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ホトトギスはカッコウ目カッコウ科に分類される鳥の一種で、 カッコウ とよく似た姿をしています。
鳴き声こそ違うものの、遠くから見る姿はカッコウと同様の姿かたちをしているので間違える人も多いですが、その違いの判断材料として、体の大きさや胸の模様、それに飛び方でホトトギスとカッコウの違いを区別することができるのです。
ただし、ホトトギスは警戒心が強いので間近でじっくりと観察するのは難しいかもしれません。
ホトトギスの大きさは全長28cmになります。
翼開長(羽を広げた状態)は全長46cmにもなり、ヒヨドリよりも少し大きくて ハト よりも少し小さくなります。
模様は、頭から背中にかけて青灰色をしており、翼や尾羽は黒褐色、それにお腹の黒い横斑や黄色いアイリングはホトトギスの特徴的な模様となっております。
オスとメスに模様の違いはほとんどありませんが、鳴き声は少し異なるので、鳴き声でオスかメスか分かる人もおります。
ホトトギスを漢字で明記すると「時鳥」となります。
その名前の由来としては、鳴き声からによるもので「ホトホト」と聞こえる鳴き声がホトトギスの由来となっていると考えられています。
ホトトギスの「ス」については、カラスやウイグスの「ス」と同じで小鳥類を表す接尾語としてつけられたようです。
ただ、漢字で「時鳥」と明記することから、「時(とき)」と関連されることで「ホトトギス」と名付けられたという説もあります。
しかし、ホトトギスの仲間が「ホトホト」と鳴くことを示した文献が残っている為、「ホトトギス」の由来は鳴き声である「ホトホト」からくることが有力であると考えられております。
江戸時代以降はホトトギスの鳴き声の表現が「ホトホト」よりも「ホンゾンカケダカ」、「テッペンカケタカ」といった具合に変化し、戦後は「トッキョキョカキョク」などと表現するようになったことから、今では名前の由来が鳴き声からきているものだと解りにくくなっています。
ホトトギスは警戒心が強いので間近で観察することが難しい場合が多いです。
その為、遠くから見るとカッコウと間違える人も多いですが、大きさや模様がカッコウとは若干異なるので、よく観察してみるとその違いを確認することができるでしょう。
このように野生のホトトギスの場合は警戒心が強いので、観察することや写真を収めることが難しくなりますが、近年ではカメラやレンズ、望遠鏡の性能が高まり、遠くからでも綺麗に撮影することや観察することが可能になりました。
しかし、こうした技術の進歩に伴って野鳥撮影を趣味とする人が増えた半面、最近ではそうした人たちのマナーの悪さも問題となっているのです。
野生のホトトギスを観察、撮影する際は最低限以下のマナーを守って楽しむようにしましょう。
・巣には近づき過ぎない
・野鳥を追い回す事はしない
・珍しい 鳥 や人気の鳥が生息する場所をSNS等に公開しない
・観察、撮影する際は注意の人に配慮する
・餌付けなど環境改変しない(人の手を加えない)
・ゴミのポイ捨てはしない
・ストロボ(人工照明)の使用を控える
以上の項目は最低限のマナーとなります。
最近ではカメラや一眼レフの需要が高まり、写真を取ることを趣味とする人が増えたので、こうしたマナーを知らずに野鳥を撮影する人が増えました。
マナー違反は野鳥の撮影を楽しむ人の気持ちを害するだけでなく、自然環境にも悪影響を与えてしまいます。
そのようなことが続いてしまうと本来であれば渡来してくる場所に姿を見せなくなってしまったり、環境が変わることによって自然の生態系に変化を与えてしまう可能性も出てくるのです。
多くの人が自然を守り、現行と変わらぬ自然を維持していくことが野鳥にとっても野鳥撮影をする人にとっても好ましい状況となります。
その為にもマナーを守る必要があるのです。
ホトトギスは5月ごろに日本に渡来してくる「夏鳥」として知られています。
実際には夏よりも若干早めの時期にホトトギスが渡来してくるため、ホトトギスを目撃すると「夏」を感じる人も少なくないでしょう。
食べるものは主に「蛾の幼虫」や「昆虫」となり、中でも「毛虫」は好むのでホトトギスは肉食性になります。
ホトトギスは自分で産んだ卵を育てることなく飛び去ってしまいます。
その間どうするのかというと、ウグイスなど他の小鳥がホトトギスの卵を育てるのです。
このことを、托卵(たくらん)といい、ホトトギスは卵を産みつけた後は自分で育てることなく、その巣の親に任せてしまうのです。
ホトトギス以外にもカッコウ、ツツドリ、ジュウイチが托卵をしますが、これらはすべてカッコウ科になります。
しかし、ウグイスなど他の小鳥も卵を産みつけられることを容認しているのではなく、ホトトギスやカッコウのように托卵する鳥に対して威嚇するのです。
それだけではなく、托卵したことに気付いた場合は卵を取り除いたり、巣を放棄したりと激しい抵抗を行うこともあるのです。
それに、他の巣に違う鳥の卵が入るので模様が似ているようで違いがあります。
そうした少しの違いに気付く親鳥も多いので、決して托卵が成功する確率は高くはないのです。
日本では昔からカッコウやホトトギスは親しみがある鳥として知られていますが、実はこうした習性を持つことは意外と知られていないのが実情です。
その後は、違う親鳥に育てられたカッコウやホトトギスも大きく成長して巣立ちを迎えることになりますが、別の親鳥に育てられたカッコウやホトトギスもまた卵を産むようになると同じように托卵するようになるのです。
このような不思議な習性をホトトギスは持っているのです。
ホトトギスの生息地は、中国南部、インド、マダガスカル、アフリカ東部と広い範囲に分布しており、インドから中国で越冬するホトトギスが日本へ渡来してきます。
日本では九州以北で繁殖を行いますが、北海道の南部でも少数生息します。
ただ、本州では確認されることが多いですが、北海道と九州では少ないので観察や撮影したい人であれば見つけることが難しいのかもしれません。
林の周辺や藪のある場所、それに草原に生息しているので、こうした場所をチェックすることで渡来時期であれば比較的簡単に見つけることができるかもしれません。
その鳴き声としては、「キョ、キョ、キョキョキョキョ」と良く通る声で大きく鳴くので鳴き声が遠くまで響き渡ります。
オスとメスで鳴き方が異なりますが、オスの場合は4節目に独特なアクセントがあるので分かりやすいかもしれません。
メスの場合は、テンポの早い鳴き声で「ピピピピ」と鳴き、これはカッコウやツツドリよりも高くてテンポが早いので違いが明瞭であるかと思います。
遠くから見る姿はカッコウやツツドリと似ていますが、上記のような鳴き声の違いがあるので、遠くからでもすぐに分かるのではないでしょうか。
ホトトギスにおける危険性といえば、渡来の際にハヤブサやワシ、コンドルといった猛禽類に襲われることがあります。
しかし、そのリスク以上に恐ろしい事は「餓死」となり、 エサ を取ることができずに死に至ることもしばしばあるので、天敵から襲われる以上のリスクが「食」にあるといえるのではないでしょうか。
ホトトギスは万葉集や古今集といった昔からある和歌集にも登場していることもあり、多くの人にとって親しみがある鳥になるかと思います。
それに、天下統一と関わりのある三人の武将の性格を象徴とした句は「ホトトギス」を更に身近な存在に近づけたものであるといえます。
織田信長「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」
豊臣秀吉「鳴かぬなら鳴かしてみせようホトトギス」
徳川家康「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」
こちらは、小学校の社会で勉強する句になるので、この句から「ホトトギス」に興味や関心を持つ人も少なくありません。
ただ、こちらの句については本人が詠んだものかは不明となりますが、三人の性格や生き方、天下統一との関わり方を分かりやすく表現しているものだと思います。
織田信長は短期さを、徳川家康は才知を、徳川家康は忍耐力を、それぞれ表現しているのです。
正岡子規の「子規」とはホトトギスの事を指しております。
当時の不治の病として知られていた「結核」を患った正岡子規は、まだ22歳という若さで自分自身に死が迫っている事を覚悟しました。
自らが喀血(かっけつ)したことをホトトギスと重ねて、数十もの句を一晩で作り、そして俳号を「子規」としたのです。
ホトトギスは「鳴いて血を吐く」といわれるように、口の中が赤いことから鳴くと血を吐いているように見えます。
また、ホトトギスの“ピピ ピピピ”という鳴き声と自分が咳をする音が似ていること、咳こんだ時の手についた血を見た時、そういったことを踏まえて正岡子規はホトトギスと自分を重なり合わせたといわれております。
こうした状況を理解してから改めて「正岡子規」ときくと、その背景や生き方がみえてくる気がします。
正岡子規がホトトギスに抱いていた“思い”というのはこれほど強いものがあったのです。
ホトトギスに興味を持ち「できれば飼育したい」と思う人もいます。
しかし、ホトトギスは1892年(昭和25年)の狩猟規制によってツル、ツバメ、キツツキ、ムクドリらとともに保護鳥獣として指定されたことや鳥獣保護法の改正によって飼育が出来ない状況となりました。
これは、人間と野鳥の共存を目指す人にとって「野生鳥獣は地球の財産」として考えられており、様々な生態系を存続させる動きがあるからです。
従って、ホトトギスは飼育することが出来ないとされていますが、場合によっては保護を余儀なくするホトトギスもいる可能性があります。
ケガなどを負っているからといってホトトギスを自宅で保護すると「捕獲」や「不正飼育」として捉えられる場合があるので、速やかに各都道府県にある「鳥獣保護課」に連絡してその後の対応を仰いで下さい。
実際に メジロ などの野鳥を不正に飼育した容疑で家宅捜査(鳥獣保護法違反)をされた人もいるので、仮に善意だとしてもその行動が認められないケースもあるのです。
万が一、そうした行動が「無断保護」や「不正飼育」といった場合は「6ヵ月以下の懲役」または「50万円以下の罰金」となり、許可を得ることなく捕獲した場合は「1年以下の懲役」または「100万円以下の罰金」となり、とても重い罪にとわれます。
こうしたトラブルを避ける為にも保護をした際には速やかに各都道府県の「鳥獣保護課」へご連絡してください。
わたしたちがホトトギスなど野鳥を保護することも鳥獣保護法で禁止されているのは野鳥だけでなく、人間を守る為でもあるのです。
これは、野鳥が病気を患っていた場合や鳥インフルエンザから私たちを守る目的も含まれており、必ずしも感染を引き起こすわけではありませんが、こうした感染症や流行を防ぐ為にも保護をした際には速やかに「鳥獣保護課」へ連絡するようにして下さい。
このように一口に「ホトトギス」といっても、生態や鳴き声、歴史と様々な視点でみていくことで違った一面を発見することが出来ます。
人によってはこれまでのイメージを一変させる内容もあるのかもしれません。
その中で興味が湧き、実際に観察してみたりカメラに収めたいという人も出てくると思いますが、前述した通りその際は最低限のマナーを守るようにして下さい。
最近ではカメラや一眼レフの性能が向上したこともあり、間近で観察するだけではなく、写真に収めることが昔と比べて簡単にもなりました。
こうした背景があるからこそ「ホトトギス」が一層身近なものとなり、愛着が湧く人も多いですが、同時にマナーを守らない人が増加している報告もあります。
単に「マナー違反」といっても、それは写真を撮る人だけの問題ではないのです。
もちろんホトトギスにも影響が及びますが、自然を破壊する行為にも繋がり、生態系を変化させてしまう可能性もあることを忘れてはいけません。
ホトトギスに興味・関心が湧くことは素晴らしいことではありますが、きちんと最低限のマナーを守った上で楽しむようにして下さい。
公開日 : 2017/09/22