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人間は眠たい時や退屈な時、思わず「あくび」をしてしまいます。
また、リラックスしている時にもあくびが出ることがありますが、 犬 も同じような心理状態なのでしょうか。
実は、犬は言葉で感情を知らせることが出来ない代わりに、あくびでサインを伝えている場合もある事をご存知でしょうか。
あくびでサイン?と思うかもしれませんが、犬は人間のように言葉で気持ちを伝えられない代わりに、こうした行動や仕草で気持ちを伝えてきているのです。
その代表的なのが、嬉しいときに尻尾を振る行動です。
犬は嬉しい時には尻尾を振って喜びを伝えますが、これも犬から「嬉しい」というサインが送られているのです。
しかし、その全てが嬉しいのサインというわけでなく、シチュエーションによっては不安や落ち着きを取り戻そうとしっぽを振る場合もあります。
これと同じように、犬のあくびにもいくつかの意味があり、シチュエーションによっては飼い主さんに何かを訴えている場合もあるのです。
犬のあくびにはいくつかのサインが含まれると説明しましたが、人間と犬のあくびには違いがあるのでしょうか。
人間があくびをする時は、眠たい時や退屈な時。
あくびには、脳の動きを活性化させるために、より多くの酸素を体内に取り込み、脳を目覚めさせるという意味があります。
この場合のあくびは、人間の生理現象によるものですが、場合によっては言葉ではなく「あくび」で相手に気持ちを伝える事も出来ます。
例えば、退屈な話を延々とされて「もうそろそろお開きにして欲しい」という気持ちを相手に伝える際には、わざとあくびをして気持ちを言葉に出さずに伝えることも出来るのではないでしょうか。
「あくびで退屈を伝える」というのは少々感じの悪い行動になりますが、犬のように言葉を持たない動物は、生理現象とは別に、あくびなどによる仕草で気持ちを伝えたりするのです。
こうして犬が何かしらの行動・仕草を行い、相手に自分の気持ちを伝える方法を「カーミングシグナル」と呼んでいます。
犬の「あくび」の意味を紐解くには、まずはこのカーミングシグナルについて理解する必要があります。
「カーミングシグナル(Calming Signals)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
カーミングシグナルとは犬同士でコミュニケーションを行なうのに欠かせない、犬同士の言葉のない「言語」、もしくは「ボディランゲージ」のようなものです。
基本的に犬が相手の犬にカーミングシグナルを発するときは、お互いに気持ちを落ち着かせるために利用する合図と考えられています。
本来は集団で行動する犬にとって、カーミングシグナルはグループ内での争いを避けるための合図であり、コミュニケーションを図るための合図でもあるのです。
このカーミングシグナルには27個の合図があり、ノルウェーの動物学者・作家の「トゥーリッド・ルーガス(Turid Rugaas)」氏が提唱しました。
カーミングシグナルについて飼い主さんが知らなくても、実は愛犬が行なう仕草にはたくさんのカーミングシグナルが隠されています。
飼い主さんがカーミングシグナルを覚えることで、愛犬と「会話」をしているかのように、コミュニケーションのとり方も少し変わるかもしれません。
カーミングシグナルの中でも、よく目にする犬の行動が「尻尾をふる」という行動です。
犬が尻尾を振っているときは「喜んでいる時」に間違いはありませんが、場合によっては別の意味も含んでいる場合があります。
尻尾を上げて振っている場合には、犬は喜びを表現している事もありますが、緊張を表している場合もあります。
また、尻尾を低くしながら振っている場合には、怯えていたり不安を抱えているために、自分を落ち着かせようとしている場合もあるのです。
カーミングシグナルは行動によっても読み解く事ができますが、その置かれている状況によっても、シグナルの意味は異なる場合があります。
犬が舌を出して口もとを舐める仕草も、よく見られる犬の仕草です。
実はこの仕草もカーミングシグナルのひとつで、犬が口もとを舐める時には、自分もしくは相手に落ち着いて欲しいときに行なうサイン。
愛犬が悪いことをして叱った時に、愛犬が口もとを舐めていたことはありませんでしょうか。
この時には、犬が飼い主さんに対して「怒らないで」「落ち着いて」といったサインを出し、自分も「落ち着こう」としている事がわかります。
また、大好物のおやつを前に、「マテ」をして口もとを舐めている時には、自分自身に「落ち着け」と促しているのかもしれません。
こうしたシチュエーションで多く見られるのは、口もとを舐めているけど「ヨダレ」が出ている状態です。
人間の感覚でいくと、ヨダレが出るので口もとを舐めているように見えますが、多くの場合は自分に「落ち着け」と言い聞かしている行動なのかもしれません。
このように、カーミングシグナルにはいくつかの種類があり、カーミングシグナルを理解することで、犬の感情や気持ちを読み解くヒントになるのです。
では、冒頭でも触れた「あくび」に関してのカーミングシグナルには、どのような意味が込められているのでしょうか。
カーミングシグナルでは、犬があくびをすることは「気持ちを落ち着かせる」という心理状態にあることを意味しています。
これは、犬自身が「気持ちを落ち着かせたい」「リラックスしたい」と感じている場合もあれば、相手に対して「落ち着いて」とサインを送っている場合もあるのです。
では、具体的なシチュエーションを想定して、犬のあくびにはどのような気持ちやサインが隠されているかの見分け方を見ていきましょう。
日頃の生活で犬がリラックスしたいと感じるタイミングは、どのような場面でしょうか。
例えば、愛犬が何か悪さをしていて、それを飼い主さんが発見した時を想像してみて下さい。
今まさに、愛犬が飼い主さんに怒られるという状況に置かれた時、愛犬は「これから怒られるかもしれない」という不安に駆られ、気持ちが不安定な状況になるでしょう。
こうしたシチュエーションが起きた時に、犬はあくびをして自分自身の気持ちを落ち着かせようとし、リラックスしようとあくびをするのです。
また同時に、飼い主さんに対しても「落ち着いて」というサインを出しているのです。
自分が落ち着こうとしているか、相手に落ち着いてと促しているかは愛犬の性格にもよりそうですが、いずれの場合においても、いぬのあくびには「落ち着きたい」というニュアンスが含まれていることがわかります。
一方、人間が怒られる時にあくびをすると、相手に対してバカにしている印象を与えるので、このシチュエーションでは人間と犬とのサインは異なるようです。
怒られた時にあくびをする行動に似たサインを、しつけ中にもする場合があります。
この場合はもちろん、緊張した気持ちになっているためにあくびをしているのであって、 しつけ の訓練に飽きたという意味ではないでしょう。
シチュエーションによっても異なる場合がありますが、犬が真っ直ぐこっちを見すえてあくびをしているようであれば、緊張のあまりあくびをしてしまっている事が予測されます。
このような状況でカーミングシグナルに気がつくことが出来れば、緊張を与えすぎず、一度休憩を挟んでみても良いかもしれません。
怒られる時に、犬は緊張を解すためにあくびをすると説明しましたが、その逆で「嬉しい時」にもあくびをする場合もあります。
例えば、「散歩に行く用意をしている時」や「ご飯をもらうのを待っている時」など、犬が楽しみで仕方がないというシチュエーションでもあくびをする場合があります。
これもカーミングシグナルのひとつで、気持ちが高ぶっている自分に「落ち着け」と言い聞かすために、あくびをしてリラックスしようとしているのでしょう。
ただし、こうしたシチュエーションではだいたいが気持ちを隠しきれていないので、あくび以外の様子でも嬉しい気持ちを読み取ることが出来るでしょう。
これを人間の行動に当てはめてみると、散歩に行く前にあくびをしていたら「面倒なのかな」「眠たいのかな」というニュアンスに取られるかもしれません。
このように、カーミングシグナルは飼い主さんがサインの意味を理解していなければ、「眠たいのかな」「散歩に行きたくないのかな」と思ってしまう可能性もあるのです。
あくびだけで全ての気持ちを判断することは出来ませんが、カーミングシグナルを理解しているのと、理解していないのとでは、愛犬とのコミュニケーションも大きく変わってくるということがお分かりいただけるかと思います。
では、 散歩 中にあくびをするシチュエーションにはどのような意味が込められているのでしょうか。
例として、散歩中に初めて遭遇する犬がいて、その犬がこちらに対して向かってきそうな雰囲気が感じられたとしましょう。
このようなシチュエーションに遭遇すると、犬は緊張した状態に陥るでしょう。
この場合に犬があくびをしたのであれば、これは相手の犬に対して「自分は争う気はない」というサインを送っていることがわかります。
無駄な争いを回避するためのカーミングシグナルは「あくび」をする以外にも当てはまるものがありますが、あからさまに戦意がない事を伝える場合に、犬はあくびをして、その場をやり過ごそうとしているのでしょう。
人間も緊張状態に陥るとあくびが出ると言われていますので、このシチュエーションにおけるあくびは、人間にも同様に見られるものかもしれません。
このようなシチュエーションに置かれた場合、あくび以外にも相手に戦意がないことを伝えるカーミングシグナルがあります。
そのひとつとして、相手に背中を向けるというカーミングシグナルがあります。
降参や戦意がない意思を伝えるため、相手に背を向けるという行動を犬は取りますが、人間にも共通する行動かもしれません。
また、相手の犬が向かってきそうな時には、その場に立ち止まって様子を伺い合う様子も、散歩中に見られるカーミングシグナルです。
この場合、相手のカーミングシグナルを見ている、もしくは相手にカーミングシグナルが伝わっているかを確認している状態なのです。
散歩中に起こりそうなシチュエーションに、見知らぬ人に話しかけられたり、撫でられるというシチュエーションもあるでしょう。
例えば頭を撫でられて愛犬があくびをしたとしましょう。
この時に出るあくびもまた、見知らぬ人に触れられている緊張感や、リラックスが出来ない状態にあるために、カーミングシグナルとしてあくびを出していることが考えられます。
散歩中に限らず、自宅内で初めて合う人に撫でられた時や、初めてのお泊りなどにもあくびをする様子が見られるでしょう。
特に、動物病院に行った経験があればイメージが湧きやすいかもしれませんが、緊張と不安であくびを連発する犬も多いです。
あくびのカーミングシグナルは、犬の緊張状態を表すバロメーターにもなるのです。
犬のあくびは「緊張」や「リラックスしたい」という気持ちの表れと説明してきました。
犬が緊張した状態になるのは、嬉しい時や怖い時だけではなく、「病気」や「体調が悪い」場合においても、あくびをして気持ちを伝えてくる場合があります。
一つの例として、愛犬が骨折していて、飼い主さんが気がついていないというシチュエーションを想像してみましょう。
そして、飼い主さんが愛犬をいつものように抱きかかえようとした時、愛犬があくびをしながら体をすくめていたとします。
この時、犬は骨折した患部に触れられるのを嫌がるために、あくびで緊張を伝え、体をすくめて抱かれるのを拒んでいるという気持ちを汲み取ることができます。
病気によっては、犬が痛がる箇所や、不快感を覚える箇所も異なります。
しかし、日頃から愛犬とスキンシップを取っていなければ、ただ単に「触れられるのが嫌なのか」と思ってしまうことでしょう。
日頃からしっかりとスキンシップを取っていれば、「いつもは嫌がらないのにどうしたんだろう」「前は触れても嫌がらなかったのに」と言ったように、以前との変化や異変に気がつくことも出来ます。
実際に犬の体に触れてスキンシップを行なうのは、単に愛犬がかわいいからというだけではなく、こうした状況になっても異変に気がつくことができるようになるため、必要なものなのです。
こうしたスキンシップも踏まえた上で、犬のカーミングシグナルに気がつくことができれば、より早く愛犬の異変にも気がつくことが出来るでしょう。
怪我や病気によってどこかに痛みや違和感を感じている場合には、あくびで飼い主さんに「触れないで」と伝えているのかもしれません。
万が一、愛犬がこうした状況になったのであれば、念のために健康診断を受けるなどの対処をするようにしましょう。
犬が「よくあくびをする」と言うときには、カーミングシグナルなのか生理的な現象なのか、判断がしにくいでしょう。
しかし、この場合のあくびは似たような意味合いが込められるかもしれません。
あくびをよくするというカーミングシグナルには、「居心地の悪さ」や「リラックスできない」という気持ちが現れています。
簡単に言えば、犬がよくあくびをしているのであれば「ストレスを感じている」と考えたほうが早いでしょう。
一方、そのあくびが生理的な現象であっても、「眠たい場合」や「退屈している」という意味にも取れます。
これは人間も同じく、眠たいときや退屈しているときには、生理現象であくびが出てしまいます。
いずれにしても、犬のあくびが多いと感じるときには、何かしらのストレスを感じているのかもしれません。
あくびが多いなと感じたときには、犬の状況を考えてみましょう。
愛犬が「嫌いなもの」や「落ち着かない」状況ではないでしょうか。
もし思い当たるような事があれば、すぐにその状況を変えてあげるようにしましょう。
思い当たるような状況でもないのに、犬のあくびが多いと感じたときには、念のため病気を疑ってみましょう。
もしかすると目に見えない部位の痛くなっていたり、体調不良という可能性も考えられます。
この場合のあくびは、「病気のサイン」に加えて「リラックスできない」という気持ちが表れています。
あまりにも元気がなく、あくびが多いのであれば、体調不良の可能性も高いでしょう。
少し様子を見るか、念のために健康診断を行なうなどの対処を行っても良いかもしれません。
犬があくびをする理由の一つに、「あくびが伝染る」という場合があります。
まさかと思うかもしれませんが、犬も人間と同様に、あくびが伝染する動物なのです。
因みに人同士であくびが伝染るという現象は、その間柄が親しければ親しいほど伝染るのだとか。
あくびが伝染する明確なメカニズムは未だはっきりと解明されていませんが、犬も人間と同様に、人のあくびが伝染る事もあるようです。
この現象については様々な機関でも研究されているのですが、人の所作を真似していると言う説や、単にあくびが伝染していると言う説など、様々な推測がされています。
犬のあくびの見分け方として最も単純なものが、眠い時に出る「生理的なあくび」です。
犬も人間と同様に、眠たいときにはあくびをしますし、寝起きにもあくびが増えます。
あくびのメカニズムは冒頭でも触れた通り、脳に酸素を送り込むために、たくさんの酸素を取り入れる生理現象です。
これは人や犬に限らず、多くの動物に共通する生理現象でもあります。
犬のカーミングシグナルについてたくさん触れてきましたが、カーミングシグナルとは別に、犬も単純にあくびをする場合もあります。
単純に眠たいだけなのに、起きがけに飼い主さんが不安な様子を見せていては、愛犬も不安な気持ちになってしまいます。
あまり神経質にならずに、そっと犬の様子を見守るようにしましょう。
いぬのあくびの心理としては、「リラックスできない」「緊張している」という心理状態が中心になっているのかもしれません。
犬があくびをする時や、あくびをしそうなネガティブなシチュエーションとしては、
・怒られている時
・喧嘩になりそうな時
・動物病院などの慣れない場所に居る時
・雷がなった時
・飼い主さんが不安な様子を見せる時
・体調が悪い時
・怪我をしている時
など、犬が緊張状態におかれるシチュエーションは挙げきれないほどにあります。
一方、比較的ポジティブなシチュエーションとしては、
・嬉しくて気持ちが高ぶっている時
・飼い主さんが帰ってきた時
・退屈な時
・眠たい時
といったシチュエーションが挙げられるでしょう。
ネガティブなシチュエーションの方が、ポジティブなシチュエーションよりも圧倒的に多いような気もします。
こう考えていくと、犬は常に緊張した状態が多く、できるだけリラックスした状況を作ってあげるのが理想的だと感じます。
そのためには、カーミングシグナルについてある程度、理解をしておくことが大事になってくるのではないでしょうか。
犬があくびをする理由をまとめてみると、
・不安、緊張している時
・嬉しい時
・体調が悪い時
・眠たい時
・あくびが伝染った時
以上の理由があるということがわかりました。
単に眠たいときにするあくびもあれば、不安な状態にある時にもあくびをするため、いぬのあくびは人のあくびのように、そう単純なものではないのです。
前述の通り、あくびをしたからと言ってそこまで神経質になる必要はありませんが、なぜあくびをしているのか、その原因を突き止めて見る必要はあるかもしれません。
犬はあの手この手で私達に気持ちを伝えようとしてきたり、私達の気持ちに答えようとしてきます。
飼い主さんもできるだけ愛犬の気持ちを理解できるよう、日頃から愛犬の様子や性格を把握するようにし、犬の気持ちになってみるのも大事かもしれません。
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最終更新日 : 2020/12/24
公開日 : 2018/02/27