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ハムスター は、種子類や穀物を主食として生活する生き物です。
多少の雑食性もあり、野菜類や果物、ミルワームなどの虫も好みます。
しかし、ハムスターは肉食動物ではありません。
ハムスターが共食いをするのには、必ず理由があります。
決して好んで食べることや、空腹だから食べるというわけではありません。
ハムスターが共食いをしてしまう主な理由は、「縄張り争い」と、親が子供を食べてしまう「子食い」です。
どうしてこの2つが共食いに繋がるのかを詳しく紹介します。
ハムスターの共食いは「複数飼育」で起こることがほとんどです。
野生のハムスターは、基本的に単独で行動しています。
そのため、他のハムスターであっても、仲間と認識することはないと言われています。
単独で行動するハムスターは、非常に縄張り意識の強い生き物です。
同じ ケージ 内でハムスターを飼育すると、高確率でケンカが始まります。
広い野生下であれば、負けた方は逃げ出すことができますが、狭いケージ内では、負けても相手の縄張り範囲内から逃げ出すことができません。
ハムスターは相手が縄張りから離れるまで攻撃を止めることはあまりないため、死闘にまで発展し、負けたハムスターは捕食されてしまうことがあります。
ペットショップで展示されているハムスターは、同じケージ内に複数で飼育されていることがほとんどです。
どの個体もケンカは見られず、寄り添い合って眠っている姿が多く見られます。
ペットショップのハムスターがケンカをしない理由は、まだ子供だからです。
産まれたときから大人になるまでの期間は、ハムスターは母親と子供で生活します。
独立して縄張りを持つまで、基本的に共食いにまで発展するようなケンカをすることはありません。
ただし、子供の頃にどれだけ仲が良かった個体同士であっても、大人になると急に激しいケンカを始めることもあります。
いつも一緒にいたハムスターであっても、お迎えした際は別々のケージで飼育をしてください。
ハムスターは、生後60日もすると子供を作ることができるようになります。
生後約1ヵ月ほどで親離れし、単独行動を始めるため、ペットショップでお迎えする際には、お迎えしたその日から単独飼育されることをおすすめします。
ペアであっても常時一緒のケージで飼育するとケンカをし、共食いに発展することもあります。
繁殖を望む場合には、ケージ越しのお見合いから始め、交尾後は再びケージを分けるようにすると安心です。
複数飼育がしやすいとされるロボロフスキーハムスターであれば、同じケージ内で複数飼育をすることが可能です。
しかし、狭いケージで複数飼育をしたり、隠れる場所がなかったりすると、ケンカのリスクが高まります。
ただ、ロボロフスキーであっても、相性が悪い場合には、同じケージ内で飼育するとケンカをしてしまう場合があります。
複数飼育をする場合には、広いケージを用意したり、寝床や敷材など隠れ場所を多く作る必要があります。
相性が悪い場合には、ケージを分けたり柵を作ることで、共食いのリスクを軽減することが可能です。
また、当然のことながら食餌量が足りていなければ、弱い個体を食べてしまうことがあります。
それぞれが満足する量を、複数の場所に分けて置いておくようにしましょう。
※合わせて読みたい: 最小ハムスター「ロボロフスキーハムスター」の生態や飼い方
ハムスターが共食いをする2つ目の原因は、親が子供を食べてしまう「子食い」です。
せっかく産んだ子供を、なぜ食べてしまうのでしょうか。
ここでは、子食いの原因について紹介します。
妊娠、授乳中はいつもよりも餌の量や栄養バランスに気を配る必要があります。
餌の量が少ない場合はもちろん、栄養バランスが乱れると母親はストレスを感じ、子供を食べてしまうことがあります。
育児中の母親はいつも以上に神経質になっています。
物音がうるさかったり、温度環境が整っていないなど、ストレスを感じることで子供を食べてしまうことがあります。
ハムスターの赤ちゃんはとても可愛らしく、ついつい触ってしまいたくなります。
しかし、触ることで母親の臭いが消え、代わりに人間の臭いがついてしまいます。
そうなってしまうと、母親は自分の子供だと認識することができず、敵として攻撃し食べてしまう恐れがあります。
母親は赤ちゃんが生まれたときに、体を舐めてへその緒を齧り取ります。
その際、健康の赤ちゃんであれば鳴き声を発しますが、何らかの原因で弱っていたり死産だったりした場合は鳴くことはありません。
弱っている、死んでいると判断した場合、確実に残りの子供を育てることを優先する母親は、鳴かない個体への育児を放棄し、胎盤と一緒に食べてしまうことがあります。
ハムスターの父親は育児には参加しません。
赤ちゃんが生まれた後に一緒のケージに入れておいても、赤ちゃんを自分の子供と認識することができないことが多いのです。
父親は、赤ちゃんであっても縄張りに侵入した敵とみなし、攻撃をして食べてしまうことがあります。
ハムスターが共食いしてしまうことを防ぐには、どのような方法があるのでしょうか。
ここでは、ハムスターの共食いの予防方法を紹介します。
ハムスターの共食いを予防する方法として、一番効果的なのは「単独飼育」です。
ハムスターは基本的に単独で飼育をする生き物です。
繁殖を目的とする際には、交尾が終わり次第オスとメスを別々のケージに移します。
複数飼育ができるロボロフスキーハムスターであっても、相性次第では共食いをする可能性があります。
もし複数飼育をする際には、ケンカをしていないか様子をよく観察し、ケンカをするようであればケージを分けて飼育をしてください。
母親が子供を食べてしまう原因には、ストレスが多く関わっています。
子育て中の母親は非常に神経質なため、ストレスを溜めない工夫をする必要があります。
妊娠の13日頃に、1週間分の食餌と巣材を入れて、その後はなるべく手を出さないようにします。
この時期は散歩も控え、母子ともに構わずそっとしておきましょう。
子育て中は餌の量を増やすことはもちろんですが、栄養バランスにも気を配る必要があります。
通常の餌より高カロリー、高タンパク、高脂質な内容が理想です。
母親が必要な餌をいつでも食べることができるように、餌は多めに、器が空にならずに少し残るくらいには入れておきましょう。
いつもの餌に加え、野菜類や果物、ミルワーム、ハムスター用の小魚やチーズなどを積極的に与えることもおすすめです。
※合わせて読みたい: ハムスターの餌やりの方法と与えていい食べ物まとめ!
育児中はケージをなるべく静かな場所に置いてあげることが必要です。
ケージを置く場所は、直射日光が当たらない風通しの良い場所がおすすめです。
寒暖差の激しい窓際や、物音の響く床に直にケージを置かないようにしてください。
可愛いハムスターの赤ちゃんですが、触ることで母親の臭いが消えて、人の匂いが付いてしまいます。
ハムスターにとって自分の臭いは、縄張りなど自分のものであるという証明になります。
臭いを消さないよう、触ることは控えるようにしてください。
やむを得ず触らなければならない場合には、手袋をしたり臭いのついた敷材を握りしめたりするなどして、母親の臭いを消さないよう気を配りましょう。
産後は、最低でも1週間は子供を直に触るのは厳禁です。
離乳はおおよそ20〜25日で完了します。
神経質になっている母親に対し、敷材の交換などを行うことはストレスに繋がります。
この時期は、ケージ内が汚れてしまっても、敷材の交換など大掃除をすることはおすすめできません。
掃除は餌入れと水入れ、トイレの砂の交換といった最低限にとどめ、そっとしておいてあげることが重要です。
ハムスターはオスとメスであっても縄張り争いからケンカをします。
特にメスは妊娠が成立すると、激しくオスを攻撃します。
また、オスは育児に協力することはなく、産まれた子供を食べてしまう危険性もあるため、交尾が終わったあとは再びケージを別にすると良いでしょう。
育児中にオスとメスを同じケージで飼育すると、ストレスから母親は育児放棄をしてしまう危険性もあるので注意が必要です。
ハムスターが共食いをする理由は、主に「縄張り争い」と「子食い」です。
どちらも飼い主さんの飼い方次第で未然に防ぐことが可能です。
ハムスターは好き好んで共食いをするわけではありません。
複数飼育をしないことや、子育て中の母親にストレスを溜めない環境を作ることが大切です。
飼い主さんはハムスターの習性をよく理解することで、共食いを未然に防ぎましょう。
※合わせて読みたい: ハムスターの飼い方、費用、しつけ、エサ、病気
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2023/05/22
公開日 : 2018/05/31