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キンカチョウ(学名:Taeniopygia guttata)は、スズメ目カエデチョウ科に分類される 鳥類 です。
漢字では「錦花鳥」、「錦華鳥」と書くスズメの仲間です。
色味や大きさもスズメに似ていますが、日本には生息していません。
スズメは可愛らしくも野鳥ですので、ペットとして飼うことはできませんが、キンカチョウはペットとして飼育できることから隠れた人気の種類。
キンカチョウは日本で明治時代から愛玩動物として飼育されており、日本とは長い付き合いを持っているのです。
大きさはオス、メスともに全長10㎝前後、体重は12g~15gほどで、スズメよりも小柄です。
キンカチョウの寿命は野生化では5年程ですが、飼育下では5年~10年と言われています。
中にはそれ以上生きた例も報告されています。
キンカチョウは豊富なカラーバリエーションも魅力の一つです。
キンカチョウの品種は50種類以上もあります。
そのため、コレクターとして飼育している方も多く存在します。
キンカチョウはオーストラリアやインドネシアなどの、比較的乾燥した荒野に生息しています。
キンカチョウの性別判断は種類によて異なります。
ノーマルカラーであれば、オスには喉から胸にかけて白黒の縞模様があり、頬はオレンジ、胸に黒帯が存在します。
オスはメスに比べ嘴や脚の色も鮮やかです。
メスは全体的に地味な色合いをしています。
野生化では種子類、穀類を中心に昆虫などを食して生活しています。
キンカチョウは巣引きがあまり上手ではないと言われています。
そのため、ブリーダーなどは 十姉妹 などを仮母として繁殖を行うこともあるそうです。
基本的にペアを一つのケージ内に入れることで、産卵の確率が高くなります。
発情にはストレスのない空間、十分な餌と水、巣、快適な温度が必要になります。
巣にはつぼ巣を使用します。
巣材をケージ内に入れておくと、キンカチョウは自分で巣の中に運び入れ、産卵の準備を始めます。
キンカチョウの卵は4個~5個ほどです。
抱卵開始から約2週間で孵化します。
キンカチョウは用心深いため、抱卵中や雛を抱いている際にあまり頻繁に巣箱を除くことは避けましょう。
飼育放棄の原因に繋がります。
雛が産まれると、母鳥は新しい巣材を欲しがりますが、その際は体や脚に絡まり、ケガの原因になりやすい繊維状のものは避けるようにしましょう。
産卵から育児中には、ブリーダー用や繁殖用、産卵用などと表記のある、高カロリー、高栄養、カルシウムが多く配合されている餌を与えましょう。
雛が産まれてからは、雛にも十分に餌を与えられるよう、餌の量を増やし、常に十分食べられるように配慮しましょう。
餌が少ないと、親鳥は自分の命を優先し、育児を放棄してしまうことも珍しくはありません。
生後20日程すると、雛は巣箱から顔をのぞかせるようになります。
この頃から巣立ちの準備が始まりますが、まだ親鳥から餌をもらっている段階ですので、親と離す時期ではありません。
巣箱からでても、まだ自力で戻れない場合があります。
夕方になっても巣に帰れないようであれば、戻してあげましょう。
独りで餌を食べれるようになると、徐々に親鳥は雛を追い立てるようになります。
これは、親鳥が次の産卵に備えているためです。
あまりに攻撃がひどいようであれば、ケージを分けましょう。
また、親鳥の身体の負担を考えて、一度巣箱を撤去し体を休ませ、十分に栄養を補給させることも時には必要です。
産卵は特に母鳥の身体に大きな負担がかかります。
寿命を長く保ちたいのであれば、産卵は控えめに行いましょう。
キンカチョウの子育ての様子です。
キンカチョウの性格は温和で繊細、用心深いなどが挙げられます。
噛みついたりすることは少なく飼いやすいのですが、コンパニオンバードとして飼われることの多い インコ のようにベタ慣れすることはごく稀です。
手乗りにしたい場合には、雛から育てることが大切です。
毎日挿餌を行い育てることで、人間を怖がらないと、刷り込みをさせることが可能です。
しかし、手乗りになったとしてもべたべた触られることを好まないため、適度な距離感を保ちながらの関係性になるでしょう。
キンカチョウの鳴き声は独特で、「ニャア」、「ミャー」と言った鳴き声を発します。
このことから、「猫のような鳴き声」とも呼ばれています。
ボリュームは小さめで響くことはありませんが、複数飼育の場合にはにぎやかになるでしょう。
キンカチョウの鳴き声は人気が高く、鳴き声が好きで飼育している方も多いようです。
キンカチョウは水浴びを好む子が多くいます。
そのため、霧吹きや水浴び用の容器、蛇口など、キンカチョウの性格に合わせて水浴びをさせてあげましょう。
水浴びは体がしっかり乾くよう、午前中から正午にかけてが良いでしょう。
また、お湯では必要な脂粉まで洗い流されてしまいます。
水浴びには、冬場であってもかならず「水」で行いましょう。
キンカチョウの水浴びの様子です。
みなさんとても気持ちがよさそうです。
キンカチョウはそれほど珍しい種類ではないため、鳥類を扱うペットショップで見かけることができます。
鳥専門店でなくても、比較的容易に販売されている種類と言えるでしょう。
キンカチョウの価格は1,000円~3,000円程度で、コンパニオンバードとして販売されている鳥類の中でも手ごろです。
そのため、購入しやすく複数飼いもしやすい種類です。
キンカチョウは小さな個体ですが、良く動き回るため、ある程度の広さが必要です。
1羽飼育でも35角はあると無難です。
また、良く動くため止まり木は数本設置しましょう。
複数飼育の場合は、より広いケージが必要になります。
素材はステンレス製がおすすめです。
キンカチョウ自体が小柄なため、網目は目の細かいものを選び、脚が挟まるなどの事故が起こらないよう注意しましょう。
キンカチョウ専用の餌は存在しないため、 文鳥 やフィンチ類用の混合シードかペレットを与えましょう。
おすすめは混合シードよりもペレットです。
混合シードはヒエやアワなど、数種類の種子類、穀物類をブレンドしたミックスフードです。
嗜好性が高いのですが、好きな種類ばかりを選り好みする傾向が高く、栄養バランスが乱れがちです。
ペレットは ドッグフード や キャットフード のように人工的に作られた鳥専用のフードです。
鳥専用に作られているため、栄養バランスが良く、ペレットのみで十分に必要な栄養を摂ることが可能です。
嗜好性が低く、食べてくれるようになるまで時間がかかることが欠点ですが、健康で長生きをさせるためにも、ペレットがおすすめです。
ペレットは文鳥用かフィンチ類用と表記がある小粒なもの選びましょう。
それでも粒が大きすぎる場合には、ミルで砕いてあげると良いでしょう。
キンカチョウの副食、おやつには小松菜なやトウモロコシなどの野菜、リンゴやバナナなどの果物を与えると喜びます。
また、野生化では昆虫や虫も食しているため、ミルワームを与えると喜んで食べる個体もいるようです。
キンカチョウは比較的体が丈夫で、日本の気候にも適応しています。
しかし、真夏や真冬は温度管理が必要になります。
キンカチョウにとっての適温は20度~25度ほどです。
真夏はエアコンを使用し暑くなりすぎないように注意し、冬場はひよこ電球などで温めてあげましょう。
鳥も暑すぎれば熱中症にかかってしまいますし、寒すぎれば凍死してしまいます。
キンカチョウは温和で社交的な性格なため、複数飼育は比較的容易です。
豊富なカラーバリエーションを楽しむためにも、複数飼育をしている飼い主さんは多いでしょう。
ほかの種類との同居も可能ですが、その際にはほかの種類が同居可能な性格であるかをしっかりと把握しておく可能があります。
体が小さく温和なキンカチョウは、いじめられてしまいがちです。
また、1羽よりも複数でいたほうがキンカチョウ自体が落ち着く一面もあります。
しかし、相性が悪い場合があることや、オスメスで飼うと繁殖をしてしまうなどがあるということも頭に入れ、計画的に複数飼育を行いましょう。
キンカチョウは雛からしっかり挿餌を行い育てることで、ある程度手乗りにすることが可能です。
しかし、インコのようにべたべたに懐くわけではありません。
肩や手に止まったりある程度触らせてはくれますが、あまりべたべたな関係は好みません。
キンカチョウは複数飼育をする方が多いのですが、複数飼育をすると鳥同士の仲が良くなるため、人間には懐きにくくなってしまいます。
キンカチョウは、スキンシップをとることはもちろん大切ですが、鳴き声や仕草を見て楽しむ鑑賞用としても向いています。
また、雛の頃にせっかく手乗りにしても、その後のスキンシップをおろそかにすると、すぐに手乗り崩れをしやすい種類です。
手乗りを維持するためには適度な距離感を保ちつつ、スキンシップをとりましょう。
上手に育てると、手を怖がることなく、安心して触らせてくれるようになります。
キンカチョウを手乗りにするためには、雛からの飼育は必須といっても過言ではありません。
成鳥であれば、ペットショップなどで手乗りに飼育されている場合も懐きやすいでしょう。
キンカチョウの飼育自体は難しくありませんが、雛の飼育はまた別です。
朝、昼、夕の3回、人工的に挿餌を行います。
その際の餌の温度管理はとても重要です。
普通の雛は親鳥からの吐き戻しで餌をもらっていますので、それと同様の温度にしないと食べてくれません。
暑すぎれば火傷をしてしまいますし、少しでも冷めると食べてくれません。
冷めてしまった餌を食べないからと言って、お腹いっぱいだと給餌を中断してしまうのは雛にとってとても危険です。
人間の指で触ったときに、少し暑いかな、と思うくらいがちょうどよい温度とされています。
その他、温度管理も重要です。
日本の気候に強いと言われているキンカチョウですが、雛の場合は27度~30度は常に保つようにしましょう。
お迎えする時期は、春がおすすめです。
寒い冬と一番季節が遠く、気候や温度も過ごしやすいため、雛が健康に育ちやすい季節です。
キンカチョウはスズメよりも小柄な鳥類ですので、放鳥には細心の注意が必要です。
戸締りをきっちりしておかないと、少しの隙間でも容易に脱走してしまいます。
小柄な体で良く動き回るため、衝突事故にも注意しましょう。
あまりものをかじる習性はありませんが、ケーブルやものが散乱していると、ケガや誤飲の原因に繋がります。
完全に放鳥をしない観賞用として楽しむ場合には、大きく広めのケージを用意しましょう。
キンカチョウは日本の気候に強く、種類も豊富なため、屋外での複数飼育も可能です。
温厚で社交的な性格であるため、基本的に複数飼育は容易ですが、血縁関係のほうが良いとされています。
外で飼う際には、広く頑丈なケージであることは必須です。
放鳥しない分、ストレスが溜まらないよう十分な広さや止まり木が必要です。
そして、外には外敵も多く存在します。
イタチ やハクビシン、 ヘビ 、トビ、 カラス など様々な外敵が存在します。
鳥舎の網は頑丈で目の細かいものを用意しましょう。
新しい子をお迎えした際に、いきなり鳥舎に入れるのは避けましょう。
なにか病気を持っているかもしれませんし、体力を消耗しています。
最低でも1週間は隔離し、様子を見ながら体を休ませます。
鳥舎に入れる際には、いじめられないか、いじめてしまわないかなど、群れに馴染むまでこまめに様子を伺いましょう。
鳥舎の中は、常に衛生的に保つ必要があります。
キンカチョウの数が多ければ、それだけ糞の数も増えます。
放って置くと乾燥した糞が飛び散り、吸引してしまい良くありません。
また、餌や水も、毎日新鮮なものに取り換えましょう。
巣箱を設置している場合は、定期的に留守の巣箱内を確認し、無駄な卵があった場合は処分するようにしましょう。
冬場などは渡り鳥を媒体に、鳥インフルエンザが流行しがちです。
鳥インフルエンザは人間に移ることはほとんどありませんが、鳥への感染力は強く、発症すると高い確率で命を落としてしまいます。
鳥インフルエンザは、感染している鳥の糞を吸引することでうつることが多く報告されています。
そのため、外出の際は野鳥が多くいる場所に近寄らないことや、網目を細かくしてスズメなどの侵入を防止することも大切です。
外出先から帰宅した際は、ウィルスを持ち込まないよう、靴の裏などをよく洗浄し、乾燥した糞をキンカチョウが吸い込まないようにしましょう。
小さな体に丸い頬模様、オレンジ色のくちばしがなんとも愛らしいキンカチョウ。
インコのように人間にベタ慣れすることはまれですが、キンカチョウ同士の仲睦まじい姿を見ているだけで、とても癒されます。
あまりメジャーではありませんが、古くから私たち日本人となじみのあるキンカチョウ。
その歴史ある魅力を、あなたも味わってみませんか?
公開日 : 2017/11/29