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いきなり専門的な話をすれば、プレーリードッグはネズミ目(齧歯類)リス科プレーリードッグ属の動物の総称です。
ふるさとは北米大陸の草原地帯。
北米大陸の中央部に位置する温帯草原エリアは通常 「プレーリー」 と呼ばれ大穀倉地帯になっております。
この地域に巣穴を掘って集団生活を営んでおります。
陸に空に天敵が多いため、巣穴周辺で見張りをする習性があります。
そして天敵が近づくと犬のような鳴き声を発し、仲間に警告を促します。
草原 (プレーリー) に棲んでいる 犬 みたいな動物ということで 「プレーリードッグ」と呼ばれているのです。
余談ながら、同じような生活スタイルを営み 「見張り」 する動物に 「ミーアキャット」 が存在します。
面白いことに、ミーアキャットもネコの仲間ではありません (マングースの仲間です)。
ミーアキャットに関してはこちらの記事もご参照ください。
⇒ 動物園の人気パフォーマー!ミーアキャットってペットとして飼えるの?
プレーリードッグの仲間には下記 5種類が存在しています。
オグロプレーリードッグ : 最も一般的で個体数が多く、尻尾が黒い特徴を持つ。
オジロプレーリードッグ : 標高の高い場所に生息し、尻尾が白い特徴を持つ。
メキシコプレーリードッグ : メキシコに生息する絶滅危惧種。
ガニソンプレーリードッグ : コロラド、アリゾナ州に生息する。
ユタプレーリードッグ : ユタ州のみに生息する絶滅危惧種。
通常プレーリードッグと呼ばれるものは、オグロプレーリードッグを指し、ペットとして飼育されているのも当種です。
従って、これからオグロプレーリードッグについての特性について解説を進めます。
成体で、30-40 センチ位。
尻尾の長さが 10センチ前後です。
成体で 1キロ前後。
自然界では、1-6 年程度。
飼育下では、 6-10年 ですが、15年以上生きる場合があります。
自然界では天敵が多く、天寿を全うできない場合が多いのです。
比較的長寿な動物といえるでしょう。
オスは 2年 メスは 3年で成熟期を迎えます。
10-12月が繁殖期となり、非常に気が荒くなります。
妊娠期間は 35日程度で 一度に 3-7 頭の出産をします。
生活スタイルは 昼行性 です。
日中は地上で暮らし、夜間は巣穴の中で睡眠をとります。
群れを成して生活するスタイルですが、特徴的なのは 一夫多妻制 ということ。
オス 1匹に対して メス 数等で 1グループを形成し複数の家族で大きな集団を形成します。
この集団は 「コテリー」と呼ばれています。
草食性で、主に イネ科の植物 を主食としています。
植物に付着している昆虫や土も一緒に食してミネラルを吸収しています。
積極的に昆虫など肉食性の食料を食べることはありません。
降水量の少ない場所に生息するため、野生下では植物から水分を吸収しています。
飼育下では 牧草や専用フードを主食としています。
天敵を発見すると、犬のように キャンキャン鳴いて警告を発します。
しかし彼らは非常に言語能力の高い動物で他に 10種類位の声 があり使い分けています。
飼い主に甘える際の鳴き声もあります。
コミュニケーション能力の高い生き物です。
さらに詳しく・・・プレーリードッグの生態と特徴
仲間同士の挨拶で キスに似た口付け表現をしたり、抱き合ったりします。
お尻を地面につけ、座ることもします。
まったりとうつ伏せになって日向ぼっこすることがあります。
なわばり意識が強く、自分になわばりに別の集団のオスが侵入してくると、最初はお尻の臭腺から臭気を発して威嚇します。
それでも、相手がひるまなければ 生き埋めにして殺してしまうこと があります。
メスの方もおとなしいわけではなく、出産後の抗争が激しくなると、他のメスの巣穴に侵入して、子供を殺すこともあります。
さらに親子ともども生き埋めにすることもあります。
なわばり争いから、ジリスを殺害する報告もあります。
食用とて、殺すのではなく・・・ 見せしめとして ・・・怖いですね!
かつてプレーリードッグは米国から 毎年 1万匹以上が輸入されて 1匹 2万円位で販売されていました。
しかし米国内で野生のプレーリードッグからペストに感染されたことや、野兎病をり患した生体が一部国内に流出したとの報告もあり
2003年、厚生労働省より、 全面輸入禁止の措置 がとられました。
現在国内で流通しているプレーリードッグは、措置発令以前に輸入された個体の子孫であり、国内繁殖されたものになります。
プレーリードッグは、かつて北米全域に 50億匹も生存していたといわれています (19世紀末の統計)。
しかし牧場を荒らす害獣として駆除の対象となり、なんと 98% も消滅してしまったのです。
巣穴に掃除機のようなものを差し込んで吸い出す機械も導入され、死亡しないまでも手足を失う個体も多くいました。
現在は国際自然保護連合 (IUCN) のレッドリストに絶滅危惧種として指定され、保護対象になっています。
プレーリードッグとはどんな動物か理解していただけましたでしょうか?
次に、プレーリードッグをペットとして飼う場合の魅力、そして問題点について触れたいと思います!
それでは、上記の特徴をもったプレーリードッグを飼い始めようとする前に、知っておきたいことを解説します。
プレーリードッグが現在高価で取引され、入手困難な現状にもかかわらず、不動の人気がある理由はなんでしょか?
まず 人懐っこさ があげられます。
集団生活を送っているため、社会適応性が強く、飼い主に慣れると甘えて膝の上に乗ってきたりします。
そしてユーモラスな仕草とボディランゲージの豊富さ・・・そして愛くるしいルックス!
比較的長寿な生き物なので、一緒に暮らせる時間が長いのも魅力のひとつです。
ペットとして飼い主に甘えてくるのは嬉しい限りですが、非常に寂しがりやです。
たえずスキンシップをとる必要があります。
仕事などの関係で家を空ける時間の長い方には、あまりおすすめできないペットです。
複数飼育を考えた場合、この「寂しがり」を解消できるメリットがあるかもしれませんが、オス同士では激しいケンカをする危険性があります。
できればメス同士の方が比較敵相性が良いようです。
寂しさが募ると、ストレスにより自分の身体を噛む 「自咬症」になる恐れがあります。
プレーリードッグは飼い主の顔を覚え、飼い主に非常に懐きます。
しかし、10-4月の繁殖期は激変します。
特にオスの場合体臭を発し、大好きな飼い主に向かっても噛みついてくる危険があります。
鋭い歯を持っているので、噛まれたら大けがをします。
いくら慣れているからといっても放し飼いは厳禁です。
鋭い歯と長い爪をもっており、野生の習性から柱や床、カーペットが荒らされる危険があります。
プレーリードッグの飼育に適した飼育環境を整えるには、現在の居住環境を替え、飼育環境整備にまとまった出費が必要になります。
なんといっても、この問題が最大の難関でしょう!
輸入禁止措置が発令される前には大量に流通し、価格も 2万円程度で入手できたのですが、今はその 10-20倍にまで高騰しました。
現在流通している個体は、輸入が禁止される前に国内にいた個体より繁殖させた子孫です。
同じ齧歯類でも ハムスター やハツカネズミなどのように繁殖が容易なわけではありません。
専門のブリーダーの方が主に繁殖を行い、親プレーリードッグの飼育費用、餌代、諸費用、人件費がすべて上乗せされてきます。
市場に出回る機会も少なく、購入希望者の予約が殺到しているなか、入手できる機会はかなり狭き門の状況です。
里親探しのサイトもあり、入手できるチャンスもありますが、こちらも掲載即決のような状況が続いている現状です。
ネット販売などでも購入可能ですが、やはり直接ショップ、ブリーダーに赴き購入した方が無難です。
高価な買い物になりますし、人への慣れ具合も確認する必要があります。
昼行性の動物のため、昼間の時間に訪問した方がよりベストな状態を観察できると思います。
毛の艶もよく、活発で、店員さんによく懐いている個体を選んでください。
購入後は直接持ち帰るようにし、宅配便で送ってもらうようなことはしないでください。
また特殊な動物のため、一般の獣医さんでは診察してもらえないことが多いので、店員さんに獣医さんを紹介してもらうことも必要です。
臆病な動物のため、飼い主に慣れるまで個体差あり、 1週間~3カ月程度 の期間が必要です。
その期間ストレスを与えないよう辛抱強く見守ってあげてください。
きっと貴方に心を許し、信頼するようになります。
ものを齧る癖があり、穴を掘る習性上、家の中での放し飼いはしないでください。
ケージの中での飼育が基本となりますが、もともと運動量の多い動物のため大きめのケージを準備してください。
特注のプレーリードッグケージが市販されていますが、大型うさぎ用のケージでも代用できます。
基準として 単体飼育の場合 縦 60 x 横 80 x 高さ 60 センチ 程度のもので充分だと思います。
金網製だと、プレーリードッグが齧った際に歯を痛めるおそれがあるので避けた方が無難です。
ケージの床部分にすのこを敷きます。
すのこの下に ペットシーツ を敷き、床の汚れを防ぎます。
すのこの上には、たっぷりと市販の牧草を敷いておきましょう。
プレーリードッグは巣穴で生活する習慣をもっています。
代用品として、身体が入れる位の広さがある小屋を準備し、ケージの中にセットします。
ウサギ用の広めのサイズがおすすめです。
ペットボトルが逆さになっている形状の水入れをセットします。
プレーリードッグは運動量が多いため、軽めの容器ではひっくり返されます。
陶器など重量があるものを準備しましょう。
回し車などのおもちゃはプレーリードッグの運動不足解消に必要です。
設置してあげるようにしましょう。
生息地は非常に寒暖差が激しい場所ですが、巣穴は平均 15℃程度に保たれています。
従って冬場は 15℃ を下回らないようにペット用のヒーターを準備するか、エアコンで温度調節しましょう。
プレーリードッグは 15℃を下回ると寝ている時間が多くなり、仮死状態・・・下手すると死んでしまいます。
最適な温度は 20-28℃ 位なので、夏場は逆に暑くなり過ぎないよう注意する必要があります。
ヒーターを設置する際にはコードを齧られないよう防具でカバーするようにしてください。
太陽光が当たらない場所にケージを設置する場合、10分以上日光浴させる必要があります。
野生では繊維質が豊富でカロリーの低いイネ科の植物を食しています。
プレーリードッグ専用フード、あるいは高繊維のペレットや牧草を主食とします。
生野菜や果物はおやつとして与える程度にします。
リス の餌やヒマワリの種はカロリーが高すぎるので避けましょう。
肥満の原因となります。
リスの仲間のわりに木登りは下手です。
高いところに登って落下し、思わぬケガをする場合があるのでケージの高さも高すぎないようにします。
またケージから出した場合、カーテンなどに登るおそれがあるので注意が必要です。
個体差があり、覚える個体もあるようですが、基本トイレの躾はできないと考えておきましょう。
同じ場所を用を足す習性があるので、彼らが自分で決めた場所にトイレを決めておいた方か間違いありません。
プレーリードッグは孤独に耐えられない動物です。
ひとりの時間が多いと、寂しさから 「自咬症」を発症することがあります。
遊んであげる時間をつくってください。
身体を優しくなでであげるとウットリし、甘えてきます。
電気の配線などは特に齧られないよう防具をつけるなど対策をしてください。
感電死する危険性があります。
プレーリードッグは砂に寝転んで身体を清潔に保つ習性があります。
1週間に 1回程度で構わないので市販の砂で砂遊びをさせてください。
公園等の砂場では雑菌があるおそれがあるため避けてください。
プレーリードッグは体調が悪くても症状を隠す傾向があります。
自然界では、弱った個体は天敵から真っ先に襲われる危険があるからです。
未病のため、運動不足と食生活には特に気を配ってください。
少しでも体調不良の兆候を感じたら、かかりつけの獣医さんに相談してください。
前もってプレーリードッグを診察してくれる獣医さんを探しておくことも必要です。
プレーリードッグを飼ってみたいけど、値段が高いうえ入手が困難・・・
似たような動物が存在すれば嬉しいのに・・・と思う方も少なくないと思います。
そこで、リチャードソンジリスが登場します!
一部のショップで 「ミニプレーリードッグ」と販売されることもあって、プレーリードッグそっくりです。
プレーリードッグと同様に北米大陸原産で、大きさは 12-14センチ 程度 体重は 300-600グラム とかなり小型です。
プレーリードッグが輸入禁止措置を受けているのに対して、当種は適用外で輸入を許可させています。
その影響もあり、生体の販売価格は 3万円前後と プレーリードッグの 1/10 位の金額で購入可能です。
飼育するにあたっての環境や餌は、プレーリードッグの場合とさほど変わりませんが、習性や性格が異なる場合が多いのが現実です。
具体的に、プレーリードッグとの違いを挙げてみましょう!
プレーリードッグは時間がかかりますが、人に懐きやすい動物です。
しかし、リチャードソンジリスは個体差が激しく、懐かない個体は絶対に懐きません。
いつまでたっても飼い主を警戒し、威嚇する個体も少なくありません。
リチャードソンジリスはプレーリードッグと異なり、自然界では単独行動で生活する影響もあるのでしょう。
購入の段階で、人に懐きそうな個体 (基準が難しいでしょうが) を選ぶことがポイントになります。
こうした個体なら、辛抱強く世話をすれば懐き、ユーモラスで愛くるしい仕草を見せてくれることも可能です。
プレーリードッグはあまり鳴きませんが、リチャードソンジリスは甲高い声で鳴く個体が多いです。
場合によっては飼い主ばかりでなく、近所迷惑になる可能性もあるため注意が必要です。
オグロプレーリードッグは冬眠の習性はありませんが、リチャードソンジリスは自然界で冬眠します。
飼育環境下での冬眠は、個体にとって体力を消耗する命がけの行為であり、そのまま死んでしまうことも珍しくありません。
冬場は室温を上げるなどして冬眠させない努力が必要となります。
以上のように、リチャードソンジリスはプレーリードッグの代用ペットとは呼べないのが現実です。
ペットして捉えるなら、全く違った性質の動物として考えた方がよさそうです。
原産地 : 北米大陸の草原地帯
体 長 : 30-40 センチ程度
体 重 : 1 キログラム程度
食 性 : 草食性
寿 命 : 自然界では 1-6年 (飼育下では 6-10 年)
価 格 : 20-40 万円前後
飼育難易度 : ★★★
原産地 : 北米大陸北部
体 長 : 13-14 センチ程度
体 重 : 300-600 グラム程度
食 性 : 草食性 (稀に昆虫を食す)
寿 命 : 3-5 年
価 格 : 3 万円前後
飼育難易度 : ★★★★
(※ 飼育難易度は 5段階評価で ★の数が多いほど難しい)
ペットとして国内で流通しているプレーリードッグには、野生のものは存在しません。
産まれた時から人間とふれあっているため、より人に懐きやすくなっているのかもしれません。
この小動物がもっと流通して、ペットとしてのその魅力を多くの人に知ってもらいたいと思います。
しかし、現在においてはいまだ 「高嶺の花」である現実です。
早く輸入禁止措置が解禁され、より身近な存在になることを祈る次第です。