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タニシは南米や南極以外の淡水がある場所に生息している巻貝です。
アジアに多く見られ、日本ではマルタニシ、ヒメタニシ、オオタニシ、ナガタニシと呼ばれる4種類のタニシを見ることができます。
要注意外来生物として指定されているスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)や、豆粒のような大きさのサカマキガイは一見タニシに似ていますが、タニシとは別の貝類です。
今回はそれらの貝類にも触れつつ、タニシの生態、特徴、飼い方(水槽導入)について解説していきます。
淡水性のタニシは湖や田んぼだけではなく、用水路や川にも生息しています。
タニシの食性は下記の通りであるため、淡水であり水草や生物が住んでいる、もしくは枯れ葉などの沈殿物がある場所であれば暮らすことができます。
大きさは1cmから8cm程度で、日本に住むタニシは5cm程度の個体が多いです。
野生のタニシは落ち葉や苔、魚の糞を食べているので、落ち葉が溜まっている川底を網ですくうとタニシが入っている可能性が高いです。
透明度が高い田んぼでは、水底をゆっくりと歩いている姿を見ることもできます。
貝殻が黒く、保護色になっているので最初は少々見つけづらいかもしれませんが、一度探すのに慣れてしまえば簡単に見つけられる生き物です。
タニシと別の貝を見分ける大きな特徴として、貝殻の巻き方があります。
タニシは右巻きの貝殻を持っていますが、ほかの淡水に暮らす貝は左巻きの貝殻であることが多いです。
水槽を立ち上げた場合、購入した 水草 によくついてくるサカマキガイはその代表例です。
サカマキガイは一見すると小さなタニシにも見えますが、卵胎生(卵を体内で育てる)のタニシとは違い、透明な卵が入ったゼリー状の卵塊をあちこちに産み付けます。
最近は日本のあちこちに生息するようになった外来種のスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)も左巻きの貝殻を持ち、またサカマキガイと同じように卵塊を産みます。
その卵は特徴的で、スクミリンゴガイが生息している場所の壁や水草の根元には、下の画像のような警戒色である紅色をした沢山の卵塊が見られることが多いです。
田んぼの雑草を食べてくれるという生きた除草剤のような役目も果たしてくれますが、要注意外来生物に指定されてしまうほど繁殖力が強いため、もしスクミリンゴガイの卵を見つけた場合は駆除するか、もしくは水の中に落とすようにすることをおすすめします。
スクミリンゴガイの卵は毒を持っているため、本来の生息地である南アメリカでも卵を食べようとする生き物は、最近日本に侵入してきたことで話題となったヒアリのみです。
孵化してしまえば無毒となるため、日本には食用として持ち込まれた経緯がありますが、寄生虫の懸念があるため過熱せずに食べることは避けてください。
スクミリンゴガイは水草をよく食べてしまうため、水槽内に入れることはおすすめできません。
しかし、サカマキガイは成体になっても小指の先ほどしかない程度の大きさの貝ですから、タニシと比べると掃除能力は落ちるものの水槽にいても問題がない生き物です。
単為生殖が可能で卵を産む数も多いため、2匹もいればそこから爆発的に増えるという面で、 アクアリウム の景観を崩してしまうことで有名ですが、魚を飼育するということに関しては害のある貝ではありません。
特にフグや 金魚 はサカマキガイを餌にするため、良い生餌になってくれます。
また、タニシにはお腹に固い蓋があります。
何か刺激を受けたときにさっと体を引っ込めて、外敵が殻の中に入ってこないように蓋をするのです。
こちらもタニシの特徴です。
サカマキガイの稚貝とタニシの稚貝を見分ける時に、蓋の有無を確認することで簡単に判別することができます。
そうとはいっても、実はスクミリンゴガイにも蓋があります。
こちらの見分け方は、殻に潜った貝を平らなところに置くことで判断することができます。
タニシが安定して置けるのに対して、スクミリンゴガイは不安定にゆらゆら揺れてしまうと思います。
これは一体どちらのタニシなのか?と思ったらそうしてみてください。
タニシと共に ヤマトヌマエビ や ミナミヌマエビ を水槽に入れれば、水槽の壁についた藻や魚の食べ残しを食べてくれることで水質の悪化をか抑えてくれます。
石巻貝も水槽の掃除屋として有名ですが、汽水(淡水と海水が混合している水)と淡水を回遊する性質から、家庭での繁殖は非常に難しいです。
一方で、タニシはペアで購入をすれば繁殖も可能となります。
日本には4種のタニシが生息していますが、今回は日本各地の様々な場所に生息していて、ペットショップで売られていることも多く入手がしやすい「ヒメタニシ」について解説していきます。
ヒメタニシは今では絶滅危惧種扱いになってしまっているマルタニシや、6.5cmもの大きさになるオオタニシとは違い、平均3.5cm程度の可愛らしい大きさをしたタニシです。
そのため、水槽の景観を邪魔することもなく、アクアリウムに最適なタニシとも言えます。
また、環境汚染に強く、急な水質の変化にも十分耐えるほど適応能力があります。
酸性に偏った水だと殻が溶けてしまい、弱ってしまうこともあるようですが、日本の水道水や水は弱アルカリ性もしくは弱酸性であるものがほとんどなので、牡蠣の殻を水槽に入れてカルシウムを補給させてあげれば何も問題はありません。
その他、ヒメタニシはろ過(水中の混濁物)摂食の力が強いタニシです。
外で魚を飼育した場合、グリーンウォーターと呼ばれる植物性プランクトンが多く含まれる水に変化してしまうことは多いと思います。
そこでヒメタニシを何匹か水槽に入れることで、水のグリーンウォーター化を防ぐことができます。
もちろん、グリーンウォーターを作りたい場合は、ヒメタニシをたくさん入れることはおすすめしません。
魚も植物プランクトンを食べますから、餌を定期的にあげることが難しい場合はグリーンウォーターで飼育すると良く育ってくれます。
特に稚魚は口が小さく、与えた餌をすべて食べ切れないことが多いため、水質悪化の原因にもなってしまいます。
飼育している魚の状態を選んでヒメタニシを導入すると良いでしょう。
ヒメタニシは魚もその卵も食べませんし、もし食べたとしても死んでしまった固体や卵ぐらいであると言われています。
あまり水槽が綺麗になってしまうとタニシは餓死してしまうので、水草は必ず水槽の中に入れてあげるようにすると良いでしょう。
エラでプランクトンを漉しとって食べてくれるヒメタニシは、水質浄化力が高いことから、湖や田んぼのような水質が変化する場所でも生きていくことができます。
ヒメタニシが大量発生している場所を見ても、水質が悪いと考えずに水質の調整をしてくれていると考えてみてください。
タニシの多くは卵胎生です。
ヒメタニシも同様に体の中で卵を育て、ある程度の大きさになったら子供を産むという仕組みを取っています。
弱アルカリ性の水が一番タニシが良く育つと言われていますが、基本的には水の調節をする必要はなく、雄と雌のペアであればヒメタニシは問題なく繁殖してくれると言っても良いでしょう。
ヒメタニシの稚貝は大きさが3~5mmと非常に小さいです。
自然下では6月から8月の時期に稚貝を産むとされています。
自然では小さな小さな稚貝は発見するのが難しいですが、水槽の中だとその姿をはっきりと見ることができます。
小さくてもちゃんとタニシの形をしていて、案外可愛らしいです。
ヒメタニシの雌雄の見分け方は、その触角でわかると言います。
右側の触角がくるりとカール状になっていれば雄、まっすぐであれば雌です。
ペットショップで売られているタニシは透明な水の中で触角を出してゆっくり動き回っていることが多いため、繁殖させたい場合は少しタニシを観察してみて雄と雌のペアを売ってもらうと良いでしょう。
ちなみに、タニシは日本で昔から「田んぼのサザエ」「ツブ」と呼ばれ親しまれていました。
お見合いの際にはタニシを使った料理を作る地域もあるぐらいです。
しかし、繁殖期が終わり、体内に稚貝を持ったタニシを食べると、ガリガリとした触感が口の中に残ると言われています。
その口触りのため、身が大きく繁殖力も高い、更に卵生であるところに注目されて食用として持ち込まれたのがスクミリンゴガイです。
外来生物の代表と言ってもいい アメリカザリガニ やウシガエルなど、日本に根付いてしまった外国原産の生き物は沢山います。
今回解説したのは日本に住むタニシ達ですが、水を綺麗にしてくれたり水槽を掃除してくれる生き物は他にも、アルビノの個体がレッドラムズホーンと呼ばれているインドヒラマキガイ、魚では コリドラス やオトシンクルスが挙げられます。
しかし、それらの生き物は皆日本が原産国ではありません。
繁殖自体は容易なので、餌となるプランクトンや苔など、餌になるものと雌雄のペアであれば簡単に増えてしまいます。
日本の環境で増えてしまう生き物も多く、実際に外来種が日本の生態系を崩してしまうことは少なくありません。
生態系を崩さないためにも、外来種の生き物が飼育環境で増えても自然に放つことは避けてくださいね。
苔や藻、落ち葉などを食べる草食なため、水底にいる個体が多いです。
もし野生のタニシを捕まえる時は網などで落ち葉が溜まっている場所を浚ってみると、タニシがいるかどうかがすぐにわかります。
また、寄生虫をもっている場合があるためタニシに触った後はしっかりと手を洗ってください。
日本に生息しているタニシは必ず右巻きの貝殻を持っています。
小さなサカマキガイは最初はタニシの稚貝にも見えてよくわからないのですが、少し大きくなるとその貝殻の巻き方でどんな貝であるかが判別できます。
タニシでないから害がある生き物というわけではないので、そのまま放置しておく、殻を砕いて中の身を魚の餌にするなど用途はあります。
渦巻状の殻を持ったインドヒラマキガイ(ラムズホーン)も、水槽の掃除という面でおすすめの貝です。
ジャンボタニシと呼ばれているスクミリンゴガイは水草をよく食べてしますし、糞などで水質を悪化させてしまうため、アクアリウムにはおすすめできません。
メダカ のような小さな魚を飼育する場合は特にヒメタニシが向いています。
大き目の金魚の場合は、オオタニシや石巻貝でも良いかもしれません。
タニシを数匹入れればグリーンウォーターも一晩である程度綺麗になってくれるほどです。
タニシを手に入れた時はぜひ試してみてください。
シジミやドブガイなどの二枚貝の水質浄化能力も素晴らしいのですが、餌となるプランクトンの供給という面で継続した飼育に難があります。
餌が水中を漂うプランクトンだけではないタニシは、非常に飼いやすい生き物なのです。
タニシを増やしたい場合は繁殖時期にペアにして水槽にいれてあげましょう。
産卵数は意外と多く、30匹から40匹ほど生まれるので、稚貝の選別はしたほうがいいと思われます。
あまり水槽に数が多いと、餌が足りなくなって餓死してしまうためです。
タニシの寿命は5年ほどと案外長いため、繁殖させる場合は計画的に育てましょう。
雄と雌のペアにしていなくても、雌が体内に雄の精子を持っている場合は繁殖が可能です。
雌雄の見分け方は難しいものではないので、繁殖をしない場合は雄と雌を分けて飼育するのが一番良いでしょう。
タニシのように私たちの身近な場所にいる生物は、素晴らしい力を持っているのです。
本記事がアクアリウムにタニシを導入したいと考えている方の参考になれば幸いです。
公開日 : 2017/11/06