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フレンチ・ブルドッグは、18世紀ごろにイギリスからフランスに連れて行かれたイングリッシュ・ブルドッグを、 パグ やテリアと交配させて作出されたと言われていますが、フランスやスペインなどの欧州南部では、マスチフ系の闘犬がベースとなったという説も存在しています。
フランスで生まれたフレンチ・ブルドッグですが、アメリカでも大変な人気となりました。
当時のアメリカでは「コウモリ耳(ピンっと立った耳)」のフレンチ・ブルドッグが、フランスとイギリスでは「ローズ耳(垂れ耳)」のフレンチ・ブルドッグがそれぞれ人気を博していました。
それぞれの耳の形のフレンチ・ブルドッグが登場する中、アメリカ人愛犬家達がフレンチ・ブルドッグクラブオブアメリカを創設し、「コウモリ耳」のフレンチ・ブルドッグを標準とすることが決められ、現在のように耳がピンっと立ったフレンチ・ブルドッグが一般的になっていきました。
ブルドッグは明治初期に闘犬としてやってきましたが、フレンチ・ブルドッグは愛玩犬として大正時代に日本に輸入されたと言われています。
昭和初期に人気の絶頂を迎えたフレンチ・ブルドッグですが、一時期は人気が落ち込んでいました。
しかし、最近になって街中でも普通に見かけるようになったため、人気が復活してきていると言えます。
ブルドッグ を祖先とするフレンチ・ブルドッグには、ブルドッグから引き継がれた様々な身体的特徴があります。
ここでは、身体的な特徴と被毛について順番にご紹介していきます。
フレンチ・ブルドッグは小さな割に筋肉質でどっしりとした体型をしており、肩幅が広いのが特徴的です。
その小ささから小型犬に思われがちですが、成犬の平均体重は8~12kg程度となり、体重が10kg未満の小型犬ではなく、10~25kg未満の中型犬に分類されることが多いです。
前足が後ろ足よりも短いために、歩行姿勢が少し前かがみになりがちで重心は低くなっているのも特徴です。
フレンチ・ブルドッグは頭が大きく、四角い頭の眉間には深い皺が刻まれています。
また、潰れた鼻(しし鼻)と大きなクリクリとした目、ピンっと立ったコウモリ耳を持っています。
フレンチ・ブルドッグは口元も特徴的で、下あごが突き出たような少ししゃくれたような形になっており、「下顎突出咬合(アンダーショット)」と呼ばれています。
アンダーショットの突出が大きすぎると、餌箱や水を飲む際の容器の形に工夫が必要になる場合もあり、基本的には5mm以下が理想とされています。
ほほの肉がひだ状に垂れ下がっており、皮膚質も全体的に弛んだような柔らかい独特な質感をしています。
やわらかい皮膚をしているため抱き心地がいいのですが、汚れなどが皺の間に入り込みやすいなどの欠点もあり、皮膚が弱く荒れやすいという性質があります。
フレンチ・ブルドッグは短い毛をしていますが、ダブルコートのため抜け毛が多いことでも有名です。
ダブルコートの犬は、トップコート(上毛)とアンダーコート(下毛)の内、アンダーコートを換毛することで季節に合わせた体温調整を行うため、寒暖の変化の大きい春と秋に抜け毛が多くなる特徴があります。
フレンチ・ブルドッグは短毛種なので定期的な被毛のカットは不要ですが、皮膚が弱いためにシャンプーなどを月に1回程度(固体差があります)を目安に、定期的に行うことをおすすめします。
体型の中でも特徴的なのが、小さな尻尾です。
フレンチ・ブルドックの尻尾はスクリューテールと言われる特徴的な形をしており、豚の尻尾のように渦を巻いた小さな形をしているため、ぱっと見ただけでは無尾に見えるものも多いかもしれませんが、断尾をしているわけではありません。
尻尾が肉の中にもぐりこんでしまっているものも存在し、その場合は汚れや雑菌などが入り込むこともあるので、清潔にすることが重要です。
公認されていない毛色を合わせるとミックスなどを含めると非常に多種となってしまう毛色ですが、JKC(ジャパンケネルクラブ)公認の毛色は3種類だけです。
非公認の毛色はクリーム、タイガー・ブリンドル、ブラック・ブリンドル、ブルー・ブリンドル、フォーン・パイド、ハニー・パイド、ブルー・パイド、ティッキング・パイド、ブラウン、ブラック&タンなどがあります。
ここではJKCに公認されている3色について紹介します。
代表的な毛色であるブリンドルは、黒色をベースに褐色や白色の差し毛が部分的に入っています。
差し毛は位置によって呼称が変わり、喉元からおなかに掛けて生えている場合にはエプロン、足元の場合はソックスと呼ばれています。
茶色をベースとしているのがフォーンで、薄いものから濃いもの、赤褐色のものまで濃淡によって様々な毛色があります。
フォーンの口元は黒くなっているのが特徴的です。
白色をベースにブリンドルやフォーンが部分的に入っているのがパイドです。
全身が白色のものもパイドに分類されます。
フレンチ・ブルドッグは、ブルドッグとは違いテリアやパグが掛け合わされていることもあり、利口で好奇心旺盛、人懐っこく甘えん坊な性格をしています。
温和な性格の中でも人と遊ぶのが好きで自己主張が強いとう一面もあり、褒められるのが大好きな 犬の種類 と言えます。
フレンチ・ブルドッグは愛玩犬として作出された犬種なので、人懐っこく愛情深い性格をしている上に無駄吠えも少なく、室内犬としては最適な性格と言われています。
ただ無駄吠えが少ないながらも、鼻が潰れて呼吸がしづらいために、いびきやよだれをたらしてしまうこともしばしばあります。
また、ルーツとなっているブルドッグが闘牛犬だったという経緯もあり、実は頑固で凶暴な一面も兼ね備えているため、遊びの際にはしつこくおねだりする場合もあります。
実際にフレンチ・ブルドッグを飼う際にはどのような注意点があるのか見ていきましょう。
フレンチ・ブルドッグは好奇心旺盛で活発な性格をしていますが、鼻が潰れて呼吸がしづらく体温調整が苦手な犬種です。
歩行時には顔が地面に近い位置の場合が多く、特に夏場には地面からの熱を直接浴びることによって熱中症などにかかってしまうので注意が必要です。
鼻が潰れてスムーズな呼吸が苦手なため、遊びすぎて体調を崩してしまうこともあり、運動を行う場合には、夏は涼しく冬は暖かい時間に行うなど、すごしやすい時間帯を狙う必要があります。
フレンチ・ブルドッグは成犬になれば体重が12kg程度になり、見た目以上にパワーがある犬種と言えます。
散歩に行く際はしっかりとリードを持つようにし、子供に散歩をさせる際には一層の注意が必要です。
しつけについては、利口な犬種ですが飽き性な性格もあるため、あまり長時間のしつけは向きません。
10分から20分ごとに区切ってしつけをするのが良いでしょう。
また、しつける際は多くの言葉を使わず、「ダメ」なら「ダメ」と同じ言葉を使うようにし、同じ意味で違う言葉(例えば「いけない」など)は使わないようにすることが重要です。
褒められることが好きな犬種ですので、出来ないで終わらせずに、最後に出来たところでしつけを終わらせることも重要です。
ダブルコートのため抜け毛の多いフレンチ・ブルドッグですが、春や秋の換毛期にはできるだけ毎日のブラッシングが必要と言われています。
ブラッシングをさぼってしまうと通気性が悪くなり湿気がこもりやすく、雑菌などが繁殖しやすくなるために皮膚病などのリスクが上がってしまいます。
しかしながら、毎日しっかりとしたブラッシングをするとなると大変なことも多いので、1日5分でもいいのでラバーブラシや獣毛ブラシを使用した簡易的なブラッシングを継続して行うことが重要です。
ダブルコートの抜け毛対策としてシャンプーを行うことも重要です。
フレンチ・ブルドッグは比較的皮膚の弱い犬種なので、最低でも一ヶ月に1回はシャンプーを行い、清潔な体を維持できるようにしてあげることが大切です。
しかし、シャンプーはやりすぎると逆に皮膚を傷つけてしまう恐れがあるために、清潔に保ちたいからと言って毎日シャンプーをするなどはおすすめしません。
シャンプー後には、ドライヤーとタオルを利用してしっかりと毛についた水分をとってあげることが重要です。
少しでも余分な水分が残っていると、そこから雑菌が繁殖してしまい皮膚病に繋がってしまうかもしれません。
※合わせて読みたい: 犬の飼い方、費用、エサ、トイレ、しつけ、病気、老後のお世話まで
※合わせて読みたいその2: 犬のシャンプー、必要性と頻度、やり方、おすすめ商品は?
フレンチ・ブルドッグがかかりやすいとされる病気の内、代表的なものを3つ紹介させていただきます。
ここで紹介する3つ以外にも、小型犬に多い膝蓋骨脱臼にも注意が必要です。
鼻腔狹窄(びこうきょうさく)は、鼻の穴である鼻腔が狭まることで起きる病気で、重度な症状になると呼吸困難に陥ることもあるため注意が必要です。
初期症状として、鼻で呼吸をした際に「ぶーぶー」と音を発する場合が多く、呼吸音に注意することで発症を発見することが出来ます。
呼吸がしづらい状態で運動させていると酸素欠乏状態になり、歯茎や舌などが紫色に変色するチアノーゼが見られる場合もあります。
鼻腔狭窄の原因は遺伝による先天的なものが多く、予防は難しいと言わざるを得ません。
初期症状の場合は経過観察となることが多いですが、重症となっている場合は、原因となっている部位を切除するような外科的な手術が必要となります。
フレンチ・ブルドッグの皮膚は少し弛んでいるような独特な皮をしています。
そのため普通の犬種にはないよう皺が多く、その皺にゴミや汚れが入り込むことで細菌が繁殖し、皮膚炎を発症する場合があります。
皮膚炎になった場合、かゆみを伴ったものが多くあり、体を必要以上に舐めたり掻いたりするなどの症状が見られます。
その他にも、通常より抜け毛が増えたり、発疹や膿疱が出来たりする場合があります。
皮膚炎の一番の予防方法は定期的に、皺に入り込んだ汚れを落とすことです。
汚れた状態を長時間放置してしまうと重症化してしまうことがあります。
散歩後や運動後には顔を拭いてあげるなどして、皺に入り込んだ汚れを拭いてあげるように心がける必要があります。
軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)は、喉の奥にある軟口蓋が垂れ下がることによって食道が狭くなり、食べ物などを飲み込むことができなくなってしまう病気です。
軟口蓋過長症に気付くには食事の際に注意深く観察することが求められます。
食べ物が上手に飲み込めなかったり、喉を詰まらせたりする場合が多いときは軟口蓋過長症の恐れがあります。
また、症状としていびきをかくことも多くなり呼吸器系統に負担をかけるため、鼻腔狹窄などと併発すると呼吸困難に繋がる危険性が高い病気です。
フレンチ・ブルドッグは先天的に軟口蓋が長く、予防方法はありません。
発症した場合、重症化を防ぐために早期発見をすることが求められるので、食事の際の行動に注意を払って観察することが必要です。
フレンチ・ブルドッグの相場は少し幅が広く15万円~35万円程度と言われ、 トイプードル や チワワ といった人気の犬種よりも少し値段の高いものが多くなっています。
これはフレンチ・ブルドッグが短頭種であり、頭部が大きいために出産時に母体への影響を考え帝王切開をする場合が多く、出産にかかるリスクや費用が高くなる傾向にあるからです。
一般的に子犬は小さければ小さいほど、価格が高い傾向があります。
これは月齢が上がればそれだけ、餌やワクチンといった維持費が高額になるためであり、3ヶ月ごとに見直される場合が多いようです。
大きくなれば価格が下がりますが、ペットショップ側のコストがかさむというのが原因であり、月齢が高い子犬は価値が低いというわけではありません。
相場を見てもらえるとわかりますが、固体によっては同じフレンチ・ブルドッグでも10万円から20万円ほど価格に開きがあります。
安い固体を購入する場合は、体調管理などがしっかりされておらず、健康面で問題を抱えている場合もあるので、購入前にペットショップやブリーダーの評判を調べておくことが大切です。
また、安いからといって必ず健康面に問題があるというものでもないので、購入前になぜその価格になっているのかを確認する必要があります。
せっかくフレンチ・ブルドッグの子犬を購入しても、健康に問題を抱えていたり、落ち着きが無く暴れん坊だったりすると、育てるのに苦労することになってしまいます。
そのため、出来るだけ購入前に子犬を見極める必要があります。
ここでは実際に子犬を購入する際の注意点を3つ紹介します。
健康状態を見極める1つの手段として、色素の濃淡があります。
一般的に、色素の濃いほうが健康的とされているためです。
フレンチ・ブルドッグの場合はわかりやすい鼻の色合いを見ることで、色素の濃淡を見極めることができます。
しつけをする際に、アイコンタクトをとることは非常に重要です。
人見知りをしてあまり目を合わせてくれない子犬も多いかもしれませんが、しっかりと人間と目を合わせることのできる個体は、まじめな性格に育つ傾向があると言われています。
子犬はまだ足腰が弱く歩行動作が不器用ではありますが、ぱっと見て歩行がどこかおかしいと感じる場合は、どこかに異常を抱えている場合も考えられるので購入は控えましょう。
原産国 : フランス
値段 : 15万円から35万円
毛色 : ブリンドル、フォーン、パイド
寿命 : 10歳から12歳
体重 : 8kgから14kg
体高 : 27cmから30cm
特徴 : しし鼻、コウモリ耳
性格 : 人懐っこく甘えん坊、利口で好奇心旺盛
かかりやすい病気 : 鼻腔狹窄、皮膚炎、軟口蓋過長症
公開日 : 2017/07/10