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シロフクロウ(白泉:学名:Bubo scandiacus)は、フクロウ目、フクロウ科に分類される 鳥類 です。
1758年に、自然学者のカロルス・リンネにより正式に報告された、古い歴史を持つ生き物です。
ワシミミズク属に分類される場合と、シロフクロウ属という孤立した属で扱うことがあり、シロフクロウ属で扱う場合の学名はNyctea scandiacusです。
シロフクロウの名前の通り、真っ白な体が最大の特徴です。
シロフクロウはフクロウの中でも大型に分類されます。
大きさは全長50㎝~65㎝、翼を広げると140㎝~160㎝と、大人の女性ほどもあります。
体重は1.6㎏~2.0㎏前後と、腕に載せるとなかなかの存在感があります。
シロフクロウの寿命は20年程です。
飼育下では25年程生きる個体もおり、 フクロウ の中でも大型なシロフクロウは長寿の持ち主です。
日本では、ときおり東北地方から北海道でシロフクロウの観測が報告されています。
普段は北極周辺のツンドラ地帯と呼ばれる、コケや地衣類などの開けた、あまり木の生えていない地域に生息しています。
シロフクロウは渡り鳥で、春から夏にかけての繁殖期には北極圏にまで北上し、その後は北アメリカやヨーロッパ、ロシアなどまで南下します。
フクロウと言えば夜中に「ホーホー」という鳴き声と共に活動しているイメージがありますよね。
しかし、シロフクロウは、フクロウのなかでは珍しく日中に活動します。
これは、北極圏では夏場、一日中日が沈まない白夜のもとで生活をしているため、日中に活動するよう進化したと考えられています。
毎年5月~9月にかけて、北の地域に移動し繁殖を行います。
ペアが誕生すると、オスは1.5~6.5平方メートルほどの縄張りをつくり、メスがその中に巣を作ります。
メスは一日おきに卵を産み、個数は3個~11個です。
卵の数は、主食であるレミング(ネズミの種類)の数に大きく依存します。
卵は32日~34日程で孵化し、ヒナは5~7週間ほどで巣立ちします。
ヒナの生存確率は、餌となるレミングの数で大きく変わると言われています。
シロフクロウの主食であるレミングの数が多いと、オスは複数のメスとつがいになることもあるそうです。
シロフクロウの生存のカギを握るのは、主食であるレミングであると言っても過言ではありません。
繁殖期のシロフクロウは非常に攻撃的で、例え相手が人間であとうと、長距離で1㎞も追いかけまわすことがあるそうです。
全身真っ白な体なのは、成熟したオスのみです。
これに比べ、メスや幼鳥は白をベースに黒いまだら模様が入っています。
オスよりもメスのほうが、やや大柄です。
「森の賢者」という異名を持つシロフクロウは、大変賢い頭脳の持ち主です。
完全な肉食の猛禽類で、普段はレミングというネズミの仲間を中心に、 ウサギ などのげっ歯類を獲物にしています。
レミングの掘ったトンネルの上で飛び回り、音に驚き顔を出したところを捕まえるという、高い知能を活かした狩りを行います。
また、人間の仕掛けた罠の位置を記憶し、罠にかかった獲物をさらうこともあるようです。
捕まえた獲物は、体毛や骨ごと呑み込んでしまいます。
毛や骨は胃腸で消化できませんが、ペレット状の塊として吐き出します。
シロフクロウの性格は、オスメスともに気が荒めです。
そのため、人に懐かせることは容易ではありません。
野生化の生き物ですので、犬や猫のように人間に懐くということは基本的にありません。
人間に対し「害がない存在」と思わせることが、シロフクロウの懐くという行為に当てはまるでしょう。
シロフクロウはペットとして飼育することも可能です。
しかし、愛玩用ではなく野生の生き物ですので、飼う際には事前に良く情報を入手しておくことや、手間暇がかかる難易度の高い生き物であることを理解しておくことが前提です。
ペットとしてメジャーな生き物でないシロフクロウは、なかなかペットショップで見かけることはありません。
猛禽類(モウキンルイ:フクロウを始めとするワシやタカなどの肉食鳥)を扱っているペットショップに連絡して見ると良いでしょう。
シロフクロウの価格は30万~60万程と値段の幅が広く、どちらにせよ高額です。
ペットとして人気のある インコ のように、容易に入手できないため、複数の中から好みの個体を選別することは難しいでしょう。
シロフクロウは完全な肉食鳥ですので、餌は猛禽類用のものを与えます。
基本的には冷凍マウス、冷凍ヒヨコ、冷凍 うずら などです。
これらの餌は、猛禽類や肉食の ヘビ などの爬虫類を販売しているペットショップで購入することができます。
エサ代はそれなりに費用が掛かります。
ヒナの時は細かく刻んで与えます。
成鳥では、通常の体重を維持できる量を、一日に一回から二回与えます。
冷凍ヒヨコやマウスは、そのままの姿をまるまる冷凍したものになります。
そのままの姿を与えることや、血や肉に抵抗のある方は、残念ながら猛禽類の飼育には不向きと言えるでしょう。
たまにおやつとして コウロギ やミルワームを与えると喜びます。
餌を与える際には、必ずピンセットを使用します。
ケージ内に置いて与える場合は別ですが、手から直接与えていると、噛みつかれてしまう可能性があり危険です。
ケージは、大きく頑丈なものが必要です。
猛禽類用のケージを用意しましょう。
放し飼いでない限り、一日の居場所の多くはケージの中になります。
身動きが取れない、羽ばたけないケージ内に長時間いることは非常にストレスになります。
シロフクロウはストレスに弱い生き物です。
しっかりとゆとりのある大きさのケージを用意しましょう。
シロフクロウは北極圏に生息しているため、寒さには強いのですが、その分暑さを苦手とします。
冬は室内であればさほど過保護になる必要はありませんが、夏場のエアコンは必須です。
冬場は場所によりますが、あまりにも冷え込むようであれば、暖房器具が必要になります。
基本的にフクロウは野生の生き物ですので、 犬 のように しつけ ることはできません。
人間に慣れるという表現は、この人は自分にとって害はない存在である、という程度のものだと考えると良いでしょう。
猛禽類を、皮手袋を着用した腕の上に止まらせる行為を、テレビなどで見かけたことはないでしょうか。
これをフィストコールと呼びます。
この行動も、人間に慣れているというよりは、皮手袋の先にあるエサをめがけて飛んで来ています。
フィストコールも、野生の修正を活かした行動であり、意図的に人間にシロフクロウが従順に懐くことはありません。
野生化では、自然と摩擦していく爪やくちばしですが、飼育下では放って置くと伸び放題になってしまいます。
伸びっぱなしにしていると、人間に対して危険性が高まるほか、フクロウ自身も足の裏などにケガをしてしまいがちです。
そのため、定期的に爪やくちばしの手入れが必要になります。
方法としては、まずシロフクロウの全身を柔らかな布で包みます。
目隠しをして大人しくさせること、暴れたりしてケガをさせないためです。
くちばしと爪を露出させ、爪きりで先端を少しずつカットしていきます。
切りすぎてしまうと出血してしまうため、慎重に行う必要があります。
万が一出血した際に供え、止血パウダーを用意しておくと安心です。
最後に、爪やすりでカットした爪やくちばしの先を軽く整形します。
できるならば、抑える係とカットする係の二人で行うと効率的です。
この行為は、シロフクロウにとって嫌な行為でありストレスになるため、なるべく短時間で手早く行いましょう。
不安であれば、猛禽類を診れる動物病院にお願いすることもおすすめです。
しかし、毎回動物病院に連れていくこともストレスになりますので、徐々に自分でできるようにすることがベストです。
フクロウは水浴びを好みます。
水浴びには、足が浸る深さと、羽を羽ばたかせても十分な広さの容器を用意してあげましょう。
シロフクロウを始めとする猛禽類を診ることのできる動物病院は、全国でも少数しかありません。
そのため、自分である程度の知識を身に着けておくことは必然です。
また、病気やケガなどをした際、どこに連れていくべきか事前に確認しておく必要があります。
場合によっては遠距離移動が必要になります。
交通手段や移動用のケージなど、緊急事態に慌てないよう備えましょう。
シロフクロウは大型の猛禽類です。
ケージの中だけではストレスになってしまうため、放鳥時間も必要です。
大型のシロフクロウの放鳥には、一部屋をまるまる使用する広さが必要です。
そのため、部屋の中は常にフクロウにとって危険のない衛生的な空間を保たなければなりません。
また、放鳥に使用する部屋はそのシロフクロウの縄張りとなります。
シロフクロウは、一緒に遊ぶというよりは、自由に飛び回る姿を少し離れた場所から観察する飼い方がメインになります。
ロストとは、逃げ出していってしまうことです。
シロフクロウは見た目より体が細く、このくらいなら大丈夫だろうと思っていると、その隙間から逃げ出してしまうことがあります。
また、外を自由に飛ばせるフリーフライトは、ロストの危険性が高まります。
フリーフライトを試みる際には、十分な知識が必要になります。
シロフクロウは猛禽類であるため、逃げ出してしまうと近隣住民などに危険が及ぶ可能性があり、注意が必要です。
逃げたフクロウは基本的に戻ってくることはありません。
また、自力で餌を捕ることを学習していないため、野生化で生き抜くことは非常に困難です。
ロストを避けるためには、常に窓やドアなどシロフクロウが逃げ出す恐れのある個所を確認してから放鳥することです。
シロフクロウはトイレを覚えることはありません。
そのため、放鳥時には至る場所に糞をします。
糞自体に臭いはほとんどありませんが、糞のほかに、食べたエサの毛や骨(ペレット)を吐き出す行為もしますので、掃除は大変です。
また、放鳥する部屋には、シロフクロウが止まれる止まり木をいくつか設置することや、防音設備をしっかり整えること、窓に激突しないように網を使用するなど、一部屋をまるまるシロフクロウ用にできるスペースの確保も必要です。
シロフクロウは、フクロウの中でも大型で、白く美しい見た目が特徴です。
更に、もう一つ、まるでにっこりとほほ笑んでいるような表情を見せてくれる一面も、シロフクロウの魅力です。
シロフクロウ本人は笑っているわけではないようですが、写真のようににっこりした表情をされると、こちらも思わず微笑んでしまいますよね。
笑顔に見える理由は、眠い時やまぶしい時など、目を細めたときの形が、三日月形になり笑っているように見えるようです。
シロフクロウは、かっこいい一面と可愛らしい一面を持つ、癒し係でもあります。
シロフクロウは、安易に飼える生き物ではありません。
「思い描いていたのと違った」
「生エサを与えるのが無理だった」
「ケガをさせられた」
「飼育スペースが確保できなかった」
数ある理由から、飼育放棄されることも珍しくありません。
特に映画ハリーポッターの原作で描かれたイギリスでは、ハリーポッター人気と共にシロフクロウの人気も高まりました。
しかし、その一方で飼育放棄が後を絶たず問題にもなっています。
映画の影響で一目ぼれ、という方も少なくはないと思います。
しかし、衝動買いは大変危険です。
家族としてお迎えする際には、非常に難しい生き物であることを理解し、最後まで面倒が見れることを前提でお迎えしてください。
公開日 : 2017/10/24