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3. 病院嫌いの猫は「キャリーバッグ=動物病院」のイメージを払拭させる
動物病院は、ペットが病気や怪我をした時に連れて行けば良いというものではありません。
愛するペットを診察してもらえるための準備や心得を、事前に整えておくことが最も大切なポイントです。
動物を飼いたいと思った時から、飼育法はもちろん、日々の健康チェックと共に、動物病院の診察を受ける場合の想定をしておくことが大切です。
犬 ・ 猫 は人間と会話ができなくても、毎日お世話をしてくれる飼い主さんのちょっとした仕草や表情から感情や体調さえも読み取ることができます。
しかし、私たち人間はどうでしょう?
愛するペットの体調が悪くても、彼らが言葉を発することができないため、体調の変化を見逃してしまうことがあります。
そんな時、専門医に診察してもらうことが必要なのです。
動物病院にかかる前に、押さえておくべき点をチェックしましょう。
ペットを家に迎えたら、まずはじめにペットの動物種を診療してもらえる動物病院を見つけておくことが飼い主としての務めと言えるでしょう。
できればペットを家に迎える前に、信頼できる動物病院を探しておくことをおすすめします。
ご近所の愛犬家が通う動物病院を教えてもらうのも良いですね。
ペットが病気になってから慌てて探すのは、手遅れになることさえあり得ます。
近所に動物病院を見つけたら、たいていの場合、犬・猫であれば診療してもらえるはずです。
しかし、犬・猫以外の 小鳥 ・ ウサギ ・ ハムスター ・ モルモット ・ フェレット ・ ハリネズミ ・ 爬虫類 などの珍しい動物(※総称エキゾチックアニマル)は、診察してもらえる病院が限られています。
犬・猫以外の小動物や爬虫類を迎える際は、徒歩あるいは車や公共交通機関で通院できるエリアに、ペットを診察してもらえる動物病院があるかを、家に迎える前に必ず調べておく必要があります。
小鳥や 小動物 ・爬虫類の場合は、入手したペットショップが日頃お世話になっている動物病院や夜間救急動物病院のリストを教えてくれるはずです。
初めて小動物や爬虫類を飼う際は、ペットショップやブリーダーさんから、直接飼育方法やお世話になる動物病院の情報を仕入れておきましょう。
言葉を発しない動物たちを、いつどのタイミングで病院へ連れていくかの判断は難しいものです。
遅すぎては処置や治療の開始が遅れ、その分回復が遅れてしまいます。
一体どのタイミングでペットを動物病院に連れていくのがベストなのでしょうか。
ペットの様子が「何かおかしい...」「いつもと違う...」など異変を感じたら、必ず動物病院で獣医師の診察を受けるべきです。
「もう少し様子を見よう!」「ご飯を食べているから大丈夫!」などの安易な判断は禁物です。
獣医師から見れば、異変を感じた時が動物病院へ連れて行くタイミングだと教えられました。
特にウサギやハムスターなどの小動物は、飼い主から見て元気がないように感じた時は、重篤な症状であることが多いのです。
筆者はこれまでウサギやハムスターをたくさん飼育してきましたが、動物病院へ連れて行ったその日に大切な小さな命を失なわせてしまった悲しい経験があります。
ハムスターの場合は下痢をしたら致命傷となり、脱水症状に至り命を落としたこともありました。
飼い主として「もっと早く動物病院へ連れて行けば良かった...!」と後悔先に立たずの苦い思い出が今でも頭の片隅に残っています。
身体が小さな動物だからこそ、病気や怪我で命を落とすリスクも高いのです。
後から後悔しないように、できるだけ早い段階で動物病院へ連れて行くことが大切です。
例えば、ペットに異変を感じた時が平日の朝ならば、仕事や他の用事ですぐに動物病院へ連れて行くことが難しい場合もあるでしょう。
あるいは仕事が休みの週末だったとしても、動物病院が閉まる間際や、閉院してしまった夜間に動物病院へ駆け込むのは避けたいところです。
以前、獣医師からこんな話を聞きました。
飼い主の自己判断で動物病院へ連れてくるのが遅れたために、ペットの診療に最善を尽くせなかった典型的なパターンです。
こんなケースを獣医師が目の当たりにすると、「なぜ早く連れて来なかったんですか?」と思わずにはいられないのだそうです。
獣医師曰く何が大切かというと、ペットの異変を感じてから長時間経過し、動物病院が閉院する間際や夜間に駆け込むのは、最悪の場合治療の甲斐なく命を落とすことさえあり得るということです。
獣医師に最善の診療を尽くしてもらうためにも、ゆとりある診療時間内に訪院することを飼い主として心得ておきましょう。
一人暮らしの場合、どうしても当日仕事を休むことができない時もあるでしょう。
朝一でペットの異変を感じた時は、飼い主さんのご家族が連れていけるのなら、なるべく午前中の診療時間内に動物病院へ連れて行ってもらうのがベストです。
また、こんな時のために、飼い主さんの代理で動物病院へ連れて行ってもらえる人が身近にいればありがたいですね。
しかし、一人暮らしで引っ越したばかりの場合では、なかなか信頼できる人が近くにいないこともありますよね。
そんな時は、飼い主さん代理で動物病院へ連れて行ってもらえるペットシッターさんを事前に探しておきましょう。
いざ何かあった時に慌てないよう、受診におけるポイントを事前に確認しておきましょう。
はじめての動物病院へ受診の際は、調べておいた病院へ電話で連絡しましょう。
いきなり連れて行くより、事前に電話を入れておくとスムーズです。
特に初めての動物病院へ訪れる時は、「慌てて駆けつけたら休診日だった!」...なんてことのないように、事前に必ず電話をしておくことをおすすめします。
また、連れていきたいときに休診日である可能性もあるため、休診日の違う動物病院を何軒かピックアップしておくことをおすすめします。
電話が通じたら、ペットの症状をできるだけ簡潔明瞭に伝えましょう。
ペットの種類・生年月日・年齢・性別・症状など を事細かに聞かれる場合もあります。
日頃からペットに関するこれらの情報を、携帯電話のメモ帳などに管理しておくことをおすすめします。
事前に電話連絡するメリットは、初診の際に必要なものをあらかじめ教えてもらうことができます。
犬・猫であれば ワクチン証明書 を持参すると動物病院も助かります。
また、普段与えている フードのブランド名やタイプ などをスマホにメモしておいたり、携帯電話のカメラで撮影しておくと便利です。
犬・猫の場合は、当日の便をペットシーツごと包み持参するとスムーズに検便ができます。
動物病院へ訪院する前に、持参するものを電話で必ず確認しておきましょう。
基本的に、小型犬・猫・小動物は、キャリーバックに入れて動物病院へ訪院します。
動物病院は色んな動物が飼い主さんと共に訪れる施設です。
診察に呼ばれるまで、待合室で待機する間の飼い主さんのマナーとも言えるでしょう。
特に体調が悪いペットは、他の動物の鳴き声が気になり落ち着かないこともあります。
待合室では必ず、ペットを入れたキャリーバックを傾かないように膝の上に置き、診察室に呼ばれるまで静かに待ちましょう。
特に猫の場合は、病院や注射が苦手な子も多く、動物病院に連れて行くことに手こずる飼い主さんも多いようです。
病院嫌いの猫は、例え近所の動物病院でも抱っこして連れて行くことは非常に危険です!
隙あらば逃げ出そうと必死になるため、道路に飛び出して交通事故を招く可能性も否めません。
動物病院へ連れて行く時だけキャリーバッグに入れると、「キャリーバッグ=動物病院」と猫の頭の中でインプットされ、キャリーバッグになかなか入ってくれません。
一刻も争うような時、愛猫がキャリーバッグに入ってくれずに手こずるようなことは避けたいですよね。
日頃からキャリーバックを室内に置き、「キャリーバッグ=楽しいこと」と愛猫に仕向けておくと良いでしょう。
小鳥やハムスター・ウサギ・ハリネズミ・モルモット・フェレット・爬虫類などのエキゾチックアニマルも同様です。
小動物用のキャリーバッグにペットを入れ、なるべく刺激にならないようにハンドタオルなどを掛け、飼い主として小さなペットを守ってあげましょう。
なお、体調の悪いペットは尿や便を漏らすこともありますので、キャリーバックの中には必ずペットシーツを敷いておくことを忘れずに。
汚れたペットシーツがいつでも交換できるように、ペットシーツの予備やウェットティッシュを用意しておくとさらに安心です。
動物病院へ着いたら、初診の際はペットのカルテを作成してもらう必要があります。
事前に電話でペットに関する情報を伝えていても、動物病院へ訪院した際は、初診では必ず記載する項目です。
受付でスムーズにカルテが作成できるよう、あらかじめ手帳やスマホのメモ帳などに入力しておくことをおすすめします。
犬・猫の場合はフードのブランド名やタイプ、一日の食事の回数や時間、量を明確かつ詳細に伝えます。
主食の他におやつも忘れずに。
なお、愛犬・愛猫のお気に入りのおもちゃ、ボール、タオル、布など、ペットが噛んだり口にするすべてのものを獣医師に詳細に報告すること。
犬に禁忌となる食べ物や、プラスチックやガラスの破片など思わぬ物を口にした場合は漏れなく正確に伝えましょう!
転居などの飼い主さんの事情で、ペットがかかりつけの動物病院を転院することがあると思います。
そんな時は必ず、かかりつけの動物病院から下記のことが分かる紹介状を作成してもらいましょう。
現在治療中の病気がある場合は、これまでの治療経過や病状が分かる紹介状を、以前のかかりつけ動物病院からもらっておきましょう。
また、ワクチンアレルギー歴などがある場合は、初診時に詳細な問診が必要です。
過去に腫瘍切除手術を受けたことがある犬・猫は、「病理組織検査結果報告書」を大切に保管しておいてください。
初診の際に持参すると獣医師さんが非常に助かります。
さて、いよいよ診察です!
診察室に飼い主さんとペットが呼ばれ、獣医師による診察がはじまり必要に応じて検査や治療を行います。
検査の途中や終了時に、病名や症状・治療方針・今後の注意点・通院や入院に関する獣医師の指示・必要事項について説明があります。
この時、不明点や気になること、不安な点などがあれば遠慮なく獣医師に質問しましょう。
また、ペットの病状によっては、さらに検査が必要な場合や獣医師が即答できないケース、または今後の治療経過から判断する場合など様々なケースがあります。
初診時の診察・検査で、すべて判断しかねる場合もあり得るため、気になる点は必ずその都度、獣医師に直接質問し、不安な気持ちで家に帰らないことが大切です。
今後の治療方針や通院する際の生活上の注意点、次回の診察日についても飼い主さんがしっかりと獣医師に尋ねることが必要です。
その他、次回の診察日までの間、病変した場合や気になる点が少しでもあれば、必ず動物病院へ電話で問い合わせましょう。
診察が終わると、最後に会計をします。
ペットの医療には人間のように公的健康保険というものがなく、診療費は100%自己負担です。
さらに、動物病院の費用は全国で統一されているわけではなく病院によって異なります。
ここで、動物病院でかかる平均的な費用をご紹介します。
人間と同様、ペットの診察には初診料や再診料が加算されます。
※エキゾチック動物専門の動物病院では初診料が2,000円以上のことも多いです。
※夜間診療や時間外診療の場合は、さらに5,000円ほど加算されます。
下痢や嘔吐が見られる場合やペットの症状によって各種検査が必要とされる場合があります。
※それぞれに検査センターに送る遺伝子検査などがあり、糞便検査でも15,000円ほどかかるものもあります。
脱水症状が見られるなどペットの症状によって注射や点滴が必要とされる場合があります。
※犬の場合、体重によって動物病院ごとに基本料金が設定されているケースが多いです。
※点滴には皮下点滴と静脈内点滴があり、通院では皮下点滴、入院では静脈内点滴を行うことが多いです。
犬・猫はもちろんのこと、ウサギやモルモット・ハリネズミなどの小動物ならではの必要な処置があります。
ペットの症状、病状によって投薬が必要とされる場合があります。
ペットの症状によって入院措置が必要とされる場合があります。
※伝染病隔離の場合には500円~、ICU使用の場合は3,000円~加算されます。
※酸素を使用すると、さらに料金は2000-5000円ほど高くなることもあります。
以上、動物病院の受診時にかかる基本的な項目と平均費用のまとめでした。
目安として、新しい症状で、獣医師が検査と治療が必要と判断するような重症の場合、初日の診療費は以下の通りです。
検査:血液検査、レントゲン検査、(エコー検査が入ることも多い):15,000〜25,000円
治療:点滴、注射(複数)、飲み薬:10,000〜20,000円
総額:25,000〜45.000円
※獣医師の勧めた検査を希望するかどうかは飼い主さんの判断になるので、積極的な検査や治療をしなければ10,000円ほどで終わることも。
上記を見ればお分かりのように、動物病院の診療費・処置費・検査費・入院費などはすべて自己負担となるため、かなり高額になることを覚えておきましょう。
ペットの医療費は料金システムが統一されていないため、動物病院ごとに設定されており、地域や動物病院ごとに異なります。
初診の場合は特に、ペットの診療費にどれ位かかるのかというところも飼い主として気になるのではないでしょうか。
動物病院に連れて行く前に、診療費の基本料金について電話で確認されてみてはいかがでしょう。
具体的な処置費はペットの症状に応じて検査が必要な場合もあることから、実際に診察してみないと分かりませんが、大まかな基本料金は受付スタッフが教えてくれるはずです。
動物用の医療保険も多種多様となり、エキゾチックでも加入できるものもあるようです。
ペットの急な病気は、急な出費の始まりでもあります。
保険加入以外にもペット貯金をしておくのもお勧めです。
ペットを家に迎えるということは、ペットの一生をお世話することが飼い主としての務めです。
「ペットの一生=ペットと一緒に過ごせる時間」であり、ペットの寿命は飼い主として気になるところ。
一般社団法人ペットフード協会が2017年1月17日付で発表した犬の平均寿命は14.36歳、猫の平均寿命は15.04歳と、犬・猫の寿命が延びていることが明らかになっています。
飼い主として、愛犬・愛猫の寿命が延びるのは喜ばしい限りですね。
また、近年のペットブームにより犬・猫以外の小動物を飼育している方も急増しています。
犬・猫に比べれば小鳥や小動物は短い一生ですが、その愛くるしい姿をいつまでも長く見守りたいもの。
どんなペットを飼育するにも、できれば一生お世話になれるように信頼できる動物病院を選ぶことが重要です。
動物病院と信頼関係を築くには、定期的な健康診断などを積極的に受診して獣医師に些細なことでも相談することです。
愛するペットが健やかに長生きするために、飼い主と動物病院の連携は欠かせないことを覚えておきましょう。
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/08/09
公開日 : 2017/07/24