本ページに掲載のリンク及びバナーには広告(PR)が含まれています。
爪は私たち人間の指にもありますが、犬の爪とは形が違います。
ここでは、犬にとって爪はどのような働きをしているのか解説していきます。
まず犬の爪の本数は前肢と後肢では異なります。
犬種によってはさらに多くの爪をもつこともあります。
一般的に犬の爪は前肢に5本、後肢に4本あります。
しかし、犬種によっては狼爪(ろうそう)と呼ばれる爪が後肢にあります。
グレート・ピレニーズ や バーニーズ・マウンテンドッグ などの大型犬には狼爪が2本以上ありますが、異常ではなく犬種特有の爪です。
ノルウェーの北極海諸島原産のノルウェイジアン・パフィン・ドッグという犬は前肢の指が6本という特徴があります。
断崖絶壁にいるパフィンという鳥を捕まえるために品種改良が行われたとされており、断崖絶壁にしっかり捕まることができるように立派な親指になりさらにもう1本爪が発達したのかもしれません。
下は、ノルウェイジアン・パフィン・ドッグの前肢の写真です。
爪は皮膚の一部が角質化(硬くなること)したもので、ケラチンというタンパク質が大部分を占めています。
犬の爪は人の爪と同様に、すり減ったり切ったりしなければ永遠に伸び続けます。
爪の根元には神経と血管があります。
白い爪の場合は爪の根元にピンク色の部分があり、ここには血管と神経があります。
白い爪の場合はよく見えますので確認してみましょう。
黒い爪の場合は残念ながら見えません。
犬はもともと獲物を見つけ、走って追いかけ仕留めるという生活を送っていました。
家庭で飼われている犬はこのような野性味あふれた生活はもはやしていませんが、猟犬は現在もこのような生活を送っています。
犬にとって爪は、地面をしっかり捉えるスパイクの役割をしています。
そのため、犬の爪は猫のように引っ込まず、ずんぐりと太い形をして出たままになっています。
散歩の時間が長かったり、走り回ることが大好きな犬の場合は、爪が地面にあたり適度な長さにすり減ります。
しかし、室内がメインになる 小型犬 や散歩が苦手で散歩時間が短い犬の場合は、すり減る機会が少なく伸びっぱなしになってしまいます。
長すぎる爪は、どこかにひっかけてケガをする可能性があり危険なのです。
爪切りが嫌いな犬は多く、爪を切ることを目的にトリミングサロンや動物病院に行く飼い主さまもいらっしゃいます。
犬が大嫌いな爪切りですが、爪は絶対に切らなければいけないのでしょうか。
ここでは、爪切りの必要性ついて解説していきます。
結論からお話しすると、爪切りは必要です。
爪は永久に伸びていくので、散歩などですり減る機会がなければどんどん長くなってしまいます。
犬の場合、爪はまっすぐ伸びず内側に巻くようにして伸びていきます。
どんなにお散歩に行く犬でも、前肢の親指や狼爪は地面に擦れる機会がありませんので、伸びてしまいます。
それでは、爪を切らないとどのような危険性があるのでしょうか。
爪を切らずに伸びてしまうと、何かに引っ掛けてしまい爪が折れたり、抜けてしまったりすることがあります。
人に置き換えると、爪がはがれてしまう状態ですので、かなりの痛みを伴います。
出血も多く、足は地面につくため細菌感染も心配です。
また、親指の爪や狼爪のように地面で擦れることのない爪の場合は、カタツムリの殻の渦巻のように伸びてしまい、皮膚に刺さってしまうこともあります。
腫れたり、化膿してしまうと足を挙げて歩くようになります。
例えば、 柴犬 のように被毛の短い犬種は爪が伸びていても見つけやすいですが、外で生活している犬や長毛種の場合は被毛で爪が隠れてしまい発見が遅れます。
室内犬の場合は、フローリングを歩くときに「カチカチ」という足音が聞こえたら爪を切るタイミングです。
こまめに爪を見て、早めに切るようにしましょう。
爪切りは大まかに分けると「ギロチン」「ハサミ」「ニッパー」「電動爪やすり」の4種類あります。
それぞれに特徴があるので、使いやすいものを選びましょう。
ギロチンタイプの爪切りは、切れ味が良く綺麗に切ることができます。
丸く開いた穴の中に爪を入れてスパッと切るので、しっかり足を固定しないと危険です。
急に動かれたときに、爪を切りすぎて出血してしまう恐れがあります。
ある程度爪切りになれていて、爪切りを早く終わらせたい方にお勧めです。
ギロチンタイプの仲間で、ピコックタイプというものがあります。
こちらは普通の爪を切ることもできますが、巻き爪や狼爪を切るときに便利な形をしています。
ハサミタイプの爪切りは、子犬の細くて小さな爪を切るためのものです。
切れ味はあまりよくないので、硬い爪には不向きです。
まだ爪が柔らかい生後3~4か月ぐらいの犬向きです。
ニッパータイプの爪切りは初心者にも使いやすい爪切りです。
針金などを切る大工道具のニッパーと同じ原理です。
柄の部分を握ると刃が閉じて爪が切れるので、抵抗感なく使いやすいタイプでしょう。
ギロチンタイプに比べると切れ味は少々劣りますが、太くてしっかりした爪でも余裕で切ることができます。
電動爪やすりは、先端についた研磨石が高速で回転し爪を削ります。
ギロチンやニッパーなどで爪切りをした切り口はギザギザしていますので、仕上げに電動やすりで滑らかに仕上げることも可能です。
また、爪を切った時の音や振動を怖がる場合は電動やすりで爪を削るのも良いでしょう。
削った時に粉が出るので注意してください。
爪切りにはいろいろな形がありますが、形が同じでもメーカーによって使い勝手が違います。
ここでは、獣医師の筆者が「これは使いやすい」という商品をご紹介します。
日本製の爪切りで、切れ味が非常によく爪割れを起こしにくい爪切りです。
刃の部分のネジを緩めたり、締めたりすることで切れ味の調節ができ便利です。
ギロチンタイプは爪切りに慣れた方にお勧めの爪切りです。
切った爪の端がざらつくことが多いので、やすりをかけることがあります。
この商品には爪やすりがセットになっていますので、別途購入する必要がありません。
お値段はお手頃ですが、丈夫で長く使えます。
この爪切りは、私たちが使い慣れたハサミと同じ原理で爪を切っていきます。
爪切りに初めてチャレンジする方、ギロチンタイプが苦手な方にお勧めです。
先端の刃の部分はステンレス製ですので錆びにくいのですが、柄の部分についているバネはさびやすいので、水分の付着に注意してください。
軽く力を入れるだけで爪がきれいに切れるため、力の弱い方でも楽に使えます。
爪やすりが付属しており、切った爪の切り口を滑らかにお手入れできます。
幅6.5㎝、長さ9.7㎝の手のひらサイズのハサミ型の爪切りです。
本来、猫用の爪切りですが、生後3~4か月くらいの子犬の爪切りなら十分切れます。
成犬用のギロチンやニッパーは爪切りの刃が厚いので子犬の小さな爪が隠れてしまい、深爪の原因になることがあります。
その点、この爪切りは先端も細く子犬の爪切りに最適です。
ぺキュートは爪を切るのではなく、爪を削る「電動爪やすり」です。
爪を切るときの衝撃や「パチン!」という音を怖がる犬に最適です。
先端に高速回転する研磨石があり、取り外し可能なカバーが付いています。
カバーがない状態だと研磨石全体で爪を削ることができますが、周りの被毛を巻き込むと危険です。
被毛を巻き込まず目的とする爪だけを削るために、カバーには2種類の穴が開いています。
側面に開いている穴は小型犬用、てっぺんに開いている穴は中型・大型犬用です。
コンセントやUSBで充電でき、爪切りの邪魔になるコードがありませんのでどこでも使用可能です。
また、回転速度もは2段階切替で慣れないうちは低速でゆっくり削ることができます。
静音設計ですので音もあまり気になりません。
刃物で爪を切るのが怖い方や、爪切りが苦手な犬にお勧めです。
爪切りはご紹介したように様々な形があります。
中でも、ギロチンタイプは持ち方を間違えてしまうことが多く、購入したのにうまく使えないということもあります。
ここでは、ギロチンタイプの爪切りにポイントを置いて、持ち方から使い方まで解説していきます。
ギロチンタイプの爪切りは正しく持たないと爪を効率よく切ることができません。
「購入したけれど、うまく使えなくて使わなくなってしまった…」
そんな声をよく聞きますが、持ち方はどうですか?
まずは正しい持ち方を確認しましょう。
ギロチンタイプの爪切りは、上の写真のように平らな面を上にして持ちます。
人差し指から小指までの4本の指をハンドルに添え、軽く握るようにすると爪切りの刃がスライドして動きます。
逆に持っていませんでしたか?
ギロチンタイプの爪切りは、穴の開いている部分に犬の爪を入れます。
そのあとハンドルを4本指で握ると爪切りの刃がスライドして爪を切ることができます。
爪の代わりに爪楊枝でイメージをつかんでください。
この穴の部分に爪(爪楊枝)を通します。
ハンドルを握っているので、爪切りの刃が前方にスライドしています。
この状態で、ハンドルをさらに強く握ると爪(爪楊枝)が切れます。
爪切りはトリミングサロンや動物病院でやってもらえます。
しかし、できることなら自宅でやってあげたいと思ったことはありませんか?
爪を切る方法とコツをつかみ、慣れればスムーズに短時間できることができるようになります。
ここでは、正しい爪の切り方とコツを解説します。
よく聞くお声は、「どこを切ればいいのかわからない。」です。
白い爪は比較的わかりやすいのですが、問題は黒い爪です。
まず白い爪の場合は、私たちの爪と同じ感覚で切ります。
根元のピンク色の部分には血管と神経が通っていますので、切ると出血しますし激痛が走ります。
この部分は絶対に切ってはいけません。
ピンク色の部分を避けて、その先の白い部分は切っても問題ありません。
私たちが自分の爪を切るときに、白い部分を切るのと同じです。
この白いところのみを慎重に切っていきます。
切っていく順番というのはある程度決まっていますが、最終的に角がないように切り揃えていきます。
余裕ができれば、最後にやすりがけをしてあげると丸くきれいに収まります。
黒い爪の犬の場合は血管が見えないので、感覚を頼りに切っていきます。
怖い場合は、切りすぎず少しだけ長めに残しましょう。
無理をしないことが大切です。
黒い爪の場合、目安になるものがあまりないので、一気に切ると出血する恐れがあります。
先端の方から1~2㎜ずつ切っていきましょう。
なお、切るたびに切り口を確認してください。
パサパサと乾燥した感じだとまだ切れます。
爪の切り口がこのような状態になってきたら、血管が近い証拠なので切るのをストップしてください。
この感覚をつかめば、黒爪の爪切りもできるようになります。
爪を切るときのポイントとコツについてまとめます。
このようなアクシデントを防ぐために、切ろうと思っている爪の部分を爪切りの刃先で一度軽く挟んでください。
挟んだ状態からさらに力を入れて切るようにすると、危険回避できます。
どんなに気を付けていても、爪から血が出てしまうことがあります。
このような時に便利なのが爪用の止血剤です。
クイックストップは、止血用の黄色いパウダーです。
出血している爪につけますが、つけるときのコツがあります。
まず、ティッシュペーパーで出血している部分を強めに抑えます。
少し出血の勢いが落ち着いてきたら、爪の切り口に載せるようにパウダーをつけて切り口に押さえつけるようにします。
2~3回程度つけると血が止まるはずです。
クイックストップがあれば良いのですが、万が一ない場合は小麦粉が代用できます。
ただ、止血のスピードは遅いです。
小麦粉は、あくまでもクイックストップがない場合の代用とお考えください。
犬の爪は私たちの爪と形も役割も異なります。
しかし、伸びっぱなしになってしまうとめくれたり、はがれてしまって痛い思いをするのは同じです。
犬の爪は、まっすぐ伸びず内側に曲がるように伸びますので肉球に爪が刺さってしまうこともあります。
爪切りは犬にとって必須と言えるでしょう。
爪切りはさまざまなタイプがありますが、自分の手になじむものを選ぶことが大切です。
同じタイプでもメーカーによって使い勝手は異なります。
メーカーを変えたりして使いやすいものを見つけていきましょう。
基本的な爪の切り方をマスターすれば自宅でも爪のお手入れをしてあげることは可能です。
ただ、無理は禁物なので、どうしても難しかったらトリミングサロンや動物病院でお願いしましょう。
執筆・監修:獣医師 平松育子(ひらまつ いくこ)
山口大学農学部獣医学科(現:山口大学共同獣医学部)卒業後、複数の動物病院で勤務医を経て、ふくふく動物病院を開業する。
また、YICビジネスアート専門学校ペット総合科で講師を務める。
その他、AIAJ認定アロマテラピーインストラクターとして、人とペットが楽しめるアロマテラピーにも取り組む。
飼い主様としっかりコミュニケーションを取ることを大切にし、飼い主様とペットの笑顔に繋がる診療を心がけている。
最終更新日 : 2022/07/06
公開日 : 2020/05/08