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動物園 でも人気者のリスザル・・・でもペットとして飼うことなんて出来るのでしょうか?
リスザルは飼育は難しいですが、自宅でも飼うことの出来る動物です。
でも、そもそもリスザルってどんな動物なのでしょうか?
そんな疑問にズバリお答えします。
専門的な分類でのリスザルは、サルの仲間のうち、 広鼻猿類 (広鼻下目) オマキザル科 リスザル亜科 リスザル属 に属する サル の総称です。
そのうち最も代表種である 「コモンリスザル」 のことを、慣習的ににリスザルとよぶことが多いようです。
そのため、他のリスザルの仲間は、「ボリビアリスザル」とかのような名称で区別されています。
リスザルの名前の由来は、 リス に似ているからなんでしょうか?
例えば、リスザルは英語でも Squirrel monkey s・・・ずばり、リスザルなのです。
でもリスザルは、どうひいき目にみてもリスに似ているとは思えません。
ではなぜリスザル?
理由として有力なのは
1. リスのように体が小さいから
2. 体の毛並みの色がリスに似ているから
なんだそうです。
なんかわかったような・・・わからないような不思議な感じですね。
サルの仲間 (霊長類)のうち、ヒトを除いたものを一般的に「 サル 」とよんでいます。
そのサルの生物学的区分はとても複雑で、細かく分類されています。
先ほど、リスザルは広鼻猿類に分類されていると紹介しましたが、サルの仲間はざっくり分けて、 「広鼻猿類」 と 「狭鼻猿類」 に区分されます。
(メガネザルの仲間、およびキツネザルなどが属する曲鼻猿亜目は除く)
広鼻猿類とは、鼻の孔の間隔が広く、鼻の孔が外側に向いている特徴を持つサルの仲間で、中南米に生息していることから 「新世界のサル」 とよばれています。
また狭鼻猿類とは、鼻の孔の間隔が狭く、孔は下あるいは前方に向いているサルの仲間で、テナガザルやチンパンジー、ゴリラなど類人猿が該当します。
これらのサルはアジアやアフリカ大陸に生息していることから、 「旧世界のサル」 とよばれています。
広鼻猿類の仲間は4科存在していて
オマキザル科 : マーモセット、タマリン、オマキザル、リスザルなど
ヨザル科 : ヨザル (夜行性のサル)
サキ科 : サキ、ウアカリなど
クモザル科 : ホエザル、クモザルなど
上記にようにリスザルは、オマキザル科に属しています。
オマキザル科の特徴としては
樹上性 (木の上で生活する)
昼行性
などの特徴があります。
リスザルを含めて、ペットとして飼育されている種類が多いのも特徴です。
また介助サルといって、四肢の不自由な身体障碍者の生活を手助けする種類 (フサオマキザルなど)も存在します。
なおリスザルの仲間は
クロリスザル
セアカリスザル (背中の部分がオレンジがかった赤色なのが特徴)
コモンリスザル
ボリビアリスザル (頭部が黒いのが特徴)
が確認されていますが、うちセアカリスザルとクロリスザルは環境破壊などの影響により生息数が激減しています。
ここから先は謎に包まれたリスザルの生態追っていきましょう。
リスザルの仲間は中南米の熱帯雨林で生息しています。
熱帯雨林の中でも、近くに水辺のある環境を好む傾向があります。
コモンリスザルはアマゾン河流域を中心に南米大陸北部(ブラジル、コロンビア、エクアドル等)で繁栄しております。
なお、以降の紹介内容については、このコモンリスザルを 「リスザル」として取り上げていきたいと思います。
ちなみに、ボリビアリスザルはボリビアの森林地帯に最も多く生息しています。
セアカリスザルは中米地域、クロリスザルは主にブラジルの国立公園内や自然保護区で今や細々と生活しています。
リスザルの仲間は昼行性です。
特に気温が涼しい朝方や夕方に活発に活動します。
リスザルは樹上性の動物であり、生息地ではほとんど地上に降りてくることはありません。
集団生活を営み、数十頭から数百頭の群れで暮らしています。
自然界での食性は雑食性です。
木の実や果実など植物性の食べ物が中心ですが、昆虫や カエル 、鳥のヒナなども貪欲に食べます。
リスのように小さいサルといわれているように、大きさは小さめです。
体長 : オス 25-35センチ
メス 20-30センチ
体重 : オス 0.5-1.0キロ
メス 0.4-0.8キロ
が標準的な成獣の大きさです。
リスザルの樹上での生活はとても俊敏で、枝から枝へ非常に器用に移動できます。
餌となる昆虫や小鳥などを枝からジャンプして捕えることも可能です。
リスザルの長い尻尾はモノを掴んだり、巻き付けたりすることはできませんが、その華麗な動きを支える舵取りの役目を果たしています。
また、指は5本あり、その爪はすべて 平爪 であり、モノを掴んだり、木を登ったりするのに便利な構造となっております。
個体差はありますが、サルの仲間としてはおとなしく、人懐っこいところがあります。
また集団生活を行っているため、寂しがりやの一面もあり、孤独な状態が続くとストレスで死んでしまうこともあるようです。
飼育環境下では、気分屋で、マイペースな傾向がみられます。
頭がよく、物覚えが早いため、簡単な芸を覚えることはできますが、トイレの躾はできません。
いたずらも大好きです。
また詳細は後述しますが、サルの仲間は感情を持った動物です。
リスザルも例外ではなく、嫉妬の感情から飼い主に対しても敵意を抱くこともあるので注意が必要です。
自然界でのリスザルの繁殖期は現地で乾季を迎える9-11月頃で、出産は食べ物が豊富な雨季に行われます。
妊娠期間は、 160-170日位 で、メスは一回の出産で1頭(稀に双子もあり)産みます。
産まれたばかりの赤ん坊は平均100グラム位で、育児全般はメスは行います。
この産まれたばかりの赤ん坊でも、生後間もなく母親の背中に乗るようになり、母親は赤ん坊をおんぶしたまま木々の間を移動する姿が観察されます。
およそ1年で、子供は親離れして独立し、 メスは生後2年、オスは生後4年半位 で成獣の仲間入りをします。
自然環境下での寿命は、 10-15年 とされていますが、飼育環境下では20年近く生きることがあるとされています。
自然界では外敵に襲われる危険が高く、天寿を全うできないのは、他の動物に関しても共通していることです。
自然界では、オセロットやジャガーなどの他、ワシや フクロウ などの猛禽類が天敵として挙げれられます。
普段はあまり鳴き声を出しませんが、危険が迫ると 「キッキッ・・・」と大声で仲間に警告を発します。
木の上での生活は、地上からの外敵に対しては効力を発しますが、頭上からやってくる攻撃には弱いのです。
リスザルは初めて宇宙旅行した霊長類としても知られています。
1958年12月、「ゴード」と名付けられたリスザルは米国ジュピターAM-13ロケットで打ち上げられ、15分間の500キロメートルの弾道飛行を行いました。
特別な宇宙服を着せられ、体温計や健康状態監視装置を付けた状態で宇宙の無重力空間を飛行しましたが、着地地点の大西洋上で、パラシュートの故障で行方不明になってしまいました。
生還することはできませんでしたが、宇宙飛行した最初のサルとして記憶に残しました。
ちなみに翌年、クモザルとアカゲザルが同様の実験で無事生還することができたそうです。
リスザルがこの実験の対象動物としてエントリーされた理由は、人間と解剖学的な構造が近い点と、温度変化に敏感な動物であることでした。
またビタミンD3no要求量の高い動物のため、くる病のモデル生物としても使用されています。
しかし一番人間との関係で身近になっているのは、やはり動物園での飼育でしょう。
その可愛らしい姿と仕草で、多くの動物園で飼育展示されています。
エキゾチックアニマルといわれる、従来のペットの枠に入っていなかった特殊な生き物を飼う人が増えてきました。
なかでもサルの仲間は動作もコミカルで、頭もよく、飼育してみたいと思っている人も少なくないと思います。
実際にペットとして流通しているサルの種類は結構存在しております。
リスザルを含めて、これらペットとして認知されているサルは、比較的おとなしく飼いやすい種類といわれています。
しかしサルを飼育することは正直容易なことではありません。
具体的なペットとしてのサルの種類と、飼い方については、下記の記事で詳しく紹介しておりますので目を通してみてください。
これらのサルのなかでは、最も流通量が多いと思われるリスザルも、飼育難易度が高い動物にランクインされます。
実際に飼うとなると相当の負担を覚悟しなければなりません。
以下、リスザルの魅力と飼育に関してクリアしなければならない問題点を紹介しますので、飼う前によく確認しておきましょう。
まず第一に、その可愛らしさが最大の魅了でしょう。
オレンジがかった美しい体表に、クリクリした眼、口の周りが真っ黒な・・・ぬいぐるみのような生き物です。
両手が使えるため、手を差し出して餌をねだったり、餌を掴んで食べる仕草はなんともいえない可愛らしさを覚えます。
懐いてくると飼い主のあとを追っかけてきたり、甘えてきたりと、まさにぞっこんになります。
体も小さいので、抱っこしたりするのにも負担がかかりません。
リスザルを飼育している人はまだまだ少数派です。
周囲でリスザルを飼育している人はあまり見かけないのではないでしょうか?
他の人があまり飼っていない動物をペットにしていることで、ちょっとした優越感に浸れます。
リスザルを飼っていることを公表すれば、周囲の人も興味を持ち人気者になれるかもしれません。
SNSなどに投稿して、情報発信する楽しみも増えると思います。
リスザルは頭がよく、感情も豊な動物です。
これは非常に魅力的なことであると同時に、最大の欠点でもあるのですが、ここでは魅力的な面を取り上げましょう。
学習能力が高いので、簡単な芸を教えることもできます。
いけないことをしてしまった時に、叱ったりして躾ければ、自分が悪いことをしたと認識できます。
喜んだり、甘えたり、怒ったりと・・・その感情の豊かさは飼い主を飽きさせません。
どんなに可愛がっている生き物でも寿命が短ければ切ないものです。
その点、リスザルは飼育環境下では20年以上生きるといわれる長寿な動物です。
ペットとして、よきパートナーとして一緒に生活できる時間が長いことは嬉しいものです。
可愛らしくて、頭がよくて、しかも長生きするリスザル。
ここまで読んでいただき、ぜひとも家族の一員として迎えたいと思っている方も多いかと思います。
しかし、リスザルの飼育は思ったより大変・・・飼い始めたはいいけれど途中で飼育を放棄してしまう人も少なくないようです。
そんなリスザル飼育の難しさを、購入から飼育方法までまとめてみたいと思います。
まず最初に覚悟していたいただきたいのは、リスザル飼育には非常にお金がかかるということ。
リスザル本体の購入価格は、平均して1頭あたり 40-60万円 ほどかかります。
2005年7月1日にペットとしてのサルが輸入禁止措置になって以来、国内の流通量は激減してしまいました。
現在流通している個体は、日本国内で繁殖させた個体が中心になっておりますが、リスザルのブリーダーは非常に少ないのが現実です。
メスが一回の出産で産む子ザルも通常は1頭と少なく、個体数の増加もあたり期待できません。
もともと人気動物のうえ、個体数が少ないことで、今後も高値での取引が続くと考えられます。
ペット本体だけでなく、維持費もかなり高額になります。
飼育用品を一式購入(場合によっては自宅のリフォームも必要)し、ワクチン接種なども含めると初期投資費用は 最低10万円以上 は上積みされます。
電気代、餌代、医療費などの維持費用は家計にかなりの負担となることを覚悟しなけれbななりません。
リスザルを飼育するにあたって、認識しておかなければならない大切なことのひとつに 「噛む習性」 があるということです。
これは、リスザルだけでなくサルの仲間に共通しているのですが、サルは日常的に噛みついてくる動物だと思わなければなりません。
つい先ほどまで、飼い主に甘えてべったりしていたはずなのに、急に表情が激変して襲ってくるケースは多々あります。
リスザルの犬歯は鋭く、痛いどころか大怪我しかねません。
場合によっては、感染症に罹患してしまうおそれもあります。
この項目は先ほど、リスザルを飼育する魅力として取り上げてみましたが、今回は仇となるケースを紹介します。
もともとは集団生活をしている動物のため、特に幼獣の間は飼い主に従順な傾向は見受けられます。
しかし成長するに従い、逆に飼い主のことを観察するようになります。
この飼い主が自分にとって主人として不適格だと認識すれば、露骨に反抗的な態度を示し、指示に従わなくなります。
飼い主が嫌がることをわざとしたりして、困らせようとすることもあります。
身近な人間の好き嫌いもあり、一旦嫌われてしまうと関係修復は困難を極めます。
嫉妬したり、恨んだりする感情も併せ持っているので、飼い主が自分の乳幼児や、他のペットにばかり気を配っていると根にもって嫌がらせを考えたりします。
この点、 犬 や 猫 とも違う・・・知能が高く人間に近い動物ゆえのタチの悪さ、いや飼育の難しさを実感します。
リスザルは頭がよいから、トイレの躾も簡単にできるのはないでしょうか?
実はリスザルにはトイレで排泄するという認識はなく、自分が催した場所で用を足す習性があります。
トイレの躾は全くできないと思ってください。
そればかりか、自分の縄張りを主張するために、「尿」でマーキングする習性もあります。
場所は気に入った場所(飼育場所のどこか)ばかりか、飼い主の体にまで及ぶことがあります。
飼育環境下の部屋は、餌の食べ残しも含めて悪臭の漂う空間になってしまいます。
こまめに清掃を心がける必要があります。
リスザルは本来、中南米の熱帯雨林に生息しているので、寒さには耐性がありません。
日本での冬場の生活など、常温で飼育することは体調の悪化につながります。
飼育環境は、生息地の環境に適した温度にすることが一番理想的ですが、それは自宅の一角に 「アマゾン」を再現するに等しいことです。
単純比較できませんが、熱帯魚飼育で水槽内で、「アマゾン再現」するほど簡単なことではありません。
具体的には、オールシーズン 30℃近い温度で調節する必要があります。
よほど広い家で、サル専用の部屋があれば別ですが、一般的な住宅事情では飼い主にも肉体的な負担を強いられます。
電気料金も高額になってきます。
そればかりでなく、日照不足を補うため紫外線ライトを設置する必要もあります。
リスザルに限ったことではないのですが、特殊な動物の場合診察してもらえる病院が少ないのが現実です。
実際に飼育する前に、診察可能な病院を探しておく必要があります。
サルについては後述するように、ペットだけではなく人間にも感染する恐ろしい病原体をもっているケースも少なくありません。
ワクチン接種も含めて、購入先のペットショップに信頼できる病院を紹介してもらうのが一番最適だと思われます。
サルも人間も同じ霊長類です。
サルの病気が人間に移ることもあり、逆に人間の病気がサルに移る場合だってあります。
この点がイヌやネコなど他のペットアニマルと大きく異なることです。
サルから人間へ感染した恐ろしい病気の例を紹介します。
例えば、近年西アフリカで猛威をふるって話題になった 「エボラ出血熱」 。
全身から出血して、致死率90%ともいわれる非常に恐ろしい感染症ですが、この病原体はミドリザルといわれるサルの仲間だといわれています。
同じような症状がでる 「マールブルグ出血熱」 そして 後天性免疫不全症候群(エイズ) も、このミドリザルの病気だったといわれています。
飼い主が風邪をひいた場合、その風邪がリスザルに感染することがあります。
リスザルの病気が人間に感染した場合の一番恐ろしいケースは、 「Bウィルス感染症」 です。
本来はフィリピンなど東南アジア原産のサルの病気ですが、人間やリスザルなど「新世界サル」にとっては致死率50%近い恐ろしい感染症です。
サルに噛まれた傷口から病気に感染してしまうケースも考えられます。
サルを飼育するということは、他のペットアニマル以上に、健康・衛生管理が重要になってくるのです。
リスザルを飼うということは、思っていた以上に難しく、衝動飼いなどできない動物の類であるとわかっていただけたと思います。
本来が野生動物のため、完全に飼い主の管理下に置くことが困難で、時に凶暴化して噛みついてきたり、飼い主を愚弄してみたり・・・苦労が絶えないのが現実です。
維持費も高額であり、長寿な動物のため、途中で飼育を断念してしまう飼い主が少なくない動物だとの認識をしっかり持つことが大切です。
先にご紹介したとおり、 2005年7月1日 よりペットとしてのサルの輸入は禁止になりました。
何故なら
1 . サルが媒介する「エボラ出血熱」や「マールブルグ病」など感染症の国内侵入を防ぐため : 農林水産省
ということが一番の理由です。
試験研究や動物園の展示などの目的で、感染症のサーベランス体制が整っている一部の国では、例外として輸入が認められる場合もありますが、リスザルの原産国である中南米諸国は該当しません。
また他の法令から輸入が禁止となっているケースもあります。
2. 絶滅のおそれがある野生動植物の保護にかかわるもの (ワシントン条約) : 経済産業省
3. 外来生物の国内侵入を防ぐ目的のもの : 環境省
が存在します。
詳しくは下記 動物検疫所のHPを参照してみてください。
⇒ 動物検疫所
前置きが長くなってしまいましたが、ペットとしてのリスザルは輸入できなくなってしまったのです。
そこで、現在リスザルを入手するには
1. リスザルを取り扱っているペットショップで購入する。
2. 里親募集の掲示板から情報を入手し、交渉する。
というのが、一般的な入手方法となります。
リスザルは通常のペットショップではなかなか目にする機会がありません。
エキゾチックアニマルを取り扱っているペットショップを丹念に調べて、販売しているかどうか確認する必要があります。
サルのペットとしての輸入が禁止されている現在、国内での繁殖個体が主流となっています。
こうした繁殖個体は、ショップ直営で繁殖させているケースが多くなっており、安心できると思います。
ショップを調べる際には、インターネット経由での検索が中心になると思いますが、哺乳類の販売は対面販売が原則となるので、郵送して送ってもらうことはできません。
あらかじめ予約票をエントリーしておき、入荷を待ってショップにて対面購入する方法となります。
ショップにもよりますが、平均して 40-60万円 位が相場です。
リスザルが掲載されることは少ないかもしれませんが、全くないわけではないので、掲示板をこまめに確認するのもひとつの手かもしれません。
リスザルの飼育は難しく、飼育を始めたものの、あまりの大変さに断念してしまう飼い主も少なくないのが現実です。
また結婚や転居など飼い主のライフスタイルの変更により手放さなければならなくなったケースもあります。
個体にもよりますが、ショップで購入する個体より飼育に手がかかるケースが多いかもしれないことは覚悟しておいた方がよいかもしれません。
入手に関する条件は、当事者同士の交渉となります。
どんな動物にも共通していることですが、成獣から飼育するより幼獣のうちから飼育した方が飼い主に慣れやすいと思います。
ベビーの場合は、ミルクや離乳食など世話が大変なうえ、弱くて死亡するケースが多いので、飼育は成獣より難しいです。
ベビーからの飼育・購入を検討している場合には、ショップ担当者によく飼育方法・注意事項を確認してください。
リスザルは様々な病原菌を持っており、なかには人間にも害を及ぼす病気があるため、ワクチン接種は最低条件となります。
購入する前にワクチン接種してあるかどうかショップ等で確認し、仮に未接種なら速やかに接種する必要はあります。
かかりつけとなる動物病院をあらかじめ確保しておくことも大切です。
リスザルは運動量の多い活発な動物です。
ケージはなるべく大きめのもの、 1-1.5メートル程度 の大きさを準備しましょう。
止まり木の付属しているオウム用のケージで代用できます。
リスザル専用の餌入れ・給水器はあまり販売されていないので、イヌやネコ、 小動物 用の製品を代用できます。
他の動物と違って、サルは手で掴むこともでき、齧られる心配もあるので丈夫で壊れにくい素材のものを選択します。
リスザルは本来熱帯地方の動物であるため、屋外で飼育するのは健康を害する危険があります。
室内での飼育が基本になってきますが、どうしても日照不足になることは否定できません。
日照不足になると、くる病を発症するおそれがあるため、紫外線ライトの設置は必須になってきます。
ケージは日当たり、風通しのよい場所に設置します。
ケージの下には新聞紙を厚めに敷いておき、周囲も餌の食べ残しや糞尿が飛び散っても掃除しやすいようにビニールシートを敷いておくと便利です。
リスザルはトイレの躾ができないため、ケージの下に敷いた新聞紙はこまめに取り換えるようにします。
ケージの上部付近に、電気スタンドで紫外線ライトを設置します。
ケージのなかに餌入れと給水器を設置すれば準備完了です。
リスザルを飼育する部屋はエアコンで30℃位に設定します。
オールシーズン同じ温度が前提となるため、物理的に難しいのならヒーターを設置するなどして補うようにします。
自然界では 雑食性 で、果実など植物系の食べ物を中心に、昆虫やカエル、小鳥なども捕食していますが、飼育下で準備するのは大変です。
今は栄養バランスを考えた モンキーフード が市販されているので、この餌を主食として馴らしておき、おやつとしてリンゴやバナナなど与えるようにしましょう。
タンパク質の供給としてミルワームや コオロギ を与えると調子が良いようですが、モンキーフードでも充分に補給できますので、無理して与える必要もありません。
なお、おやつに重点を置きすぎたり、カロリーが豊富なおいしいものを与えすぎると、リスザルがモンキーフードを食べなくなるおそれがあるため注意が必要です。
1日2回、朝と夕方に与えるようにして、朝は多めに、夕方は少なめに与えるのが理想的です。
★ リスザルはトイレの躾ができませんので、どうしてもケージ内や周辺が糞尿で汚れます。リスザルの個体によっては嫌がる場合もありますが、オムツをさせるものひとつの方法です。
★ リスザルは集団生活を営んでいるため、寂しがりやの一面があります。1日に最低30分はケージから出して遊んであげるようにします。
★ 躾するのに、大声で怒鳴ったり、体罰を与えるのは厳禁です。リスザルが粗相をした場合、冷静な態度で端的な言葉で叱るようにします。
★ 肥満防止のため、運動不足にならないよう適度の運動を心がけます。
リスザルとの信頼関係を深めると同時に、主従関係をはっきりさせることです。
ケージから出して一緒に遊ぶ時間を増やします。
上記でご紹介したとおり、サルが悪さをした場合は、はっきり悪いと教え込む必要があります。
躾を行う時は決して焦らず、何度も繰り返し端的な言葉で教えましょう。
また餌も手渡しで与えるようにして、徐々に慣らしていくようにします。
しかし最も気をつけなければならないのは、一定の距離を保つことです。
リスザルは寂しがりやの一方で、過度の干渉を嫌います。
相手は、あくまでも野生動物であるということは忘れないでください。
やがて、リスザルが心を許し、貴方の肩などに乗ってきてくれたらしめたものです。
リスザルに限らず、サルはよく噛みつく動物です。
マーモセットもオマキザルもロリスの仲間も皆、噛みついてきます。
サルと永遠のライバルであるイヌも噛む動物として有名ですが、むやみやたらに噛みつく訳ではありません。
まして飼い主に対しては、よほどの理由がない限り噛むことはないはずです。
しかし、サルにとって噛むとは生きるための本能みたいなもので躾で止めさせることはできないのです。
どんなに慣れていて、飼い主のことが大好きだと思っていても・・・ある日突然噛みついてくるのです。
驚かしたりしたために、サルが興奮していたなら多少は理解できますが、何の前触れもなくガブッとでは堪りません。
成獣からではなく、ベビーから手塩にかけて育てても・・・何年かたって豹変なんてことも日常茶飯事なのです。
リスザルはよく噛みつく動物です!
リスザルを飼う前に、このことは理解しておきましょう。
リスザルの飼育放棄の最大の理由のひとつは、この「噛む習性」からだといわれています。
複数飼育していて、他のサルに構っている飼い主に怒りを感じたり、または、飼い主に小さな子供がいるため、自分よりも子供の世話を優先する飼い主を嫉んだりすることがあります。
食事が合わなかったり、暑かったり寒かったりと環境が合わず、ストレスがたまっている場合もあります。
急な物音、揺れなどに驚いて、とっさに噛みついてくる場合もあります。
など様々です。
結論的にいって、リスザルに完全に噛まれないようすることは不可能に近いです。
リスザルが噛みついてくる理由が様々であり、本能的な習性であるため避けることができないのです。
リスザルに触れる時に耐刃性のグローブをするとか、防具を傍に置いておくとかの方法もありますが、確実は効果はありません。
リスザルの歯は非常に鋭いです。
特にオスは犬歯が発達しております。
噛まれて、痛いという感覚が残るだけではありません。
リスザルの口内は細菌がいっぱいです。
傷口から、細菌が体内に侵入して病気になる危険性もあります。
またリスザルは、指先や鼻や耳など、柔らかい急所を狙ってきます。
こうした急所を噛まれたら、後遺症が残ってしまう場合があります。
また最悪の場合は アナフィラキシーショック といって、数回噛まれるとショック死する場合もあります。
前回噛まれたときの抗体の化学反応の影響により・・・スズメバチなどに刺された時などでよく耳にしますね。
リスザルに噛まれた場合、出血量もかなり多くなります。
まず傷口を流水で洗い流すと同時に、患部の血液を搾り出します。
その後消毒して、速やかに病院に行って処置をします。
遅くて も2-3時間以内 には、病院に行くようにしましょう。
時間が経つと細菌が体内に深く侵入してしまい、悪化するおそれがあります。
病院では、「サルに噛まれた」と必ず伝えるようにしてください。
いずれにしても、数針は縫わなければならない大怪我になり、完治するまで数週間~数カ月かかります。
場合によっては、切開手術を行わなければならないこともあります。
噛まれた場所によっては、後遺症が残ったり、傷跡が残ったりすることもあります。
リスザルを飼う前に、この「噛む」習性があるということを熟知しておいてください。
リスザルを含めたエキゾチックアニマルについては、病気の治療よりも予防の方が重要だといわれます。
診察可能な病院が少なく、どんな病気が発症するのか不明な点が多いからです。
これからご紹介する病気は、普段の飼育環境、食生活を改善すれば予防できるものです。
症状 : 動きが鈍くなり、骨が変形したり折れやすいくなる。
原因 : 紫外線不足 栄養バランスが悪い。
改善策 : 太陽光に当てる (紫外線ライトも併設) 野菜や果物ばかり与えすぎない。
症状 : 頭部に血腫ができて大きく腫れる。
原因 : ビタミンCの欠乏
改善策 : 栄養バランスのよいモンキーフードを与える (ビタミン、カルシウム添加) ストレスを与えない
リスザルと人間は同じ霊長類~サルの仲間です。
そのため、リスザルの病気も人間に罹りやすく、逆に人間の病気もサルに罹る場合があります。
同じ病原体でも、一方があまり症状がでないにもかかわらず、もう一方には致命的な症状が出る場合もあります。
しかし、サルの病気が人間に罹るより、人間がサルに病気を移してしまうケースの方が圧倒的に多いようです。
飼い主が風邪をひいてしまったら、マスク着用を着用のうえ、むやみにサルに近づかないようにしたいものです。
またリスザルに触れる前に手洗いし、触れた後も必ず手洗いするなど予防を心がける必要があります。
このなかで最も注意しなければならないのが、 結核 です。
リスザルは結核菌に対する感受性が極めて高く、結核に感染していたサルが人間に移してしまう場合があるのです。
結核は過去の病気ではなくなり、最近流行の兆しもあります。
リスザル飼育を考えている人は、定期的に結核の検査など関心を持つようにしましょう。
今まで 代表種である 「コモンリスザル」を中心に解説してきましたが、他にペットとして飼われているリスザルに 「ボリビアリスザル」 が存在します。
ボリビアリスザルは 南米ボリビアの熱帯雨林に多く生息しています。
ボリビアというと、アンデス山脈にある標高の高い高原国~首都ラパスの空港は富士山より高く、チチカカ湖などの観光資源が有名~で、熱帯雨林には程遠いイメージがありますが、日本の3倍以上の国土の中にはジャングルも存在するのです。
他に、パナマなど中米地域にも生息しています。
コモンリスザルと比べて、 頭部が黒い のが特徴です
大きさは、 20-35センチ と、コモンリスザルとあまり変わりません。
おとなしく、懐きやすいので多くの動物園で飼育されています。
しかし、コモンリスザルと比べると希少な動物であり、ペットとして飼われている実績があるものの流通量が少ないのが現実です。
自然界での平均寿命が20年近くと、コモンリスザルより長生きします。
希少価値があるもののペットとしての価格は、コモンリスザルと同じ 40-60万円 程度で取引されています。
体長 : オス 25-35センチ メス 20-30センチ
体重 : オス 0.5-1.0キロ メス 0.4-0.8キロ
原産地 : ブラジル、コロンビアなど南米熱帯雨林
寿命 : 10-15年 (飼育下では15年以上)
性格 : サルの中ではおとなしくて懐きやすい
特徴 : 頭の色が黄茶
購入金額 : 40-60万円 (普及種)
体長 : オス 25-35センチ メス 20-30センチ
体重 : オス 0.5-1.0キロ メス 0.4-0.8キロ
原産地 : ボリビア周辺の熱帯雨林および中米
寿命 : 10-20年 (飼育下では20年以上)
性格 : サルの中ではおとなしくて懐きやすい
特徴 : 頭の色が黒
購入金額 : 40-60万円 (希少種)
リスザルを飼育するために覚悟しなけれなならないことを、もう一度まとめておきます。
1. 購入金額だけではなく、維持費が高くなる。
2. 噛みつく習性がある。
3. 感染症のおそれがある。
など様々な要因があり、興味本位での飼育には向かない動物です。
リスザルの愛らしさに惹かれて飼ってはみたものの、最終的に飼育放棄してしまう例も少なくありません。
それでもリスザルを飼いたいと決心したのなら、最後まで面倒をみてあげてください。
リスザルは感情を持つ動物であり、知能も高い動物です。
人間の幼児と同じようなイメージで接して、可愛がってあげてください。
15-20年近く一緒に暮らせるパートナーです。
お互いに会えてよかったと思えるような関係を築いたいですね!
最終更新日 : 2020/12/17
公開日 : 2017/02/01