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FULL HOUSEの社猫、 トトちゃん のあくび
あくびをするのは「眠いから」するという印象が強いですが、実はそれだけではありません。
あくびの動作を考えてみると、どの動物でも大口を開けて呼吸をするという動作になります。
つまり、あくびは深呼吸をする動作であり、脳が酸素を求めているから出る行動であると言われています。
それでは、猫のあくびにはどんな意味があるのでしょうか。
猫の語源は「寝子」から来ていると言われるほど良く寝る動物で、1日15時間~20時間も眠る猫もいます。
1日の多くの時間を眠って過ごすのが当たり前なので、もちろん人間と同じように眠くなったときもあくびをします。
猫は目が覚めてすぐにあくびをすることも多く見かけられます。
猫は寝ている時間が長いので、起きると手足や背中を伸ばしたりしてストレッチしますよね。
あくびもその一種です。
これから 起きて活動するためのウォーミングアップのためにあくびをしている のです。
元気に行動できるように酸素を体内に取り入れているのですね。
猫は遊んでいるときや、猫同士で小競り合いをしている時にも突然あくびをすることがあります。
飼い主は「そこ、あくびをするところ?」とちょっと不思議に思うかもしれませんが、これにも理由があるのです。
あくびをすると体内に酸素が取り込まれるので、やる気がアップします。
人間でも酸素を吸うと勉強に集中できたり運動が持続できたりしますね。
猫は「これからもっと遊びたい!」という時にあくびをするのです。
さらに、あくびをすることでエキサイトしすぎた気持ちを落ち着かせてもいるのです。
そのため、遊んでいる最中や小競り合いの最中にあくびをするのですね。
猫がお気に入りの場所でくつろいでいる時や日向ぼっこをしている時に、気持ち良さそうに目を閉じてあくびをすることがあります。
これはすごくリラックスできているサイン。
そして、脳も体もまったりしているので、このまま寝てしまいたいなという気持ちの表れです。
これは人間も同じですね。
猫が キャットタワー から足を踏み外してしまうなどの失敗をしたとき、何事もなかったかのように体をなめたりあくびをしたりします。
人間は「失敗をごまかしているのでしょ?」と思いますが、本当はちょっと違います。
猫を叱っているときも突然あくびをしたり、体をなめるという行動が見られ、飼い主的には「全然反省していないのでは?」と思ったりしますが、実は全く正反対。
驚いたり緊張したりしたときに、猫がそれとは全く関係ないように見えるあくびや毛をなめる行動をしてしまうのは、代替行為なのです。
驚いたり怖いと感じたりした時のストレスを軽減し、自分の気持ちを落ち着かせるためにこのような行動を取ります。
全然気にしていないのではなく、 とても気にしているとあくびが出てしまう のです。
この時にするあくびは、気持ち良い時にするあくびとは表情が違います。
気持ちが良い時は目を閉じて気持ち良さそうにしますが、ストレスの代替行為の時は、目を見開いたままあくびをします。
猫はドキドキして不安に思っているので、あくびをしたら叱るのはほどほどにしてあげると良いです ね。
そもそも猫は叱っても同じことを繰り返すので、叱るよりも「やってほしくないことはできないようにする」方が良いでしょう。
猫が休んでいる時や毛づくろいをしている時などに、飼い主がなでるとあくびをすることがあります。
これは、眠いからするあくびではなく 「不満」のサイン。
つまり、「触るな」と言っているのです。
猫はイラっとした時もあくびをします。
あくびをすることでイラっとした気持ちを落ち着かせようとしていると思われるので、不満のサインを出されてもなお触り続けると猫に怒られることがあります。
猫がたくさんあくびをするような病気はありませんので大丈夫です。
しかし、通常の範囲を超えてしょっ中あくびをするようであれば、ストレスのサインかもしれません。
猫にストレスがかかるようなことがないか観察してみましょう。
あくびのように見える病気のサインがあります。
猫が何か誤飲してしまい、口やのどに引っかかっていると、あくびのように何度も口を開ける行動を取ることがあります。
これは正確にはあくびではなく、 異物が不快で何とか取り除こうとしている のです。
何度も続けて口を大きく開ける、下を向いたり上を向いたり頭を振りまわるようなしぐさが確認できるときは要注意。
異物が奥に引っかかっている時は口を開けさせても見えないことがあるため、すぐに動物病院を受診しましょう。
口の中にトラブルがある時もあくびのような行動を取ることがあります。
何度も口を開けるという行為があくびに見えるのですが、やはりこれも口の中の不快感や痛さのために口を開けるのです。
よだれが出る、口臭がするなどのときは注意が必要です。
口内炎、歯肉炎、口腔がんなどの場合があります。
猫の口は臭いと思っている人もいますが、清潔であれば臭くありません。
菌が繁殖していたり病気だったりすると悪臭がするのです。
口を開けている、臭いがする、よだれが出るといった症状が見られたら病院を受診しましょう。
口をあけながら涙を流していたり、何度もくしゃみをする、鼻水が出るなどの症状が見られたら、何らかのウィルスに感染してしまい猫風邪を引いてしまった可能性があります。
猫は鼻で息をしているので鼻が詰まると苦しくなり、あくびのように大きく口を開けるという動作がみられるときがあるのです。
猫風邪というと軽い病気に聞こえますが、重篤になると命にも関わるので、早急に獣医師に診てもらいましょう。
猫は大口を開けてあくびをするので、その時を上手に利用して猫の口腔内の健康チェックを行いましょう。
猫の口を開けさせるのは大変ですし、猫にも嫌な思いをさせてしまいますが、あくびのときにチェックすれば飼い主も猫もストレスなくできますね。
チェックした時に異常に気が付いたらなるべく早く獣医師に相談しましょう。
早期発見が回復へのカギです。
また 口臭 は、口の中の衛生面の悪化や口内炎だけでなく、病気のサインであることも多いので、「うちの猫の口って臭いんだよ」だけで放置してはいけません。
口臭があるということは、口腔内の環境が悪いということ。
口内炎や歯肉炎でご飯が食べられなくなり衰弱することもあるのです。
日ごろから猫の口内環境に気を付けると良いですね。
猫の歯磨きが難しかったら液体歯磨きなどを利用すると、ある程度の効果が期待できます。
猫のあくびには色々な意味があることが分かりました。
猫は人間の言葉が話せませんので、あくびの意味を知っておくと愛猫の気持ちがより分かるようになるでしょう。
代表的な意味は下記の通りです。
動物の行動学では、その状況にそぐわない行動を取ることを「転移行動」と言います。
野生動物にも多く見られることで、興奮状態の猫が突然あくびをしたり、毛づくろいをしたり。
動物の心の中で、葛藤(かっとう)があると転移行動が見られると言われています。
また、あくびをしている時は絶好のお口を見るチャンス。
あくびの時に愛猫の口の中を観察すれば、毎日ささっとチェックすることができますよ。
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/02/18
公開日 : 2018/02/10