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アメリカモモンガは 「哺乳綱 ネズミ目(げっ歯目)リス科」 の動物です。
ここからは、主に野生のアメリカモモンガの生態や分布について説明していきます。
なお、ペットショップでよく見かける 「 フクロモモンガ 」 は、げっ歯類ではなく有袋類の動物です。
見た目や生態が似ている両者ですが、実はアメリカモモンガは ネズミ ( リス )の仲間でフクロモモンガは カンガルー の仲間なのです。
生物学ではこのように全く違う仲間の動物であるにも関わらず、同じような見た目になる現象を 「収斂」 (しゅうれん、収斂進化とも)と呼びます。
アメリカモモンガはカナダ南東部、アメリカ東部、メキシコ、ホンジュラス周辺に生息しています。
幅広い環境に生息していますが、広葉樹林を好む傾向があります。
アメリカモモンガの体長は22~27cmほどです。
体重は38~90gほどで、平均体重は65gほどといわれています。
アメリカモモンガは 「チュ」「キィ」「ピッ」 といった鳴き声で鳴きます。
小鳥の鳴き声のように聞こえる、高めの鳴き声が特徴です。
アメリカモモンガは植物性の強い、雑食性の動物です。
リスの仲間の中では、動物性の食べ物をよく食べるといわれています。
アメリカモモンガの特徴は、リスに似た外見と前あしと後ろあしの間にある「飛膜」です。
フクロモモンガのような特徴的な模様がなく、一見するとリスのように見えるアメリカモモンガ。
リスと同じげっ歯類で食べるものも似ている彼らですが、リスとの最大の違いは飛膜があることです。
フクロモモンガは飛膜を上手に使い、木と木の間を飛んでいるように動き回ります。
鳥のように飛ぶことはできませんが、空気の力を利用して秒速10~15mで滑空できるそうです。
このような習性から、英語では 「Flying squirrel」 (空飛ぶリス)と呼ばれています。
アメリカモモンガは生後1年ほどで性成熟し、繁殖できるようになります。
1年に2回まで繁殖できますが、いつ繁殖期を迎えるのかは日照時間や温度、食べ物などの環境によって大きく異なります。
メスは交尾から40日ほどで出産し、1回に1~7匹の仔を産みます。
仔の大きさは体重3~6gほどと非常に小さく、毛が生えていない未熟な状態で産まれてきます。
フクロモモンガの寿命は、飼育下で10年ほどといわれています。
野生下での寿命は、おおよそ5~6年ではないかと考えられています。
分類:哺乳綱 ネズミ目(げっ歯目)リス科 アメリカモモンガ属
学名:Glaucomys volans
英名:Southern flying squirrel
分布:カナダ南東部、アメリカ東部、メキシコ、ホンジュラス周辺
大きさ:
体長・22~27cm
体重・38~90 gほど
鳴き声:「チュ」「キィ」「ピッ」
食性:雑食
繁殖:
性成熟:生後1年ほど
産子数:1回に1~7匹(平均3~4匹)
寿命:飼育下で10年ほど
アメリカモモンガはペットとして飼育できます。
ただし、2005年4月にある事件があり、それ以降輸入制限がかかっているため入手すること自体が困難です。
この項目ではそんなアメリカモモンガの購入方法と、その値段について解説します。
アメリカモモンガはペットショップやブリーダーで販売されています。
ただ、現状海外からの輸入が非常に困難であることから、扱っているショップやブリーダーは多くありません。
アメリカモモンガは1匹3~10万円ほどで販売されています。
入手が難しい点を考えると、ショップやブリーダーの言い値になってしまう可能性もあります。
かつてアメリカモモンガは、ペット向けの動物として国内に多数輸入されていました。
しかし、2005年の4月、静岡市内の動物取り扱い業者でアメリカモモンガを原因とする 「レプトスピラ症」 という感染症が発生しました。
レプトスピラ症は、人も動物もかかる 「人畜共通感染症」 ですが、適切な治療を受ければ完治します。
ただ、この一件で、海外から輸入されるげっ歯類が感染症の原因となることが明らかとなりました。
そのため、2005年9月から、海外産のげっ歯類を輸入する際の規制がかなり強化されました。
このような経緯があり、今もアメリカモモンガを国内に輸入すること自体が困難になっています。
アメリカモモンガは神経質で野性味が強いことから、簡単に飼育できる動物ではありません。
特にモモンガを初めて飼育する場合は、フクロモモンガから挑戦した方が良いでしょう。
この項目ではアメリカモモンガを飼育する際に必要なものと、その理由を説明していきます。
野生のアメリカモモンガは木の実や果実、花や樹皮、小型の哺乳類や昆虫類などを食べています。
アメリカモモンガを飼う際は、さまざまなものをバランスよく食べさせるようにしましょう。
主食としてはリス用フード、もしくはアメリカモモンガ用フードを使うと良いでしょう。
アメリカモモンガ用フードは入手が難しいため、リス用フードの方がおすすめです。
ペレットの他には果物や野菜、穀物類や動物性たんぱく質を与えます。
もし手に入るようでしたら、クリやカシワなどの葉と実がついた枝を与えても良いでしょう。
与えて良い野菜:コマツナ、チンゲンサイ、キャベツ、サラダナ、ニンジン、カブ葉など
与えて良い果物:バナナ、リンゴ、ブルーベリー、イチゴ、カキ、オレンジ、マンゴーなど
与えて良い動物性たんぱく質:ミルワーム、コオロギ、シルクワーム、ゆでたまご、ヨーグルトなど
アメリカモモンガは運動量が多いため、ケージは縦長でなるべく大きなものを用意してください。
小さすぎるケージは運動不足を引き起こし、肥満やストレスによる自傷の原因となる可能性があります。
ただし、ケージを丸ごと洗うことも多いため、飼い主が扱いやすいサイズであることも大切です。
ケージ内には複数の止まり木やコーナーステージを設置して、高低差をつけてあげましょう。
止まり木はモモンガにとって、食事や休憩をする大切な場所となります。
市販品を利用するのはもちろん、木の枝を拾ってきて使っても構いません。
木の枝は農薬や除草剤が使われていない場所で拾い、煮沸消毒して十分に乾かしてから使ってください。
アメリカモモンガが休む場所として、ケージ内には巣箱を用意してください。
小動物用、小鳥用として販売されているものを使うと良いでしょう。
アメリカモモンガは排泄物で巣箱を汚しがちなので、ローテーションして使えるように複数個用意しておくと便利です。
アメリカモモンガが休憩する場所には、巣箱ではなくポーチを利用しても良いでしょう。
ポーチはペットショップで販売されているほか、ハンドメイド作品を販売している方も多いです。
ポーチは簡単に洗えて衛生的ですが、布をかじってしまうことや爪を引っかけてしまうことがあります。
使用する際はアメリカモモンガをよく観察し、安全に使えるかどうか確認した方が良いでしょう。
餌を衛生的に食べさせるため、餌皿を用意してください。
餌皿はやや深さがあり、洗いやすい材質や形状のものという観点から選ぶと良いでしょう。
傷が付きにくく乾きやすい、陶器製やステンレス製のものがおすすめです。
いつでも新鮮な水が飲めるように、ケージには給水ボトルを設置してください。
給水ボトルが苦手で上手に使えない個体の場合は、皿に水を入れて与えます。
ただし、皿で与える場合は水が汚れやすいため、こまめに取り替えてあげてください。
アメリカモモンガはとても賢く、また手先が器用な動物です。
いつの間にかケージの開け方を覚えてしまい、気づかないうちに脱走してしまう可能性があります。
脱走を防止するために、ケージの扉にはナスカンを付けておくと良いでしょう。
針金でも代用できますが、開け閉めが手間になるためナスカンを用意することをおすすめします。
アメリカモモンガをお迎えする前に、知っておいてほしい注意点が2つあります。
まず1点目としては、ほとんどアメリカモモンガはトイレを覚えないということです。
トイレのしつけができないため日々こまめに、かつ入念に排泄物の掃除をする必要があります。
そうとはいえ、ある程度決まった場所で排泄することが多いため、よく排泄する場所に新聞紙やペットシーツを敷いておくとやや掃除が楽になるかもしれません。
2 点目としては、アメリカモモンガの適切な治療ができる動物病院が少ないということです。
飼っている人が多いイヌやネコなどのペットは、ほとんどの動物病院で治療を受けることができます。
しかし、モモンガのような珍しいペットに関する治療のノウハウや経験を持つ獣医は少なく、ペットショップでよく見かけるフクロモモンガでさえも適切な治療を受けられないことが少なくありません。
アメリカモモンガをお迎えする前に、エキゾチックアニマルに詳しい動物病院を探しておいてください。
そして、アメリカモモンガの治療ができるかどうか、事前に確認しておくことを強くおすすめします。
アメリカモモンガは輸入が難しいためか、現在国内の動物園では飼育されていません。
そのため、ここではアメリカモモンガと比較的生態が近いと考えられる、げっ歯類のモモンガ(ホンシュウモモンガ・エゾモモンガ)を飼育している動物園をご紹介します。
#エゾモモンガ がひたすらごはんを食べているだけの動画です。
— マルヤマン@円山動物園(公式) (@marudou_fan) September 24, 2019
お好きな方、ぜひご覧ください。 #円山動物園 #maruyamazoo #RussianFyingSuirrel pic.twitter.com/7uXTm9iyrH
円山動物園では北海道に生息する固有種、 エゾモモンガ が飼育されています。
夜行性のため巣穴に入っていることが多いですが、午前中であれば比較的観察しやすいです。
住所:〒064-0959 札幌市中央区宮ヶ丘3番地1
マップ: Googleマップ
電話番号:011-621-1426
入館料:
大人(高校生以上):600円
小人(中学生以下):無料
営業時間:
夏期(3月1日~10月31日):9:30~16:30(最終入園は16:00)
冬期(11月1日~2月末日):9:30~16:00(最終入園は15時30分)
休園日:
毎月:第2・第4水曜日(祝日の場合は翌日)
4月: 第2水曜日を含むその週の月曜日~金曜日
8月: 第1・第4水曜日
11月:第2水曜日を含むその週の月曜日~金曜日
12月29日~31日
公式ホームページ: 円山動物園
※合わせて読みたい: 「円山動物園」の歴史や見所、料金やアクセス情報など
ある日のホンシュウモモンガの巣箱内の様子。仰向けで寝ている何頭かと目が合ってしまいました。巣箱はいくつもあるのに、集まりたがるモモンガでした。 pic.twitter.com/JuTLfCF2Qo
— 盛岡市動物公園 (@moriokazoo) August 26, 2016
盛岡市動物公園ではげっ歯類のモモンガの1種、 ホンシュウモモンガ が飼育展示されています。
ときおり繁殖もしているため、タイミングがよければ赤ちゃんモモンガに会えるかもしれません。
住所:岩手県盛岡市新庄字下八木田60-18
マップ: Googleマップ
電話番号:019-654-8266
入園料:
大人(高校生以上):500円
こども(中学生まで):無料
開園時間:9:30~16:30
休園日:水曜日(祝祭日の場合は翌平日)、冬季休園
公式ホームページ: 盛岡市動物公園
当記事では空を飛ぶリス、アメリカモモンガについて解説してきました。
アメリカモモンガはかつて、ペットとしてとても人気のある動物でした。
愛らしい見た目をしているため、今でも飼いたいと考えている方は多いのではないでしょうか。
しかし、野性味が強いアメリカモモンガを飼育することは、決して簡単なことではありません。
まずはフクロモモンガを含むさまざまな小動物を飼育して、動物を飼うことに慣れてから挑戦した方が良いでしょう。
そして、いつの日かアメリカモモンガをお迎えできた際は、たっぷりと愛情を込めて飼育してあげてください。
※合わせて読みたい: モモンガの種類、値段、飼い方
最終更新日 : 2023/06/12
公開日 : 2020/03/26