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現在はロシアを代表する猫として、世界的にも活躍するサイベリアン
同じく厳しい環境で生きてきた猫「ノルウェージャン・フォレスト・キャット」
寒さに適応して進化してきた「サイベリアン」と「ノルウェージャン・フォレスト・キャット」
ロシアを原産国とし、「シベリア」を意味する猫「サイベリアン(Siberian)」。
サイベリアンは、ロシアにあるシベリアの森で誕生した事が由来となり、「シベリアの森の猫」を意味する「サイベリアンフォレストキャット(Siberian Forest Cat)」とも呼ばれています。
サイベリアンのルーツは非常に古く、実際には詳しくはわかっていないものの、おおよそ1000年前から存在している品種と考えられています。
サイベリアンの姿が世界的に知られたのは、1871年のイギリスでのこと。
世界初となったこの正式なキャットショーでサイベリアンも出陳され、一躍その名を知られる 猫 となったのです。
1871年にイギリスでキャットショーが開催され、サイベリアンという猫が世に知れるようになりましたが、この当時のロシア(ロシア帝国)とは交易することが難しく、その後100年以上もサイベリアンが国外へと輸出される事はありませんでした。
1980年代に入ると、ロシア国内(ソビエト連邦時代)ではサイベリアンの血統管理が本格的に始まり、サイベリアンの体型を標準化させる品種改良が進められるようになりました。
この頃、ロシア国内に存在する猫種登録団体でのみ、サイベリアンは正式に純血種として認定されていました。
しかし、サイベリアンが国外に輸出される事はなかったため、ロシアを除く世界各国の猫種登録団体からは、純血種として認められることはありませんでした。
実際にサイベリアンが、ロシア国内以外の世界的な猫種登録団体に純血の 猫種 として認定されるのは、これからまだ先のことになります。
1987年、ようやくサイベリアンはポーランドやドイツ等に輸出されるようになりました。
この時、ロシアとアメリカは冷戦時代であったため、ロシアとの関係が比較的近い国にのみ、サイベリアンが輸出されるだけでした。
そして、正式に冷戦の終結が宣言された1989年の翌年、ロシアとアメリカの文化交流としてサイベリアンがアメリカへと送られることになりました。
その後の1996年には、世界的な猫種登録団体「TICA(The International Cat Associationの略)」が、サイベリアンを正式な猫種として認定するに至ったのです。
このアメリカへの輸出には、アメリカを原産とする猫「メインクーン」のブリーダー「エリザベス・テレル」の尽力が大きく関わっていました。
エリザベスは、サイベリアンと メインクーン の容姿が似ていることから、サイベリアンに強い興味を示し、文化交流に向けて尽力したと言われています。
因みにこの時、サイベリアンはアメリカへと渡り、一方のアメリカからはアメリカ(イギリス)を原産とする猫「ヒマラヤン」が贈呈されました。
現在では、サイベリアンは著名な人物等も飼っている猫として、世界的にも有名になっています。
中でも最も有名なのが、ロシアのゴルバチョフ大統領やメドベージェフ首相。
サイベリアンは、こういった高官の方からも愛される猫でした。
そして、近年で有名になったサイベリアンは、ロシアのプーチン大統領が日本へと送った「ミール」という名のサイベリアンです。
2011年に起きた東日本大震災では、ロシアから多額の支援金をいただき、この支援金の御礼として、日本からはプーチン大統領へ 秋田犬 の「ゆめ」が送られました。
そして、この「ゆめ」のお礼に日本へと送られたのが「ミール」だったのです。
因みにこの「ミール」という名前は、ロシア語で平和や世界を意味する言葉なのだそう。
このように、現在ではサイベリアンは友好の証や、ロシアを代表する猫として活躍しているのです。
シベリアと言うと厳しい寒さで有名な場所ですが、中でも世界一寒い村と言われる場所が、シベリア北東部にあるオイミャコン村という場所。
1月の平均気温はなんとマイナス50℃、過去にはマイナス71.2℃という最低気温を記録したこともある、恐ろしく寒いの場所のようです。
逆に、夏場の気温はプラス30℃を越える事も多いようで、年間の温度差が80℃から100℃近くにもなる過酷な環境が、シベリアには存在しています。
サイベリアンはこのシベリアの北東部に土着し、自然発生的に誕生した猫と言われておりますが、詳しい起源は定かにはなっていません。
しかしながら、サイベリアンがこうした恐ろしく厳しい自然環境にも順応し、子孫を残し続けてきたのは確かな事実なのです。
シベリアを起源とする動物には、サイベリアンの他にも犬種の「 シベリアン・ハスキー 」が有名です。
同じ猫種ではシベリアと同じく、極寒の地で知られるノルウェーで誕生し、「ノルウェーの森で生まれた猫」という意味を持つ「 ノルウェージャン・フォレスト・キャット 」が有名です。
ノルウェージャン・フォレスト・キャットも、サイベリアンと同様に極寒の地で生きていけるように自然と順応しながら進化し、生きてきた猫。
共に生きてきた境遇が似ているため、ノルウェージャン・フォレスト・キャットとサイベリアンには、身体的特徴などがやや似ている部分が少なからずあります。
サイベリアンとノルウェージャン・フォレスト・キャットは、それぞれ極寒の地で生き抜いてきた猫ですが、共通しているのが大型種の猫であるということです。
サイベリアンの体重は4kg〜9kgほど、筋肉質なボディタイプである「ロング&サブスタンシャルタイプ」あること。
一方、ノルウェージャン・フォレスト・キャットの体重は3.5kg〜7kgほど、サイベリアンと同じく「ロング&サブスタンシャルタイプ」です。
長毛種という点も同じく、ダブルコートの被毛で体全体が美しく覆われており、耳の先から尻尾の先に及ぶまで、ふさふさとした被毛が生えそろっています。
皮膚に近い毛であるアンダーコートでは寒さを耐え忍ぐのに適した被毛。
見た目に見える毛であるオーバーコートでは、防水効果に優れている他にも、乾燥にも強いという特徴を持ちます。
しかし、サイベリアンのオーバーコートは、ノルウェージャン・フォレスト・キャットのオーバーコートと比較するとやや皮脂が多く、若干固い被毛を持っているのが特徴です。
見た目にも非常に美しい猫種たちですが、両種の被毛ともにその土地の気候に順応し、機能性にも優れた、ダブルコートの被毛を持っているのです。
サイベリアンにかかわらず、ダブルコートの猫は抜け毛が多い事が特徴として挙げられます。
そのため、日頃からブラッシングを行うなどのお手入れは欠かせなくなってきます。
必ずブラッシングを行わなければいけないというわけではありませんが、ブラッシングを行わないことで抜け毛が溜まってしまい、部屋が抜け毛だらけになってしまう事もあります。
また一番気をつけたいのが、ブラッシングを行わないことで皮脂や被毛に汚れが溜まってしまうことです。
住む環境によっては、被毛の中が蒸れたりしてしまうこともあるため、皮膚病を引き起こす場合もあるのです。
サイベリアンを飼育する際には、週に2回程度はブラッシングを行うようにし、清潔で美しい被毛を保てるようにしてあげましょう。
猫は大好きだけど、猫がいる部屋に入っただけでくしゃみが出たり、鼻水が止まらなくなるといったように、猫好きだけども猫アレルギーを持っているという方も少なくありません。
そんな猫アレルギーを持つ方でも飼えると噂されるのが、サイベリアンです。
この噂は本当なのでしょうか。
この噂を解明するには、まずは猫アレルギーのメカニズムについて理解する必要があります。
まず、猫アレルギーを引き起こす要因となるのが、猫の唾液や皮膚腺から分泌されているアレルゲンで、「Fel d 1」というタンパク質が原因となっているようです。
この猫アレルギーの問題を解明するため、短毛種で知られる「アビシニアン」と2匹のミックス猫に加え、サイベリアンを含めた計4頭の「Fel d 1」の測定が2000年に行われました。
この測定の結果、1頭のミックス猫からは62,813μg/g(マイクログラム)の「Fel d 1」を検出。
もう1頭のミックス猫は2,001μg/g、アビシニアンからは385μg/g、サイベリアンからは206μg/gの「Fel d 1」が検出されました。
この結果を見るに、やはりサイベリアンは猫アレルギーを引き起こす「Fel d 1」が少ないことから、他の猫種よりも猫アレルギーになりにくい猫種であることがわかりました。
しかし、測定している数も少ないことから、この結果が全ての判断材料と言うには難しいものでもあります。
あくまでも、これは数値上での話ですので、サイベリアンが必ず猫アレルギーにはならないと結論付ける事は難しいでしょう。
「比較的」猫アレルギーになりにくいという程度のものであるため、噂としてはやや正解といったところかもしれません。
サイベリアンはノルウェージャン・フォレスト・キャットや、他の大型猫種のメインクーンとも、その容姿が似ていると説明してきました。
しかし、サイベリアンがこれらの猫種と大きく違うのが、顔の輪郭の違いです。
サイベリアンの顔の輪郭は丸みを帯びた形をしています。
一方で、ノルウェージャン・フォレスト・キャットの輪郭は、やや三角形型のスッとした輪郭をしているのです。
こうした顔の輪郭の違いは、アメリカにいるサイベリアンと、ロシアに居るサイベリアンとでもやや違いが見られるようです。
しかし、長年サイベリアンの保存に力を入れてきている、ロシアの猫種登録団体からは、こうした輪郭の違いに懸念する声も上がっているのだとか。
とはいえ、今ではTICAを始めとした、多くの世界的な猫種登録団体にも正式に登録される品種となっています。
サイベリアンは、一見すると少々キツそうな表情の猫であるため、気が強そうだったりとっつきにくいような印象を受けます。
しかし、実際のところは非常におとなしい性格の子が多く、また優しい性格の子も多いです。
そして、かつてはロシアのサーカスにも登場していた程に頭の良い猫としても知られ、従順で我慢強いという特徴を持っています。
飼い主さんに対しても温和で非常に愛情深く、 犬 のような猫と言われる事もある猫なので、ペットとして飼育するのに向いている猫種と言えます。
サイベリアンはこういった性格なので、多頭飼育に関しても問題は無いかと思われがちです。
しかし、意外と好き嫌いはハッキリとしているところもあり、縄張り意識が強い猫種とも言われます。
そのため、サイベリアン自身が仲間と認めない相手に対しては、まったくの興味を示さない事もあります。
飼い主さんに見せる表情とは違って、冷たい一面も持ち合わせているのも、サイベリアンの特徴と言えるでしょう。
サイベリアンの特徴的な性格には、水を怖がらないという所も良く言われる部分です。
一般的に、猫は濡れることや水を嫌がったりするのが普通なのですが、サイベリアンに関しては水を怖がらない性質を持ち、水中へと飛び込むこともあります。
こうした性質を持つため、自宅内で飼育する際には、風呂場や洗濯機などの箇所には注意が必要となります。
サイベリアンの水を怖がらない性質は、厳しい自然の中で培ってきた能力の一つと言えるでしょう。
サイベリアンに多く見られる病気には「肥大性心筋症」や「多発性嚢胞腎」が、遺伝的に起こりやすいと言われています。
また、この他にも「悪性腫瘍」を引き起こしやすい系統があると言うことが指摘されています。
遺伝的な病気に関しては、検査を受けるか、サイベリアンを迎え入れた所に聞いてみるといった方法があります。
早期発見のため、病気の諸症状等をしっかりと理解し、日頃から細かな観察を怠らないようにすることが大事になってくるでしょう。
サイベリアンは元々、極寒の地で育った猫で、身にまとっている被毛も非常に暖かいものです。
日本のような高温多湿の環境では、場合によっては熱中症等を引き起こす事も考えられますので、温度管理や湿度の管理もしっかりと行うようにしましょう。
サイベリアンは日本では比較的、珍しい部類に入る猫種です。
ペットショップで見かけることはあるものの、ノルウェージャン・フォレスト・キャットなどに比べると、店頭で見かける機会はそんなに多くはありません。
ブリーダー直販である場合も多いので、サイベリアンを飼いたいと考える場合には、ブリーダー直販で探してみるほうがてっとり早いかもしれません。
サイベリアンは他の猫種と比較すると、どちらかというと高級な猫という印象も強い猫です。
一般的な販売価格では、おおよそ30万円前後というのが平均価格です。
しかし、血統の良い猫や珍しいカラーのサイベリアンともなると、平気で100万を越えてくる事や、200万近い値が付いている場合もあります。
こうした価格の猫は、キャットショー等に出陳するためのショータイプ向けのサイベリアンであったり、繁殖目的で売買されるサイベリアンであることが多いです。
普通にペットとして飼育する上では、価格の差でなにかが変わると言ったことはありません。
一方で、良い血統のサイベリアンが欲しいという方は、ブリーダー直販を利用したほうが良いかもしれません。
英表記:Siberian Forest Cat
原産国:ロシア
公認団体:TICA・CFA・FIFe・GCCF
ボディタイプ:ロング&サブスタンシャルタイプ
毛種:長毛種(ダブルコート・トリプルコート)
公認毛色:公認団体による(ロシアでは黒もしくは赤を主色としたカラーのみ公認)
目色:ブルー、グリーン、イエローほか
相場価格:30万円前後
寿命:15年前後
大きさ:オス
性格:犬のような一面もあり、家族を大事にする優しい性格
かかりやすい病気:肥大性心筋症、多発性嚢胞腎
過酷な自然環境で生き抜いてきたサイベリアン。
自然に順応した結果、非常に美しい被毛や、寒さに耐えしのぐ忍耐力を身につけてきました。
サイベリアンはペットとしても飼育しやすく、飼い主に対しても従順な性格。
いつもかまっていたいという方や、ツンデレも好きだけど、ちょっとはこっちを向いて欲しいという方にオススメな猫と言えそうです。
公開日 : 2017/08/01