本ページに掲載のリンク及びバナーには広告(PR)が含まれています。
ホーザン(HOZAN) パーツクリップ ロック機能付き ペットの耳の毛抜き
外耳炎は動物病院の来院理由として非常に多く、再発しやすい病気です。
犬の耳に起こりやすいトラブルのうち代表的なものを紹介します。
ブドウ球菌や緑膿菌などの細菌が感染することが原因で起こる外耳炎です。
耳介や耳道が赤くなり、痒みが強く、黄色っぽい耳垂れが出ることもあります。
マラセチアという酵母型真菌が異常に増殖することで起こる外耳炎です。
チョコレートのような酸っぱい発酵臭のする耳垢が特徴で、慢性化すると耳介に黄色いワックスのようなものが付着します。
写真は、マラセチアを染色したものです。
ミミヒゼンダニに耳道内に寄生することが原因で起こります。
痒みが非常に強く、黒いパラパラの耳垢が大量に出ます。
耳介内の血管が強い衝撃で切れてしまい、耳介内に血液がたまる病気です。
耳介が溜まった血液で膨らみます。
耳介の端がぼろぼろと崩れるように取れて、虫食いのようにかけてしまいます。
耳介が薄い ミニチュアピンシャー などの犬種に起こりやすく、特に寒い時期には注意が必要です。
どのような犬種にも耳のトラブルは起こりやすいのですが、代表的な犬種を紹介します。
「柴犬」「ゴールデンレトリバー」「フレンチブルドッグ」は、アレルギーやアトピーが原因で耳のトラブルが起きやすいです。
また、アメリカン・コッカー・スパニエルは、分泌腺の異常が原因で外耳炎を起こしやすい犬種です。
耳道内に毛が生えている「シーズー」や「トイプードル」は、耳道内が蒸れやすく、外耳炎にかかりやすくなっています。
見える範囲はきれいなのに、耳の奥がトラブルを起こしていることがあります。
でも、外からは分かりにくいですよね。
ここでは、犬の耳をチェックするときのポイントを解説します。
犬の耳がトラブルを起こしていないかどうか、チェックリストで確認してみましょう。
☑︎頭を振っている
☑︎頭や耳の後ろをかいている
☑︎耳の周辺からにおいがする
☑︎耳が赤くなっている
☑︎耳の後ろの毛がはげている
☑︎耳介が赤くなっている
☑︎頭を振ると、チャプチャプという音がする
あてはまるものが一つでもあれば、耳のトラブルが起こっていますので、早めに動物病院を受診するようにしてください。
耳垢にもさまざまな種類があり、原因により耳垢の性状が変わります。
耳垢が黄色くベタベタしている場合は、細菌感染が疑われます。
緑色っぽくなれば、緑膿菌が感染している可能性が高いです。
悪化すると、水あめのような耳垂れが出ることがあります。
耳垢が茶色い場合は、マラセチア感染を疑います。
独特の発酵臭がして、痒みが強いのが特徴です。
慢性化すると、耳介に黄色いワックスに似た分泌物が大量に付着します。
耳ヒゼンダニの感染で起こり、乾燥した炭のような真っ黒の耳垢が大量に出るのが特徴です。
掃除をしてもきりがないほどの量の耳垢が出ます。
耳垢がほとんどないのにもかかわらず、耳介や耳道が真っ赤になりかきむしる場合は、アレルギーやアトピーの疑いがあります。
アレルギーが背景にあり、細菌感染やマラセチア感染がおこる場合もあるため要注意です。
犬の耳のそうじをする前に、犬の耳の形を知っておきましょう。
犬の耳道は、ヒトの耳道の形とは違いL字型をしています。
ヒトの耳は突き当りに鼓膜がありますので、まっすぐ綿棒などを押し込むと鼓膜が破れてしまうことがあります。
犬の場合はL字型をしていて、「水平耳道」「垂直耳道」と呼ばれる2つの耳道を持ちます。
垂直耳道の突き当りに鼓膜がありますので、簡単に破れないようになっています。
入り口から1~2cmくらいまでは掃除をしても大きな問題はありませんが、犬が急に向きを変えたりすると危険です。
しっかり頭を固定して掃除をするようにしてください。
外耳炎が悪化すると炎症のひどさが原因になり、鼓膜が破れてしまうことがあります。
鼓膜が破れていることに気づかず、液体の洗浄液や点耳薬を入れてしまうと内耳に入ってしまうことがあります。
最悪の場合、斜頸などの神経症状がおこることがあるため注意が必要です。
あまりにも汚れがひどい場合は、動物病院で耳のチェックをしてもらいましょう。
犬の耳掃除をするときに必要なものと手順について解説します。
犬の耳を掃除するときには、強くこすらないで優しくぬぐうようにしていくのがコツです。
犬の耳の皮膚は非常にデリケートですので、強くこすってしまうと傷が入ります。
耳そうじは次のように行いましょう。
耳が赤く腫れていたら、痛みがひどいこともあります。
触ろうとしても嫌がる場合は、無理をせず動物病院を受診しましょう。
イヤークリーナーを用いると耳の汚れが浮きやすくなります。
ただ、たくさん入れるとびっくりして頭を振ってしまうので、少し入れて耳の根元を優しくもんでください。
実はヒト用の綿棒は、犬の耳には硬く不向きです。
使うときには、力を入れてこすりすぎないように気を付けてください。
動物病院やトリミングサロンでは、綿棒を使うより鉗子にコットンを巻き付けて使います。
今回は筆者が鉗子を使うときの巻き方を紹介します。
小型犬や細かい耳のしわの部分は、左側の小さめの鉗子が便利です。
中型犬・大型犬は右側の大きめの鉗子を準備しましょう。
コットンは分厚いと巻きにくいので、半分にします。
鉗子で挟むときには、写真のように鉗子の先端がコットンの真ん中あたりにあるようにします。
ここで、コットンを挟んでいるのがコツです。
挟まないまま巻いていくと、耳そうじの最中に耳の中でコットンが外れて取れなくなることがあります。
そのようなトラブルを回避するためにも、コットンは必ず挟んでください。
コットンを鉗子に巻いていきます。
挟んでいない側のコットンを向こうに折るようにします。
鉗子をコロコロ転がすようにして巻いていきます。
少しきつめに巻いた方が、緩んだり膨らみすぎたりしないです。
コットンをなじませるようにして完成です。
このサイズは、細かいところの掃除や小型犬、耳が腫れて耳道が狭くなっている犬の耳掃除に最適のサイズです。
もう少し綿の部分を大きくしたい場合は、最初に準備する綿を半分ではなく1枚で巻いていくと良いでしょう。
どうしても耳そうじができない場合はどのようにすれば良いのでしょうか。
耳掃除をしようとしても、大暴れしてどうしても耳掃除ができないことがあります。
そのような犬は、綿棒や鉗子に対して恐怖心を持っていることがあります。
綿棒と鉗子はダメだけど、中にはティッシュで拭いたり点耳薬はできるという犬もいます。
耳掃除の嫌な思い出と、綿棒などの道具を結び付けて覚えている場合がこれに当てはまります。
耳には「自浄作用」があり、耳の奥にたまった耳垢は自然と外へ送り出されます。
ティッシュや専用のシートで見える範囲の汚れを拭き取ってあげましょう。
少し無駄が出ますが、点耳薬をティッシュにつけて耳を拭くと耳の入り口付近には薬をつけることができます。
自宅で耳掃除をするときに便利なアイテムを紹介します。
ノルバサンオティックは動物病院やトリミングサロンでも使用されるイヤークリーナーです。
外耳道から少しあふれるくらいまで静かに注ぎます。
嫌がる場合はもっと少ない量でも大丈夫です。
耳の根元をよくもんで、見える範囲をコットンでぬぐいます。
鼓膜が破れたり、傷が入っている場合は使用できません。
汚れや炎症が強い場合は、使用前に動物病院で診察を受けてください。
アルコール未使用なので、傷に沁みてヒリヒリせず、肌がデリケートな犬にも使用できます。
溝がついている特殊なシートで汚れが拭き取りやすいです。
30枚入っており、約1か月使用することができます。
耳毛抜きやコットンを使用しての耳掃除に便利です。
犬用に作られた、綿の部分がふわふわした綿棒です。
小型犬用と中・大型犬用があります。
犬の耳トラブルや耳のお手入れ方法を解説しました。
強くこすらないように、頑張りすぎないように掃除するのがコツです。
耳のケアグッズがたくさん販売されていますので、使いやすいものを選んでください。
どうしても難しい場合は、無理せず動物病院で診察を受けてください。
執筆・監修:獣医師 平松育子(ひらまつ いくこ)
山口大学農学部獣医学科(現:山口大学共同獣医学部)卒業後、複数の動物病院で勤務医を経て、ふくふく動物病院を開業する。
また、YICビジネスアート専門学校ペット総合科で講師を務める。
その他、AIAJ認定アロマテラピーインストラクターとして、人とペットが楽しめるアロマテラピーにも取り組む。
飼い主様としっかりコミュニケーションを取ることを大切にし、飼い主様とペットの笑顔に繋がる診療を心がけている。
公開日 : 2020/06/09