、 餌からは摂取することのできない栄養素 です。
ビタミン剤で強制的に摂取させることもできるのですが、体に負担をかけてしまうこともあるので、やはり日光浴がおすすめです。
日光浴をするときは、 15分~1時間程度 が目安です。
室外では 熱中症にならないよう 、ある程度日陰のできる場所で行いましょう。
カラスや野良猫に襲われないように注意も必要です。
外に出してあげることで環境の変化が起こり、 ストレスの解消にも繋がります。
その緊張感から過発情も抑制できるかもしれません。
もちろん、室内で日光浴をさせることも可能です。
その場合は、日光をきちんと浴びることができるように ガラス窓を開けましょう。
ガラス越しですと、必要な紫外線がカットされてしまいます。
鳥ペットには、規則正しい生活が合っているので、日光浴も同じ時間帯にしてあげると良いでしょう。
必要な栄養素が摂れる状態にしてあげて、普段から体調に気を遣ってお世話をしてあげてください。
この項目では、鳥ペットの健康チェックの方法についてご紹介します。
これを行うことで、病気の早期発見や予防に繋がります。
また、健康チェックには飼い主さんの観察眼はもちろん、 お飼いの鳥さんへの愛情 が何より大切になります。
早速、方法をマスターしていきましょう。
最初に、ざっと全体を観察します。
もし 体色に異常 があれば、栄養不足やカロリーオーバー、 PBFD などの可能性があります。
体形を見て お腹が膨らんでいる 場合は、 卵塞、脂肪腫、精巣腫瘍 などの病気を疑います。
毛が抜けている部分 がないか、 出血 がないかを確認するのも忘れないようにしましょう。
これらは 毛引き症 などの可能性を示します。
また、 膨羽 と呼ばれる羽毛を大きく膨らませた状態は、体長不良や様々な病気の可能性を示しています。
さらに、 事故による怪我 がないかどうかも観察できると良いですね。
全体の様子を把握できたら、細かい部位に注目していきます。
頭部から腹部、脚にかけて、順番に見ていきましょう。
鼻の上の ロウ膜の変色 は、オスであれば 精巣腫瘍 の疑いがあります。
ロウ膜と一緒に、クチバシの状態もチェックしましょう。
クチバシの変形 は、 PBFD の可能性があります。
クチバシの周りに、嘔吐の跡がないかも観察します。
嘔吐の跡 があれば、 トリコモナス症 や 甲状腺腫 、 胃炎 の疑いありです。
腹部の膨らみ は、 生殖器系の病気 の可能性があります。
さらに脚を見て、もし異常があれば 脚気 や 精巣腫瘍 に注意しましょう。
餌を食べる様子、呼吸の仕方など、行動もチェックのポイントとなります。
食欲不振 であれば、 細菌性の病気 や 、 トリコモナス症 、 胃炎 、 卵づまり など、様々な病気の可能性があります。
くしゃみなどの 鼻炎症状 が見られれば、 クラミジア感染症 などの可能性を考えましょう。
また、苦しそうに呼吸をしていたり、「ヒュー、ヒュー」と音を漏らしていたら、 呼吸困難 の可能性大です。
甲状腺腫 、 精巣腫瘍 や、 呼吸器系の病気 を疑いましょう。
毛を引き抜く 毛引き症 はもちろん、自傷行為をしていないか、おかしな動きをしていないかも観察しましょう。
歩き方に問題があれば、脚の怪我や、 脚気 、精巣腫瘍 などの病気を疑う必要があります。
意外に忘れられがちですが、排泄物のチェックで簡単に健康状態を知ることができます。
水っぽくないか、色はどうか、量はどうかなど、観察ポイントはたくさんあります。
下痢 をしているようなら、 細菌性の病気 や ジアルジア症 などを疑いましょう。
黒色便 は、 胃炎 を起こしている可能性が高いです。
他にも、便が緑色になっていないか、尿の量はどうかなどを観察しましょう。
以上に気を付けて、健康チェックを行ってみてください。
さらに、これらのポイントを踏まえた上で、一番に気を付けてほしいことがあります。
それは、 鳥ペットは病気をしていても、元気にふるまおうとする傾向があるということです。
少しでもおかしいと感じたら、病気の対策を行うか、すぐに動物病院に連れていきましょう。
病気を隠せないくらいの症状が現れたときには、かなり進行していることがあります。
客観的な数字として、体重をこまめに量るのも大切です。
日々のお世話とともに、愛情を持った目でお飼いの鳥さんを観察してあげてください。
鳥の種類ごとの病気について「もっと詳しく知りたい!」という方は、ぜひ下記記事もご覧ください。
→参照記事: インコの病気。予防方法、対策、症状、原因まで!
最後に、本記事の内容をおさらいしていきましょう。
放鳥 や おもちゃ の利用により、肥満やストレスを防ぐことができる。
餌には、4つの種類がある。
日光浴により、 ビタミンD3 を合成することができる。
健康チェックを行うことで、病気の早期発見や予防に繋がる。
日々のお世話に加え、愛情を持って観察を行うことが鳥ペットの健康に繋がる。
鳥ペットの病気や予防と対策方法、健康チェックの仕方などをご紹介しました。
ここで取り上げたもの以外にも、鳥ペットの脅威となる病気は存在します。
ですが、飼い主さんができる限りのお世話を行うことで、危険を避けることができるでしょう。
いつまでも、お飼いの鳥さんを大切にお世話してあげてくださいね。
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/03/14
公開日 : 2017/02/10