本ページに掲載のリンク及びバナーには広告(PR)が含まれています。
ころんとした丸い体に頭から胸元にかけて入っているオレンジ色の体が特徴のコマドリは、 うぐいす や オオルリ と並ぶ日本三鳴き鳥に数えられている小鳥です。
渓谷や森の中で、夏になると「ヒンカラカラ」という鳴き声を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
鳴き声が馬のいななきにも似ていることから駒(馬)鳥という名前が付けられています。
ちなみに、うぐいす、オオルリもそうなのですが、日本の三鳴き鳥は実は三種ともすべて スズメ 科なのです。
最近では生息地の開発により、以前と比べるとその個体数は減り続けているというコマドリ。
今回はそんなコマドリの生態と特徴を中心に解説していきたいと思います。
日本にやってくるコマドリは夏に日本へ、冬には中国など暖かな場所に移動する渡り鳥です。
とはいっても暖かな場所なら越冬する個体もいるようですし、屋久島などにはタネコマドリと呼ばれる日本固有種のコマドリも存在しています。
基本的に森林で暮らす小鳥なため、都市部などではその鳴き声や姿を見かけることは殆どありません。
渓流の近くで良く鳴き声を聞くことができるので、夏の森林、かつ渓流に近い場所は絶好のコマドリスポットと言っても良いでしょう。
北は北海道から、南は屋久島までと全国に飛来する渡り鳥なので、生息地の条件さえ満たしていればかなりの確率で出会うことができます。
しかし警戒心が強く、木の上や笹やぶの中で生活していることが殆どなため、鳴き声は聞こえても姿を見ることはできない場合もあります。
主に食べるのは昆虫で、樹上や地面に降りて獲物を捕食します。
後述するヨーロッパコマドリは餌場を作るとそこに集まったりもするようですが、残念なことに日本で見ることのできるコマドリはあまりそうした報告例はありません。
「ヒンカラカラ・・・」と力強い綺麗な鳴き声と美しいオレンジ色の羽毛はコマドリの最大の特徴です。
コマドリ、といっても何種類かいるのですが、その鳴き声と羽毛は少しの差はあっても変わりはありません。
日本に飛んでくるコマドリの特徴としては、オスのオレンジの胸毛のまわりに黒い線が入っていることが挙げられます。
ただ、生息地によって警戒心の有無は変わってくるようで、ヨーロッパコマドリのなかでもイギリスに生息するコマドリは警戒心があまり強くなく、畑仕事の最中に近くに寄って来たり餌場に姿を見せたりとイギリスの方にはとても身近な存在となっています。
伊豆諸島、種子島、屋久島に生息する留鳥のコマドリです。
タネコマドリはオスでも胸毛の周りに黒い線が入らず、その有無で渡り鳥としてのコマドリと見分けることができます。
しかし鳴き声は少々弱めと言われていますが同じですし、中々一発で見分けをつけることは難しそうですが、寒くなってきても渡りをしていない伊豆諸島、種子島、屋久島のコマドリはタネコマドリと言っても良いでしょう。
環境開発の影響やニホンイタチなどの天敵が生息地に入ってきたことから、年々その数は減っているため絶滅危惧種2類に分類されています。。
実は屋久島や奄美大島の付近には「アカヒゲ」と呼ばれるコマドリそっくりな小鳥がいます。
コマドリの特徴であるオレンジ色の羽毛が頭から腹ではなく、頭から背中にあることが特徴な鳥で、一時期はコマドリと勘違いされていた時期もあった鳥です。
実は遺伝子的にはかなりの近縁種で、コマドリ亜種のような存在になっています。
こちらも日本固有種のコマドリなのですが、残念なことにタネコマドリと同じように年々その数は減りつつあるため、現在は絶滅危惧種に指定されています。
公式ではありませんが、イギリスでは国鳥としても親しまれているコマドリ。
童謡や童話にもよく登場し、有名なマザー・グースの一節にも「誰がコマドリ殺したの?」という鳥たちがコマドリの葬儀を行うものがあります。
外国ではコマドリではなく、クックロビンという名前で親しまれています。
また、イギリスでは人家近くの林や森に生息していることが多いためでしょうか。
大陸ヨーロッパのコマドリは、イギリスのコマドリと比べると警戒心が強く滅多に人前に姿を現さないのですが、イギリスのコマドリは警戒心が薄いため、よく人前に姿を現すことで有名です。
そのように身近な小鳥であることから、ヨーロッパコマドリはイギリスの人々にとても愛されている存在なのです。
コマドリは木のくぼみや隙間などに巣を作るのですが、時折捨てられた人工物や長らくつかっていなかったじょうろ、植木鉢などに巣を作る時もあります。
綺麗に作られた鳥の巣が卵と一緒にそうした場所にある愛くるしさから、イギリスの童話の挿絵では、コマドリの巣がそのようなところに可愛らしく描かれていることが多いです。
ちなみに、イギリスの童話でもあるピーターラビットが人参を食べている有名な絵のスコップに止まっている小鳥もコマドリです。
ヨーロッパコマドリはその名の通りヨーロッパ全土にかけて分布しており、こちらは日本にやってくるコマドリとちがって渡りは滅多にしないのが特徴となります。
ただ、寒い地方に住んでいるヨーロッパコマドリは冬になると少し暖かな地方へ渡りをする個体も確認されています。
時折日本にも迷い鳥として現れていますが、ペットが逃げたものなのか渡りの最中に迷ってしまったのかは明らかになっていません。
また、ほかのコマドリと比べるとさえずりがスズメによく似ているという特徴があります。
昔は売られていることもあったのですが、現在では保護法により販売・飼育は禁止されているのでショップで売られている場合も買うことは避けましょう。
その一方でヨーロッパコマドリは飼育も可能、かつ外見が似ていることから偽って販売されている場合もあります。
ヨーロッパコマドリであっても、野鳥にとって飼育されることはストレスです。
飼育を考えている方はその面を考慮したうえで購入することをお勧めします。
生息場所が山地であることが殆どなため、怪我をしたり巣からおちてしまったコマドリを保護することは、 ツバメ やスズメなどの住宅地に現れる鳥と違って非常に少ないと思います。
もし、傷ついて助けが必要そうなコマドリを見つけた場合は、保温や補液などを行ってから鳥獣保護センターや動物病院に助けを求めることをお勧めします。
保温は特に重要なのですが、鳥の体温は人間と比べるととても高く、人肌程度ではあまり効果がありませんので注意してください。
また、コマドリは昆虫食なため、餌となる昆虫は自分で調達しなければいけません。
ペットショップによく売っているミルワームや コオロギ だけでは栄養バランスに問題がありますし、自然下ではクモやミミズ(ミミズは釣り具専門店で売っていますが釣り用ミミズは鳥の餌にはお勧めできません)を食べているため、なるべく自然と同じ食事をとらせることが必要です。
そうしたネックもあるため、野鳥保護の経験がない方はコマドリに限らず、野鳥を保護した場合は専門機関に連絡を取るのが一番だと思います。
うぐいす、オオルリと並ぶ綺麗な声の持ち主です。
都市部などでその鳴き声を聞けることは滅多にありませんが、夏の山地では場所を選べば美しい鳴き声を聞くことができます。
夏へ日本へ渡り繁殖、その後冬に中国など暖かい地方で越冬します。
日本固有種であるタネコマドリなどは渡りをせず、日本でずっと暮らす留鳥です。
コマドリを題材とした童話や童謡も数多くあります。
胸元の赤みのかかったオレンジの羽毛が印象的だからでしょうか、童話の中でコマドリは献身的で美しい象徴として描かれていることが多いです。
ミソサザイという鳥とセットになって書かれているものが多いので、イギリスの童話を読む際には是非コマドリの姿を探してみてください。
藪の中に巣を作ることの多いコマドリですが、現在は開発による環境破壊やシカやイノシシが増えたことによる食害で巣を作る場所が減ってきてしまっています。
シカが多い奈良県などではコマドリの繁殖地である笹薮を保護しているほどです。
もし山へ行って、地面に近い場所に鳥の巣を見つけてもそっとしておいてあげてください。
ペットショップなどで見かけても購入することはお勧めしません。
ヨーロッパコマドリであればぎりぎり飼育可能なのですが、非常に外見が似ているため見分けることは難しいです。
かつ、野生のものを捕まえてきた個体であった場合非常に強いストレスがかかっているため、そうした面でも飼育はお勧めできません。
スズメ、うぐいす、ツバメにコマドリ、 オオルリ 、 メジロ 、ムクドリ...日本には沢山の鳥が暮らしており、また外国から渡ってくるものもいます。
しかし、どれも共通して言えることは最近はその個体数が減ってしまっているということです。
勿論日本の環境開発だけが原因ではなく、渡った先の外国でもまた環境開発の影響などはあるのだと思います。
日本で春から秋にかけて繁殖をし、冬に外へ渡っていく種類の鳥が少なくないのも事実です。
日本という限られた土地の中で、そうした自然の一部たちとどのように接していくかが私たちの課題であるとしみじみと思います。
この記事がコマドリの知識を少しでも深めたい方の助けになれば幸いです。
最終更新日 : 2020/11/04
公開日 : 2018/01/12