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オカヤドカリって、どんな生き物?天然記念物なのにペットに出来る?
ヤドカリは甲殻類の中の十脚目ヤドカリ上科に属する生き物で、巻貝を体に背負って生活する仲間を指します。
簡単にいえば、貝殻をおんぶしている カニ や エビ の仲間ってことになります。
ネーミングも他人(この場合貝殻)に宿を借りているからヤドカリ。
人に例えると「賃貸居住者」ってことです。むろん家賃は支払っていません。
ヤドカリの仲間はお馴染みの磯場ら深海まで幅広く海に生息しているのものから、主な生活拠点が陸地のものまで、広範囲に生活域が広がっています。
なかには貝殻を背負っていないヤドカリの仲間も存在します。
例えば、高級カニの代名詞であるタラバガニ、これも実はヤドカリの仲間です。
また南の島のヤシの木に登ることで有名な南方系の巨大なカニ、ヤシガニもオカヤドカリというヤドカリの仲間とされています。
これらのヤドカリの仲間は食材としても有名ですが、神奈川県の三浦市では貝殻付きの巨大なヤドカリが味噌汁として食用されています。
自然界では天敵が多く、途中で命を落とす個体が多いのですが、天寿をまっとうした場合 20年以上生きるものも少なくないといわれています。
それでは具体的にペットとしてヤドカリの仲間を飼うことを考えた場合、どんな種類のものが妥当でしょうか?
まずタラバガニは深海性のカニであり、設備的な面もあるので家庭的では飼育できません。
同様に深海に住むのヤドカリの飼育は一般家庭では難しいといえるでしょう。
また前述のヤシガニ、これも大型になりハサミも大きくて危険なので、あまり家庭向けとしておすすめできません。
すると比較的入手方しやすい、海から自分で採取してくるものか、ペットショップなどで購入できるものに絞られてくるでしょう。
ペットとして飼育する場合、どういう種類のヤドカリがいるのかを以下でご紹介します。
まずは各種類ごとの概要です。
磯遊びでお馴染みの、海の磯場、タイドプールに生息している小型のヤドカリ。
体長は1センチ位と小型。右のはさみのほうが大きく、メスはオスより小型。
同じ生息域にいるヤドカリに イソヨコバサミ、ケブカヒメヨコバサミ、クロシマヨコバサミなどが存在するが、基本的に生態は近い。
雑食性。
海生のヤドカリで熱帯域の海に生息しているもの。
自然採取はいろいろ難しいため、海水魚ペットショップで購入するのかベスト。
水槽の掃除屋として重宝される。色彩はカラフルなものが多く存在する。
雑食性。
陸生のヤドカリで日本では小笠原諸島および南西諸島に生息。
天然記念物に指定されている。
ペットショップやホームセンターなどで比較的安価で入手しやすい。
大きさは最大で8センチ弱位。
雑食性。
次に、ホンヤドカリ、熱帯性海生ヤドカリ、オオヤドカリに関して各々詳細な特徴、生態、飼い方、値段を確認していきましょう!
日本列島の海岸域に普通に見られるヤドカリの仲間です。
小型のヤドカリで体長は平均して1センチ位と小型で、磯遊びなどで馴染みの深いヤドカリの1つです。
本種ははさみが左右対称ではなく右のはさみの方が大きく、オスはメスより少し大きめです。
砂浜には生息せず、岩場が最もポピュラーな住処となっています。
なお同じ生息域にはケアシホンヤドカリ、ヨモギホンヤドカリ、ほかヨコバサミ類といわれるヤドカリの種類も存在しています。
姿形や大きさが若干大きいなどの差があるくらいで、図鑑でよく調べないと区別がつきにくいので、ここではみなホンヤドカリの仲間として一括りで紹介します。
基本的な飼育方法は同じです。
海洋熱帯魚を扱うペットショップなどに、外国産や南西諸島産のヤドカリも販売しています。
しかし磯場に住んでいるヤドカリについては殆ど販売していません。
ペットとして飼育しようとする人が少ないのが理由です。
ですので、磯場で採取して持ち帰るのが一般的な入手方法となるでしょう。
むろん国立公園内の海辺とか採取禁止の場所も存在しますので気をつけなければなりません。
ヤドカリで問題になることは余りないかも知れませんが、地権者の方に確認してから持ち帰らせて頂くことをおすすめします。
また、持ち帰る際にはちょっと大きめのバケツに数匹、海水ごと入れ必ずエアレーションをしていおきましょう。
できれば2リットルくらいのペットボトルに別途海水を入れて一緒に持ち帰ります。
その際に同時に隠れ家となりそうな岩と、引越しに使えそうな貝殻も持って帰るとよいでしょう。
電車やバスといった公共交通機関を利用する場合は周りの人の迷惑にならないようにすることが大切です。
飼育に必要な水槽は金魚などを飼うための簡易な水槽よりも、海水魚飼育用の水槽を使用した方が、適しているといえます。
小型海水魚飼育用の比較的小型の水槽があれば充分です。
なけれなペットシップや通信販売などで、水棲ヤドカリ用の水槽も販売していますので検討してみてください。
お値段は6000円が目安です。
自宅近くに海がある場合は、そこの海水をペットボトルなどで採取してくれば問題ありません。
もちろん、可能であればヤドカリ本体を採取した海の水を使うのがベストです。
ただ1週間程度で水質悪化しますので、大量の汲み置きはおすすめできません。
近くに海がない場合は市販の人工海水の購入がおすすめです。
1リットル当たりで35グラム程度を投入して作り、比率は比率計(ペットショップなどで市販されています)で、1.023に合わせるとよいです。
海辺で採取する砂は汚れていてそのまま使用することはおすすめできません。
市販のサンゴ砂か、あるいは観賞魚用の敷き砂を購入したほうがよいでしょう。
ヤドカリ本体の体長の2~3倍の厚さにしてください。
必須アイテムです。海水魚飼育用の濾過機を設置した方が無難です。
濾過機を設置しないと水質が急激に悪化し、悪性アンモニアが発生してヤドカリが死んでしまう危険があります。
新鮮な空気の供給のため、必ず設置してください。
ヤドカリは臆病な生き物なので隠れ家が必要です。
脱皮の際のストレス軽減にもなります。
海辺でちょっと大きめの岩を拾ってくるか、市販されているヤドカリシェルターを購入してください。
雑食性で基本的になんでも食べますが、アサリ、ワカメ、しらす干し、慣れてくればザリガニ用のペレット状の人工餌も食べるようになります。
水質悪化の原因になりますので、あげすぎには注意してください。
近くに海のある場合は、磯辺で適当な大きさの空の貝殻を採取してください。
ペットシップで水棲ヤドカリ用の貝殻も販売しています。
サイズ的にオカヤドカリ用の貝殻は合わないと思います。
水槽に水をいっぱいに入れるよりも、水は水槽の半分か6割くらいにして、ヤドカリの日向ぼっこ用に岩などを水面上に出しておくとよいでしょう。
水族館の潮だまりの生き物の展示コーナーみたいなイメージです。
熱帯~亜熱帯の海、いわゆるサンゴ礁に住んでいるヤドカリは色とりどりでカラフルな種類が多いのが特徴です。
自然からの採取は、よほど南方に住んでいたりしない限り難しいので、ペットショップ等からの購入が一般的となります。
ペットショップなどで販売しているものは沖縄や東南アジア、ハワイ近郊の海から採取されたものが中心です。
カラフルな色彩が特徴のユビワサンゴヤドカリを中心としたサンゴヤドカリ類、イソギンチャクと共生しているソメンヤドカリなどがいます。
金額の相場として、ユビワサンゴヤドカリ類は 1000~3000円程度、ソメンヤドカリ類は 3000円位です。
ヤドカリ単独で飼うより、他の小型海水魚を一緒に飼われることが多いようです。
水槽の掃除屋さんってイメージです。
やはり、ススメダイの仲間などおとなしい小型魚と一緒に飼育した方が、 アクアリウム 的にも華があるし、楽しいと思います。
みなみに海水魚の餌はクリルといわれる乾燥したエビが、魚の食いつきも良く定番です。
基本的な飼育方法は前述した 「ホンヤドカリ類」と同じですが、熱帯の生き物なのでヒーターの設置が必須となります。
ヒーターの温度は、海水魚の場合と同じく、25℃前後に設定しておきます。
水槽は海水魚用のものをおすすめします。
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