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カッコウは、「カッコーカッコー」と鳴くことで親しまれている 鳥 。
日本には5月頃にやってくる夏鳥で、カッコウの鳴き声で夏の始まりを感じる人もいることでしょう。
「カッコウ」の歌などは多くの方が小学校で歌ってきたことと思います。
日本人はもちろん、欧米でも時刻を知らせてくれる鳥というイメージが定着しています。
さらに、カッコウには他の鳥に我が子を育てさせる托卵(たくらん)という変わった習性があることも知られています。
このページでは、そんなカッコウについて、その特徴や托卵の方法など詳しく見ていきます。
あなたの知らなかった驚きのカッコウの生態が…!
カッコウは、カッコウ目カッコウ科の鳥。
カッコウ科の特徴として例にもれず、体温保持能力が低く、外気温や運動の有無によって体温が大きく変動します。
日よっては日変動29〜39℃になることも。
日本には夏に訪れる夏鳥として親しまれています。
体長約35cm。
ハトより少し大きめ。
羽根色は、頭頂部から背面は灰色、胸から腹部に横縞があります。
その名の通り「カッコーカッコー」と鳴きますが、これはオスの鳴き声。
メスは「ピッ、ピッ、ピッ」と鳴きます。
カッコウの鳴き声で「夏が始まった」という人も多いですよね。
海外でもその鳴き声と同じ名前が付けられています。
英語でカッコウはcuckoo。
鳴き声も「クックー」とされています。
日本人からすると鳩のように聞こえているようです。
ちなみに、cuckooには「まぬけ」「バカ者」という意味もあるのでご注意を。
カッコウはユーラシア大陸やアフリカなどに広く生息し、日本には5月頃に夏鳥として飛来します。
「カッコー」という鳴き声が夏の風物詩とされることも多いもの。
全国の森林や草原、河原などに住み、特に明るい林や草原を好みます。
都市部では開けた場所の電線などで見かけることも。
カッコウはその珍しい繁殖方法で知られる鳥です。
それは、自分では子育てをせず、他の鳥の巣に卵を産みつけて育てさせる托卵をすること。
托卵について詳しくは後述します。
エサは昆虫類、節足動物など。
主に毛虫などを食べて生きています。
カッコウは古くから人々の生活の中に浸透していたようです。
店や商店街などが寂れたさまを「閑古鳥が鳴く」と言いますが、この閑古鳥とはカッコウのこと。
古来より、日本人はカッコウの鳴き声に物寂しさを感じていたようです。
松尾芭蕉の句にも「憂きわれをさびしがらせよ閑古鳥」というカッコウの寂しさを感じる鳴き声を題材にしたものがあります。
また、カッコウとホトトギスが似ていることから、平安時代の和歌などで ホトトギス のことを「郭公」としているものも多く見られます。
明治時代に入ってからも文学の中にカッコウは登場しており、北原白秋の詩「落葉松」に、閑古鳥が登場します。
現在でも、カッコウの名が題名に入る書物やカッコウの登場する物語がありますね。
歌でも「しずかなこはんのもりのかげから」や「かっこう」などカッコウの鳴き声をメロディにしたものも有名です。
ヨーロッパでもカッコウの鳴き声は古くから親しまれているようです。
カッコウは「春告鳥」と呼ばれており、農民の間では、良い報せをもたらす鳥として縁起の良い鳥とされていました。
カッコウの鳴き声は、様々な音楽に取り入れられていて「カッコウの動機」と呼ばれています。
ちなみに、前述した「かっこう」の歌ももともとはドイツ民謡。
日本語があてられ、今では学校で習うメジャーな曲となっています。
そんなカッコウは欧米では時刻を告げる役目を担った鳥種。
ニワトリが朝を告げるくらいそのイメージ固まっているようです。
ドイツのシュヴァルツシルト発祥の「鳩時計」は、ドイツ語で「Kuckucksuhr(クッククスウアー)」。
Kuckuckはカッコウという意味で、鳩時計がもともとカッコウを模していることを示しています。
なぜ、日本では鳩時計と呼ばれるのでしょうか。
鳩時計は明治の開国によりドイツから輸入されたもの。
カッコウ時計が鳩時計となった経緯には諸説ありますが、以下のことが挙げられます。
これらの理由から日本では鳩時計と呼び、現在の日本で作られる鳩時計はハトの人形が使われるようになりました。
海外で鳩時計を買おうとして「pigeon clock」と言っても通じないことは覚えておきましょう!
カッコウの特徴は、前述した通り自身で子育てをしないという繁殖スタイル。
カッコウは、5月中旬に南方から渡来して7月末頃までの間、卵を産み子孫を残します。
このとき他の鳥の巣に卵を産み、育てさせるのです。
この習性を托卵と呼びます。
托卵される仮親はオオヨシキリ、モズ、 ホオジロ など20種類以上。
カッコウの他にジュウイチ、ツツドリ、ホトトギスなど同じくカッコウ科の鳥類が托卵することが分かっています。
仮親の産卵初期、カッコウは巣の様子を伺い、仮親が巣を空けた隙に自分の卵を産みつけます。
このとき卵の数で仮親にバレないように1つ卵を捨てたり、食べてしまったりします。
仮親は自身の卵と勘違いしたままカッコウの卵を温めるのです。
通常、カッコウの卵は仮親の卵より早く孵るもの。
孵ったカッコウのヒナは、生まれて間もないのにも関わらず、仮親が産んだ他の卵を巣の外に落としてしまいます。
そして、育ての親が運んでくるエサを独り占めにして成長。
成長したカッコウのヒナは仮親より大きくなりますが、仮親はカッコウのヒナに献身的にエサを与え続けます。
これを繰り返してカッコウは子孫を増やしているのです。
なぜ托卵するのかは未だに詳しく分かってはいませんが、一説には、カッコウは体温を保つ能力が低く、卵を温めることができないからとも考えられています。
小狡い托卵を行うカッコウですが、その裏にはさらに巧妙なテクニックがあるようです。
まず、カッコウの卵と模様が似ている仮親の卵の元へ産むというのもひとつの技巧。
しかし、カッコウの卵だと見破る鳥もいるため、托卵が成功する確率は必ずしも100%ではありません。
托卵が発覚すれば、卵を巣から落とされることに繋がるため、カッコウはこれを回避するためのさらに巧妙なトリックを複数習得しているのです。
もともとの卵の数と一致させるため卵のうちの1個を捨てる、食べてしまうのもトリックの1つ。
最近の研究によると、メスのカッコウは卵を産みつけた直後に、ヨーロッパヨシキリなど巣の持ち主の鳥を動揺させ、新しい卵に気付かせないよう気をそらすという姿が観察されたようです。
仮親の気をそらすその方法は、声真似。
ヨーロッパヨシキリにとっての天敵は、タカです。
仮親の巣に卵を産みつけたカッコウがタカに似せた鳴き声を発し、卵から注意をそらすことをイギリスの研究チームが発見しました。
ここにはカッコウの巧みな心理戦が見られます。
仮親の「卵を守ること」と「自分の身を守ること」の間にある両立し得ない関係性を巧妙に操り、托卵行動の成功率を高めているとのこと。
托卵は非常に小狡い行動に見えますが、子孫を安全に残すための知恵であり、残酷ながらも自然界の厳しい掟の中で培われた賭けとも言えます。
今後カッコウがなぜ托卵するのかの研究により、その謎が明かされることを期待したいですね。
ここまで、カッコウについて詳しく説明させていただきました。
少しはカッコウを好きになってもらえたでしょうか?
ここでは、カッコウが気になる方にはぜひ持っていてもらいたいカッコウグッズをご紹介します。
ドイツの伝統的デザインに新しい技術を搭載したクォーツ式鳩時計。
200年の伝統を受け継いだマイスターがハンドメイドで作成した作品です。
メンテナンス不用の新しい鳩時計。
鳩ではなく、カッコウの鳴き声で時間を知ることができます。
「カッコーカッコー」という透き通る声と時計の音が伝統と癒しを伝えます。
下の穴を開いたり抑えたりして、カッコウの鳴き声が簡単に出せる笛。
シンプルながら、癒される音色で夏の始まりを感じてみましょう。
初心者でも子どもでも簡単に吹くことができます。
カッコウがやって来る夏にカッコウのメスを呼ぶために使うのも良し、カッコウを見ない秋冬に想いをはせるのためにも良しです。
自然音のみで構成された小鳥のさえずりを収録したCD。
カッコウ以外にも、 ウグイス や キジバト 、エナガ、オオルリ、 キビタキ 、 ホトトギス などの鳴き声に癒される1枚です。
緑あふれる自然の中を自由に飛び交い、美しい声を聴かせてくれる鳥たちのさえずりは、日々の喧騒を忘れてリラックスさせてくれます。
清澄な朝の森の風景を思い出す爽やかなシンフォニーをお楽しみください。
カッコウは古くから私たちの文化の中に入っていた鳥。
文学や歌の中でもその夏の風物詩としての鳴き声を思い出すことができます。
また、托卵という非常に興味深い繁殖方法を持つため、生態研究としても面白い鳥です。
世間では托卵の残酷なイメージから良い印象のないカッコウ。
しかし、托卵には自身で育てられない代わりに自然界で強く生きていくための強さと巧みさを感じさせられます。
ぜひ、カッコウの鳴き声を耳にしたら、今回の記事のことを思い出してみてください。
カッコウの世渡りの上手さは、面白いウンチクになるかもしれません。
最終更新日 : 2021/05/07
公開日 : 2017/10/24